ライブハウス

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テンプレート:複数の問題 ライブハウスは、ロックジャズなどのライブやその他イベントを行う、比較的小型で立ち見中心のコンサートホール、又は可動式テーブル席を置く飲食店のこと。俗に「ハコ」(箱)とも呼ばれる[1]

概要

明確な定義はなく例外はあるが、概ね以下の様な特徴を持つ。

  • 固定式の座席を設置せず、必要に応じて可動式の椅子やテーブルを配置する。
  • 入場料とは別にドリンク代が必要。
  • 背景の変更、セリ(迫り)や回り舞台など、大掛かりな舞台装置は持たず、スモークと色付き照明でステージを演出するが、店によってはスモークも使わないところもある。
  • 通常、音響装置や照明装置は店に備え付けの物を使うので、出演者の機材持ち込みや会場設営の労力が最小限で済む。店によってはグランドピアノドラムセットなどを用意している所もある。
  • コンサートホールの場合は客席内がすべて禁煙だが、ライブハウスでは店によって禁煙の所と喫煙可の所が明確に分かれる。小規模のライブハウスなどは分煙もまともに行われていない事が多いために、紫煙が舞っている中での鑑賞という事も少なくないが、最近ではその様な店を避ける観客も増えたため、完全禁煙のライブハウスも増加傾向にある(主なライブハウスを参照)。
  • ロック系など、音の大きい演奏の多い店は、防音上の理由から地下に出店しているものが多い。
  • 店によっては撮影・録画・録音を禁止しているところもある。

比較的大型で着座式のコンサートホールでは、ステージが観やすい様に、観客席が固定されるフロアが階段状になっているのに対し、ライブハウスの場合、特に1階では段差がないか、或いは数段しかないフロアとなっている。

近年主流のクラブの形態に倣い、DJ機器の常設店増加と共に、深夜から早朝にかけてのクラブ的イベントを開催するライブハウスも増加傾向にある。逆にライブハウスを拠点としていたバンドがクラブでイベントを開催する事も増加した。現在ではライブハウス(バンド)とクラブ(DJなど)との間の線引きは困難になりつつある。

ライブハウスは和製英語であると同時に日本固有の業態であり、英語では日本語で言うクラブとしての機能を兼ねたものを大きさによりClub(クラブ)、Hall(ホール)、Ballroom(ボールルーム)などと言う(『Live house』では「生き物のいる家」或いは「動物園」と受け取られてしまう)。

ライブハウスで行うライブは、俗に「箱ライブ」と呼ばれる[1]。特に路上ライブインストアライブ、ライブハウスには分類されない大型のホールやドームで行うライブとの違いを明確にしたい文脈で、この言葉が用いられる。

初めて「ライブハウス」と呼ばれたのは、1973年に京都市上京区に開店した「コーヒーハウス拾得(じっとく)」であるとされる[2]。「ライブ」と「コーヒーハウス」の合成で「ライブハウス」と呼ばれるようになった[2]

場内での飲食について

場内で提供される飲食物は、店によってペットボトル飲料のみの様な所からスパゲッティなどの軽食を調理して提供する所まである。通常は生ビール又は缶ビール、簡単なカクテルソフトドリンクを用意する店が多い。なお、かつて存在していた「日清パワーステーション」は母体が食品メーカーの日清食品Rockin' Restaurantのキャッチフレーズを採用し食事メニューが豊富に用意され、コースメニューを提供するディナー席も用意されていた。

ライブハウス用語

対バン
複数のバンドが入れ替わりで出演する形式、又はその相手のバンドの事を言う。通常それぞれのバンドがステージ上で共演する事はないが、イベントライブでは複数のバンドでのセッションを行う事もある。
チャージバック制
チケットチャージに対して、集客数や料金相応の配分率を決め店と出演・企画者と売り上げを分ける方法。ライブハウスもリスクを背負うために店なりのカルチャーを持っているところが多い。入場時にどのバンドが目当てで来店したかの確認が行われる事もある。
ノルマ制
出演するバンドにチケット売り上げのノルマを設定し、集客に関係なく出演者・企画者に金銭が発生する場合がある。ライブハウス側はあまりリスクを背負わないため、まだ固定客がいない初心者のバンドには出演しやすい条件ともいえる。
ワンドリンク制
入場時に入場料金の他に1杯分のドリンク代を事前徴収するシステム。ドリンク代は純粋に店の売り上げになる。2杯分を徴収する場合もあるが、その場合はツーオーダー制と呼ばれる事もある。軽食なども対象になる場合や、事前に料金を徴収せずにワンオーダー以上を義務付け、店を出る際に精算するシステムの店もある。一部のライブハウスでは未成年者の飲酒防止対策としてソフトドリンクアルコールのチケットを分けている所もある。
ドネーション制
入場料金は徴収せず、バンドの演奏を見た客がそれに見合った金額を投げ銭として支払うもの。ミュージシャンの下限金額が設定されている場合もあるが、全く気に入らなかった場合は1円も支払わなくていいシステムもある。主に路上で行われるストリートライブなどでバンドがギターケースのふたを開けてライブを行い、そこに客が賽銭の様に小銭を投げ入れる仕組みを採用したもの。チャージバック制・ノルマ制・ワンドリンク制は必ず入場料が発生するのに対し、入場料はかからないため、客にとっては気軽に演奏を聞く事ができる。その一方で、バンドにとっては気に入ってもらえれば予想以上の金額を得る事ができるが、その逆も起こりうるのでリスクを背負うとも言えるが、ある一面評価を金で計る事ができるので腕試し的な要素もある。
パブタイム
ライブ終了後に行われる飲食営業のこと。但し、一般の客というより、出演者の打ち上げになることが多い。この時間に色々な企画が生まれる事も多く、パブタイムの盛り上がりがライブハウスのバロメーターとも言える。
モッシュ
観客が体をぶつけ合って押しくらまんじゅう状態になる事。
ダイブ
密集した観客の頭上に出演者が飛び乗る事。そのまま密集した観客の頭の上を前方へと転がる様に移動していくことをクラウド・サーフィングという。危険行為とされ、上記のモッシュと共に禁止されている場合もある。

出典

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関連項目

外部リンク

  • ライブウォーカー
  • ライブ部 - ライブハウス検索専門のサイト。全国のライブハウスやコンサートホールの場所や規模を調べることができる。

テンプレート:音楽

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  1. 1.0 1.1 日本語俗語辞典 2012年8月4日閲覧
  2. 2.0 2.1 朝日新聞南京都版 2013年5月11日付け。朝日新聞デジタルの記事(有料)