ユカタン半島
ユカタン半島(ユカタンはんとう、Península de Yucatán)は、メキシコ、グアテマラ、ベリーズにまたがり、メキシコ湾とカリブ海との間に突き出ている半島。
地理
石灰岩からなる非常に広大な台地であり、カルスト地形が発達している。雨は、土に染み込んで地下水脈を流れ、その一部はセノーテとして湧き出している。地上に川はない。北西端チクシュルーブの地底深くに、恐竜の絶滅ないし中生代の終焉(K-T境界)をもたらしたとされる隕石によるクレーター(チクシュルーブ・クレーター)が沈んでいる。マヤ文明の遺跡が多い。
メキシコにおいては最も新しく形成された地域で、大部分が森林地帯から成る。行政的にはユカタン州、カンペチェ州、キンタナ・ロー州の3州が占める。ベリーズやグアテマラも、この半島の一部に国土が及んでいる。なお、元々キューバとユカタン半島とは地続きであったが、後に現在のユカタン海峡に相当する部分が海没して現在のように切り離された。
他のカリブ海地域同様大西洋ハリケーン帯に位置する。平坦なため暴風の影響を受けやすく、2005年はカテゴリー5のエミリーとウィルマが観光地を襲った。
雨の日は少なく4月で7%、10月でも最大25%である。風はあっても湿度が高い。半島を占めるのは熱帯の密林であるが、森林破壊が進んでいる。
語源
ユカタンとは現地の言葉で「お前の言っていることが解らない」を意味するYuk ak katán(あるいはMa' k u'uyik a t'àani')に由来すると言われている。交易商人が地名を聞いたときに現地人が答えたものを勘違いして伝えてしまったのが語源であると広く信じられているが、正確な語源については諸説がある。
地質
ユカタン半島はより広いユカタン卓状地が地表に露出した部分で、全体が石灰岩、苦灰岩、蒸発岩で出来ている。従ってカルスト地形が見られ、北部低地にはセノーテと呼ばれるドリーネが広く分布する。アルバレス仮説によると白亜紀末に小惑星が衝突し、これが生物の大量絶滅を引き起こした。北の海岸町のチクシュルーブ沖合に衝突クレーターの中心がある。衝突の衝撃波の痕が地下1kmにある6550万年前の岩石に残り、地表でもNASA衛星画像によりセノーテ・リングとして知られるようになった。
経済
近代の初めまで放牧、材木伐採、チクルとエネケンの生産が主要産業であった。エネケンから採れるサイザル麻の名前はユカタン州の積出港サイザルに由来する。70年代に合成代用品の出現でチクルとエネケンの需要が減退したため、半島とくにキンタナ・ルー州は観光産業を目指した。北東部の貧しい漁村だったカンクンは今や大発展している。東海岸カンクンとトゥルムの間にあるリビエラ・マヤにも多数のホテルがあり、年間数百万人が訪れる。最も有名な場所は自然環境公園を擁し、マヤ遺跡があるプラヤ・デル・カルメンである。