ポリビニルアルコール

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ポリビニルアルコールの構造式

ポリビニルアルコール (polyvinyl alcohol, PVA) は合成樹脂の一種で、親水性が非常に強く、温水に可溶という特徴を持つ。 別名をポバールとも呼ばれる。CAS登録番号は9002-89-5。

示性式 (−CH2CH(OH)−)nビニルアルコール重合体のようになっているが、ビニルアルコールのモノマー(単量体)と呼べるものは存在しない(構造的により安定な、アセトアルデヒドに異性化してしまう)ため、一般的には酢酸ビニルモノマーを重合したポリ酢酸ビニル鹸化(けんか)して得る。

「温水に可溶」という性質は、合成樹脂の仲間では例外的なことである。これは、分子中に多くのヒドロキシ基 (−OH) があることによる。

接着剤や、バインダー(いわゆる「つなぎ」)、錠剤等の製造過程における結合剤として利用されるほか、その強い親水性を生かして、界面活性剤としても利用される。ポリ酢酸ビニルアクリル樹脂等を主成分とするエマルション系接着剤を製造する際の乳化剤としても広く用いられている。 可溶性のバインダーとしての身近な例では、シート状の洗濯機用洗剤が市販されている。(シート状に固める際のつなぎとして使用されている) スライムを作るのにホウ砂と合わせて使われることもある。また、ビニロンの原料でもある。近年は偏光フィルムの主材料として、液晶ディスプレイ用の需要が急速に伸びている。

シャボン玉を割れにくくするためにポリビニルアルコール(洗濯のり)がシャボン玉液に加えられる場合がある。

昭和20年代から文化財の修復現場で古い絵の剥離の防止コートとして使われていたが、経年変化による劣化が著しく、多くの文化財が被害を受けている[1]

脚注

  1. 特集・文化財に広がる"合成樹脂被害"を追え (NHK「かぶん」ブログ)

外部リンク


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