ブロードコム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Infobox

ファイル:Broadcomheadquarters.jpg
ブロードコム本社はカリフォルニア大学アーバイン校の University Research Park にある。

ブロードコム・コーポレーション(Broadcom Corporation, テンプレート:NASDAQ)は、無線およびブロードバンド通信向けの半導体製品などを製造販売する企業。本拠はアメリカカリフォルニア州アーバイン市UCLAの教授だったヘンリ・サミュエリとその教え子テンプレート:仮リンクが、1991年にカリフォルニア州ロサンゼルスで創業。1995年、本社をアーバインに移転[1]。1998年、NASDAQに上場を果たす。世界各地の15カ国以上で事業を展開しており、約1.1万人を雇用している。

ガートナーによれば、2010年時点で半導体企業の売上高トップ10にランクインしている[2]。2011年の総売上高は73億9000万ドルだった。また、フォーチュン500では2010年には460位だったが、2011年には343位にランクアップしている[3]。ブロードコムがフォーチュン500にランクインしたのは2009年からである。

ブロードコムには、ARM CPU の命令セット設計で知られているソフィー・ウィルソンがいる。

製品

ブロードコムの製品は、コンピュータネットワークおよびテンプレート:仮リンク全般をカバーする。企業/都市向け高速ネットワーク、SOHOネットワーク向け製品、イーサネット向けと無線LANの送受信ICとマイクロプロセッサケーブルモデムDSLサーバ、ホームネットワーク機器(ルータースイッチなど)、携帯電話(GSM/GPRS/EDGE/W-CDMA)などである。高速暗号コプロセッサでも知られている。これは、暗号化や復号をプロセッサ以外で行うことで主プロセッサの負荷を低減させるチップであり、電子商取引PGPあるいはGPGを使ったセキュアな通信で役立っている。

他に通信事業者向けのIC製品、セットトップボックスやデジタルビデオレコーダ用プロセッサ、Bluetooth送受信機、無線LAN送受信機、衛星放送対応TV用チューナーなども手がけている。主な顧客としてアップルヒューレット・パッカードモトローラIBMデルレノボリンクシスロジテック任天堂ノキアノーテルアバイア)、シスコシステムズティーボが挙げられる。2011年9月19日、デジタルTV用チップ部門を廃止した[4]

NICとネットワーク

ブロードコムのNICは主要ベンダーのワークステーションやサーバ製品に採用されている。マザーボード上にイーサネットNICが組み込まれている場合でもマーケティング上ブロードコムの名を出していることが多い。例えば、デルのブレードスイッチ M610 には2つのギガビット NetXtreme 5709 NIC が組み込まれている[5]

もう1つの大きな市場はスイッチ用ハードウェアである。ブロードコムのハードウェアとファームウェアに基づくスイッチング装置がいくつかのベンダーから出ており(例えば、デルの Powerconnect classics)、ブロードコムのハードウェア(Tridentチップセット)を採用しつつファームウェアを独自開発している場合もある(例えば、シスコの Nexus の NX-OS[6]やデルの Force10 の FTOS[7])。

消費者向けコンポーネント設計

ブロードコムはまた、有名なコンシューマデバイスの部品も多数供給している。

  • アップルの iPhone 3GS と iPod touch の第二世代は、ブロードコムの Wifi+Bluetooth コンボチップを採用している。
  • 2005年第2四半期、任天堂株式会社と戦略的提携を発表。任天堂の次世代ゲーム機に無線LAN技術を提供するとした。具体的には2006年5月10日、任天堂のゲーム機WiiにブロードコムのBluetoothおよび無線LANが採用されたと発表している。ニンテンドーDSの無線LANもブロードコムが提供している。

AMDとの関係

2001年2月14日、ブロードコムはAMDの開発したHyperTransportの協力企業となり、同年7月14日には HyperTransport Technology Consortium に加入。2004年6月、AMDとのチップセット分野での提携発表し、2005年4月20日に ServerWorks ブランドとしてAMD K8(Opteron)用チップセット「HT-2000」を発表、2006年8月15日には AMD K8 用チップセット HT-2100 を発表し、同年10月に量産出荷を開始した。

2008年8月25日、AMDよりデジタルテレビ事業を1億4150万ドル(当初発表では1億9280万ドル)で買収。パネルプロセッサ Xilleon の製造権を取得した。

生産体制

ブロードコムはファブレス半導体企業として知られている。半導体素子の製造は全て以下のようなアジアのファウンドリに任せている。

  • Semiconductor Manufacturing Corporation (TSMC、台湾)
  • GLOBALFOUNDRIES(旧:Chartered Semiconductor Manufacturing)(ドイツ、シンガポール)
  • Semiconductor Manufacturing International Corporation (SMIC)(中国)
  • Silterra Malaysia Sdn. Bhd.(マレーシア)
  • United Microelectronics Corporation(UMC/臺灣、台湾)

