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'''ロブサン・ランパ'''('''Tuesday Lobsang Rampa'''、[[1910年]][[4月8日]] – [[1981年]][[1月25日]])は、[[偽書]]『'''第三の眼'''』(だいさんのめ、The Third Eye)の著者として知られる人物。本名は'''シリル・ヘンリー・ホプキンズ'''(Cyril Henry Hoskin)で、後述する様に生粋のイギリス人である。 ==略歴== ===『第三の眼』出版=== [[1955年]]夏、ロブサン・ランパと名乗る剃髪姿の人物が[[ロンドン]]のセッカー&ワーバーク社に姿を現し、自らの生い立ちを執筆したので出版させて欲しいと[[重慶大学]]の(英文で書かれた)紹介状を携えて話を持ちかけた。彼は、日本軍と[[中国共産党]]軍に迫害されて英国に脱出してきた[[チベット]]の高位[[ラマ僧]]との触れ込みで身の上を紹介し、以下の様な経歴を主張した。 *[[1938年]]、[[中華民国|中国]]空軍の軍医として[[日中戦争]]に従軍中、撃墜されて捕虜となるが脱走。 *[[1944年]]、[[ミャンマー|ビルマ]]で日本軍の捕虜となり、[[広島市|広島]]の収容所で拷問を受けるが、[[原子爆弾|原爆]]投下のどさくさにまぎれて脱走。 *漁船を盗んで[[朝鮮半島]]に渡り、[[シベリア鉄道]]で大陸横断を企てるも[[モスクワ]]で[[ソビエト連邦|ソ連]]兵に逮捕される。 *監禁、投獄、国外追放された後、[[ポーランド]]、[[ドイツ]]、[[フランス]]、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]を放浪。 *[[1951年]]にイギリスに亡命する。 ランパの持ち込んだ原稿には、当時秘密のベールに包まれていたチベットの異国的な様々な習俗が紹介されていた。例えば「大きな凧に乗って空を飛ぶ」、あるいは「額に開孔手術をうけ、銀色の木片を挿入された。それにより神秘的な'''第三の眼'''が開いた」などである。しかし原稿が英語(それも庶民が使う様なスラング交じりの英語)で書かれていた上に、編集者が[[チベット語]]について幾つか質問してもランパは全く答えられなかった<ref>もっともランパは、日本軍に拷問された際に(秘密を守るために)超能力で敢えて記憶を消去した、と答えている。</ref>。だが『第三の眼』は、「チベットのラマ僧が生い立ちを語る」の副題をつけて、[[1956年]]にセッカー&ワーバーク社から出版され、世界中で[[ベストセラー]]になった<ref>日本語訳も翌[[1957年]]に、[[今井幸彦]]訳で『第三の眼―秘境チベットに生まれて』として[[光文社]]から出版されている。</ref>。 ===判明した正体=== しかし『第三の眼』の刊行直後から専門的なチベット研究家から記述内容に疑問が呈された上に彼の経歴についても疑いが生じ、私立探偵クリフォード・バージェスによってランパの来歴が調査された。その結果は、ランパ自身が語っていたのとは著しくかけ離れたものであった。 ランパことホプキンズは、[[プリマス]]近郊に水道工事業者の息子に生まれ家業を継いでいた。心霊現象やオカルト特にチベットや中国の神秘思想に深い関心を抱いていたが、中国やチベットを訪問していないばかりかイギリスを出国したことすらなかった。だが、ホプキンスは'''カール・クアン・スオ'''博士を自称して心霊現象の著作や小説を書き、彼方此方の出版社に売り込んでいた<ref>その際、チベット生まれのラマ僧を名乗っていたと言われる。またある心霊雑誌の編集者は、ホプキンスが中国空軍で教官を務め[[パラシュート]]の事故で重傷を負ったと聞いている。</ref>。 この事実が暴露されると、ランパ=ホプキンスは「脳震盪を起こした際にラマ僧のロブサン・ランパが自分に乗り移って書いたものだ」と弁解、続編として『ラサの賢者』『ランパ物語』などを上梓するものの、あごひげを生やして剃髪したラマ僧姿の写真を公開したところ専門の研究者から「ラマ僧がひげを生やすことはありえない」などの厳しい指摘を受け、薮蛇となった。ただ、超心理学的現象のなかには、憑依現象がいくつも見うけられ、ロブサン・ランパにチベットの僧が乗り移ったのではないかという説もある。実際楽屋裏が公開されてからも支持はそれほど失ってはいない。その後[[アイルランド]]から[[カナダ]]へ移住し、[[1973年]]にカナダへ帰化。同地で没した。 == 邦訳一覧 == * 『第三の眼―あるラマ僧の自伝』 白井正夫訳、[[講談社]]、1979年。<ref>光文社版の新訳再刊。</ref> * 『われわれは[[空飛ぶ円盤|円盤]]に乗った―3つの驚異的コンタクト』 ([[未確認飛行物体|UFO]]同乗記! ホプキンズの声明文なども収録) 宇宙友好協会、[[1959年]]。 * 『古代の洞窟―チベット少年僧の不思議な物語』 ISBN 4886399991 ==註== <references /> == 参考文献 == * A Multilingual comprehensive website dedicated to Dr. Lobsang Rampa in [http://www.lobsangrampa.org/index.html English], [http://www.lobsangrampa.org/espana/index.html Spanish], [http://www.lobsangrampa.org/francais/index.html French] that has all 19 books in those languages and a list of [http://www.lobsangrampa.org/titles.html 20 other languages]. * [[コリン・ウィルソン]]、[[ドナルド・シーマン]] 関口篤訳『世界醜聞劇場』[[青土社]]、[[1993年]]。ISBN 4791752570 * [[種村季弘]] 『アナクロニズム』 青土社、[[1979年]]。ISBN 4309401090 * [[種村季弘]] 『アナクロニズム』 河出文庫、[[1985年]]。ISBN 4309401090 {{DEFAULTSORT:らんはろふさん}} [[Category:1910年生]] [[Category:1981年没]] [[Category:イギリスの著作家]] [[Category:ニューエイジに関連する人物]] [[Category:身元詐称者]]
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