南びわ湖駅

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新幹線南びわ湖駅建設予定地。画面奥に新幹線が通っている。「2012年開業」の横断看板は2007年12月22日に撤去された

南びわ湖駅(みなみびわこえき)は、滋賀県栗東市に建設が予定されていた東海旅客鉄道(JR東海)東海道新幹線新駅

設置の是非をめぐる論争の中、2012年開業をめざし2006年6月に建設着工したものの、その翌月に滋賀県知事選挙で建設凍結派の嘉田由紀子が知事に就任、工事は中断された。その後2007年10月28日の促進協議会で結論がまとまらず、基本協定、工事協定等の協定類は同年10月31日をもって終了し、新駅は凍結されることになった[1]

概要

滋賀県栗東市下鈎地先、東京駅起点452km050m付近(米原から約43.8km、京都から約24.3km)に位置する東海道新幹線の新駅。設置されると東海道新幹線としては18番目の停車駅となるはずだった。従来、この駅が新設される米原駅京都駅間は68kmあり、駅間の距離が平均30kmの東海道新幹線の中では一番駅間距離が長い区間である。

2002年4月、滋賀県・栗東市・促進協議会と東海旅客鉄道株式会社の四者で、東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置にかかる『基本協定書』を締結し、新駅設置が正式決定した。2005年12月にはこの関係四者で「東海道新幹線米原・京都間新駅設置に関する工事協定書交換式」を行い、2012年度の開業を目指し2006年5月に着工した。

しかし、2006年7月に実施された滋賀県知事選挙で、新駅の「限りなく中止に近い」建設凍結を掲げた嘉田由紀子候補が、当時現職で新駅建設推進派だった國松善次候補を破って当選したのをきっかけとして建設工事は中断となった。 滋賀県知事および滋賀県議会の多数派は建設凍結の立場であり、一方、栗東市長および栗東市議会の多数派は建設促進の立場だった。しかし、2006年の栗東市長選や2007年の市議会議員選挙では凍結派+中止派の票数が推進派の票数を上回り、市民の意見が分かれた。 最終的には地元合意締結の期限である2007年10月28日の促進協議会で、凍結・中止を求める滋賀県と建設続行を求める栗東市長の意見はまとまらず、10月末を期限としていた地元意見の集約が図れないため、JR東海との工事協定は白紙となり建設中止が決まった。

なお、駅名の仮称は計画開始当時は栗東駅(りっとうえき)、東海道本線琵琶湖線栗東駅の開業後からしばらくはびわこ栗東駅(びわこりっとうえき)だった。南びわ湖駅という仮称は2006年5月に促進協議会が採用したもの。周辺市からの反発を考慮したものと思われる。

なお、付近で交差する西日本旅客鉄道(JR西日本)草津線に接続新駅を設置する予定だった。滋賀県の計画では単に草津線新駅となっており、また当駅の計画の凍結前時点より今日に至るまで着工の見込みが立ったことはない。とはいえ、この草津線新駅自体が新幹線新駅に付帯するため、便宜上この記事で扱うものとする。

予定された駅構造

中央に通過線2線を持つ、下り(新大阪博多方面)島式・上り(東京方面)片面2面5線。

  1. 上り副本線
  2. 上り本線(ホームなし)
  3. 下り本線(ホームなし)
  4. 下り副本線(下り一番線)
  5. 下り副本線2(下り二番線)

通過線を中央に、ホームをその外側に配置する形は、他の新幹線新駅と同じである。加えて、下り向きのみホームを島式とする。下り二番線は停車列車の雪落としをする前提で、この部分のみJR東海自身が工事を行うことになっていた。この下り二番線は、駅工事に伴って行われる本線工事に利用する仮線を転用する予定だった。

当時の滋賀県や推進協議会の説明によると、米原、岐阜羽島と同様に「こだま」と「ひかり」が1時間に片道各1本ずつ停車することを見込んでいた。ただし、JR東海からの正式なダイヤ発表はなかった。

新駅の位置する地域と予定

  • 建設予定地は栗東市内だったが、草津守山両市中心部にほど近くまた野洲市にも隣り合う、人口の増加している滋賀県南部地域の玄関口となる場所である。新駅付近は名神高速道路栗東インターチェンジ国道1号国道8号線が交わる道路交通の要衝であり、周辺には大規模な工場や企業の研究所、物流拠点が集積することが見込まれた。
  • 駅位置の南側、大津市と草津市にまたがる山側は立命館大学滋賀医科大学龍谷大学の各キャンパスや図書館・美術館などが集まり「文化ゾーン」と呼ばれる。さらに琵琶湖線の草津・守山周辺は大阪京都への通勤客を中心とする住宅開発の盛んな地域で、この地域の活力をさらに高めるものと期待された。
  • 琵琶湖岸にも容易にアクセスでき琵琶湖博物館他の各種観光施設の窓口として、また忍者の里・焼き物の里として知られる甲賀地域への利便性の向上が見込まれた。
  • 駅に接して草津線新駅が新設予定だった。また、琵琶湖線栗東駅からのシャトルバス計画があった。
  • 南側に位置する国道1号線から新たに取り付け道路を新設し、車利用者の利便を図るとされた。
  • 区画整理事業では国道から新駅までのアクセス道路も整備される予定だった。

