ヘッドフォン

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ヘッドフォンまたはヘッドホンテンプレート:Lang-en-short)は、再生装置受信機から出力された電気信号を、(鼓膜)に近接した発音体(スピーカーなど)を用いて音波(可聴音)に変換する装置である。

全世界共通の明確な分類はなく、今日、両耳に当てる形状のものはおおむねステレオフォン、耳に差し込む形状のものはイヤフォンearphone(s))、マイクを備えたものはヘッドセットなどと呼ばれる。なお過去の日本のNHK規格ではイヤフォンとヘッドフォンの区別はされず、ヘッドバンドを有し両耳に当てる形状のものは両耳載頭型イヤホンとされ、さらにステレオ型、モノラル型として分けられていた[1]

用途

オーディオ系の常として、製品ごとに性能・品質・表現性に大きく差がある。これは、用途に応じて設計を変えているからである。

たとえば、モニター用ヘッドフォンだけをとっても、「スタジオモニター用」「マイナスワン用」「ロケ用」それぞれに合わせた製品があり[2][3]、リスニング用となると、想定される好みに応じて、あらゆる方式で設計がなされている。

接続方法の多様化

ヘッドフォンは、通常、コネクタ(ジャックとプラグ)を用いて音響機器と分離できるようになっている。代表的な例がiPodなどの携帯型オーディオやMP3プレーヤーなどのデジタルオーディオプレーヤー携帯電話CDプレーヤー、パソコンである。

接続端子は、古くから直径6.3mmのステレオプラグ(コネクタ)が用いられているほか、ポータブルオーディオに代表されるような小型機器への接続要請から、3.5mmのステレオミニプラグ(コネクタ)やさらに小型の専用端子などが用いられる場合も多い。また、またミニプラグ・標準プラグの両方に対応させるため、変換プラグが付属しているものも多い。

2013年現在では、ケーブルでつながっていたヘッドフォン(聴取者側)と音響機器を物理的に切り離すために、FM変調でのアナログ伝送、BluetoothWi-Fiなどの無線や赤外線を用いて、基本ユニットが音声信号を送信したものをヘッドフォン側で受信することでコードレス(ワイヤレス)にしたものもある。このようなタイプは、音声信号復調を行なう電子回路に電源供給が必要になるため、ヘッドフォン側に一次電池あるいは二次電池を内蔵することになり、重量あるいは体積が大きくなる傾向がある。

D/Aコンバータを内蔵し、デジタルオーディオケーブルの入力を可能にしたものもある。DVDプレーヤーなどからアンプを介さず再生する他、パソコンのサウンドカードあるいはオンボードのデジタル端子に接続する利用法がある。

駆動方式

ダイナミック型

ダイナミックスピーカーと同じ構造で、磁石の作る磁界の中で音声電流が流れるコイル(ボイスコイル:voice coil)にローレンツ力が発生し、コイルに取り付けた振動板を振動させる方式である。ダイナミック型は、電流に対するローレンツ力を線形にする設計が可能であり、無電流のときコイルに力が発生せず振動系の支持を柔らかくできるため、低歪と広い再生周波数帯域が両立できる非常に優れた方式である。原理構造上、安価な大量生産向きでもあることから、今日、ヘッドフォンの最も一般的な方式となっている。

世界初のダイナミック型ヘッドフォンは1937年ドイツのEugen Beyerが作った。現在でもbeyerdynamic社は主要メーカーの一つである。

インピーダンスは16~70Ω程度のものが一般的である。インピーダンスが高いほど、機器を変えずに同じボリュームでも、実際に出力される音量が小さくなっていく傾向にある。そのためポータブル機器向けのものは16Ω~30Ω程度の低インピーダンスのものとされていることが多い。なお、ヘッドフォンのインピーダンスはIECの規定で、1(kHz)の交流印加時のものを示すものとされており、典型的なダイナミック型であれば、R+jXであるから、これよりも低い周波数では低く(例えば直流を加えた場合には純抵抗成分Rのみになる。)高い周波数では高くなる。

