下北沢

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下北沢(しもきたざわ)は、東京都世田谷区の北東部に位置する地域名。概ね同区北沢の全域と代沢の一部あたりを指すテンプレート:要出典。略して下北(しもきた)とも呼ばれる。但し、現在は「下北沢」という地名は存在していない。

町名としての北沢(きたざわ)は、一丁目から五丁目まで存在する。同地区の人口は17,726人(2007年10月1日現在、住民基本台帳による。世田谷区調べ)である。

代沢に含まれる部分については、代沢も参照のこと。

地理

北に渋谷区笹塚幡ヶ谷、東に同区大山上原目黒区駒場等、南に世田谷区池尻太子堂、西に同区代田大原に接する。

鉄道は、下北沢駅小田急小田原線京王井の頭線)の他に、東北沢駅(小田急小田原線)、池ノ上駅(京王井の頭線、代沢に所在)が設けられている。

道路は、茶沢通りの他に東京都道420号鮫洲大山線井の頭通りが通るものの、自動車は元より、休日には自転車の相互通行もままならない様な幅員2m程度の狭小路地が多く、下北沢駅前の商店街などではそれら狭小路による安全上の問題が指摘されている。

河川北沢川が西から東に流れ、さらに北沢川に合流する幾つかの小川・水路等が一部で起伏のある地形を形成し、下北沢駅は「支流」が形成する谷に位置している。下北沢のほとんどが北沢川の流域にあたる(参考:東京都HP他)。他に、玉川上水の水路が笹塚との境界付近を概ね北西から幡ヶ谷方面に向けて通る。ただ、これらの河川等は昭和時代までにほぼ暗渠化され、遊歩道の敷地などとなっている。さらにかつては、当地区北部で三田用水が玉川上水から分水され、大山町、上原との境界に沿って流れていたが、暗渠化の後に廃止されている(参考:旧版地図、他)。玉川上水の水路は現在ほぼ暗渠化され、遊歩道として整備されている。

東北沢駅や池ノ上駅は、谷に狭まれた台地状の地形に位置する。なお、この起伏は井の頭線の車窓からもよく見える。

メディアで取り上げられ続けている下北沢駅前のイメージが強いが、それ以外の東北沢・池ノ上の両駅前などに近隣商業又は路線商業地域が形成されているものの、それ以外は概ね住宅地で、中小規模の共同住宅、木造等の戸建住宅が多い。小田急線及び井の頭線の利用で新宿渋谷へ十数分でアクセスでき、利便性が高い。かつては佐藤栄作-竹下登邸(代沢)もあった閑静な住宅地の区域もある。

下北沢駅前の商店街

ファイル:Kitazawa azumadori setagaya 2009.JPG
下北沢あずま通り(下北沢東会)

下北沢は、テレビや雑誌などで吉祥寺三軒茶屋自由が丘中目黒代官山などと並んで若者の街・ファッションの街に加えて小劇場の求心的な地域として紹介される事が多い。新しい店舗の多くは最近のメディアなどで集まる客を相手にし、昔ながらの店舗は比較的庶民的な構えのまま残り、新旧が混在している雑多な街である。国士舘大学世田谷・梅ヶ丘キャンパス、明治大学和泉キャンパス、東京大学駒場キャンパスなどが近いため、学生の訪問も多い。

下北沢駅は小高い丘を挟んで位置し、南口は低く、西口周辺は高い位置にあり、狭隘な街路が入り組むといった地域特性から、周辺住民を対象とした雑貨屋・古着屋・生地屋などが古くから存在し、コットン・タウンと呼ばれ脚光を浴びた時期もある。いくつかの店舗名にコットンを付けたものがある事で当時の名残りが偲ばれる。また、北口の駅前には「下北沢北口駅前食品市場」という戦後の闇市の名残りの場所がある。今日ではこの「闇市的」な場所の規模は小さくなったが、1980年代頃まではかなり大きかった。

商業地域は、それより前からある小田急線の線路で概ね区分される状態で、複数の商店街組織がある。

  • 下北沢一番街
  • しもきた商店街
  • 下北沢東会
  • 下北沢南口商店街
  • 下北沢南口ピュアロード新栄商店会
  • 代沢通り共栄会

街並みの状態、下北沢に警察署がない事(交番はある)などが、却って商店街レベルでの防犯への危機感につながってきている面もある。パチンコや北沢八幡宮例大祭での露天からの暴力団排除、近年では、落書き消去・防止の活動に力を入れている商店街もある。落書き消去は、東京周辺などの他地域の商店街からも注目され、度々報道でも取り上げられている(参考:平成4年警察白書、北沢八幡宮他)。

地価

住宅地の地価は、2014年平成26年)1月1日公示地価によれば、北沢1-24-15の地点で65万7000円/m2となっている。

歴史

元々、この地域は東京府(武蔵国)荏原郡下北沢村であり、世田ヶ谷町への合併を経て世田谷区北沢・代沢になった。概ね現在の北沢一丁目から五丁目および代沢二・三・五丁目並びに四丁目の北東部及び代田五・六丁目の東側のごく一部が、旧下北沢村に該当する。