駅予定地周辺

新駅設置場所周辺は線路の北側は工場が、南側(駅前広場と都市整備事業による再開発が行われる予定)は田んぼである。工事協定締結により、周辺地主との土地買収契約は終了し、栗東市施行の区画整理事業が始まることになっていた。 区画整理事業完成後は、新駅広場南側1.8haに市民交流拠点(市民ステーションや多目的ホールなど)を設ける予定で、また県主導の広域公共公益施設や民間が主体となる諸施設(温浴施設や宿泊施設など)を建設していく計画があった。

一方、新駅利用者の中心が自家用車利用によるパークアンドライドになるとされ、新街区と市民交流施設内に1,000台規模の駐車場を整備することが予定された。

草津線新駅には駅の東西に広場を設け、うち東側から新幹線新駅への誘導路などができる予定だった。

建設促進論と建設凍結・中止論

滋賀県内外では、この駅の建設を必要とする見解と不要とする見解とがあり従来から議論が分かれていた。後述の2006年滋賀県知事選挙や栗東市長選挙でもこの駅の建設の是非が争点の中心となった。

新駅は地域に必要

建設推進派は、この新駅建設による利便性の向上が、将来に渡ってこの地域の発展に必要なものである、という主張である。

2010年の国勢調査による人口増減率は、栗東市が6.32%増と高水準で、周辺の守山市(8.10%増)、草津市(8.00%増)も高い伸びを示す。「新駅周辺自治体の発展に対応するためには、新幹線の駅が必要」と主張している。

栗東市のHPによる新幹線新駅の必要性と効果は以下の通り[2]

  • 県南部地域は人口・産業など都市機能の集積が著しく、全国スケールの広域的役割を担う素地を有します。
  • 県唯一の新幹線駅が北に偏在し、米原駅・京都駅間は東海道・山陽新幹線の中で駅間距離が最長であり、県南部地域は新幹線の利便性を享受できていません。
  • 人口減少、少子高齢化、高度情報化、グローバル社会の到来などから、産業構造や都市構造が大きく変改しています。また、分権社会の進展からも、地域自らが特性を活かした魅力を如何に創出するかが問われている中で、「交流」をキーワードとしたまちづくりの装置として新幹線新駅は必要不可欠です。
  • 新幹線新駅は、全国主要都市と直結する「県の新たな玄関口」として、次のような効果が期待できます。
    1. 都市間との効率的な移動により、通勤・通学をはじめとして、県民の方々の新たな利便性が図れます。
    2. 人・もの・情報といった交流が、飛躍的に図れます。
    3. 地域の知名度、ブランドイメージのアップにより、人口や観光客の増加と新たな企業立地などが進み、建設・消費・生産などによる地域経済の活性化が図れます。
    4. 地域経済の活性化により、新たな雇用の創出と税収入の増加が図れます。
    5. びわこ線の複々線化、草津線の複線化が期待できます(新幹線新駅の開業後の駅の維持管理費はJR東海が負担します)。


また新駅の計画地周辺は、国道1号や国道8号をはじめとする幹線道路が集中し、自動車の便はは極めて良い。そのため自動車で新駅に行く人が多く、当駅利用者は多いと見ている。

利便性の低い新駅は不要

建設凍結中止派は、利便性の少ない新駅では投資額を回収するだけの経済効果は出ない、と主張する。

つまり、この駅が草津線と接続するのみであって(しかもその草津線との乗り換えも上記の通り便利とはいえない)、滋賀県内在来線の最重要幹線である琵琶湖線と接続せず、不便である。実際湖西線沿線・大津市内の住民は京都駅へ、近江八幡市以北の住民にとっては米原駅へ出た方が便利である。しかも東京博多といった遠隔地に行く場合には、「のぞみ」の停まらない新駅では、結局「のぞみ」の停車する京都駅利用となり、この駅の利用にはつながらない。また、駅へ車でやってくるパークアンドライドの場合でも、現在のところ新駅周辺の道路事情がよくないため、大きな時間短縮にはならない、と見ている。そのため、新駅を利用する住民は実質的に駅周辺と草津線沿線しか見込まれず、建設促進派の需要予測は過大であると主張する。そもそも新駅の経済的効果が高ければ、税金投入による請願駅でなくJR東海が自ら作るはず、という見方である。

日本一高額な建設費

新駅建設の論点の一つに建設費が高い、ということが挙げられる。この新幹線新駅建設のためには240億円が必要とされている。これまでの最高は三河安城駅の138億円であり、当駅の建設費は日本一高額である。これは、現在盛土であるこの区間を高架橋にした上で新駅を建設するためで、その仮線工事も含んでいるからである。 さらに、この高額な建設費をほぼ借金でまかなう、とする計画について、建設促進派と凍結中止派の見方は分かれる。建設推進派は駅開業後10年で投資額に見合う税収入の増加が見込まれるとしているが、凍結中止派は10年での回収は不可能(中止派は回収不能と見ている)としている。滋賀県が2006年10月に行った新幹線新駅の経済効果検証(新幹線新駅の需要予測・経済波及効果の再検証結果)によれば、経済効果をもっとも高く見積もった場合でも10年後の税収増加は投資額以下となり、凍結中止派の主張を裏付ける結果になっている。

ちなみに凍結論と中止論の違いは、中止論が駅自体不要としているのに対し、凍結論は将来人口増加や経済規模拡大により地元負担が容易になればその時点であらためて新駅建設を検討するというものである。従って凍結論は新幹線新駅を完全に否定しているわけではなく、税金投入に見合わない、時期尚早という考え方である。