マグネチック型

磁石に取り付けた固定コイルに電流を流し、磁石の吸引力を変化させて振動板を兼ねる鉄片を振動させる方式。吸引力が非線形なため歪が出やすく、鉄片が磁石に吸着してしまわないように振動系を固く支持する必要があるため、周波数帯域が狭くなるという原理上の欠点がある。

最も簡便であり、音質も音声情報を認識する最低限のものであるためヘッドフォンとは区別されることも多い。一般に片耳モノラルイヤホンであり、その場合は丸みを帯びた開口部を外耳道に数ミリ挿入する。外耳道の入口で支持するだけのため脱落しやすい。

バランスド・アーマチュア型

ファイル:Westone UM3X RC01.JPG
Westone社製バランスド・アーマチュア型イヤホンの上級モデル
高域用、中域用、低域用の3つのドライバーを搭載する。

マグネチック型とほぼ同じだが、マグネチック型が鉄片を直接振動板として用いるのに対して、こちらは鉄片の振動を細い棒(ドライブロッド)で振動板に伝えて振動させる点が異なる。戦前から昭和の中頃までテレビ・ラジオの個別聴取のために使用されてきたマグネチックスピーカーと全く同じ原理である。

ダイナミック型と比較すると、吸引力が非線形なため歪が出やすく、鉄片が磁石に吸着してしまわないように振動系を固く支持する必要があるため、周波数帯域が狭くなるという原理上の欠点がある。しかし、ダイナミック型より小型化が容易なことから、音質よりも小型化が要求される外耳道挿入型補聴器等によく用いられている。

イヤホン(日本ではインナーイヤー型ヘッドフォンと称される)の高級タイプでは、低域用・中域用・高域用など専用ドライバーに分けて、周波数帯域が狭いなどの原理上の欠点をある程度改善した製品が開発されている。

ハイブリッド型

低域用にダイナミック型ドライバー、中域用・高域用にバランスドアーマチュア型ドライバーを組み合わせた方式。

圧電型

薄い圧電体を2枚の金属板で挟み、これに音声電圧を加えることによって圧電効果ピエゾ効果)による振動を発生させる方式である。インピーダンスが高過ぎて通常のアンプとは合わないため、動作させるためには専用機器を使う必要がある。歪や再生周波数帯域の点でダイナミック型に劣るため、2013年現在、生産しているメーカーは皆無に等しい。圧電体がロッシェル塩であればクリスタル型、圧電セラミックであればセラミック型となる。

クリスタル型

そもそもは、ロッシェル塩の逆圧電効果を利用したものである。ロッシェル塩は正圧電効果のある物質であり、クリスタルイヤホンはそのままでクリスタルマイクにもなる。ロッシェル塩は電場により伸縮する。このことから高い入力インピーダンスとし、微弱な電力で音を発生させることができるため、初期の鉱石ラジオなどでは必須のイヤホンであった。近年まで学習教材用などとして製造されていたが、ロッシェル塩には潮解性があり、耐久性に難があることから、近年は「クリスタル(イヤホン)」と謳っていてもセラミック型とされているものがほとんどである。2013年現在、ロッシェル塩を用いたイヤホン、マイクを製造しているメーカーはない。

静電型

ファイル:STAX Earspeaker01.jpg
スタックス(STAX)社製イヤースピーカーの廉価モデル。右側の箱は駆動用のアンプ

コンデンサ型またはエレクトロスタティック型とも呼ぶ。背極(ステーター)のごく近傍に薄い導体の膜(振動膜)をおく。振動膜に直流電圧(バイアス電圧)をかけ、背極に音声の交流電圧をかけると静電力の変化によって振動膜が振動する。通常は背極を2枚用意し、その間に振動膜を置く(プッシュプル方式)。背極には空気を流通させる穴をあける。電圧に対して線形な静電力が振動膜の全面にほぼ均一に発生するため、低歪でしかも周波数特性に有害な分割振動が起こりにくいという特長がある。しかし、一般にヘッドフォンの振動板は小さくて分割振動が起こりにくいので、良く設計されたダイナミック型が静電型に劣る原理的な理由はない。よく振動板の質量が歪の原因であるようにいわれるが、質量には非線形要素がないので歪とは無関係である。静電型は高い電圧を必要とするため、また抵抗負荷ではないため専用のアンプが必要である。日本のスタックスが静電型ヘッドフォンを製造販売しており、同社ではイヤー・スピーカーと呼ぶ。

