メラトニン

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テンプレート:Drugbox メラトニンテンプレート:Lang-en-short)またはN-アセチル-5-メトキシトリプタミンN-acetyl-5-methoxytryptamine[1]は、動物植物微生物で見られる天然の化合物である[2][3]。動物ではホルモンの一つで松果腺から分泌される。メラトニンの血中濃度は1日のサイクルで変化しており、いくつかの生物学的機能に概日リズム(サーカディアンリズム)を持たせている[4]ヒトでは、メラトニンの血中濃度は昼に低く夜に高く、睡眠と関連している。夜行性の生物の場合も同様なリズムを示す。

メラトニン受容体の活性化[5]の他、強力な抗酸化物質としての役割[6]や、核DNAおよびミトコンドリアDNAを保護する役割も持つ[7]

アメリカでは栄養補助食品サプリメントとして販売されており、一般薬局で誰でも容易に入手することができる。メラトニンは不眠症や時差ボケの解消など睡眠障害の治療に利用される他、近年は不妊症の治療にも利用されている。

作用

  • 催眠・生体リズムの調節作用
    日中、強い光を浴びるとメラトニンの分泌は減少し、夜、暗くなってくると分泌量が増える。メラトニンが脈拍・体温・血圧・などを低下させる事で睡眠の準備が出来たと体が認識し、睡眠に向かわせる作用がある。又、朝日を浴びて規則正しく生活することで、メラトニンの分泌する時間や量が調整され、人の持つ体内時計の機能、生体リズムが調整される。そのため不規則な生活や昼間太陽光を浴びないような生活を続けるとメラトニンがうまく分泌されず、不眠症などの睡眠障害の原因となる。又、メラトニンは幼児期(1〜5歳)に一番多く分泌され、歳を重ねる毎に分泌量が減っていく。歳を取ると眠る時間が短くなるのはこのためである。
  • 抗酸化作用
    テンプレート:要出典範囲血液脳関門も容易に通り抜けることができ体全体に行きわたる抗酸化物質であると言われている。メラトニンの抗酸化作用により生殖細胞が保護(活性化)され、又ホルモンバランスも改善されるため、不妊症の治療に有効であるとの報告がある。[8] [9] 但し、メラトニンには後述の「性腺抑制作用」もあり、多く摂取すると月経を止める作用などもあり素人判断による安易な摂取は禁物である。
  • 性腺抑制作用
    メラトニンが増加すると性腺刺激ホルモンが抑制されて生殖腺の発達と機能を抑制し(性腺の退化)、逆にメラトニンが減少すると性腺刺激ホルモンが増加し、性腺刺激ホルモンの過剰分泌が思春期早発につながる。
  • 色素細胞に対する退色作用
    人間の場合その作用はみとめられなかったがカエル等の両生類では退色作用が認められている。


副作用

  • 悪夢
  • 低血圧
  • 睡眠障害
    昼間に飲むなど服用時間を間違えると概日リズムを乱すことになる。
  • 生殖機能の退化
  • 腹痛
    多量に飲んだ場合、吐き気などの原因になる。

専門家の指導が無い限り、14歳以下の子供、妊娠を希望する女性、妊婦、授乳中の女性は使用しないことが勧奨されている[10]

メラトニンはトリプトファンからセロトニンを経て体内合成される。

日本の薬事法とメラトニン

日本では、薬事法により、一人につき二ヶ月分までの販売と制限されているが、含有量にバリエーションがあり、1回分の摂取量も各個人により異なる。

メラトニン製剤の製造販売承認と発売

2010年(平成22年)4月16日、不眠症治療薬である薬剤一般名・ラメルテオン武田薬品工業株式会社・商品名:ロゼレム;錠8mg)が、厚生労働省の製造販売承認を取得した。適応は「不眠症における入眠困難の改善」であり、用法・用量は、成人に1回8mgを就寝前に投与となっており、2010年6月11日に薬価基準収載となった。日本で研究・開発されたが、まずアメリカ合衆国アメリカ食品医薬品局で承認・販売され、日本でも承認・販売されるようになったものであり、メラトニン受容体を刺激する日本発の睡眠剤である。ラメルテオンは、アメリカ食品医薬品局が公開したデータの分析により、偽薬と比較してうつ病の危険性を2倍に高めることが見出されている[11]。体重増加の副作用も指摘されている[12]

歴史

アメリカ合衆国のイェール大学病院皮膚科の医師アーロン・ラーナー皮膚の色を濃くするホルモン(メラミン細胞刺激ホルモン)を発見した後、今度は反対に皮膚を白くするホルモンを研究している途上で、牛の松果体というところであるホルモン(メラトニン)が作られていることを知って、それが人間の松果体でも作られているのではないかと考え、それの抽出や研究に入っていった[13]、と言う。そして、メラトニンの研究のために志願してきたボランティアの人々にそれを注射すると、ほとんどの人が眠りはじめてしまった、という。それによってメラトニンは睡眠と関係し、リラックスさせる作用があることが判った。

最近ではメラトニンが免疫系に効く、発ガンを抑える作用がある等、人体全体に関して大きな役割を果たしていることがわかってきているが、薬として特許出願するには新しい物質でなければならず、メラトニンのような人体の中にもともと存在するホルモンでは構造上の特許権を取れないため(但し、用途発明の場合は除く)、製薬会社にとっては大きな利益とは繋がらないことから、メラトニンが重要な物質であるのにもかかわらず、なかなか研究の対象として取り扱われないでいるのが現状である。[14]

脚注

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関連項目

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外部リンク


テンプレート:睡眠導入剤と鎮静剤 テンプレート:抗酸化物質 テンプレート:ホルモン テンプレート:Biochem-stub

テンプレート:Asbox
  1. http://www.sleepdex.org/melatonin.htm
  2. テンプレート:Cite journal
  3. テンプレート:Cite journal
  4. テンプレート:Cite journal
  5. テンプレート:Cite journal
  6. テンプレート:Cite journal
  7. テンプレート:Cite journal
  8. http://www.akanbou.com/topics/topics/018.html 睡眠ホルモン「メラトニン」に注目
  9. http://blog.akatyan.jp/entry-96.php メラトニンと妊娠
  10. テンプレート:Cite web
  11. テンプレート:Cite journal
  12. テンプレート:Cite book
  13. 米山公啓自然治癒力のミステリー』p.129
  14. 米山公啓『自然治癒力のミステリー』p.134