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'''司法修習'''(しほうしゅうしゅう)は、日本の[[司法試験]]合格後に[[法曹]]資格を得るために必要な[[裁判所法]]に定められた「司法修習生の修習」の通称である。司法修習を行っている者を司法修習生という。 == 概要 == 司法試験の合格者は、[[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]に司法修習生として採用され、[[公務員]]に準じた身分で司法修習を行う。司法修習は[[裁判官]]・[[検察官]]・[[弁護士]]のいずれを志望する場合であっても、原則として同一のカリキュラムに沿って行い、修了後、裁判官であれば[[判事補]]として任官、[[検察官]]であれば[[検事]](2級)として任官(これを「任検」という。)、[[弁護士]]であれば[[弁護士会]]への登録を行い、それぞれ[[法曹]]として活動するほか、研究者等それ以外の進路を選ぶ者もいる。 <!--、2006年(平成18年)修習開始が第60期となる。-->修習開始時期の呼称は、旧司法試験による場合は「現行第○期」又は「旧○期」といい、新司法試験による場合は「新第○期」という。新旧司法試験の区別が存在しなかった第59期までは、単に「○期」という。<!--NOR [[法曹界]]では、一部の期前やいわゆる5条特例の者を除き、各人に共通している属性であることから、一般的なものであり、自己紹介で修習の期が何期かという話から入ることも少なくない{{要出典}}。長期間の修習を一緒に行ったことや共通の会話ができることから同期の連帯感は強い{{要出典}}。--> == 修習期間 == <!--NOR : [[司法制度改革]]で司法試験合格者が増加したのに伴い、-->修習期間は短縮されている。また、[[法科大学院]]において従来の前期修習程度までの教育するため、法科大学院修了者を対象にした[[新司法試験]]合格者はさらに短縮されている。 *旧司法試験合格者対象の司法修習 ** 第52期([[1998年]]4月修習開始)まで - '''2年''' ** 第53期([[1999年]]4月修習開始)から第59期([[2005年]]4月修習開始)まで - '''1年6か月''' ** 第60期([[2006年]]4月修習開始)から - '''1年4か月''' *新司法試験合格者対象の司法修習 ** 新60期(2006年11月修習開始)から - '''1年''' == カリキュラム == <!--NOR : 日本の法曹のほとんどが裁判を主たる生業としている現状を反映して、内容が-->裁判実務が多く、民・刑事裁判における[[事実認定]]が基本とされ、検察・刑事弁護・民事弁護に関するカリキュラムも裁判における事実認定を前提とする。<!--NOR : また、民事裁判における[[立証責任]]の所在([[要件事実]]論)が重視されている。--><!--NOR : 裁判外の法律問題や近時の弁護士の職域拡大に対応した高度な[[予防法務]]や企業法務には対応できていない。司法修習が2年であった時、前・後期に選択科目のセミナーを多数設けて法廷業務以外の弁護士業務の講義をして補ったが、期間短縮が行われてから必須カリキュラムをこなすだけで限界になり、[[法科大学院]]教育や実務に携わりながらのトレーニングに委ねざるを得ない面がある。期間短縮と人数増加の結果、実務修習における個別指導は困難になるものと予想され、法曹の質の低下が懸念される。--> 新司法試験と旧司法試験は、別々に行う。 === 旧司法試験合格者 === 旧司法試験合格者の場合、[[司法研修所]]において1年4か月の修習を受ける。カリキュラムは'''前期修習'''、'''実務修習'''、'''後期修習'''に区分される。 最初の2か月の前期修習と最後の2か月の後期修習は、[[埼玉県]][[和光市]]の[[司法研修所]]における集合修習で、[[民事裁判]]・[[刑事裁判]]・[[検察]]・民事弁護・刑事弁護の5科目からなる座学・起案作成からなる。司法修習生を担当する第二部教官は、担当科目について実務経験の深い[[裁判官]]・[[検察官]]・[[弁護士]]が充てられる。各クラス、各教科につきそれぞれ1人の教官がいるため、教官総数はクラス数×5となる。その他、各教科につき、クラスを担当しない「所付」と呼ばれる教官(教材作成やクラス教官補助を担当する教官で、比較的若い実務家が登用されることが多い)が1名ずつ任命される。司法修習生の修習指導に関する必要事項は司法研修所長が定め、修習の企画その他の重要事項を定めるには、所長を議長とする第二部教官会議を経る。実施の具体的細目は、各科目教官が協議の上定める。 中間の1年間の実務修習は、民事裁判修習・刑事裁判修習・検察修習・弁護修習を3か月ずつ行う。司法修習生は各都道府県の[[地方裁判所]]本庁所在地に配属され、仕事に立ち会ったり、裁判手続や書面作成のレクチャーを受け、実際の事件を題材として、実務家の指導の下、実務家法曹としての基礎を学ぶ。 === 新司法試験合格者 === 新司法試験合格者の場合、「[[法科大学院]]において実務教育がなされている」と見做され、修習期間は1年とされている。カリキュラムは、10か月の'''実務修習'''と、[[司法研修所]]における2か月の'''集合修習'''に分かれる。なお、新60期については実務修習前に1か月の導入修習が司法研修所にて行われていたが、新61期からはこの導入修習は廃止されている。 実務修習は、全国の地方裁判所本庁所在地(新63期からは東京地裁立川支部も修習地に加わった)に配属され、刑事裁判・民事裁判・弁護・検察・選択修習を2か月ずつ研修する。選択修習は、各人の関心に従い、専門性を深める。 === 司法修習生考試と修習終了 === いずれの修習の場合も、最後に[[国家試験]]である「司法修習生考試」を行う。司法試験以来2回目の試験ということから「二回試験」とも呼ばれる。司法修習生考試は研修所から独立した司法修習生考試委員会によって、筆記考試の形式で行われる。科目は、民事裁判、刑事裁判、検察、民事弁護、刑事弁護、の5教科で、1教科を1日かけて行う。具体的には、実際の記録を元に作成された研修用教材を題材として、設問に沿って判決文を作成したり、法律上の問題や事実認定上の問題を検討する。<!--NOR : 合格率は高いが、精神的・肉体的負担は決して小さくない。-->かつては、筆記考試科目に一般教養科目があったほか、筆記考試とは別に口述考試があり、試験委員による口頭試験の形式で、民事系と刑事系の2教科の試験が行われていた。 この司法修習生考試に合格した者は修習終了となり、[[判事補]]・2級[[検事]]任用資格及び[[弁護士]]登録資格を得る。不合格の者は、法曹資格を得られない。かつては、合格留保として、不合格科目のみの追試をする制度があったが、<!--NOR : 合格留保者が急増したこともあり、-->59期を最後に廃止された。合格留保・不合格者は、長くゼロまたは1桁の時代が続いたが、59期は100人以上、修了者の約7%が合格留保者・不合格者となった<!--NOR,APT : を出し、司法修習短期化と司法試験合格者増加により、司法修習生の質が落ちたと批判されている-->。その後も、新61期考試で113人(受験者の約6%)の不合格者<ref>追試制度の廃止により、合格留保者はなくなり、不合格者のみとなった。</ref>が出ている。不合格者は一旦罷免され、修習生として再採用を経て考試を再受験することとなる。 == 司法修習生 == 「司法修習生」(しほうしゅうしゅうせい)とは、[[司法試験]]合格後に、[[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]に任用されて、[[司法研修所]]などで法律実務を修習中の者に対する呼称である。 司法修習生は、司法試験合格者から最高裁判所がこれを命ずる([[裁判所法]]66条1項)。身分は[[公務員]]ではないが、[[国家公務員]]に準じた地位を有する(かつて、2011年以前は給与も支払われていた)ため、[[守秘義務]]・修習専念義務を負い、副業・[[アルバイト]]は許されないとされている。行状が品位を辱めるものと認めるとき、その他最高裁の定める事由があると認めるときは、[[罷免]]される([[裁判所法]]68条)。準公務員であるため最高裁は日本人に限るとする[[国籍条項]]を設けていたが、1977年以降は[[在日外国人]]の合格者が入所を希望した場合には「相当と認めるものに限り、採用する」との方針を示した上で日本国法令に従う旨の文書による誓約を求めていたが、2009年11月からこの制限は撤廃された(司法試験受験について国籍条項はない)。 [[記章]](バッジ)は、筆記体[[大文字]]の「J」を図案化したものである。「J」の由来は、法学者・法学生を意味する ''jurist'' である。ラインが全て繋がるように描かれ、それぞれの囲みが[[検察官]]・[[裁判官]]・[[弁護士]]を表す赤・青・白の3色で塗り潰されている。この色分けは、旧憲法下での[[司法官]]、弁護士の職服の刺繍の色分けがもとになっているといわれる。 配属先は実務修習を行う地方裁判所であり、司法研修所へ派遣されているという扱いである。 2010年11月より以前に採用された修習生は、[[国家公務員]]と同じく国から給与を支給されており、国家公務員一種採用者と同等額(本俸20万4200円に各種手当)が支払われていた。ただし、通常の公務員と異なり、[[官舎]]を利用することはできなかった(司法修習期間中、1度ないし2度の転居がある)。旧試験合格者は前期修習終了後に[[和光市]]の司法研修所から実務修習地へ、実務修習終了後に務修習地から後期修習が行われる司法研修所へ、新試験合格者は実務修習地から司法研修所へ行く点は全員について共通であるが、実務修習地によっては司法研修所から再び実務修習地に戻る。 当初は、[[2010年]]11月入所の修習生(新第64期)からは給与支給を廃止し、最高裁が無利息で生活資金を貸与し修習後にこれを返済する制度となる(平成16年12月10日法律第163号参照)予定であったが、新64期修習開始(2010年11月27日)間際の2010年11月26日に日弁連などの要求から議員立法で給与制を1年間延長する裁判所法改正法が成立した。 その後、2011年11月に入所の修習生(第65期)から給費制が廃止され、貸与制に移行した。司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則(平成21年10月30日最高裁判所規則第10号)によれば、貸与額は基本額23万円であり、貸与後5年据置きで、10年以内で返済することとなっている。なお、生活費の貸与を受ける際、連帯保証人2名を立てることができない修習生は、[[オリエントコーポレーション]]の保証を受ける必要がある<ref>最高裁判所と株式会社オリエントコーポレーションの[http://www.kobegodo.jp/photo/news/420101019124709.pdf 包括保証契約書]</ref>。 == 出典・脚注・参考資料 == <references /> == 関連項目 == * [[司法]] * [[最高裁判所]] * [[旧司法試験]] * [[司法試験 (日本)]] * [[司法研修所]] {{DEFAULTSORT:しほうしゆうしゆう}} [[Category:日本の司法行政]] [[Category:日本の教育制度]]
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