構造

ヘッドホンの構造は逆相音処理の原理的方法の違いから大きく2つに分けられ、それぞれ次のような特徴がある。

オープンエアー型(開放型)
発音部分の背面が開放されているもの。振動板の裏側から発生する、180°位相反転した音波(逆相音)を無限に広い空間に拡散させて処理するタイプのものである。いわゆるスピーカーボックス(エンクロージャー)で言えば、後面開放(ダイポール)型である。外音を遮断するものは、原理的に薄い振動板1枚だけであるため、外音が良く聞こえる。一般に高音が良く伸び音がこもらない反面、低音はやや弱い。これは低音の逆相音が高音のそれと比べてよく回折するため、表側により多く回り込み、低音の正相音をより強く打ち消してしまうためである。はっきりとした強い低音を得るためには、イヤパッドなど発音部分の表裏を分ける部分の遮音性を特に高める必要がある。また、音漏れが大きいのも難点である。DJなど、同時に外の音を聞くことが要求される場合にも用いられる。
密閉型(クローズド型)
発音部分の背面を密閉したもの。振動板の裏側から発生する逆相音を内部で減衰消滅させるタイプのものである。いわゆるスピーカーボックス(エンクロージャー)で言えば、密閉型もしくはバスレフ型である。スピーカーとは違い、ヘッドフォンでは、背面の容積(空間)を十分とすることができないことから、発音器が非力な場合、振動板の動きが制限され、低音の少ない詰まった音(こもった音)になりやすい。このことからダイナミック型では、発音器に強力なマグネットを使用する、あるいはバスレフ型として対応する。遮音性が高いため、外部の音を遮断することを重視する場合には好んで用いられる。ヘッドフォン自体の音もよく遮断することから、公共の場で利用するヘッドホンに用いられるほか、(マイクロフォンとヘッドフォンが接近するため不要なモニタ音が収音されがちな)ヴォーカル録音等のモニタにも愛用される。

聴力測定用ヘッドフォンのように理想的に作れば、開放型も密閉型も「同じ音」になる。一般に言われる「音の傾向」は、意図的に作られているものである。例えばゼンハイザーの開放型ヘッドホンは低音が強調され、オーディオテクニカの密閉型ヘッドホンは高音が強調されて鳴る傾向があるが、これは各メーカーの考えの違い、すなわち各メーカーの対象としているカスタマーニーズがそれぞれ違うためであることがほとんどである。コンピュータシミュレーションがヘッドフォン設計にも取り入れられるようになって以降、音の傾向はカスタマーニーズに合わせて細かく調整されるようになっている。また、各メーカーの代表的な機種の音だけが取り上げられ、「メーカーのクセ」と思われていることが多いが、実際には、同じメーカーのものでも、機種によって音が全く違うことがほとんどで、多くの場合、実聴しないと音の傾向はわからない。また遮音性・音漏れについても密閉型だから高いとは必ずしも言えない。これはその他に例えば「半開放型」のものがあるが、分類上は密閉型とされているといったことがあるためである。

形状

ファイル:Stereo Earphones.jpg
インナーイヤー型

インナーイヤー型

耳介に引っ掛けるタイプ。日本国内で携帯プレーヤーを購入したときに付属してくることが多い。その多くが耳の形状に合うように設計されているため装着感が良く、スポーツなど激しい動きでも脱落しにくい。この形式には、比較的音漏れしやすい開放型が多い。 テンプレート:-

