ヱビスビール

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『ヱビスビール』各種(2009年現在)
ファイル:YEBISU CREAMY STOUT SAPPARO JAPAN JUNE 2012 (7456188018).jpg
ヱビス・スタウト・クリーミートップ

ヱビスビール(ゑ〈え〉びすびーる、恵比寿ビール、戎ビール、YEBISUとも)は、サッポロビール株式会社の麦芽100%のビールのブランド名。プレミアムビールに分類される。

概要

サッポロビールの前身である日本麦酒醸造會社に、ドイツ人技師カール・カイザーを招聘して醸造されたビール[1]。当時の名称は「恵比寿麦酒」だった[1]。当初は「大黒天」から命名しようとしていたが、横浜に既に「大黒ビール」が存在したために「えびす」(恵比寿) を採用したという経緯が見られる資料が2000年代に発見されている[1]

恵比寿麦酒は、1900年代には既に世界的な評価を獲得している[1]

1943年昭和18年)にビールが配給制になり、名称が「麦酒」に統一されたことで一旦消滅するが、1971年(昭和46年)に復活した。1980年代前半に低迷期に陥ったが、1986年(昭和61年)にパッケージデザインの変更と中味の生ビール化、1988年(昭和63年)に漫画美味しんぼ」の「五十年目の味覚(後編)」(単行本第16巻)で取り上げられたことなどが契機となり、売上が回復し伸びていった[2]。長期間に亘りプレミアムビール市場の首位銘柄となっていたが、2000年代中盤にサントリーザ・プレミアム・モルツが急成長した影響を受け、サッポロビールは2006年平成18年)からヱビスブランドのテコ入れに着手し、同年10月にはヱビスブランド戦略部を立ち上げて「ヱビス」の名を冠した商品を複数販売する展開を始めた[2]

恵比寿のマークそのものがブランド表示とされ、サッポロビール商品には(他社ライセンス商品を除き)必ずあしらわれるシンボルの「星(★)」が、ヱビスビールには付されない。

商品構成

  • ヱビスビール(スタイルドルトムンダー
  • シルクヱビス(ドルトムンダー+小麦麦芽)
  • ヱビス プレミアムブラック(スタイルはシュヴァルツビール。2013年5月にヱビス<ザ・ブラック>をリニューアルし名称変更)
  • ヱビス〈ザ・ホップ〉(東日本大震災の影響で、販売を休止するも、出荷再開を断念し、通年販売終了。その後2012年4月4日に、チェコ産「エリートザーツホップ」を一部使用し、数量限定アンコール発売)(スタイルはピルスナー
  • 琥珀ヱビス(缶は10月-12月の期間限定で、樽生は北海道以外で通年販売)(スタイルはアンバー)
  • ヱビス超長期熟成(2005年と2009年に限定発売)(スタイルはドルトムンダー)
  • ヱビス・スタウト・クリーミートップ(2009年7月3日より業務用の樽生限定発売。320ml缶は2012年9月5日より数量限定販売(8月1日よりコンビニエンスストアで先行発売))(日本のビールに関する定義[3]においてスタウトに分類されるが下面発酵でシュバルツに近い)
  • ヱビスASUKA CRUISE(日本郵船グループのクルーズ客船飛鳥II」の船内限定)(スタイルはドルトムンダー)
  • 薫り華やぐヱビス(2013年2月20日から限定発売/フランスシャンパーニュ地方の麦芽とネルソンソーヴィン種のホップを使用したジョエル・ロブションとの共同開発商品)(スタイルはドルトムンダー)