機器組み立てなどは、以下の提携先に任せている。

  • NEC
  • ASAT Ltd(香港)
  • ST Assembly Test Services(シンガポール)
  • Siliconware Precision(臺灣)
  • United Test and Assembly Center(シンガポール)
  • ChipPac and Signetics(韓国)

本社は2007年からカリフォルニア州アーバインカリフォルニア大学アーバイン校キャンパス内の University Research Park にある。研究開発拠点は、ケンブリッジ(イギリス)、Cambridge (UK), Bangalore and ハイデラバード(インド)、リッチモンド(カナダ、バンクーバー近郊)、マーカム(カナダ、トロント近郊)、 ソフィア・アンティポリス(フランス)などにある。

ブロードコムとオープンソース

ブロードコム製無線LANチップ向けのオープンソースのドライバがいくつかLinuxカーネルのソースツリーに含まれている[8]。Linuxカーネル 2.6.26 以降、ブロードコムチップのいくつかはカーネルでサポートされているが、ビルド時に外部ファームウェアを必要とする。

2003年、ブロードコムが同社の無線LANルーター用チップセットのドライバにGPLコードを使っていながらコードを公開しておらず、GNU General Public License に違反しているとして、フリーソフトウェア財団がブロードコムを非難した。そのチップセットはリンクシスが採用し、リンクシスは後にシスコに買収された。するとシスコは Linksys WRT54G シリーズ無線ブロードバンドルーターのファームウェアのソースコードを公開した[9][10]

2002年、ブロードコムは独自のVoIPコーデックを開発し、2009年にLGPLライセンスでオープンソースとしてリリースした[11]

  • BroadVoice 16 - ビットレート 16 kbit/s、サンプリング周波数 8 kHz
  • BroadVoice 32 - ビットレート 32 kbit/s、サンプリング周波数 16 kHz(ただし、X-Lite SIP フォンのメニューにはビットレート 80000 bit/s とある)

ストックオプション問題

2006年7月14日、ブロードコムはストックオプションの処理の是正にかかった費用7億5000万ドルを追加計上することを発表した。2006年9月8日、その額は15億ドルに倍増。また、同社は追徴課税されることとなった[12]。2007年1月24日、1998年から2005年までの会計処理すべき金額は22億2000万ドルに増大した[13]

2008年5月15日、証券取引委員会(SEC)への申し立てで名前を出された後、サミュエリは会長職を辞任し、CTOとして休職した。

2008年6月5日、共同創業者で元CEOのテンプレート:仮リンクと元CFOの William Ruehle は、ストックオプションの不正な日付改竄で起訴された。ニコラスは麻薬取締法違反でも起訴されている[14]。しかし2009年12月、検察官が弁護側証人3人の証言を不適切に妨げたとして、連邦判事テンプレート:仮リンクはストックオプションの日付改竄に関する告発を退けた[15]

クアルコムとの裁判

2007年6月、ブロードコムはサンディエゴに本社を置く半導体企業クアルコムが同社の特許を侵害したとして訴え、アメリカ国際貿易委員会はクアルコム製チップを搭載した携帯電話の輸入禁止を命じた。ブロードコムはこの問題を裁判でも訴えていたが、2009年4月26日、4年に及ぶ法廷闘争が終結した[16]。和解の条件として、クアルコムは2013年4月までにブロードコムに現金8億9100万ドルを支払うことになっている。

企業買収

2011年9月、ブロードコムは NetLogic Microsystems を現金37億ドルで買収し、NetLogic従業員の持つ自社株4億5000万ドル分はブロードコム株と交換した[17]

他にもブロードコムは多数の企業を買収しており、それによって新市場にすばやく参入している[18]