駅アクセス

滋賀県の動脈である琵琶湖線東海道本線)とは直接の乗り換えができず、接続駅である草津線新駅からもおよそ400mの距離を歩く必要がある。これは新幹線新駅が草津線との交点付近より北側に離れて設置されるためで、新幹線新駅の南端にも改札があれば約200mに緩和される(新幹線ホームが全長400m)が、建設費が更に高くなるため設置されない。緩和措置として動く歩道が設置される予定ではあるが、乗り換え時間がかかることがネックである。

また一方で、周辺は国道1号国道8号などが通り名神高速栗東ICにも近い道路交通の要衝であり、道路渋滞の発生も多い。車による駅までの移動が時間帯によってはかなり長くなることも予想されている。

これらのことから、草津線利用の湖南市・甲賀市域を除く琵琶湖線・湖西線の沿線住民及び同地域へ向かう観光客には、京都駅か米原駅に出る場合に比べて新駅利用の優位性に乏しい。

つまり、立地条件が目論見通り生かせるかどうかが、駅の建設推進・凍結中止各派の意見の相違点になっている。

歴史

  • 1969年(昭和44年)9月 「新幹線新駅誘致特別委員会」設置(栗東町議会)
  • 1988年(昭和63年)2月 「東海道新幹線(仮称)栗東駅設置促進協議会」発足(3市11町)
  • 1988年(昭和63年)12月 「県内新駅2駅(栗東周辺、近江八幡周辺)設置、栗東駅先行設置」の基本方針を決定
  • 1989年(平成元年)4月 新幹線新駅設置に向けた調査開始
  • 1990年(平成2年)7月 滋賀県、促進協議会に加入
  • 1994年(平成6年)2月 「東海道新幹線栗東新駅設置を進める会」設立(栗東町商工会・民間団体・個人等)
  • 1996年(平成8年)8月 促進協議会の総会で、新幹線新駅設置要望位置決定(JR草津線との交差場所付近)、新駅名を仮称「びわこ栗東駅」に改称、県域経済団体等が促進協議会に加入、「東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置促進協議会」に改称
  • 1996年(平成8年)8月 「東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅周辺整備推進会議」発足(地元自治会)
  • 1999年(平成11年)8月 東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置促進協議会会長に滋賀県知事が就任
  • 2001年(平成13年)12月 東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置にかかる正式協議の依頼に対し、東海旅客鉄道株式会社が了承
  • 2002年(平成14年)4月 滋賀県、栗東市、促進協議会、東海旅客鉄道株式会社の四者で、東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置にかかる『基本協定書』を締結し、新駅設置が正式決定
  • 2004年(平成16年)6月 新駅設置を進める会が「新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置早期開業推進協議会」に発展拡充し、改編。
  • 2004年(平成16年)10月甲賀市(水口町、土山町、甲賀町、甲南町、信楽町)、野洲市(中主町、野洲町)、湖南市(石部町、甲西町)が、市町村合併で発足(促進協議会は、県、7市。7経済団体の構成となる)。
  • 2005年(平成17年)6月24日 栗東市議会において新幹線新駅にかかる平成17年度補正予算案を可決(負担額:100億9,400万円)
  • 2005年(平成17年)7月27日 滋賀県議会において新幹線新駅設置負担金について、平成17年度補正予算(債務負担行為)案を可決(限度額:116億9700万円)
  • 2005年(平成17年)7月~ 関係市議会において新幹線新駅にかかる平成17年度補正予算案を可決
  • 2005年(平成17年)12月 東海道新幹線米原・京都間新駅設置に関する工事協定書交換式
  • 2006年(平成18年)5月 新幹線新駅の新しい仮称駅名を「南びわ湖駅」に決定
  • 2006年(平成18年)5月27日 現地で安全祈願祭が行われ、新駅着工
  • 2007年(平成19年)10月 建設凍結・中止が正式決定

-出典:「新幹線新駅(仮称)南びわ湖駅整備計画の概要」滋賀県HP-http://www.pref.shiga.lg.jp/a/shinkansen/keikaku_gaiyo/index.html 2006年以降の事項については後述部分も参照のこと。

新駅設置計画の経緯と収束

新幹線新駅の計画

滋賀県や一部自治体は米原-京都間への新幹線新駅設置の可能性を探ってはいたが、組織だった動きは初期にはなかった。ところが、国鉄が民営化されたこととその前後から地元負担による新駅設置事例が急増したこと、さらに東海道新幹線の中に新富士等新駅が誕生したことにより、急速に新駅設置に対する計画が具体化してきた。 滋賀県は当初近江八幡市内(武佐地区)と栗東町内において新駅設置を検討していた。が、当時びわこ空港の建設計画があり、結果的に湖東地区(近江八幡)はびわこ空港優先となり、新幹線新駅は栗東町内になった(このいきさつについては、県議会議員が新幹線を譲る代わりに空港も応援を依頼するなどの裏話があったようである。もちろん当時の関係者の談話が漏れ聞こえているだけで、滋賀県からは栗東優先の理由が具体的には示されていない。また結果的にのちの知事選挙に影響を与えたようである。後述参照のこと)。 その後、栗東町内の候補地は、駅建設時に線路北側の工場を移転させるなどの計画が具体化し、現在の計画位置で進むことになった。

