メルシャン
テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox メルシャン株式会社は、東京都中野区中野四丁目に本社を置く、酒類の製造販売をおこなう企業である。
概要
味の素の創業者として知られる鈴木三郎助の次男・鈴木忠治が、化学調味料製造の際に発生する大豆粕を原料にアルコール・合成清酒製造を目的として1934年(昭和9年)に「昭和酒造株式会社」として設立。川崎に工場を竣工し、合成清酒「三楽」の製造を開始。その後は合成清酒や焼酎を製造する傍ら、飼料や抗生物質なども生産。有するブランド「三楽」を冠し、世に製品を送り出してゆく。1949年には「三楽酒造株式会社」と社名変更。
1961年には、当時山梨県甲州市勝沼でワイナリーを経営していた日清醸造を買収し、同社が有していたブランド「メルシャン」を傘下におくと、これを契機にワイン事業に参入。翌年には軽井沢でウイスキーの製造を行っていたオーシャン(大黒葡萄酒)を買収し、事業を拡大。同社のブランド「オーシャン」も傘下に置くと、サントリーを追随する形で総合洋酒メーカーに転身。1970年にはワイン「シャトー・メルシャン」を発売し、ワインを専門分野とする一方、1980年代は酎ハイブームの到来と共に、サワー系飲料、また「ピーチツリーフィズ」などのカクテル製品を今日まで生産を続けており、この分野での知名度も高い。 1990年には社名を現在の「メルシャン株式会社」に変更。
長年に渡り、味の素の創業者である鈴木一族が筆頭株主だったこともあり、同一族の影響の強かったが、1997年の総会屋への利益供与事件に伴い、当時の味の素の社長だった江頭邦雄が「脱鈴木体制」を掲げたことから、同社もそれに追随する形で体制を改善、強化すると共に、2006年11月、麒麟麦酒(現・キリンホールディングス)との資本・業務提携を発表。同年11月17日から31日間実施された麒麟麦酒による友好的TOB(取締役会賛同の株式公開買付け)により、麒麟麦酒の連結子会社となった。翌2007年7月1日、旧・麒麟麦酒が持株会社に移行し、メルシャンはキリングループのワイン事業の中核となった。なおTOBには主要株主として、同根企業の味の素も参加している。
かつては酒類、加工用酒類に加え、医薬・化学品、飼料も扱っていたが、現在は撤退して酒類カンパニーに特化している(沿革欄参照)。
沿革
- 1934年 - 昭和酒造株式会社創立、本社を東京に置く。
- 1935年 - 川崎工場竣工、アルコール製造開始。
- 1941年 - 昭和農産化工株式会社と社名変更。
- 1949年 - 三楽酒造株式会社と社名変更。
- 1961年 - 日清醸造株式会社を吸収合併、「メルシャン」ブランドを傘下に。
- 1961年 - 大和醸造株式会社を吸収合併。
- 1962年 - オーシャン株式会社を吸収合併、「オーシャン」ブランドを傘下に、三楽オーシャン株式会社と社名変更。
- 1965年 - 東邦酒類株式会社を吸収合併。
- 1985年 - 三楽株式会社と社名変更。
- 1990年 - 本場中国の紹興酒、紹興陳年花彫酒「古越龍山」発売。中国の深製薬廠、香港の萬聯行有限公司と3社合弁で、深センに制ガン剤を製造・販売する会社深セン萬楽薬業有限公司を設立。
- 1990年 - メルシャン株式会社と社名変更。
- 1991年 - 百万両新泉株式会社、沖縄オーシャン株式会社を吸収合併。
- 1995年 - メルシャン軽井沢美術館設立。
- 2006年11月16日 - 麒麟麦酒(現・キリンホールディングス)と業務提携。麒麟麦酒によるTOBの実施で、同年12月18日に同社の子会社になる。
- 2007年3月31日 - 流山工場を閉鎖。
- 2007年7月1日 - 麒麟麦酒の純粋持株会社制移行により、同社が社名変更したキリンホールディングスの事業子会社となる。同時にワイン販売事業を麒麟麦酒から譲受、一方で焼酎・低アルコール飲料(チューハイなど)・梅酒・洋酒・合成清酒の販売事業を麒麟麦酒へ譲渡した。
- 2008年7月1日 - 紹興酒の販売事業を同じキリングループの永昌源に移管。
- 2010年1月27日 - 業績悪化により新卒採用の中止を決定・発表[1]。
- 2010年6月11日 - 水産飼料事業部において、幹部社員が関係した架空取引で、この4年間だけでも65億円の損失が見込まれる事が判明[2]。
- 2010年7月1日 -
- 当社と協和発酵バイオ(当社と同じキリンホールディングス傘下の協和発酵キリンの子会社)の原料アルコール事業を統合し、同社との合弁で第一アルコールを設立。
