北摂

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テンプレート:独自研究 北摂(ほくせつ)は、令制国摂津国北部に由来する地域名称。一般的に現在の大阪府北部、兵庫県南東部を指す。

概要

摂津国の中心であった大坂からの方位に基いて、島上島下豊島能勢の四郡が「北摂」、川辺有馬武庫菟原八部の五郡が「西摂」と呼ばれた。この場合の「北摂」が現在の大阪府北部を指すことになり、兵庫県南東部は「西摂」が指すところとなる。

一方、単に摂津国北部を意味する場合もある。この場合の「北摂」が現在の兵庫県南東部、とりわけ川辺郡北部や有馬郡の旧郡域にあたる北部地域を含むことになる。特に顕著なのが三田市で、「北摂」を冠称のように使用している[1]。なお、兵庫県は阪神北地域を兵庫県域における「北摂」と定義している。 古代よりから山陽道に抜ける西国街道が通り、豪族や寺社の荘園が広がる地域であった。近世には幾つかの数万石クラスの小規模藩ができ、廃藩置県後に大阪府と兵庫県に分かれて属することになった。 現在では、伊丹空港東海道・山陽新幹線名神高速道路中国自動車道阪神高速道路といった交通インフラが集中し、人だけではなく物流についても地区内の往来が激しい地域となっている。

大阪府北摂地域

大阪府内の北摂地域は、豊能郡三島郡の旧郡域に基づき、下記の2つの地域から構成される。

豊能地域
面積 239.36km²
総人口 657,104
(平成22年国勢調査)
人口密度 2,745人/km²
  • 豊能地域
大阪府北西部にあたる。
現在、大阪府は下記の3市2町を豊能地域とし、大阪府豊能府民センターを設置している。
大阪府域における豊能地域の割合は、面積:12.6%、人口:7.4%。
三島地域
面積 249.60km²
総人口 1,100,634
(平成22年国勢調査)
人口密度 4,410人/km²
  • 三島地域
大阪府北東部(淀川右岸)にあたる。
現在、大阪府は下記の4市1町を三島地域とし、大阪府三島府民センターを設置している。
大阪府域における三島地域の割合は、面積:13.1%、人口:12.4%。

ただし、両地域と旧郡域には完全には一致しておらず、吹田市と豊中市の境界付近や箕面市東部・豊能町の一部はその例となっている。 また市町村の枠を超えた広域行政のほとんどは両地区合同のものとなっている。

兵庫県北摂地域

兵庫県が北摂と定義している阪神北地域は旧郡域と一致しておらず、川辺郡の北部、有馬郡の北部、武庫郡の北東部といった曖昧なものとなっている。

阪神北地域
面積 480.84km²
総人口 724,205
(平成22年国勢調査)
人口密度 1,506人/km²
  • 阪神北地域
現在、兵庫県は下記の4市1町を阪神北地域とし、阪神北県民局を設置している。
兵庫県域における阪神北地域の割合は、面積:5.7%、人口:13.0%。

なお、有馬郡の旧郡域は、神戸市北区のうち旧 有馬町・有野村・道場村・八多村・大沢村長尾村西宮市のうち旧 塩瀬村・山口村にも及んでいる。

丹波国の越境事例

隣国である丹波国桑田郡(のちに分割されて南桑田郡)の旧郡域にも「北摂」と呼ばれる地域がある。

現在大阪府域である豊能町牧・寺田地区と高槻市樫田地区は丹波国に属する[2]地域で、それぞれ1958年に京都府から越境編入された経緯がある。一方、現在も京都府域である亀岡市にも「北摂バードタウン」「北摂ローズタウン」、さらには「茨木台」という名称のニュータウンが存在する。

牧・寺田地区と北摂バードタウンは旧西別院村の一部、北摂ローズタウンと茨木台は旧東別院村の一部、その東隣が旧樫田村であった。これらの地区には摂丹国境と分水界が一致しないところがあり、余野川安威川芥川といった摂津国を南流する河川の支流を含む上流域であることが越境の要因と考えられる。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 三田市にある高等学校名やニュータウン名、商業施設などに「北摂三田」の名称が使われている。また、神戸新聞北摂総局は三田市を担当している。さらには、JR西日本福知山線大阪駅篠山口駅間を結んでいた列車(ホームライナー)は、「ほくせつライナー」の名称で1988年から2002年まで運行されていた。
  2. ただし、牧・寺田地区の場合は編入先が豊能郡(旧 能勢郡域)東能勢村であるため、郡の所属変更を起こしており、以降は摂津国とみなす見解もある。