請願駅

南びわ湖駅は地元の要望により建設される「請願駅」であり、建設費用約240億円は全額地元負担となる。このうち約117億円を滋賀県が、101億円を地元の栗東市が分担し、残りを近隣市で分担することとなった(下記参照)。なおこの金額は、最近の類例である上越新幹線開通後の追加新駅かつ地元請願駅の本庄早稲田駅[3]における建設費(土地取得費を除く駅建設費に116億円)の2倍に相当する。確かにこの違いは下記に列挙する工法上の問題等に起因すると推測されるものの、地方交付税の削減等による最近の自治体財政の逼迫状況のもと、その建設費の金額自体が推進派・凍結反対派の論争にも影響を与えている。

  • 本庄早稲田駅が設置された場所は元から高架橋構造であり、待避線や駅設備の追加設置が比較的容易に可能であった。対照的に南びわ湖駅予定地は現状が盛土高架構造であるため、待避線設置や駅設備設置のために一旦仮線を設置して既存構造物を全て取り壊し(総工費240億円の内、実に86億円が仮線建設費用である)、高架橋構造に建て替えなくてはならない。
  • 本駅は、本庄早稲田駅よりも待避線が1本多く在来線との連絡も考慮するという点で駅構造にも違いがある。

栗東市内では募金活動を行っている。「新幹線南びわ湖駅を絶対につくる経営者の会」では、市内の企業や個人からの寄付募集をしており、07年4月末で83件約1億2000万円の寄付予約が集まっているという(寄付金額は京都新聞による)。

促進協議会と周辺市町村との関係

1988年、滋賀県における新駅の建設を目標に「東海道新幹線(仮称)栗東駅設置促進協議会」が発足した。1996年には県内の経済団体も加わり「東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置促進協議会」に改称された。そして、滋賀県と栗東市が中心になり、新駅設置の活動を進めることとなった。

しかし、協議会のメンバーである周辺自治体には費用負担についての不満もあり、京都駅に最も近い大津市は新駅建設のメリットが享受できないとして協議会からの脱退を表明(現在留保された形になっている)し、費用負担も拒否する姿勢を打ち出した。結局大津市の負担分3億円は大津市から滋賀県に「観光事業協力金」の名目で支払い、県の負担額を3億円増額するという決着が図られた。一方甲賀市も費用負担算出の基準(=負担額)に不満を持ち、協議会側と対立してきたが、結果的には2億5千万円の支払いで決着した。また、湖南市は新駅計画自体に費用対効果の面から消極的な姿勢であった。

地元負担

工事協定書に基づく工事費負担金の額は238億2500万円である。滋賀県・栗東市および上記の設置促進協議会の構成各市の負担は以下の通り。

  • 滋賀県/116億9700万円
  • 栗東市/100億9400万円
  • 草津市/5億3800万円
  • 守山市/3億7700万円
  • 甲賀市/2億5000万円
  • 野洲市/2億6900万円
  • 湖南市/3億円
  • 県交付金(=大津市)/3億円

待避駅

建設不要論のひとつに、「新駅設置後は待避駅として活用される、鉄道会社の自己都合を地元負担させるのはけしからん」という主張がある。もともとこの区間は駅間が長く、270km/hで走る「のぞみ」が増えた段階で、「ひかり」や「こだま」を待避させる駅を設置するという構想をJR東海は持っていたようで、その新駅を検討していた(もちろん、正式な発表などはない)。そこに、この請願駅の形での新駅設置を地元側から提案してきた、という主張である。ちょうど300系のぞみが登場したころ、のぞみの増発には待避駅が必要、というJR東海側の意向があったようで、実際地元では待避駅のために新駅を作るという話が報道されていた(JR東海からの公式コメントはない)。

この経過があるため、上記のような主張がでているが、促進協議会側は設置費用を全額地元負担とすることへの批判に対する反論としてJR東海にとって待避駅は不要であり、むしろ東海道新幹線のダイヤを逼迫させるものであると主張している。ただJR東海としては当初見込みより早い段階で東海道新幹線の270km/h走行車両への統一ができたために待避駅は必要ない、東海としてはあくまで地元請願駅、費用負担はしないとして、待避駅の設置案の否定をしている。[4]

とはいえ、毎年冬の時期に米原駅付近を中心とする降雪を原因とするダイヤの乱れへの対処として(元々栗東信号場として保守基地などが設けられていた場所に)新駅設置を検討していたのは事実のようで、下りのみホーム外側にも線路をひき、この線路の設置費用のみJR東海が負担することに現れている[5]

草津線新駅

新幹線新駅へのアクセスとして草津線に新駅を設ける、とされている。新幹線をくぐった東側、国道1号との間の部分にできる予定であり、滋賀県の新駅計画図や、栗東市の都市計画図にも記載されている。前述のように新幹線新駅までは多少の距離があり、その間に動く歩道を設置する予定である。ところが、もともと新幹線新駅建設予算240億円の中には草津線新駅の予算は含まれず、実際にJR西日本に対して駅の要請を行っているのかどうか不明であり(報道された中に、JR西日本と草津線新駅について協議したというものはない)、滋賀県は栗東市が都市計画事業の中で新駅設置を進めるものとしている。一方の栗東市は現時点で草津線新駅設置工事のための予算を明らかにしておらず、草津線新駅の位置づけは不明瞭である。ちなみに、新駅設置予定地は手原駅にほど近く、JR西日本が単独で新駅を設置するとは考えにくい。実際、JR西日本はこの位置での新駅設置について公式なコメントは出していない。

東海道新幹線最後の新駅

JR東海の葛西敬之会長が社長だった当時、同駅についてテンプレート:要出典をし、同じく駅誘致を目指す相模新駅静岡空港駅の設置運動を推進している関係者に衝撃が走った(決定事項ではない)。