カナル型

外耳道(ear canal)を指し、耳の穴にインナーイヤー型よりも深く差し込んで使用する形式のヘッドフォン。構造上密閉型が多く、遮音性能が比較的良好なため、騒音のやや大きい場所でも音楽等を楽しめる。耳に合うかどうかは個人差があり、音質や装着感などにも大きく影響する。そのため外耳道挿入部が着脱式部品(イヤーピース)となっており、大きさの異なる複数の部品が付属する製品が多い。外耳道に挿入する部分がゴム製で摩擦が大きいものは、耳からヘッドフォンがインナーイヤー型より抜けにくくなっている。外部からの遮音性が高い反面、製品や個人差によっては、自分の鼻息、歩いたときの振動、あるいはコードの擦れ音など身体の音が顕著に増幅されてしまう欠点があり[4]、コードの擦れ音対策がなされている製品もある。近年各メーカーから相次いで販売されるようになった。また、人によっては口の開け閉めによる顎関節の動きにより密閉具合が絶えず変動するため、喋りながら使うと音量に不快な揺らぎが生じる場合がある。そのため特にスマートフォンなどハンズフリー等で用いる場合や、音楽を聴きながら歌う場合など、非常に聞き取りにくいケースや音酔いして気分が悪くなる場合がある。遮音性が高く外界の音が極端に聞こえづらいため、自動車などの接近に気付きにくく、使用者本人を危険に陥れる可能性も指摘されている[5]テンプレート:-

ヘッドバンド型

ヘッドバンドを頭の上に乗せるものである。「オーバーヘッド型」とも呼ばれる。主に室内で使用するヘッドフォンに用いられる。近年、ポータブル用途を意識した比較的小型でコードも短いものも各社から発売されている。耳に良く密着し、密閉型では音漏れしにくいものが多い。しかし持ち運ぶときにかさ張る、髪型が乱れるなどの理由で敬遠されやすい。最近では折り畳み型もある。 テンプレート:-

ファイル:Headphones.jpg
ネックバンド型

ネックバンド型

通常は頭上にあるヘッドバンドが首の後ろ側に位置している方式。携帯用のヘッドフォンに用いられる。これを最初に採用したのは1997年にソニーから発売された MDR-G61 である。ゼンハイザーもこの方式のヘッドフォンを販売している。

長所はヘッドバンドが頭部を押さえないため、装着しても髪型の崩れを気にする必要がなく、帽子をかぶることもできる。運動中にも邪魔にならない。短所はヘッドフォン本体の脱落を防ぐために装着した時の締め付け具合が強く、またマフラーやフード付きの衣服を着用している場合にはヘッドバンドが邪魔になる場合がある。 テンプレート:-

ファイル:Panasonic RP-HS71.JPG
耳掛け型・クリップ型

耳掛け型・クリップ型

クリップを外耳に引っ掛けるもの。コードをハウジング内に収納するモデルもあり、インナーイヤー型と比較して振動板面積が大きく取れる割りに非常にコンパクトで携帯に便利である。しかし外耳に引っ掛けるため耳に密着しにくく、音漏れしやすい。長時間使用すると外耳に痛みが出ることもある。パステルカラーのものやメッキのアクセントの入っているものなど、ファッション性を重視した製品も多い。

使用上の注意

ヘッドフォンを大きな音量で用いると、一時的または永続的な耳の損傷や難聴を起こすことがある(→ヘッドフォン難聴)。また運転中や運動中などに使用すると、外部の音が遮られることにより、交通事故に遭遇するなどの他の危険も生ずる。1日100デシベル以上の音を15分以上聞くと難聴になりやすいと言われている。

また、カナル型は形状的には音の出る耳栓なので遮音性が高い反面、外の音声が聞き取りづらくなるという特性がある。また、イヤーピースの取り付けが緩いと、本体を取り外す際にイヤーピースの部分が耳穴に残ってしまい、最悪の場合は手術で取り出すことにもなる。

