ユリアーキオータ門

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ユリアーキオータ門Euryarchaeota、ユーリ古細菌、エウリ古細菌、ユリアーキア/Euryarchaea)は、メタン菌高度好塩菌を中心とした古細菌の分類群である。この他にも超好熱菌や好熱好酸菌、硫酸還元菌、嫌気的メタン酸化菌など多様な生物が含まれており、既知の古細菌の8割以上が分類される。下位分類としては7綱が記載され、原核生物の門としては最大の多様性を持つ。

1984年にレイクが古細菌界として定義したものである[1]1990年カール・ウーズが16SrRNA配列に従いユーリ古細菌界として再定義した。他の古細菌グループとは基本的に16S rRNA系統解析によって区別されており、形態・細胞表層構造、代謝系は非常に多様である。幅広い極限環境に適応していることから、ギリシャ語のευρυς(ラテン文字:eurys;エウリュス、意味:広い)にちなんで命名された。

特徴

16S rRNA系統解析により定義された門であり、共通する性質は乏しい。クレン古細菌との比較では、やや真正細菌寄りの細胞骨格細胞分裂機構を持っている。Cdv機構の代わりにZリング関連タンパク質(FtsZMinなど)があり、MreBを持つものも多い。転写関連遺伝子(RpoG、Rpc34、Elf1)やリボソームタンパク質(S25e、S30e、L13e、L38e)のいくつかを保有しないことも特徴である。

メタン菌の系統が多く、主要8綱のうち4綱がメタン菌のみから構成され、1綱がメタン菌を1部含み、1綱がメタン菌ではないもののメタン生成経路を備えている。高度好塩菌メタノミクロビウム綱の姉妹群とされる。メタン菌は全てこのユーリ古細菌に含まれる。

分類

この他にメタン酸化古細菌(ANME-1、ANME-2。おそらくメタノミクロビウム綱に近縁)を代表とした未培養系統が多数残されている。

参考文献

脚注

  1. ここで言う古細菌界は、現在でいうクレン古細菌などを含んでいない。クレン古細菌はエオサイト界として独立の界が与えられ、真核生物の祖先として想定する(エオサイト説)。一方、古細菌界(ユーリ古細菌)は細菌の祖先に位置付けられていた