2006年以降、着工から事業中止に至る経緯

住民投票条例案

南びわ湖駅の建設に反対し、その是非を問う県民投票を要求する団体「新幹線びわこ栗東駅(当時の仮称名)住民投票の会」による住民投票条例の制定を求める直接請求が、条例制定請求に必要と規定される県有権者数の50分の1を上回る署名を集め、2006年1月13日に滋賀県議会に提出された。國松知事(当時)は31日の本会議で「既に議会により予算が承認された以上、住民投票は議会制民主主義を否定するもの」として議案への反対を表明した。議案は委員会での審議を経て、2月2日の本会議において賛成5票-反対34票の大差で否決された。

新しい仮称駅名

2006年5月23日、促進協議会は、同年3月より公募していた新駅の仮名称を「南びわ湖駅」とする旨を公表し、これを近くJR東海に提案する予定。「びわこ栗東」という仮称を使っていたが、「県南部の玄関をイメージさせる魅力的な名前を」ということで「南びわ湖」と決め促進協議会も6月からは「東海道新幹線(仮称)南びわ湖駅設置促進協議会」に変更した。周辺市への配慮(費用負担をお願いするにあたり、栗東の名のみで表現されることに対して)であろうと思われる。ただ、実際のところは最初に決めた仮称が正式名称になるケースがほとんどであるため、「南びわ湖」が採用されるかどうかは不明であるが、促進協議会は採用されるように働きかけた。

滋賀県知事選挙での推進派現職候補の敗北

滋賀県知事嘉田由紀子は、新幹線新駅の凍結を公約に掲げて当選した。 2006年7月2日に投開票が行われた滋賀県知事選挙において、新駅計画を推進していた現職で地元栗東出身の國松善次候補(自民民主公明推薦)が敗れ、計画の凍結を唱えた嘉田由紀子候補(社民支持)が当選した。國松陣営のうち、民主党には嘉田候補への推薦を巡って激論が交わされた経緯があり、また自民党では郵政解散におけるしこりが残り、主要三党推薦による楽勝の見込みもあり選挙運動は低調であった。一方、嘉田陣営は新駅批判に加え自公民相乗りへの批判も巻き込んで盛り上がりを見せた。なお嘉田候補の得票に計画中止を唱えた辻義則候補(共産推薦)の得票を加えると、約29万票と國松候補を10万票以上引き離し、有効投票数の過半数を制していた。この結果は推進派に強い衝撃を与えた。中止が決まったわけではないものの、投開票翌朝の記者会見で、嘉田は「建設凍結は自分の政治生命である」と述べ、また同日、朝日新聞の単独インタビューに応じ、建設予算の執行を中止する意向を明言している[6])。一方で県議会では選挙直後に民主党が嘉田知事支持を打ち出したものの、自民党を中心とした推進派は凍結に強く反対した。

栗東市長選挙

2006年10月22日に行われた。2006年7月のこの駅の設置が最大の争点になった滋賀県知事選挙(上記)につづき、今度は県同様に費用の半額近くを拠出する予定の栗東市の首長を選ぶ選挙となったが、後が無いという危機感から推進派の運動が盛り上がり、また反対派は二候補出たための票の分散もあり、三人の候補のうち唯一の推進派である現職の国松正一候補(自民・公明推薦)が比較多数の得票で再選された。

なお反対派二候補の合計得票数は国松候補より上回っており、嘉田知事は栗東市長選挙後の記者会見でこの点を指摘し、協議を重視する姿勢を示しながらも建設中止の動きを止めない姿勢を明確にした。

滋賀県議会選挙

2007年4月8日)で滋賀県議会議員選挙(同議会の定数は47)が行なわれたが、建設凍結派の民主党は11議席から13議席、建設中止派の共産党は2議席から3議席に増加し、嘉田知事系の「対話でつなごう滋賀の会」も2議席から4議席に増加した(公認候補ベース)。一方、建設推進派の自民党は27議席から16議席と大幅に議席を減らす惨敗となり、公明党の2議席(1議席から2議席に増加)および自民党推薦の無所属議員を合わせても過半数を割る結果となった。親知事派の無所属議員を含めると建設凍結・中止の勢力が県議会の過半数を占めたことで、新駅の建設続行はさらに困難な情勢となった。

この結果を受け、惨敗した自民党滋賀県連は推進から凍結へ方針転換した。

湖東駅(仮称)派と南びわ湖駅派の対立

本駅の建設推進に反対する勢力は、新駅そのものを不要とする勢力の他に、現在の近江八幡市に建設が検討された湖東駅(仮称)の建設推進派がいた。湖東駅の設置検討箇所は南びわ湖駅よりも米原~京都間の中間により近い位置となり、利便性の向上も栗東の場合よりより効果的といわれている。しかし、栗東市出身の國松知事(当時)は地元である栗東市への『我田引鉄』により、南びわ湖駅が決定した。

しかし、新幹線と滋賀県全体の関係を見るべき場合、この比較・選択結果は明らかにマイナスであり、この為に「滋賀県新幹線新駅は55年体制的なハコモノ行政」という非難がいっそう強まる結果になった。2006年の知事選では、湖東駅建設推進勢力が嘉田陣営支持に回り、國松陣営の力を漸減させた結果になっている。自民党滋賀県議連が南びわ湖駅建設中止容認に転じた背景には、この両候補地間の対立もひとつの要因になっている。

