保安官

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保安官(ほあんかん)は、米語シェリフsheriff)の訳語であり、アメリカ合衆国治安職の名称。

概要

一般的に、選挙で任命される郡内の法執行官の長である。ただし、自治意識の強いアメリカでは、全国的に統一された治安制度は無く、州によって任命制度や任務内容にかなりの相違があり、州内でも郡毎・市町村毎に違いが見られるほどである。

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シェリフ

ファイル:Lee Baca in 2011.jpg
現代の保安官の一例。ロサンゼルス郡保安局のリー・バカ保安官(局長)。胸には保安官バッジ、シャツの襟の階級章は局長を示す五連星。局長に限り、バッジは「DEPUTY」の追加がなくそのまま「SHERIFF」となる。

現代でもシェリフは存在する。実際の活動はデピュティ(deputy。保安官代理、副保安官、保安官補、保安官助手とも)と呼ばれる執行官達が行なっており、保安官本人は総責任者(保安局長、保安官事務所長)を務める。大きな保安官事務所では警察と同様に部局や階級もある。約3,500の保安官事務所があり、1〜2名から1万人を越える規模の事務所まで様々である。

  • カリフォルニア州ロサンゼルス郡保安官事務所(Los Angeles County Sheriff's Dept.、LASD)は、職員11,000名を有する全米一大きな保安官事務所。“全米一広域な管轄の保安官事務所”として世界的にも有名。
  • イリノイ州・クック郡保安官事務所はロサンゼルス郡に次ぐ規模の保安官事務所で、8つの部局があり、職員約6,900名を擁する。
  • フロリダ州・マイアミデイド郡は、郡の委員会からの任命制で、2人のシェリフがいる。1人は公共安全の長であり「特捜刑事マイアミヴァイス」「CSI:マイアミ」で有名なマイアミデイド首都圏警察長として職務を行う。もう1人は矯正の長であり矯正局長(刑務所管理の責任者)として職務を行う。

一方、警察組織の拡充によってその仕事量は減る傾向にあり、シェリフそのものを廃する州もある。廃止された州ではマーシャルやポリスが業務を引き継ぐ。

  • コネチカット州では1960年に郡行政区を廃止したが、例外的に保安官だけは存続させていた。しかし2000年に保安官も廃止し、州公安官(State Marshal)に移行した。

詳細はカウンティ・シェリフを参照。

マーシャル

マーシャルmarshal)もまた、保安官と訳されることがある。選挙、あるいは任命される治安職の名称。日本では駅などにおける禁止事項掲示の英語訳での名義人として「Chief」と共に“警察署長”を意味する単語として使用される事が多い。

多くの場合は司法体系に属し、裁判所執行官あるいは裁判所を警備する廷吏であることが多いが、連邦保安官と同じような職務を担う州もあれば、シェリフと同じような職務を担う場合もある。また、Fire Marshalは、放火や爆発物犯罪を担当する官吏である。

連邦官吏としては、司法省に属する連邦保安官と、国土安全保障省に属する航空保安官がある。

コンスタブル

コンスタブルconstable)もまた、保安官と訳されることがある。選挙、あるいは任命される治安職の名称。

連邦内共通の定義などはなく、州内でさえもその役割が異なることもあり、歴史は古いものの、一般に馴染みの薄い役職である。単に令状の送達しかしない場合もあるが、州によっては、シェリフと同じような職務を担う場合もある。

関連項目