時期 企業名 買収額 専門技術
1999年1月 Maverick Networks 1億400万ドル(株式) 企業ネットワーク向けマルチレイヤー・スイッチ
1999年4月 Epigram 3億1600万ドル(株式) 電話線を利用したHomePNA
1999年6月 Armedia Inc. 6720万ドル(株式) デジタル動画デコーダ[19]
1999年8月 HotHaus Technologies 2億8000万ドル(株式) VoIPDSPソフトウェア
1999年8月 Altocom 1億8000万ドル(株式) ソフトモデム
2000年1月 BlueSteel Networks 1億2300万ドル(株式) セキュリティ・プロセッサ
2000年3月 Digital Furnace Corp 1億3600万ドル(株式) データ圧縮ソフトウェア
2000年3月 Stellar Semiconductor 1億6200万ドル(株式) 3Dグラフィックス・プロセッサ
2000年6月 Pivotal Technologies 2億4200万ドル(株式) デジタル動画チップ
2000年7月 Innovent Systems 5億ドル(株式) Bluetooth通信機
2000年8月 Puyallup Integrated Circuit Company IC設計とICマクロブロック
2000年7月 Altima Communications 5億3300万ドル(株式) ネットワークチップ
2000年10月 Newport Communications 12億4000万ドル(株式) 10Gbitイーサネット通信機
2000年10月 Silicon Spice 10億ドル(株式) VoIPDSPチップ
2000年11月 Element 14 5億9400万ドル(株式) DSLチップセット
2000年12月 Allayer Communications 2億7100万ドル(株式) 企業向けおよび光ネットワークチップ
2000年12月 Sibyte 20億ドル(株式) ブローバンド向けマイクロプロセッサ
2001年1月 VisionTech, Ltd. 7億7700万ドル(株式) MPEG-2圧縮・伸張
2001年1月 ServerWorks Corp. 10億300万ドル(株式) サーバ/ワークステーション用I/Oコントローラ
2001年7月 PortaTec Corporation 携帯用デバイス
2001年7月 Kimalink 無線/携帯用チップ
2002年5月 Mobilink Telecom, Inc. 560万ドル(株式) 携帯電話向けベースバンドプロセッサ
2003年3月 Gadzoox Networks 580万ドル(現金) SAN
2004年1月 RAIDCore, Inc. 1650万ドル(現金) RAIDソフトウェア
2004年4月 M-Stream Inc. 870万ドル(現金)と27000株 無線受信の改良技術
2004年4月 Sand Video, Inc. 7750万ドル(株式)と740万ドル(現金) 動画圧縮技術
2004年4月 WIDCOMM, Inc. 4900万ドル(現金) Bluetooth 関連ソフトウェア
2004年4月 Zyray Wireless, Inc. 9600万ドル(株式) WCDMA向けベースバンドプロセッサ
2004年9月 Alphamosaic, Ltd. 1億2300万ドル(株式) モバイルサービス向けビデオプロセッサ
2005年2月 Alliant Networks, Inc. 携帯電話網ゲートウェイ
2005年3月 Zeevo, Inc. 2640万ドル(現金)と260万ドル(株式) Bluetoothヘッドセット
2005年7月 Siliquent Technologies, Inc. 7600万ドル(現金) 10Gbitイーサネットのコントローラ
2005年10月 Athena Semiconductors, Inc. 2160万ドル(現金) デジタルTVチューナーとWifi
2006年1月 Sandburst Corporation 7500万ドル(現金)と500万ドル(株式) イーサネット・パケット交換用SOCチップ
2006年11月 LVL7 Systems, Inc. 6200万ドル(現金) ネットワーク・ソフトウェア
2007年5月 Octalica, Inc. 3100万ドル(現金) MoCA(同軸ケーブルによるホームネットワーク)
2007年6月 Global Locate, Inc. 1億4600万ドル(現金) GPSチップとソフトウェア
2008年3月 Sunext Design, Inc. 4800万ドル(現金) 光ディスクドライブ
2008年8月 AMD DTVプロセッサ部門 1億4150万ドル(現金、当初の提示額は1億9280万ドル)[20] テンプレート:仮リンク DTVプロセッサチップとソフトウェア、およびそれを利用したTVチューナー
2009年12月 Dune Networks[21] 1億7800万ドル(現金) 高速ネットワークスイッチ
2010年2月 Teknovus[22] 1億2300万ドル(現金) イーサネットPON (EPON) 用チップセットとソフトウェア
2010年6月 Innovision Research & Technology plc[23] 4750万ドル(現金) 近距離無線通信とIP
2010年10月 Beceem Communications[24] 3億1600万ドル(現金) 4G LTE/WiMax
2010年11月 Gigle Networks [25] 7500万ドル(現金) 家庭用マルチメディアネットワーク
2011年4月 Provigent Ltd.[26] 3億1300万ドル(現金) マイクロ波バックホール
2011年5月 SC Square Ltd.[27] 4190万ドル(現金) イスラエルのセキュリティソフトウェア企業
2011年9月 NetLogic Microsystems 37億ドル 次世代インターネット向けネットワーク製品

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク

  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite web
  • Technical specs on the Dell PowerEdge M610, visited 27 Januari, 2012
  • Cisco rolls out Nexus 3000, visited 28 January, 2012
  • The Register on Force10 cranks Ethernet switches to 40 Gigabits, 23 April, 2011; visited 28 January, 2012
  • b43 Sipsolutions.net, Linux Wireless
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite news
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web
  • テンプレート:Cite web