中継電話

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:出典の明記 中継電話(ちゅうけいでんわ)は、NTT東日本NTT西日本加入電話通話において、同社やNTTコミュニケーションズ以外の電気通信事業者電話回線(中継回線)を加入者に提供し、通話を行った際の料金を加入者に請求する電気通信役務である。

概要

一般的認知としては、1987年に日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)と旧第二電電(現KDDI)・旧日本高速通信(現KDDI)ら新電電会社によって開始された市外通話を示す。国際電話においても日本の接続点や関門局から相手国までの間は中継回線を用いるため、中継電話の一種とされている。いずれも、1998年のみなし契約が解禁されるまでは利用したい新電電と書面で市外電話や国際電話サービスの申込契約を締結しなければならなかった。

新電電によってサービスが開始された1980年代当時は、料金が経由する事業者ごとに積算され、中継事業者が加入者から徴収する方式であった。そのため、中継電話会社の接続点のある地域(東京23区大阪市など全国の主要都市)の間では、従来のNTTのみの利用よりも安い通話料金で利用することができたが、接続点から遠い地域では、料金の低減効果が無い、あるいはNTTの方が安い場合もあった。

新電電各社は接続点設置地域を設立母体のインフラを活用して徐々に拡大し、発信元と着信先の市外局番から最も安い電話会社を選ぶ自動回線選択装置の獲得競争、東京⇔大阪間など主要都市間の通話料を引き合いに出したNTT料金との比較広告が行われていた。

1994年4月から中継電話会社が加入者から徴収する料金を決定し、その中から他の電気通信事業者への接続料金(アクセスチャージ)を支払うエンドツーエンド料金方式に変更。これにより接続点の概念が消えた。1997年公衆交換電話網と他社網の回線接続や料金計算に関するルールが改正されたことを契機に、翌1998年1月にサービスインした『東京電話』(TTNet)など、市内通話も中継電話として提供する事業者が出始めた。

1998年7月に国際電信電話(後のケイディディ→KDDI)が国内中継電話に参入する際にそれまで同社の国際電話しか認められなかった「みなし契約」が新電電に解禁された。NTTの加入者は協定を締結した新電電の加入者であるとみなされ、新電電の識別番号をダイヤルすることで事前契約無しで新電電が利用でき、通話料は加入電話料金と合算でNTTが収納代行を行うものであった。

2001年に優先接続登録サービスであるマイラインが開始されると、日本テレコムKDDIが市内電話に参入すると同時に割引サービスを拡充し、NTTグループと新電電間でマイラインの獲得競争が激しくなった。

2002年ソフトバンクBBからVoIPを用いたIP電話である「BBフォン」が開始され、同一事業者間通話では通話料が無料であるなど価格崩壊を引き起こした。また、2003年には050番号による異なるIPSPや加入電話との相互通話が可能となり、IPSP(ISP)の参入が相次いだ。ただし個人向けは一般的にセカンダリ電話で加入者電話と同様の0AJ電話番号の使用ができないため、加入電話から置き換える動きは大きくなかった。

2004年4月に携帯電話への発信も固定電話側がエンドツーエンドで料金設定できるようになり、中継電話サービスの一種としてサービスが開始された。一方でNTT東・西の電話網の接続料金が値上げされたことから、それ以来は通話料金単価の値下げはほぼ行われていない。

また2004年からは電話回線ドライカッパFTTHブロードバンドインターネット接続とのセットによる直収電話が開始された。加入電話からのナンバーポータビリティが可能となり、NTT東日本NTT西日本も自社でひかり電話をPRするなど固定電話は加入電話・中継電話から直収電話への移行が進み、加入電話の契約数は減少傾向におかれている。

接続方式

相互接続方式
  1. NTT東日本・NTT西日本が提供する加入電話から発信し、同社の加入電話(市内通話・同一県内への市外通話・県外への通話)に着信させる際に、新電電の中継電話回線を利用するサービス。発信側の指定が無い場合はNTTコミュニケーションズが利用される。
    • (優先接続制(マイライン)があり、電話会社を事前登録すれば、電話事業者識別番号をダイヤルする必要はない。)
  2. NTT東日本・NTT西日本が提供する固定電話回線から発信し、携帯電話(PHSは0033のみ)に着信させる際に、中継電話回線を提供するサービス
    • (優先接続制が現状なく、選択中継制となっており、中継電話事業者識別番号を携帯電話番号の前に付けてダイヤルする必要がある。電話機によっては電話帳の携帯電話番号にプレフィックスで識別番号を登録したり、独自の機能に登録することによって識別番号を省略することができるものもある。)
アクセスポイント方式

固定電話や公衆電話からアクセスポイントに電話を発信し、IVRでID番号などの認証を行い、続けて相手先電話番号(市外・海外)をダイヤルすることで中継電話利用となる方式。加入電話の中継電話とは異なる独自の料金設定を行っている。サービスによって市外電話もしくは国際電話専用であったり、海外から日本宛への国際電話に対応している。

関連項目