栗東市議会選挙

2007年(4月22日)の栗東市議会議員選挙では、推進派が改選前より議席を3増やし過半数を獲得した。しかし、投票当日の22日までに自民党滋賀県連が新駅建設推進から凍結に方針を転換したことにより、新駅の建設推進は事実上困難となった。

JRの対応

工事協定締結にともない、JR東海は2006年7月から、まず変電所の移設工事を始めることとしていた。が、同年7月の知事選において、嘉田新知事が誕生し県が凍結方針に転換したため、工事を見合わせた。

その後、2007年4月になり、新駅の方向性がはっきりしないとして、工事関係者を引き揚げさせ、地元の動きを静観していた。 なお、嘉田知事はJR東海に対して工事の中断を求めたが、JR東海側は関係自治体との合意を形成した上で促進協議会を交渉窓口とするよう申し入れ、滋賀県および栗東市との直接対話を避けた。

新幹線新駅対策問題対策室

2006年9月1日滋賀県に、新幹線新駅問題対策室が設置された。新幹線新駅の需要予測・経済波及効果について、過大ではないかとの指摘があり、再検証を行った。

起債差し止め訴訟

2006年9月25日大津地裁は、栗東市が新駅工事にかかわる地方債の起債に対し凍結中止を求める住民グループが求めた栗東市の起債を差し止める判決を出した。地方財政法第5条地方公共団体の歳出で地方債を財源としうる事業を制限列挙している。栗東市が行う起債が「(略)その他の土木施設等の公共施設または公用施設の建設事業費の財源とする場合」に該当するか否かなどが焦点になった。

本件は、栗東市が行う道路拡張工事の費用を捻出するための地方債の起債である。現在新駅建設予定地内にある農道を拡張するためである。ところが、農道の拡張としては起債規模が大きすぎ、ここが判断のポイントとなった。起債予定額は43億4900万円であるが、そのうち道路工事に使われる予定の金額は6億円程度である。実際、この道路拡張は新幹線本線の仮線工事のために大がかりになっており、道路の拡張というより新幹線新駅建設の準備工事と取られる内容である。そこで建設凍結・中止を求める側から、「この道路拡張は新幹線の工事の一部であり、地方債の対象にはならない」と差し止め要求が出たものである。 裁判の争点も「この工事が何のための工事か」で争われることとなった。

一審の差し止め判決ののち、栗東市は控訴した。控訴審では、2006年12月15日に口頭弁論期日が行われ、2007年3月1日大阪高裁は一審の判決を支持し、栗東市側の控訴を棄却した。仮線工事費は約87億円であり、起債目的の道路工事費は約6億円に過ぎないとして、地方債起債にそぐわないという判断である。

その後、同年3月14日栗東市は最高裁判所へ上告するに至ったが、同年10月19日最高裁第2小法廷は上告を棄却し高裁の判断が確定した。その結果、栗東市は財源の拠出根拠を失うこととなり、実質的にこの時点での建設中止が決まった。

栗東新駅促進協総会期限切れで中止確定

10月28日、新幹線新駅問題を協議する駅設置促進協議会の総会で嘉田知事が正副会長会議で新駅「中止」に合意できなかったことを報告し、新駅計画が自動的に終了することが確定した。なお、協議会はこのまま存続し、次期総会まで役員を再任することとなった。

新駅凍結後の県の取り組みについて

新幹線新駅問題が凍結という結論に達したのを受けて、嘉田知事は声明を発表している。その中でが滋賀県が新駅周辺の土地区画整理事業への県の対応窓口の設置を栗東市に要請し、また県南部地域の振興について関係機関と検討していくとしている。

新駅中止前の栗東市の財政状況

栗東市には、優れた道路交通網に注目して多くの企業が進出し、多額の法人市民税に恵まれた。加えて大手たばこ業者を誘致し、たばこ税収入が年間35億円に達した。多数のたばこ業者を誘致した目的は、多額のたばこ税を得て、それを新幹線新駅事業に使うためであった。一方で、人口増加に対応するために大型公共施設を集中して建設したことや、優れた市民サービスを提供していたこともあって、多額の市債を抱え(2005年度末で市債・債務保証・債務負担合計で1023億円)、財政は危険な状態だった。

栗東市に関して、1991年から2006年にかけての増加率は、総人口は約1.3倍、税収入は約1.2倍にとどまる一方、市債残高は約4.3倍(104億円から450億円に増加)、義務的経費は2.3倍(43.5億円から98.1億円に増加、特に公債費と扶助費が急増)となっている。総人口や税収入に比べて市債残高や義務的経費の増加が顕著であり、栗東市の財政が急速に悪化していたことがわかる。

新幹線新駅事業は総額で656億円で、そのうちの304億円を栗東市が負担するという計画になっていた。同市はそのうちの280億円を起債(借金)し、新駅開業後の25年間で返済することになっていた。

新駅中止がもたらす栗東市財政への影響

栗東市長は、2008年8月29日の会見で、「新幹線新駅問題で新駅事業に関連する市の損失額が最終的に130億円程度になる」との考えを示した。新駅が中止されるまでの損失額は167億円だが、新駅予定地周辺の土地代や国からの補助金などを差し引いた130億円が市の損失となる。栗東市は、新駅予定跡地に企業を誘致し、誘致した企業の税収で先述した損失を取り戻す方針でいるが、損失分を誘致企業の税収で全て取り戻すには(リチウムエナジージャパンの工場稼働後から)40年以上かかる可能性が高い。

