司法警察員

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:Ambox 司法警察員(しほうけいさついん)とは、捜査(司法警察活動)に関して、司法巡査には認められない特別の権限を付与された司法警察職員の資格の呼称をいう。いわば、司法巡査が捜査に関しては“見習い”の警察職員であるのに対して、司法警察員は捜査に関して“一人前”の警察職員である。司法警察員と司法巡査とは捜査に関する権限が異なるだけで、警察職員としての階級とは直接の関係がない。

司法警察員の指定

(一般)司法警察職員

一般司法警察職員の代表である警察官は、階級によって司法警察員か司法巡査かで区別される。原則として、巡査の階級の者は司法巡査、巡査部長以上の階級の者は司法警察員とされているが、捜査上必要がある場合には、巡査長たる巡査を司法警察員に指定することができる[1]

具体的に挙げれば、

である。

特別司法警察職員

特別司法警察職員の階級においては、陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊の各警務官は三等以上の陸曹、海曹、空曹の曹階級以上の者が司法警察員、士の階級では陸士長、海士長、空士長以下の者が司法巡査に指定される。海上保安庁は法律により海上保安官と海上保安官補が指定されているが、現在は一等海上保安士以上の者が司法警察員、二等海上保安士以下の者が司法巡査として運用されている。

警察官・自衛隊警務官以外の司法警察員

警察官、自衛隊警務官、海上保安官以外の司法警察員としては、以下のようなものがある:

権限

司法警察員は、司法巡査が有する捜査に関する権限を全て有する。司法警察員が有する特別の権限としては、以下のようなものがある。

逮捕に関して

  • 通常逮捕状の請求(刑事訴訟法199条2項)。ただし、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。実際には、警察署長や副署長、警察本部警察署の各課課長級以上の者が請求している例が多い。
  • 逮捕した被疑者の受け取り(同法202条、215条1項)。
  • 被疑者逮捕時の犯罪事実の要旨・弁護人選任の告知、弁解録取、釈放・送致の決定(同法203条1項、211条、216条)

その他に関して

  • 差押捜索検証令状の請求(刑事訴訟法218条3項)
  • 証拠品の売却・還付(同法222条1項但書)
  • 鑑定留置処分の請求(同224条1項)、鑑定処分許可の請求(同225条2項)
  • 代行検視(同法229条2項)
  • 告訴告発自首の受理・調書作成(同法241条1項2項、243条、245条)
  • 検察官への事件送致(同法246条本文、242条、245条)

任免

具体的な該当者の指定は法令によってなされ(都道府県例規集の警察関連訓令に規程がある)、任命された者には逮捕状請求に当たって裁判所に提示(請求書に官職姓名と証明書番号を付記)を要する「司法警察員の証」が交付される。

旧型警察手帳当時はこの証明書を手帳に貼り付けておく事が義務付けられていたが、現行の身分証票ではこれが物理的に不可能な事から(恒久用紙―身分証ページはなくカード形式)、貼付義務を廃止する警察本部が多くなっている。

脚注

  1. 刑事訴訟法189条1項。その例としては、警視庁司法警察員等の指定に関する規則第2条、司法警察員等の指定に関する規則(大阪府公安委員会規則第四号)第2条など