乗合タクシー

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テンプレート:国際化 乗合タクシー(のりあいタクシー)とは、10人以下の人数を運ぶ営業用自動車を利用した乗合自動車道路運送法の「特定旅客自動車運送事業」に該当する場合があり、営業する場合は国土交通省の許可が必要である。

主に深夜の別の交通機関がない地域や、過疎地など路線バスの機能が充分に発揮できない場所などで、運行されている。タクシー事業者が行っており、タクシー車両を用いるためこの名前がついているが、所定のダイヤと停車地に従って運行し、利用者はタクシーというより路線バスに近い感覚で利用することになる。ただし、あくまでタクシーなので、立席などで座席定員以上の乗客を乗せることはできないため、グループでの利用をしないように呼びかける事業者もある。ただし乗客を乗せきれない場合、続行便を要請する場合もある。

使用されている車種は、乗車定員9人のジャンボタクシーを使う場合が多い。しかし、利用者数が極端に少ない場合は、乗車定員5〜6人の通常のセダン型のタクシーを使うこともある。

日本におけるおもな運行事業者については、日本の乗合タクシー運行事業者一覧を参照。

種類

空港型

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秋北タクシーが運行する大館能代空港乗合タクシー

空港市街地(例: 成田国際空港東京国際空港と東京都内など)を結ぶ。ある地域から空港へ向かう複数の利用者を集約して、各戸を順番にまわったあとに空港へ向かうもの。あるいはその逆。

都市型

鉄道やバスの運行時間外である深夜に運行される。都市の深夜交通手段。

過疎地型

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朝倉市あいのりタクシー(甘木観光バス)

交通空白地帯の解消及び高齢者等交通弱者の公共施設等への移送手段の確保。バス路線を廃止、または減便した代替として地方自治体がタクシー(ハイヤー)事業者に委託する。自治体のコミュニティバスを名乗りながら実際には乗合タクシーで運行するケースがあるが、これも類型といえる。過疎地に限らず、都心部でも高齢者サービスの一環として、東京都千代田区風ぐるま)や葛飾区さくら)、千葉県柏市かしわ乗合ジャンボタクシー・カシワニクル)などでこの形態の路線が導入されている。小型バスでも供給過剰となると判断される場合にこの乗合タクシーが採用される。

過疎路線が本線系統路線から分岐するという路線が存在するバス会社で、路線それ自体は存続させて「過疎路線が分岐するバス停」にそれまでバスが発車していた時間にタクシーを待機させ、そこから先はタクシー車両での運転(この場合、バスがタクシーになるだけで運賃はバスのものが引き継がれる)となる例も存在する。

運行目的が前述にあるとおり「高齢者等交通弱者の移送手段の確保」が主であり、自治体による財政補助もあることから、乗車については制限がある場合もある。その運行地域に在住している住民で、事前に運行する事業者に利用登録をする限定をしていたり、自家用車や運転免許証の有無、年齢(高齢者)や「身体障害者に限る」といった利用制限があったり、乗車前に電話やインターネットなどで予約しないと運行しないものもあり(デマンド交通)、「乗合」という名称であるが、路線バスのように気軽に利用するには、難しい場合もある。

住宅団地型

住宅団地と駅を結ぶ路線バス営業時間外の深夜・早朝の交通手段。

  • 例: ミゴン(あおい交通)

公営競技型

鉄道駅から公営競技場(競馬場競輪場競艇場オートレース場)まで着座して移動したい人向け。

その他

尾瀬など自家用車が入れない地区への足。

違法営業問題

公営競技場などでよく見かけるが、乗合タクシーの営業許可がないのに、運転手が同じ方面へ向かう客を勝手に集めて相乗りさせる営業法があるが、これは乗合行為、あるいは業界の俗語で「つめこみ」などと呼ばれる違法営業であり、乗合タクシーではない。タクシーは道路運送法の規定により一度に1人または1グループの乗客を乗せることしかできず、一回に不特定多数の乗客を乗せることは禁じられている。

歴史

アメリカの西海岸で不況時にジットニー(Jitney)と呼ばれるT型フォード等を失業者達が日銭を稼ぐ為に始めた事に由来すると言われる。現在でも北米ではDollar vanと呼ばれる個人事業によるバスの運行が行われている。その後、モータリゼーションと共に世界中に波及した。アジアの一部の国では2サイクルエンジンの三輪トラックの荷台を改造した乗り合いタクシーが走っている。

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