2011年度の決算で、栗東市の将来負担比率は281.8%と、全国の市区町村で4番目に高く、新幹線新駅中止による損失(約130億円)が同市の将来負担比率を100%余り引き上げている(土地開発公社の負債分は全て将来負担比率に含まれる)。将来税収を生み出すとされていた新駅を中止にし、多額の借金を残した滋賀県の責任は非常に重いとして、滋賀県は栗東市に以下の支援をしている。

  1. 「後継プランの実施に関する覚書」に基づき、栗東市が基盤整備等の各事業に要した経費の半分を栗東市に対して支援する
  2. 栗東市土地開発公社への貸し付け(2008度末に40億円、2009年度末に10億円、2010年度に11億円)

2012年9月現在、栗東市土地開発公社は新駅計画地に約4haの土地を所有しており、簿価(購入価格と利息の和)は103億円に達している。簿価から時価(売却価格)を引いた差損分は栗東市が補填しなければならない。

栗東市は、「滋賀県が駅を中止にするから土地開発公社が経営難に陥った」と主張する。一方で滋賀県は、「区画整理は栗東市の事業であり、公社が土地を先行取得したのも栗東市の責任である」と主張する。

知事選後の動き

2006年

  • 2006年10月26日付けで、滋賀県は「新幹線新駅の需要予測・経済波及効果の再検証結果」を発表した。現在ウェブ上でも公開されている。
  • 現在、新駅設置促進協議会の会長が嘉田知事、副会長が国松栗東市長ほかの周辺市の市長等である。正副会長会議は、2006年10月28日と31日に会合を行い以下の事項について合意に達した。
    • 遅くとも07年3月末までに結論を出すべく、引き続き促進協議会の正・副会長会議において、凍結も含めた幅広い議論をしていくこと。
    • JR東海に滋賀県が負担金の支払いの猶予を申し入れていくこと。
  • 現在でも工事費の一部がすでに発生しているらしいが、これについてJR東海側は「後払いを提案した」「工事の進捗状況に応じて(2007年)2月に精算をする」といわれる。また「凍結」した場合の土地利用についても行政・政治の課題となってきている(この項は、平成18年11月2日滋賀県知事の会見による)。
  • 栗東市では用地取得に関して、2006年12月に百条委員会が設けられた。
  • 2007年度の滋賀県知事提出予算案には新幹線関連は盛り込まれないことが、2006年12月21日の知事の会見などで表明された。

2007年

  • 県広報誌「滋賀プラスワン1月号」に県政ズバリ解説「新幹線新駅問題」[7]が掲載され、「遅くとも(2007年)3月末までには結論を出す予定」であることが公に示された。
  • 1月中旬に各新聞報道によると、工費を圧縮して建設する案[8]が新たに検討され始めた、とされる。
  • 2月14日、建設協議会側から提案された工費圧縮建設をJR東海は拒否。また3月末が期限とされていた地元の建設可否結論を10月まで猶予することでJR東海と建設協議会が合意する。
  • 3月1日、栗東市の市債発行差し止め訴訟で、大阪高裁は1審の大津地裁判決を支持。栗東市は上告へ。
  • 3月23日、栗東市議会で南びわ湖駅の建設予算を削除した修正予算の議決が可決される。
  • 3月30日、栗東市長が予算案を再議地方自治法176条)に付し再び議会に諮った結果、新駅関係予算を削った修正予算は否決され、建設予算が含まれている原予算が可決された。
  • 3月27日、栗東市が行おうとしている地方債の起債に対して、滋賀県は地方財政法5条の3で求められている「同意」を行わないことを明らかにした。
  • 4月23日、駅設置促進協議会の正副会長会議が開かれ、覚書をJR東海と締結することで合意した。覚書はJR東海との協議期限の10月末までに、推進か中止の合意ができない場合、現行の新駅計画は消滅する、としている。最終的にこの合意によって駅建設は中止に追い込まれることになる(後述参照)。
  • 4月25日、23日午前に滋賀県知事後援会事務所に男の声で「長崎の事件のようになりたくなければ、新駅を作れ」という内容の脅迫電話がかかっていたことが判明、犯人は暴力団関係者を名乗っていた。滋賀県警脅迫容疑で捜査している。
  • 5月6日、建設推進派であった自民党滋賀県連の宇野治会長が凍結容認を示唆。
  • 5月9日、県議会最大会派の「自民党・湖翔クラブ」が9日議員総会を開き、「限りなく中止に近い凍結」を掲げる嘉田知事が示す解決策を支持する方針を決めた。これにより県議会は推進の立場を改めることになった。
  • 5月13日、自民党県連は13日開いた定期大会で、嘉田由紀子知事が示す解決策を支持する、との方針を正式決定した。出席した中川秀直・同党幹事長は、4月の県議選で自民が惨敗した敗因が新駅問題だったことを認め、今後は嘉田知事に対し、「抵抗勢力ではなく、対話勢力として臨む」と述べた。これで新駅建設の凍結が確実な情勢となった。
  • 7月9日、報道によると、7月6日に、栗東市の国松正一市長宛に、「新駅建設を早く中止しないと、危害を加える」との脅迫状が、同市役所に届いていたことが判明。滋賀県警草津署が脅迫容疑で調べている。
  • 7月24日、栗東市が同市が事務局を務める『新幹線新駅設置促進協議会』の予算を使い、建設推進を訴えるDVDを、滋賀県や他の関係市に無断で作成していたことが判明した。栗東市側は協議会予算の栗東市負担分(700万円)の中から捻出した(費用115万円)としているが、無断で作成したことに県や周辺市には反発もある。このことについて栗東市の国松市長は24日記者会見で「県や関係市に迷惑をかけた」と謝罪したが、嘉田知事は「相談なしは残念、慎重な対応を」と述べている。
  • 9月3日、滋賀県は新駅設置促進協議会の正副会長会議にて、同県がJR東海との協定を履行しない方針を表明した。これにより、滋賀県は計画の中止を明確に打ち出したことになる。
  • 10月19日、栗東市が周辺道路整備を名目に計画した市債の発行は違法とした訴訟の上告審(詳細は上記「起債差し止め訴訟」を参照)で、最高裁が市側の上告を棄却した結果、起債差し止めを命じた1、2審判決が確定した。これにより栗東市の工事費負担金確保の道が頓挫した。
  • 10月24日、新駅設置促進協議会の正副会長会議にて嘉田知事と国松栗東市長の意見がまとまらず決裂し、月内の地元合意が得られないことが確定。建設の中止が正式に決まった。
  • 10月28日、新駅設置促進協議会の総会において嘉田知事は、新駅建設の根拠となる協定が月末に白紙に戻ることを報告し、建設中止が正式に決定した。
  • 11月2日、嘉田知事および国松栗東市長がJR東海東京本社に出向き、松本正之社長に新幹線新駅の報告を行った。松本社長は、事態を「致し方ない」と了承し、また「新駅問題が県とJR東海の関係に影響を及ぼすことはない」と述べたとされる。
  • 12月22日、建設予定地にあった立て看板が撤去される。