ステレオスピーカーとの比較

ヘッドフォンとステレオスピーカーを用いた再生体験の違いは、音像の定位とそれによる臨場感である。

そもそもステレオは、ふたつの耳に到達する音の違いを脳が「計算処理」し、音源の位置を特定することのできるヒトの聴覚システムに合わせて考案された再生方式である。

ステレオは幾何学的なもので、すなわち具体的方法はいくつもあるが、例えばある発音体からの音を複数の理想的なマイクロフォンで理想的に収録した後に発音体を撤去、各マイクロフォンと全く同じポジションに今度は理想的なスピーカを置き、収録時と全く同じ音圧で理想的に再生するならば、全く同じ音場を再現することができる。これは全く同じ音によるものであり、後述の疑似ステレオなどのようにヒトの錯覚を利用するものではないことから、各スピーカーからの音はヒトにとって自然な音として認識され、個人差(特に音像ずれ)も少ない。

対してヘッドフォンは発音体が鼓膜のすぐ近くにある、自然にはあり得ない再生方式であり、異質な音、脳内の処理作業として異質であり、音像の定位感とそれによる臨場感は各個人によって大きくばらつく。全く同じ録音素材を全く同じヘッドフォンを用いて聞く場合であっても、スピーカと比較試聴すると、差はないと感じる人もいれば、例えば音がバラバラで聞いていられないと感じてしまう人もいる。

なお前者、ステレオスピーカーを用いた場合に得られる定位を「頭外定位」、ヘッドフォンを用いた場合に得られる定位を「頭内定位」と呼び、通常のステレオ素材は頭外定位、すなわちスピーカーにより聞くことを考えて制作してある。

従ってよくセットされたステレオスピーカーは優れた定位感とそれによる臨場感を再現する。しかしながらセットがよくないとそうはならず、その音質や体験はスピーカーの配置やその周辺環境に大きく左右される。また、リスニングポイントで、収録時と同程度の音圧になるように再生しないと同程度の臨場感は得られないことから、近隣騒音の問題を生じかねず、リスニングルームをどう構築するかの問題がある。また、ステレオスピーカーでしっかりした本格的なもの=理想スピーカに近いものは高価、それだけで百万円を超えることもある。

一方、ヘッドフォンは昔からスピーカーの頭外定位にヘッドフォンの頭内定位を近くし、スピーカーと同様の臨場感が得られるように工夫が重ねられている(後述の新しいタイプのヘッドホンもそうである)が、前述の通り、大きな個人差を吸収することは未だ困難であることから、2014年現在においても実現していない。しかしヘッドフォンは、およそ周囲条件に左右されない汎用的な使用ができること、満足できる音質を比較的安価簡単に入手しやすいことが特長である。

特にレコードなどにある擬似ステレオ音源は、左右の音量を変えるだけで、スピーカーを結ぶ直線上の任意点にあたかも音像が定位しているように聞こえさせる、つまり、ヒトの錯覚を利用したものである。従ってこれにはさらに、機器との距離、部屋の反響などが必要であり、ヘッドフォン再生に向いていないことが多くある。

このようなことから、ヘッドフォンを使用して、ステレオスピーカー再生と同じように実際に近い音場を感じることができるとされる(バイノーラル録音)音源など、あたかもその場にいるかのように聞こえる立体音響なども発表されている。その効果は今のところ限定的ではあるが、一定の人気を博し、森の音などの、いわゆる自然音収録によく用いられるようになっている。

新しいヘッドフォン

サラウンドヘッドフォン

従来のヘッドフォンは一般に音が頭の中でなっているような感覚があるため、映画の鑑賞などでは違和感がある場合もあった。しかし現在ではドルビーなどのサラウンド技術を用いたサラウンドヘッドフォンが開発され、手軽なサラウンド環境として人気を集めている。多くのサラウンドヘッドフォンでは赤外線電波によるコードレス化も併せて行われていることが多い。ソニーは、1998年に普通のヘッドフォンでも5.1chサラウンドを再現できる最初の5.1chサラウンドヘッドホン MDR-DS5000 を発売している。その後、ドルビー社も同様の機能を持つ「Dolby Headphone」を開発している。なお同技術は5.1chの再生を目的としているため、ステレオ音声の場合は Pro Logic II などと併用する必要がある。

