ヴェルサイユ宮殿

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テンプレート:Infobox ヴェルサイユ宮殿(ヴェルサイユきゅうでん、フランス語Château de Versailles)は、1682年にフランス王ルイ14世1638年 - 1715年、在位1643年 - 1715年)が建てたフランス宮殿(建設当初は離宮)である。ベルサイユ宮殿とも表記される。

パリの南西22キロに位置する、イヴリーヌ県ヴェルサイユにある。主な部分の設計はマンサールル・ブランによっておこなわれ、庭園はアンドレ・ル・ノートルによって造営された。バロック建築の代表作で、豪華な建物と広大な美しい庭園で有名である。

概要

ヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世が建造した宮殿である。そのため、フランス絶対王政の象徴的建造物ともいわれる。ルイ14世をはじめとした王族と、その臣下が共に住むヴェルサイユ宮殿においては、生活のすべてが絶対王政の実現のために利用され、その結果さまざまなルール、エチケット、マナーが生まれた。

噴水庭園

ファイル:Palace of Versailles.jpg
ヴェルサイユ宮殿(1668年

宮殿よりも噴水庭園のほうが建設にかかった労力は上で、宮殿建設の25,000人に対し、36,000人が投入されている。噴水にはルイ14世の三つの意図が込められている。

「水なき地に水を引く」
ヴェルサイユには近くに水を引く高地がない。ルイ14世は10km離れたセーヌ川の川岸にマルリーの機械と呼ばれる巨大な揚水装置を設置し、堤の上に水を上げさせた。そして古代ローマに倣って水道橋を作って、水をヴェルサイユまで運び、巨大な貯水槽に溜め込んだ。こうして水なき地で常に水を噴き上げる噴水庭園を完成させ、自然をも変える力を周囲に示した。
「貴族を従わせる」
ルイ14世は10歳の時にフロンドの乱で、貴族たちに命を脅かされたことがある。ルイ14世はこの体験を一生忘れず、彼は貴族をヴェルサイユに強制移住させた。
  • 「ラトナの噴水」は、ギリシャ神話に登場するラトナ(レートー)が村人に泥を投げつけられながらも、息子の太陽神アポロンを守っている銅像と、その足元にある蛙やトカゲは神の怒りに触れて村人たちが変えられた像を、模った噴水である。ラトナとアポロンはフロンドの乱の時、彼を守ってくれた母と幼いルイ14世自身を示し、蛙やトカゲに変えられた村人は貴族たちをあらわしている。王に反抗をする者は許さないという宣言を示している。
  • 「太陽神アポロンの噴水」は、アポロンは天馬に引かれて海中から姿をあらわし、天に駆け上ろうとしているものを模った噴水である。アポロンはルイ14世自身をあらわし、彼が天空から地上の全てを従わせると示している。
「民衆の心をつかむ」
ルイ14世は民衆の誰もがヴェルサイユに入るのを許し、民衆に庭園の見方を教える「王の庭園鑑賞法」というガイドブックを発行した。それには「ラトナの噴水の手前で一休みして、ラトナ、周りにある彫刻をみよ。王の散歩道、アポロンの噴水、その向こうの運河を見渡そう」と書かれている。民衆は、ガイドブックに従って庭園を鑑賞することで、貴族と自然を圧倒した王の偉大さを刷り込まれていった。夏、ヴェルサイユでは毎晩のように祭典が催され、訪れた民衆はバレーや舞劇に酔いしれた。

沿革

  • 1624年 ルイ13世の狩猟の館として建てられる
  • 1661年-65年 ルイ14世が建築家ル・ヴォーを招き、増築(同じ頃、ルーヴル宮殿の改築も計画されていたが、王がヴェルサイユの方を気にいったため、ルーヴル宮殿の計画は縮小された)
  • 1667年-70年頃 ル・ノートルによる造園
  • 1675年-82年 セーヌ川にダムを築き噴水工事
  • 1668年- ル・ヴォーによる第二次の増築

マンサールによる増築、鏡の間を造る(天井画はル・ブランによる)

  • 1699年-1710年 礼拝堂建設
  • 1753年-70年 オペラ劇場建設

構造

儀式や外国の賓客を謁見するために使われた鏡の間は、1871年ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世の即位式が行われ、また第一次世界大戦後の対ドイツとの講和条約であるヴェルサイユ条約が調印された場所でもある。鏡の間にはたくさんの銀製品が飾られていたというが、ルイ14世は晩年になって、スペインとの王位継承争いが続いて戦費の捻出に困り、破産を免れるためにこれらを売って戦費に充てたという。

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準における以下の基準を満たしたと見なされ、登録がなされた(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。テンプレート:世界遺産基準/coreテンプレート:世界遺産基準/coreテンプレート:世界遺産基準/core

ヴェルサイユの宮殿の姿

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その他

上空から見ると宮殿脇の庭園の一部がミッキーマウスの顔と酷似している。これは衛星写真の映像を見た人の指摘で判明した。このことは2007年1月27日放送回、「土曜プレミアム」枠で放送されたバラエティ番組トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜」(フジテレビ系列)で『ヴェルサイユ宮殿の庭園を上空から見ると、あのネズミに見える』と紹介された。重要文化財であるヴェルサイユ宮殿の上空は飛行禁止であったため、フジテレビの問い合わせに対し宮殿の管理を行う関係者は、「全く知らなかった。こんな変な問い合わせをしてきたのは、あなた達が初めてだ。」と驚いた様子が放送された。 

関連項目

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外部リンク

テンプレート:フランスの世界遺産

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