なお、代沢には、下北沢=旧北沢の一部以外に、代田の飛び地「下代田」等(概ね現:四丁目の一部、一丁目に相当)が編入された(「代沢」の地名はこれらに由来する)。

元々の中心は現在の代沢三・五丁目付近、北沢八幡宮、森巖寺淡島神社分社や代沢小学校のある辺りであり、明治時代の旧版地図には「下北澤本村」の文字が見られるものもあるテンプレート:要出典。現在も茶沢通り沿いに商業地域が形成されている。なお、同神社の例大祭は、現在も当地区最大級のイベントである(村開墾時代についても含めた詳細は、代沢北沢八幡宮を参照)。

起伏のある地形からか、「山谷」のつく字がいくつか見られた(参考:旧版地図テンプレート:要出典)。

1927年の下北沢駅開業後、元々水地域であった同駅周辺(物理的中心に近いが)に商業地が形成され、地域の重心が移って行った。他の部分の宅地化は、帝都線(現:井の頭線)開通、池ノ上などの集落の形成を経て、急速に進んでいった。この急速な宅地化に街路など公共スペースの整備が追いつかずに狭小な街路が目立つ街並みとなり、宅地化後は全体的に大きな変化はなく推移してきた。

宅地化の進む過程で、企業が厚生施設や研修所などを設ける例も散見されたが、近年、急速にこれらの施設の廃止が進んでいる。

1991年4月、世田谷区に5総合支所がオープンし、下北沢には北沢総合支所(舞台芸術に対応した設備のある北沢タウンホール)が設置され、世田谷区北沢地域の中心となっている。

一般施設

など

文化施設

  • 劇場
  • 映画館・ミニシアター
    • 短編映画館トリウッド
  • ライブハウス
    • shimokitazawa GARDEN(500人)
    • 下北沢CLUB 251(400人)
    • 下北沢Era(300人)
    • 下北沢MOSAiC(300人)
    • 下北沢CLUB Que(280人)
    • 下北沢SHELTER(250人)
    • 下北沢BASEMENT BAR(250人)
    • 下北沢ReG(250人)
    • 下北沢GARAGE(200人)
    • 下北沢屋根裏(150人)
    • 下北沢Cave Be(150人)
    • 下北沢Daisy Bar(140人)
    • 下北沢440(120人)
    • 下北沢ロフト(80人)
    • shimokitazawa THREE(80人)
    • 下北沢ラ・カーニャ(80人)
    • 下北沢ColoredJam(45人)
    • 下北沢mona records(40人)
    • 下北沢BIG MOUTH(30人)
    • 下北沢lete(20人)
    • 下北沢offBEAT(20人)
  • ラジオ局

下北沢が舞台の作品

テンプレート:出典の明記

映画
テレビドラマ・アニメ
その他

ただし下北沢を舞台としているのはこのうちの第1章と第4章のみで、第2章は新宿、第3章は駒場東大前である。

下北沢駅周辺地区街づくり

東京都と小田急電鉄は、小田急線の複々線化及び連続立体交差化(地下化)事業を進めている。

以前から下北沢駅周辺の市街地整備について地元商店街や町内会などの要望もあり、世田谷区も入って検討を重ねてきた。これは元々、日用品を求める地域住民等買物客の回遊性や安全性の向上が目的だった。さらに1990年代以降、阪神・淡路大震災等の発生、景観、治安、バリアフリーへの一層の重視、上記連続立体化などの進展などを背景に、区が2006年に策定した地区計画の主な内容は[1]下記の通りである[2]

  • 建築物の斜線制限を緩和することと引き替えに壁面線の指定や高さを規制すること、風俗系の用途の制限などを通じた街なみ景観の誘導等
  • 建築物の壁面後退等を進め、補助54号線や世田谷区画街路10号線の新規整備にも整合させた、防災・防犯性、歩行者回遊性の向上

一方、こうした動きに対し、社会学者の吉見俊哉や音楽家の曽我部恵一らが反対を表明した。また、世田谷区都市計画審議会でも学識経験者らの委員から反対意見があったテンプレート:要出典日本建築学会は、都や区に見直しを求める要望書[3]を提出した。現在は劇団ライブハウスパブスナックを中心に下北沢商業者協議会が組織され、反対運動をしている。なお、この事業は「再開発」と呼ばれる事も多いが、都市再開発法の市街地再開発事業(一種・二種)は計画されていない(2007年5月現在)。