- 加工用酒類カンパニー(アルコール営業部除く)及び日光工場がキリン協和フーズ(現・MCフードスペシャリティーズ)と統合。
- 2010年10月20日 - 鯉関連事業を行っていた子会社の南紀串本水産の全株式を東洋冷蔵へ譲渡。
- 2010年12月1日 - キリンホールディングスの完全子会社となる。
- 2011年4月1日 - 水産飼料事業を東海シープロへ譲渡し同事業から撤退。
- 2011年7月1日 - 医薬・化学品事業を三井物産へ譲渡。
- 2011年11月6日 - メルシャン軽井沢美術館閉館。
- 2012年7月1日 - 麒麟麦酒から梅酒・焼酎の販売事業を譲受、5年ぶりに販売を再開(焼酎は「ピュアブルー」や「タルチョ」など、麒麟麦酒で発売した製品も含まれる)。
- 2013年1月1日 - グループ再編に伴い、親会社がキリンホールディングス株式会社からこの日設立された国内綜合飲料事業会社(キリンホールディングス株式会社の中間持株会社)であるキリン株式会社に変更。
- 2013年11月14日 - キリンビバレッジ株式会社とともに当社のウェブサイトを麒麟麦酒株式会社に統合し、キリン株式会社のウェブサイトとして集約。
事業所
- 支社
- 東北支社
- 首都圏支社
- 中部支社
- 関西支社
- 九州支社
- 支店
- 札幌支店
- 北東北支店
- 南東北支店
- 北関東支店
- 水戸支店
- 東京支店
- 西東京支店
- 千葉支店
- 神奈川支店
- 松本支店
- 新潟支店
- 静岡支店
- 金沢支店
- 京都支店
- 神戸支店
- 四国・岡山支店
- 広島支店
- 大分支店
- 南九州支店
- 沖縄支店
- 工場
- 苫小牧工場
- 流山工場(日光工場の完成を受け、2007年3月末に閉鎖)
- 川崎工場
- 藤沢工場
- メルシャン勝沼ワイナリー
- 軽井沢ウイスキー蒸留所
- 磐田工場
- 宇和島工場
- 八代工場(通称:八代不知火蔵)
- 日光工場(2006年より稼働。2010年7月にキリン協和フーズと統合)
- 研究所(組織上は、キリングループの醸造研究所と統合)
- 生物資源研究所
- 商品開発研究所
- 経理・管理・受注センター
- 経理センター(京橋)
- 経理センター(川崎)
- 物流管理センター
- 受注センター
- 文化施設
- メルシャン軽井沢美術館(2011年11月に閉館)
関連企業
子会社
- 連結子会社
- メルコム株式会社
- メルシャンケミカル株式会社
- メルシャンフィード株式会社
- マーカム・ヴィンヤーズ株式会社
- シャトー・レイソン有限会社
- 三楽ファインケミカル株式会社
- メルシャンバイオグリーン株式会社
- 株式会社メルシャンクリンテック
- 株式会社メルシャン軽井沢美術館
- 三桜産業株式会社
- 第一アルコール株式会社
- 非連結子会社
- 株式会社京橋ワインリカーショップ
- エムピーケー株式会社
- 株式会社メルシャンサロン
- 有限会社ラ・ヴィーニュ
関連会社
持分法適用関連会社
- 深圳萬楽薬業有限公司
- 日本合成アルコール株式会社
主要製品
☆印:麒麟麦酒で販売されていた製品
- ワイン
- シャトー・メルシャン、エブリィ、おいしい酸化防止剤無添加ワイン、ボン・ルージュ、ビストロ、甘熟ぶどうのおいしいワイン、フランジア☆、フロンテラ、セント・ハレット・タティアラ、サンライズ、カッシェロ・デル・ディアブロ、コドーニュ、ロバート・モンダヴィ、ドゥルト b ボルドー、ボルサオ、ピア・ドールなど
- 梅酒
- まっこい梅酒、かろやか梅酒など
- 焼酎
- 他事業
- アルコール事業(第一アルコールが担当)
- 畜産飼料事業(メルシャンフィードが担当)
なお、現在はキリンブランド(麒麟麦酒)で販売している缶入りチューハイ「本搾りチューハイ」はもともとメルシャンが発売したものであった。
関連項目
- キリンホールディングス - 現在の親会社
- 味の素 - かつての筆頭株主かつ兄弟会社
- キズナ食堂 - キリンの筆頭提供番組で稀に製品CMも見られる。
- ありがとう浜村淳です - 1990年代から同番組にて阪神タイガースが前日の試合で勝利をおさめた際、同社のワインを視聴者にプレゼントしていた。現在は終了。
- 宮光園 - 日本のワイン産業発祥の近代化産業遺産。ワイン事業の前身となったオーシャン(大黒葡萄酒)、日清醸造を生んだ。
脚注
- ↑ メルシャン 採用情報
- ↑ メルシャン循環取引 利益65億円かさ上げ - 水産飼料事業部で07年から - 日本経済新聞 2010年6月11日閲覧