一中節

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一中節(いっちゅうぶし)は浄瑠璃の一種。また古曲の一。国の重要無形文化財

初代都太夫一中(1650年~1724年)が元禄から宝永ごろにかけて京都において創始した。先行する浄瑠璃の長所を取入れ、当時勃興してきた義太夫節とは逆に、温雅で叙情的な表現を目指したところに特色がある。三味線中棹を用い、全体的に上品かつ温雅、重厚を以てその特徴とする。

当初は上方の御座敷浄瑠璃として出発し、世人にひろく愛好されたが、後に江戸に下って歌舞伎の伴奏音楽としても用いられた。その後、ふたたび主として素浄瑠璃専門となって現代に至っている。上方では早く衰退し、現在では東京を中心に伝承されている。一中節自体ははやい時期に細い流れとなってしまったが、ここから出た豊後節および豊後節三流が邦楽に与えた影響ははかりしれない。

家元・名人

家元は歴代都一中を名乗っている。当代で十二代目である。

近年の名手としては、浄瑠璃に二代目都一広都一いき宇治紫文、三味線に十一代都一中などがあげられる。

また、都一中を家元とする『都派』の他に、箏曲山田流と関係が深い『宇治派』、その他に『菅野派』があり、それぞれに活動している。

一中節は1993年に重要無形文化財に指定され、一中節保存会会員が重要無形文化財の保持者として総合認定された。重要無形文化財保持者として各個認定された者(いわゆる人間国宝)は、浄瑠璃が都一広(二代目)、都一いき、宇治紫文(七代目)、三味線が都一中(十一代目)、宇治文蝶である。以上のうち2010年時点で現役であるのは宇治紫文(七代目)と宇治文蝶で、いずれも宇治派の演者である。

演目

演目は以下のとおりである(主に通称による)。

関連項目

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