万歳三唱令

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万歳三唱令(ばんざいさんしょうれい、萬歳三唱令)は、日本万歳三唱の作法を定めた太政官布告と称する、1990年代に出回った偽文書である。明治12年(1879年4月1日施行太政官布告第168号という趣旨の表記がされており一見本物のように見えるが、そのような布告は実在しない。

概説

この文書がいつごろから出回ったかは定かではなく、出所も不明である。1999年にはこの文書に関する報道が見られる[1]。日本の国立国会図書館には1996年ごろからこの文書に関する問い合わせが始まったとのことであり[1]、それ以前から官公庁を中心に出回っていたものと推測される。一部にはその存在を信じた者の発案による実施例も存在し、特に復興主義的団体による実施例[2]や紹介[3]が目立つ。

他の政治的な偽書などとは性質が異なり、万歳の作法上の混乱を招くだけで存在にあまり意味がなく、なぜ作られたのかもよく分からない。ここに定められている万歳の作法は「両手を真上に上げると同時に右足を半歩踏み出す」という一般的でないものとなっており、布告日が書かれていないにもかかわらず番号が打たれている。

本文

世間に出回っている「万歳三唱令」の文言は、漢字や表現などに細かい差があるものの、概ね以下のような内容になっている。

原文例

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要旨

本文
別紙のとおり明治12年4月1日よりこれを施行する。
右を奉じ、勅旨を布告すること。
第一条:発声は、大日本帝国と帝国臣民の永遠の発展を祈って行うこと。
第二条:音頭を取る者は、気力充実・態度厳正を心掛けること。
    唱和の際には、全員心を一つにして声高らかに行うこと。
第三条:細部については別に定める。(実施要領を参照)
実施要領
1.直立不動で両手は指をまっすぐ下方に伸ばし体の側面にしっかり付ける。
2.万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し、同時に両腕を垂直に高々と挙げる。
  その際、両手の指をまっすぐに伸ばし両掌を内側に向けておく。
3.万歳の発声終了と同時に素早く元の直立不動の姿勢に戻す。
4.以上の動作を三度、節度を持ちかつ気迫を込めて行う。

誤解例

衆議院議員木村太郎は、この万歳三唱令を本物の太政官布告と勘違いし、当時の内閣総理大臣鳩山由紀夫が行った万歳三唱について、「正式な万歳とは違うように見受けられた。日本国の首相として、万歳の仕方をしっかりと身につけておくべきだ。首相は作法を知っているか。」という質問主意書2010年平成22年)2月3日提出をし、国会でも質疑を行った[4]。なお、質問主意書への答弁書として鳩山は衆議院議長を通して「万歳三唱の所作については、公式に定められたものがあるとは承知していない。」とした[4]

脚注

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外部リンク

  • 1.0 1.1 「萬歳三唱令」関連記事(福島大学行政社会学部社会心理学研究室)
  • 日本青年社 年に一度の「春風の集い」を発足 平成23年・第1回「春風の集い」(1月16日開催)
  • 日本財団図書館(電子図書館)月刊「吟剣詩舞」2005 6月号
  • 4.0 4.1 テンプレート:Cite web