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中国春蘭
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'''中国春蘭'''(ちゅうごくしゅんらん)とは、[[東洋ラン]]のひとつで、中国産の[[シュンラン]]に由来する。 == 概論 == '''中国春蘭'''(ちゅうごくしゅんらん)は、'''一茎一花'''(いっけいいっか)とも呼ばれ、日本産の[[シュンラン]]と同種とされるが、分類上は'''シナシュンラン''' (''Cymbidium forrestii'' Rolfe)の名で別種としたこともある<ref>ガーデンライフ編(1975)p.62</ref>。地生ランであり、春に花茎を伸ばし、その先端に一輪の花を咲かせる。花の形もシュンランに共通するが、香りはより強い。葉も日本のシュンランよりやや滑らかな感じの場合が多い。 古来から中国ではランを高貴な花と見なし、これを栽培し、観賞することが行われた。特に清朝ころより野生株から花形のよいものを選別し、それらに命名して栽培し、その優劣を競うことが行われるようになった。葉に模様の出るものに対してもそのようなことが行われてきたが、このようにして栽培されるようになったものは、日本にも持ち込まれ、現在まで一つの園芸のジャンルを形成するようになった。これを[[東洋ラン]]と呼んでいる。 花形を評価されて選ばれるようになったランは、中国春蘭のほかに、花形は似ているが一つの花茎に多数の花をつける[[一茎九花]](いっけいきゅうか)があるが、品種の数は中国春蘭がはるかに多い。 == 評価の基準 == 中国春蘭の花の形を評価する上で、どのような形を良しとするかについて、次第に一定の基準が形成されるようになった。それにつれて、さまざまな形質を表す用語も多数が作られた。その後日本では同じように[[日本春蘭]]や[[寒蘭]]が観賞されるようになったが、中国春蘭の基準や用語が流用されている。 中国春蘭で認められている花形は三つある。内2弁を棒心というが、この棒心の先端が普通はすんなりとほそまるところ、先端部が固まって肉厚になるのを'''兜'''と呼ぶ。この兜があって花弁の幅が広いものを'''梅弁'''(ばいべん)、兜があって花弁の幅が狭いものを'''水仙弁'''(すいせんべん)と呼び、よい花形と認められる。兜がなくて花弁の幅が広いものを'''荷花弁'''(かかべん)と言い、前記2つにこれを加えた三つに当てはまるものを品種と認める。それ以外に、異常な花形で認められるものを'''奇種'''、どのような花形であれ、花茎や花弁、唇弁に赤色を一切乗せないものを'''素心'''(そしん)と呼び、品種として認められるものもある。 == 代表的品種 == 以下に代表的な品種を挙げる。古いものは二百年以上も栽培され続けているが、現在も新しい品種が命名されてもいる。 ; 梅弁 : 棒心に兜があり、三弁の幅が広いものである。三弁は先が丸く、平肩か三角に決まり、棒心は寄り添って、全体として[[ウメ|梅]]の花を思わせるような姿のものがよいとされる。'''宋梅'''(そうばい)・'''西神梅'''(せいしんばい)・'''老十円'''(ろうじゅうえん)・'''萬字'''(まんじ)・'''翠桃'''(すいとう)など ; 荷花弁 : 花弁の幅は広いが、兜をもたないものをこう呼ぶ。花弁は楕円形で幅広く、花全体が抱えるように丸まって、[[ハス|蓮]]の花を思わせるような姿のものを良しとする。'''大富貴'''(だいふうき)・'''翠蓋'''(すいがい)など ; 水仙弁 : 梅弁と同じく棒芯に兜をかけるが、花弁が細長く、やや抱えるような形で咲くもの。'''竜字'''(りゅうじ)・'''汪字'''(おうじ)・'''翠一品'''(すいいっぴん)など。 ; 素心 : 唇弁や花弁に出る赤い斑紋が全く出ないもの。'''楊氏素'''(ようしそ)・'''老文団素'''(ろうぶんだんそ)・'''王氏素'''(おうしそ)など ; 奇種 : 花の型変わりである。[[八重咲き]]の'''余胡蝶'''(よこちょう)・'''緑雲'''(りょくうん)、側弁下部が舌化する胡蝶咲きの'''素蝶'''(そちょう)・'''笑蝶'''(しょうちょう)、二つの花が背中合わせになった形の'''四喜蝶'''(しきちょう)、棒心が舌化する'''蘂蝶'''(ずいちょう)などがある。 この中で、宋梅・萬字・老十円・竜字を[[四天王]]と言う。 また、荷花弁で素心の楊氏素などは二芸品と言うこともあり、特に貴重であるとされる。 == 葉芸品 == 中国春蘭では葉の模様を楽しむ柄物はないが、日本で出現した縞葉のものに'''軍旗'''(ぐんき)と命名したものが日本春蘭の柄物と一緒に扱われている。評価はかなり高い。 ==関連項目== *[[シンビジウム]] == 出典 == <references /> == 参考文献 == *『趣味の古典園芸植物』主婦の友社(1975) *『総合種苗ガイド3 古典園芸植物編』誠文堂新光社(1967) *ガーデンライフ編『東洋ラン 栽培の楽しみ』、(1976)、誠文堂光新社 {{DEFAULTSORT:ちゆうこくしゆんらん}} [[Category:古典園芸植物]] [[es:Cymbidium_goeringii#Sinonimia]]
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