地区計画見直しを求める主張
一部の地域住民・文化人・来街者やそれを対象にした商店主等が主体[4]
  • 補助54号線、区画街路10号線が、北側の商業地を背後の住宅地ごと分断し、商店の集客に係る環境を悪化させる。行政は、片側1車線という事を強調するが、逆に言えば、自動車が走行できない歩道や駐車帯が広く、車道以上に分断を押し進める。
  • 上記道路、壁面線の指定、建物高さ規制の緩和は、農村時代の道路網が残る地における独特の「文化」の破壊をもたらす。
  • 防災に関しては、以下[5]の様に下北沢駅周辺の商店街の危険度は比較的低く(5段階中3程度)、隣接の住宅地の危険度が高く(5段階中4程度)表示されているという矛盾があり、重要性が低い。この問題は、小田急線が地下化した跡地を緑道とする事で十分なものである。
  • 鉄道と路線バス等の連携を理由としたロータリーの設置という地域住民などからの要望は、終電後の時間帯、文化の観点からも、バス停等は駅から離れた場所に分散させた方がよく、不要である。
  • 幹線道路や駅前ロータリー、連続立体化・複々線化は、高層化等と一体のもので、共に集客環境悪化、文化の破壊を進める。
    • 但し、小田急線の連続立体化・複々線化に関しては、梅ヶ丘駅周辺の一部地権者が起こした差止訴訟とは違い、見直しを求める側の一部もそれを前提にした街作りの代案を示している[6]
推進する側の主張
主に行政・一部の商店街の団体・地域住民やそれを対象にした商店主等。
  • 過密した商店街や幅員が狭い道路は高齢者など周辺住民の買物の支障にもなっている。また、見通しが悪く、非常時には緊急車などの進入や緊急避難の妨げにもなり、周辺住宅地に延焼などの混乱が波及する恐れが強く、防災・防犯上の問題がある。
  • 2つの私鉄の急行停車駅である下北沢駅には、バス・タクシーなどのアクセスを考慮した駅前広場及びアクセス道路(区画街路10号線)が必要である。
  • 商店街に隣接する住宅地の居住環境への悪影響があり、都市計画の面からの対応が必要である。
  • 補助54号線の計画は戦前(消滅した自治体である東京府管轄)からあり[7]、路線計画地に隣接する北沢タウンホールの建設時等にも、計画の存在が考慮されている事実があるなど、地域住民には周知されているはずのものである。
  • 見直し派がかつて推奨し採用された地下化であるが、地形面では下北沢駅部分が窪地[8]故に高架化より急勾配になる上、それ相応のスペースが必要になる[9]ために用地面積も高架化に比べ有利とは言えず、地下化も差止訴訟の対象とされている。

なお、世田谷区は2012年2月2日、下北沢駅周辺開発に伴う道路用地買収費として17億5,100万円を計上した平成24年度一般会計当初予算案を発表した。

その他の街づくり

上記の他にも、本地区には地区計画などが定められている箇所がある。

北沢三・四丁目地区 地区計画

下北沢駅周辺地区 地区計画の区域と隣接する。狭い道路が入り組み、木造住宅が建て並ぶ地域であり、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが「震災復興まちづくり模擬訓練」を実施するなど、防災・防犯上の対策が特に求められている状況にある。

世田谷区が1992年に決定した地区計画では、現在、「土地利用の適正化、道路の整備、建築物の不燃化の促進、オープンスペースの確保等、修復型まちづくりを進めながら、快適な居住環境の形成、災害に強い市街地への誘導を図る。」とされている[10]

北沢五丁目・大原一丁目地区 防災街区整備地区計画

北沢五丁目と大原一丁目の各地内が範囲とされている。上記北沢三・四丁目地区 地区計画の区域と隣接する。区域内には中小規模の戸建住宅や共同住宅が多いが、一部に近隣商業地なども見られる。詳細は、大原 (世田谷区)を参照されたい。

注釈

  1. 下北沢駅周辺地区地区計画
  2. 下北沢駅周辺地区街づくり補助54号線も参照
  3. 要望書
  4. 地区計画見直しを求める主張下北沢商業者協議会"まもれシモキタ!行政訴訟の会"Save the 下北沢等。
  5. 世田谷区地震防災マップ
  6. 例えば、Save the 下北沢の代替案は、小田急線の地下化を前提としている
  7. 土木建築工事画報 東京府施行都市計画道路工事(1939年頃の東京都市計画道路図 「東京府施行都市計画道路工事」の項参照)
  8. 東北沢駅(三田用水が通っている様に周りに比べ高い所にある)から下北沢駅までの地形は、平地に設置されている現状の路線でもはっきりとわかる程の下り勾配となっている。
  9. 安全上の問題から地下鉄専用車両にしない限りトンネルのサイズが大きくなる上、昨今の主流であるシールドトンネルは円柱状のために横幅が広くなってしまう。なお、最新の工法では楕円型のシールドトンネルも可能になっているが、円状である事から、来るスペース面の不利(高さは兎も角、幅は大して変わらない)は残ってしまう。
  10. 北沢三、四丁目地区地区計画

外部リンク

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