その後の跡地活用

新駅計画の挫折後、跡地の利用については様々な考えが挙がったが、ジーエス・ユアサコーポレーション三菱商事三菱自動車工業の共同出資しているリチウムエナジージャパンリチウムイオン電池を生産するための工場を建設し、2011年7月19日に本社もこの工場内へ移転している。

跡地は企業にとって以下のような利点があり、複数の企業が注目している。

  1. 大都市から短時間でアクセスできること(栗東インターから京都まで25分、大阪まで50分、名古屋・神戸まで80分)
  2. 主要道路の結節点になっていること
  3. 鉄道駅から比較的近いこと(手原駅から約500m、栗東駅から約1500m)
  4. 周辺の人口増加率が高いこと(2010年国勢調査での人口増加率が、栗東市+6.32%、守山市+8.10%、草津市+8.00%、滋賀県+2.20%)
  5. 栗東市の人口が今後も増加すること(国立社会保障・人口問題研究所が2008年12月に発表した推計によると、栗東市人口は2035年まで増加を続ける)
  6. 若年層の人口が多いこと(2010年国勢調査で栗東市の15歳未満人口の比率が19.5%と、関西で最高)

しかし、2012年9月時点で跡地50haのうち40haの土地がなお用途未定であると報じられている[9]。用途未定地は8月時点で30haであると見積もる報道もある[10]

中長期視点での新駅建設

2012年8月6日、嘉田知事はリニア中央新幹線が東京-名古屋間で開通した後は、東海道新幹線は中距離輸送を担うこととなるとし、その際には米原駅と京都駅の間に新駅が必要であると発言する[11]。この時点で、上記のように多くの土地がいまだ用途未定の状態である[9][10]こともあって、栗東市は強く反発、20日に嘉田知事は栗東市長に事前の説明が無かったことを謝罪するが、あくまで発言の趣旨は崩していない[12]

参考文献

  • 佐藤信之 「請願駅の地元負担〜東海道新幹線南びわ湖駅の場合〜」(『鉄道ジャーナル』2006年11月号)

脚注

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  1. http://www.pref.shiga.jp/a/shinkansen/touketsu/index.html
  2. 「新幹線(仮称)南びわ湖駅設置について(1)」http://www.city.ritto.shiga.jp/index/page/791d3df0889ad8e0dbbce6a03446fd15/
  3. 2004年開業、埼玉県本庄市に所在。ちなみに本庄市は嘉田知事の出身地にあたる。
  4. 「パンフレット"BIWAKO-RITTO St. SUPER EXPRESS"(東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅設置推進協議会作成のQ&A項「びわこ栗東駅は「のぞみ」増発のための退避駅として必要な駅ではないですか」参照
  5. 停車列車の雪落としを行うことを念頭に置いたものと思われる。
  6. 同選挙の得票数などは嘉田由紀子の項目参照。
  7. http://www.pref.shiga.jp/koho/2007-01/
  8. 本線を高架橋とせず盛り土構造のままとし、新駅の関連部分を高架橋で現行の本線に沿わせるという案。掛川駅がこの方式で建設されたため、一部には掛川方式と言われる。が、JR東海はこの方法での新駅建設はできないと拒絶している。
  9. 9.0 9.1 知事が新駅必要発言を説明 中日新聞 Chunichi Web 滋賀県(2012年9月24日)
  10. 10.0 10.1 新幹線新駅「リニア開通なら必要」 滋賀知事発言に波紋 朝日新聞デジタル(2012年8月20日)
  11. 滋賀知事「新幹線に新駅必要」「もったいない」凍結から一転、波紋も SankeiBiz (2012年8月7日)
  12. 「新幹線新駅は必要」発言_嘉田知事、栗東市長に直接謝罪も溝埋まらず SankeiBiz(2012年8月21日)

外部リンク

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