歴史

  • 明治に入り急速に欧米化しビールも浸透したが粗悪品が出回る。[4]
  • 1887年 (明治20) 中小の資本家がドイツ人技師を招いて本場の味を再現すべく日本麦酒醸造會社をつくる。[5]
  • 1888年(明治21年)三井物産会社が資本参加。大掛かりな設備を要するビール事業を後押し。[5]
  • 1889年(明治22年)10月 日本麦酒醸造会社の工場竣工(現在の恵比寿ガーデンプレイス)[5]
  • 1890年明治23年)2月25日 - 当時の日本麦酒醸造會社より「惠比壽麦酒」が発売[1]。発売直後から人気があり、すぐに東京を代表するブランドとなる[1]。このとき「惠比壽麦酒」はドイツ人技師カール・カイザーを招聘して醸造された[1]。価格14銭(およそ現在の3000円)[4][6]
  • 1890年(明治23年) - 上野にて開催された内國勸業博覧會にて「最良好」の評価を得る[1]
  • 1894年(明治27年)12月12日 - 「惠比壽黒麦酒」を追加。
  • 1895年(明治28年)日清戦争により売れ行き増。増産体制を整え、生産量が国内トップになる。[4]
  • 1899年(明治32年)初のビアホール、「恵比寿ビールBeer Hall」人気となる[4]。つまみは大根スライス、エビ、フキ佃煮、エンドウ豆など。[7]
  • 1900年(明治33年) - パリ萬國博覧會にて出品30カ国の中「金賞」受賞[1][4]
  • 1901年(明治34年)売れ行きよく、荷馬車の配送追いつかないため、出荷用貨物駅をつくる。[5]
  • 1904年(明治37年) - セントルイス萬國博覧會にて「グランプリ」獲得[1]
  • 1906年(明治39年)札幌麦酒(サッポロビール)、日本麦酒(エビスビール)、大阪麦酒(アサヒビール)が合併し、大日本麦酒株式会社設立、エビスブランドは継続。[5]
  • 1941年昭和16年)12月8日 開戦。次第に、大麦・ホップが入手困難。電力・石炭の不足。
  • 1943年(昭和18年)3月1日 - ビールが配給制となり、商標も各社共通の「麦酒」に統一されて一旦消滅。[4]
  • 1971年(昭和46年)12月10日 - 28年振りにエビスブランド復活。国産で麦芽100%、唯一のプレミアムビール。瓶入。[4]
  • 1972年(昭和47年)缶ビール発売。一般に受け入れられず、鉄道弘済会を通じ旅行客向けに販売。採用した金色は現在も使用するブランドカラー。[4]
  • 1983年(昭和58年)生ビール化し、メタリック赤色に金の枠、小さな恵比寿像に、「生」の文字。ブランドより生ビールを押し出す形。[4][8][9]
  • 1986年(昭和61年) - 金ラベル復活、イラスト化された恵比寿像。生ビールは普通となり、伝統とモダンを強調するブランドの再構成が行われる。[4]
  • 1988年(昭和63年)7月20日 渋谷区近辺の都市化や、郊外への工場移転が進んだことに伴い恵比寿工場閉鎖。
  • 1991年(平成3年) - 現在とほぼ同じデザインに変更[10]。高級感、高品質感を高める意図で、ビールに近い深みのある金マット地、絵画的表現に戻された恵比寿像、ロゴにややクラシカルなセリフ体などを用いている。[4]
  • 2003年平成15年)5月28日 - 「ヱビス〈黒〉」を追加(60年振りに復活)。
  • 2005年(平成17年) - 「ヱビス超長期熟成〈至福の贅沢〉」が限定で発売[11]
  • 2006年(平成18年)
    • 「むかし惠比壽」プレゼントキャンペーンを実施
    • 12月商戦に「琥珀ヱビス」[12]を限定発売。
  • 2007年(平成19年)
    • 3月7日 - ヱビス〈黒〉の商品名を「ヱビス〈ザ・ブラック〉」に改名。
    • 4月3日 - 日本最大のクルーズ客船飛鳥II」の船内限定オリジナルヱビスビール「ヱビス ASUKA CRUISE まろやか熟成 」を発売。
    • 4月4日 - 「ヱビス〈ザ・ホップ〉」を追加。
    • 12月商戦に「琥珀ヱビス」を限定発売。
    • 首都圏1都3県の飲食店向けに「琥珀ヱビス」の樽生10Lを通年発売。
  • 2008年(平成20年) - 前年に続き、12月商戦に「琥珀ヱビス」と新たに「琥珀ヱビス」ギフトを限定発売。
  • 2009年(平成21年)
    • 3月4日 - 「シルクヱビス」を限定発売。
    • 7月3日 - 「ヱビス スタウト クリーミートップ」を樽生限定発売。
  • 2010年(平成22年)
    • 2月24日 - 「シルクヱビス」を通年販売化
    • 2月25日 - 4月20日 - 生誕120年を記念して醸造された「匠ヱビス」プレゼントキャンペーンを実施
    • 6月2日 - 「ヱビス超長期熟成」を限定発売
    • 9月8日 - クルーズ客船飛鳥II」の船内限定オリジナルヱビスビールだった「ヱビス ASUKA CRUISE まろやか熟成 」を、缶ビールとして全国で限定発売
  • 2011年(平成23年)
    • 2月23日 - 「シルクヱビス」の味とパッケージをリニューアル
    • 3月頃 - 「ヱビス〈ザ・ホップ〉」の通年販売終了(東日本大震災の影響で、販売を休止するも、出荷再開を断念)
  • 2012年(平成24年)
    • 2月25日 - 生誕122周年を機に2月25日を「ヱビスの日」と制定。1890年2月25日発売当時のレトロラベルデザイン缶限定復刻販売。
    • 4月4日 - 「ヱビス〈ザ・ホップ〉」をチェコ産「エリートザーツホップ」を一部使用し、数量限定アンコール発売
    • 9月5日 - 「ヱビス スタウト クリーミートップ」の320ml缶を数量限定販売(8月1日よりコンビニエンスストアで先行発売)。
    • 10月22日 - 11月2日 -「ヱビス一年熟成」1,000セットWEB限定発売の抽選を行う。
  • 2013年(平成25年)
    • 2月20日 - 「薫り華やぐヱビス」を限定発売。
    • 5月22日 - 「ヱビス<ザ・ブラック>」を「ヱビス プレミアムブラック」に全面リニューアルし発売。
  • 2014年 (平成26年)
    • 缶のデザインのマイナーチェンジ。rを筆記体からブロック体に変える。恵比寿像を大きく、能書きの色を薄めるなど。[4]

