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前田庸
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'''前田 庸'''(まえだ ひとし、[[1931年]]([[昭和]]6年)[[11月8日]] - [[2013年]](平成25年)[[11月1日]])は、日本の[[商法]][[法学者|学者]]。[[学習院大学]][[名誉教授]]<ref name="kanto-ba">[http://www.kanto-ba.org/series/s103.htm わたしと司法シリーズ103]</ref>。[[東京証券取引所]]社外取締役<ref name="kanto-ba"/>。[[住友信託銀行]]監査役<ref name="kanto-ba"/>。社団法人[[商事法務研究会]]会長。[[日本銀行金融研究所]]国内顧問。手形小切手法の分野で独創的な二段階創造説を構築<ref name="kanto-ba"/>。日本の手形小切手法、商法・会社法の大家<ref name="kanto-ba"/>。父は元[[秋田銀行]][[頭取]]の[[前田實]]<ref name="Goubatu_p436">[[佐藤朝泰]] 著 『豪閥 <small>地方豪族のネットワーク</small>』 ([[学研ホールディングス|立風書房]] 2001年) 436頁</ref>。 == 経歴 == [[秋田県]]の[[銀行員]]家庭で育つ<ref name="kanto-ba"/>。小学校6年生のときに[[肺結核]]になった<ref name="kanto-ba"/>。それで1年間休学した<ref name="kanto-ba"/>。旧制中学でも2年の終わりから3年生にかけて[[休学]]したが,新制高校1年のときに学業は完全に中断して療養所に入った<ref name="kanto-ba"/>。 [[大学入学資格検定|大検]]を取得して[[1954年]]([[昭和]]29年)[[東京大学]]に入学<ref name="kanto-ba"/>。卒業後は[[金融業]]界に進みたかった<ref name="kanto-ba"/>。しかし,就職試験を受けた銀行からは「既往症の関係で健康に不安があるし年齢もいっているので」ということで断られてしまった<ref name="kanto-ba"/>。[[1958年]](昭和33年)の卒業時に[[鈴木竹雄]]教授の研究室に入る<ref name="kanto-ba"/>。 会社法の分野では、長く[[法制審議会]]会社法部会長を務めて、平成期の度重なる会社法改正作業にも関与している。 2013年11月1日に多臓器不全のため死去<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0503M_V01C13A1CC1000/ 前田庸氏が死去 学習院大名誉教授] 日本経済新聞 2013年11月5日閲覧</ref>。81歳没。 == 学説 == 前田は、手形法における[[手形]]理論において、師である鈴木と同じく'''二段階創造説'''をとり、いわゆる'''交付欠缺'''の事例では鈴木説をそのまま支持し、その上で、従来採られてきた「手形行為は原因関係の影響を受けない」という'''手形行為の無因性'''という原則に対し、手形債務負担行為は無因であるが、手形権利移転行為は原因関係の影響を受ける(有因であるとする)、とする。これが'''手形権利移転行為有因論'''と呼ばれるものである。手形振出人に'''意思欠缺'''ないし'''瑕疵ある意思表示'''がある事例では、権利移転行為は有因であるから、[[錯誤]]ないし[[詐欺]]等の[[民法 (日本)|民法]]の規定によって[[無効]]ないし[[取消]]を主張できることになるが、善意無重過失で手形を取得した者は[[善意取得]]によって保護されることになる<ref>上掲『手形法・小切手法入門』64頁</ref>。 二段階創造説に対しては、あまりにも技巧的にすぎる<ref>[[今井宏 (法学者) |今井宏]]『手形行為と手形の交付』「手形小切手法講座1」102頁</ref>、との批判がある。また、権利移転行為有因論に対しては、交付欠缺と異なり意思欠缺ないし瑕疵ある意思表示では重過失があっても保護されるべき<ref>[[平出慶道]]『手形法小切手法』(有斐閣、1990年)153頁</ref>、との批判がある。 会社法においては、[[民法]]理論などをも摂取した穏健かつ中正な解釈論を特徴とする学風である。 == 家族・親族 == * 父・'''[[前田實|實]]'''(元[[秋田銀行]][[頭取]]<ref name="Goubatu_p436"/>) * 妻(元[[東京銀行]][[監査役]][[斎藤保義]]の娘、元[[毎日新聞社]]社長・会長[[斎藤明]]の妹<ref name="Goubatu_p436"/>) == 著書 == * 『銀行取引』(弘文堂、1975年) * 『手形法・小切手法入門』([[有斐閣]]、1983年、ISBN 4641035814) - 二段階創造説権利移転行為有因論を平易に解説、有斐閣の月刊誌[[法学教室]]の連載をまとめたもの * 『会社法入門』(有斐閣、初版1990年~12版2009年、ISBN 4641134499) * 『手形法・小切手法』(有斐閣、1999年、ISBN 4641007942) - 手形理論の体系書 == 脚注 == <references /> == 関連項目 == * [[約束手形]] {{DEFAULTSORT:まえた ひとし}} [[Category:秋田県出身の人物]] [[Category:日本の法学者]] [[Category:商法学者]] [[Category:学習院大学の教員]] [[Category:東京大学出身の人物]] [[Category:1931年生]] [[Category:2013年没]]
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