制度的革命党

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メキシコシティの本部

制度的革命党(せいどてきかくめいとう、テンプレート:Lang-es、略称:PRI)は、メキシコ政党。メキシコにおける最大政党として2000年の大統領選で政権を失うまで71年に渡って与党の座についていた。2000年大統領選挙後、党勢が低迷していた時期もあったが、2012年の大統領選挙で与党に返り咲きを果たした。

概要

制度的革命党は、メキシコ革命の成果を制度化し、地方軍閥・州政府労働組合農民運動など、様々な革命勢力を一つの政党に統合する目的で、1929年国民革命党 (PNR) として結成された。つまり、結成された時点ですでに与党であった。1938年にはラサロ・カルデナス政権の下メキシコ革命党 (PRM) に改組され、さらに1946年、制度的革命党に改名されて現在に至る。

党の傘下には、メキシコ労働者総連合 (CTM) ・全国農民連合 (CNC) ・公務員組合連合 (FETSE) などが属し、長年に渡り単に与党というだけでなく、メキシコの体制そのものとして君臨していた。政治的には、ラテンアメリカ人民主義(ポプリスモ)と呼ばれる政治形態の先駆けであり、すなわち、ありとあらゆる社会階層を支持層に取り込み、イデオロギー的には、日本で言えば共産党から自民党の保守派までのすべてを党内に含んでいた(包括政党)。その結果、労働者に対しては社会主義を、資本家に対しては資本主義を説き、政治的には米国帝国主義的な対外政策にことあるごとに反旗を翻し、キューバと友好関係を保ち、ニカラグアサンディニスタ革命政権を支援し、チリのクーデターに際してはアウグスト・ピノチェト独裁政権と断交し左派市民の亡命を大量に受け入れるなどの政策を採る一方で、経済的には対米従属を強めるなど、ある意味ではその政策は矛盾をはらんだものであった。

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緑が制度的革命党の支持地域

1980年代半ば以降、政策の矛盾、党内の腐敗の深刻化などによって、制度的革命党は左右両翼の反対勢力から挑戦を受け、その支配体制は徐々に揺らぎ始める。北部一帯では、右派野党の国民行動党 (PAN) の勢力が拡大し、一方で従来四分五裂していた左翼政党(一部は制度的革命党の支配体制に組み込まれていた)も、大同団結によって民主革命党(PRD)となり、支持率を拡大していった。

1987年、前ミチョアカン州知事であったクアウテモク・カルデナスカルロス・サリナスとの大統領候補指名争いに敗れて離党したことで、制度的革命党の支配体制の揺らぎは決定的なものとなる。カルデナスは、メキシコ史上もっとも尊敬される大統領の一人ラサロ・カルデナスの息子であり、党内左派の中心人物であった。彼と行動を共にして離党した党内左派グループと左翼政党を糾合して1988年の大統領選挙に臨み、実際の得票では制度的革命党のサリナス候補を上回ったのではないかと言われているが、大規模な選挙不正によってサリナス候補が当選、制度的革命党の支配体制はかろうじて維持された。

その後、1994年の選挙でもサパティスタの武装蜂起とサリナス大統領をめぐる様々なスキャンダルにもかかわらず、かろうじて制度的革命党の政権は維持されたが、2000年の大統領選挙で右派のPAN出身のビセンテ・フォックスが当選し、同時に行われた国会議員選挙でも、上院で過半数を失い、下院では第1党の座もPANに明け渡し、71年間与党であった制度的革命党は野党に転落した。

2006年の大統領選挙では選挙連合「中道連合」(緑の党<PVEM>が参加)を結成、前党首のロデルト・マドラッソを擁立したが、PANのフェリペ・カルデロンと左派連合(PRDを主体とする選挙連合)のロペス・オブラドール候補の狭間で伸び悩み、3位に留まった。同時に行われた下院選挙でもPANとPRDに次ぐ第3党に転落した。

2009年7月の下院選挙ではカルデロン政権発足後における治安や経済の悪化によるPANへの批判票を集めて237議席(得票率39.55%[1])を獲得、第1党に返り咲いた。2012年7月の大統領選挙ではエンリケ・ペーニャ・ニエト候補を擁立、PRDのロペス・オブラドール候補に大差をつけて当選を確実にした[2]。これにより12年ぶりの政権与党返り咲きを果たした。

脚注

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参考文献

外部リンク

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  1. 古賀優子「2009年メキシコ中間選挙総括」、ラテンアメリカレポートVol26 No2 31頁
  2. テンプレート:Cite news