原材料

栄養成分(350mlあたり)

その他

  • 当時は工場が東京府荏原郡三田村(現・東京都目黒区三田)にあった[1]。当初は馬車で積み出されていたが、販売量の増加に伴って1901年(明治34年)には出荷専用の貨物駅「恵比寿停留場」が作られた[1]1906年(明治39年)に貨物駅「恵比寿停留所」のそばに作られた旅客駅が「恵比寿駅」である[1]渋谷区に存在する地名「恵比寿」はヱビスビールが由来となっている[1]。また、これにちなんでJR東日本恵比寿駅の発車メロディには、ヱビスビールのCMソングである第三の男が導入されている。
  • アサヒフードアンドヘルスケアのビール酵母「エビオス」はヱビスビールより名付けられたものである。戦後の大日本麦酒分割時にエビオスがアサヒビールに承継されたため、ビールとは会社系列が異なる状態になってしまった。
  • ラベルの様はを一匹抱えているが、ヱビスビールの瓶製品、大・中・小ビンの中で、数百本に一つの確率で後ろの魚籠にも鯛が入っているものがある。これをラッキーヱビスという。2007年8月17日放映の「ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説」(テレビ東京系)において、サッポロビールはラッキーヱビスの存在を認めている。缶製品では、2010年7月28日に、「商売繁盛!ラッキーヱビス缶」というラッキーヱビスをデザインした商品が発売される。
  • 戦前、中国の大連で「ヱビスビール」が販売された事があったが、ほとんど売れなかった。その原因は、この地域が日本の支配下に置かれる前はロシアの影響を強く受けていた地域であり、ロシア語では女性器を意味する言葉に「ヱビス」の発音が近かったことから、忌み嫌われたためであるとされている。
  • 発売は1890年(明治23年)だが、ラベルに書かれているのは当時の日本麦酒醸造会社が設立された1887年(明治20年)になっていて、戎様を挟んで(左から)「BORN」「1887」と書かれている。
  • の文字はワ行に属するのにローマ字表記はWEBISUあるいはEBISUではなくYEBISUとヤ行になっているが、これは古いローマ字のつづり方で・ヱのどちらもyeとつづることがあった名残である。日本円Yenと表記するのも同じ理由である。かつては江戸Yedoとつづったこともあった。
  • ヱビスビール公式サイトでは、2009年(平成21年)より「Y列車で行こう!」を展開。その中で、YEBISU特製駅弁「ヱビス亭」という高級駅弁を企画化し、第一弾「暑中乃膳」は2009年(平成21年)7月18日から一部のJR駅構内で1,000個限定で発売され、連日行列ができる人気企画となった。また、第二弾「仲冬乃膳」は、2009年(平成21年)12月5日から一部のJR駅構内で600個限定で発売され、こちらも大人気を博した。
  • 東京・恵比寿には、ヱビス誕生120年を記念した「ヱビスビール記念館」がある。

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 テンプレート:Cite book
  • 2.0 2.1 テンプレート:Cite web
  • テンプレート:PDFlink
  • 4.00 4.01 4.02 4.03 4.04 4.05 4.06 4.07 4.08 4.09 4.10 4.11 日経デザイン2014.7
  • 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • ヱビスビール記念館
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • 基本デザインは変わっていないが、小変更はその後行われている。2001年頃に大瓶のラベルがやや大きくなり、缶では1993年に下部の表記を変更(容量「350ml若しくは500ml」から現在の「麦芽100% ヱビスビール〈生〉」へ)し、2007年に缶がつや消しになり、地色の金色も以前より黄色っぽくなり、2011年に入り、全体のバランスを修正し、2012年2月頃に缶の右下に誤飲防止のための「お酒」表示が入る
  • 2008年にはキャンペーン賞品として再度限定醸造
  • 通常のヱビスビールに厳選したクリスタル麦芽を追加した琥珀色の特別版