Quakeカウンターストライクに代表される、FPSと呼ばれるコンピュータゲームのジャンルでは、ゲーム中の物音から敵の所在や動きの察知が重要である。この点では、安物のヘッドフォンでも6スピーカー・サラウンドシステムより優れている。音の方向性を知るにも小さな音を聞き取るにも、ヘッドフォンはスピーカーより有利である。

また、サラウンドヘッドフォンにはステレオ環境から人間の聴覚の特性を利用してサラウンドを再現するバーチャルサラウンドヘッドフォンと、通常のサラウンドスピーカーと同様に左右にそれぞれ複数のスピーカーを搭載したリアルサラウンドヘッドフォンがある。どちらもヘッドフォン製品そのものの特性やソースとなるゲーム・音楽・映画音源等のマルチチャンネルへの最適化、サウンドデバイス等が持つサラウンドやバーチャルサラウンド機能等よっては、音の定位がステレオヘッドフォンよりもはっきりしないと感じる場合があり、用途や利用環境、使用者によって感想は多種多様となりやすい。前者は本体が軽い反面、USBや外部サラウンドモジュールを必要とする場合がある。後者はスピーカーが多いために重量が増しやすく、各チャンネル用の信号線が必要でケーブルが太いため、ケーブルが固く取り回しがしづらい反面、5.1chや7.1chなどマルチチャンネル出力環境を備えた環境であれば、ヘッドフォン本体のみでオーディオ・パソコン問わず利用できる製品がある。2013年現在、どちらも質や価格に明確な違いはなく、利用環境や用途、各ゲームや映画など音源の組み合わせによって差が出る。

ノイズキャンセリングヘッドフォン

テンプレート:See also 雑音と逆位相の電気信号を音源信号に適量付加することにより、雑音と逆位相の音を発生させ、騒音をある程度相殺する方式のヘッドフォンである。周囲の騒音を拾うためのマイクロフォンと、騒音信号を増幅するためのアンプを内蔵し、このために電池などを別途必要とする。iPodなどの普及と共に近年人気を集めている。2006年にはパナソニックとソニーのデジタルオーディオプレーヤーの一部にノイズキャンセリングヘッドフォンが標準で添付されるようになった。

ノイズキャンセリングヘッドフォンの騒音低減率はだいたい20dB程度であり、一般の騒音用耳栓の約30dB~40dBには遠く及ばない。特に、ノイズキャンセリングヘッドフォンは、高音域の騒音を低減することが原理的に苦手であり、低減はおおむね低音部のみ行われる。このように騒音を完全に相殺できるわけではないが、鉄道や自動車などの車両内における低音騒音にはある程度効果が認められている。騒音相殺アンプを迂回できない機種の場合、充分に静寂な環境では、このアンプの出力に含まれる雑音信号成分(ヒスノイズ)が逆に気になることもある。

模造品問題

オーディオは質の良いものを求めれば求めるほど費用がかかるものである。2013年5月の時点で、ゼンハイザーのIE80の価格が29800円から。ハイエンドモデルのIE800は62800円、AKGのK3003のように10万円を超えるモデルも現れている。

そのため、価格も安いが品質も悪いニセ物もオークション中心に出回っている[6]

基本的にオークションでもショップでも、相場よりも極端に安い物件は模造品である疑いが濃厚である。確実に本物を手に入れたいのであれば、例え高くても、信頼のおける業者から入手するのが安全である。

主要メーカー・ブランド

脚注・参考文献

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関連項目

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  • BTS6141 日本放送協会。
  • ソニーWebサイト「「MDR-Z1000/EX1000」開発秘話 スタジオモニター MDR-Z1000 | 開発者インタビュー」,2013年8月1日閲覧。
  • 平川製作所「ちょっとヘッドホンな話」,2013年8月1日閲覧。
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • ゼンハイザージャパン(株)Sennheiserの模造品に関するご注意