ブロッコリー

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テンプレート:生物分類表 テンプレート:栄養価 ブロッコリー(英語:Broccoli、学名:Brassica oleracea var. italica)は、アブラナ科緑黄色野菜。花を食用とするキャベツの一種がイタリアで品種改良され現在の姿になったとされる[1]。和名はミドリハナヤサイ(緑花椰菜)、メハナヤサイ(芽花椰菜)。カリフラワーはブロッコリーの変種である[2]。単位は「株」である。

地中海沿岸の原産。食用とするのは蕾の状態の花序であり、収穫せずに栽培を続けると巨大になった花序に多数の黄色やクリーム色の花をつける。

品種はピクセル、エンデバー、グリーンベール、シャスター、パラグリーン、マーシャル、チャレンジャー、海嶺、雷鳴、緑炎、緑帝、緑笛、緑嶺などがある。

生産・流通

日本での主産地は埼玉県(2004年収穫量:14,000t、栽培面積:1,110ha)、愛知県(同:11,700t、825ha)、北海道(同:10,800t、1,250ha)であり、市町村別では愛知県の田原市が全国で最も生産量が高い。

常温でも外見が変化しないカリフラワーに対し、ブロッコリーは収穫後ただちに低温保存しないと変色が進んでしまうことから、保存技術が未熟だったかつては、ブロッコリーの流通量は、カリフラワーに大きく水を開けられていた。しかし低温流通技術の開発や家庭における冷蔵庫の普及により、1980年代頃からブロッコリーの生産・流通が急速に拡大。現在、東京都中央卸売市場における取扱量では、ブロッコリーが約13万トン、カリフラワーは約2万トンと、かつての状況とは完全に逆転している[3]

食材

緑色の花蕾を食用とする。ビタミンBビタミンCカロテン鉄分を豊富に含む。日本ではゆでてマヨネーズなどの調味料をつけて食べることが多いが、欧米ではサラダなどで生食されることも少なくない。スープシチューの具、炒め物、天ぷら糠漬け(主に茎)にすることもある。茎の部分の外皮は、繊維質で硬く食感が悪いことがあり、その場合は剥いてから調理するとよい。保存温度は低いほうがよく、野菜室程度の温度では花蕾が育ち花が咲くこともある。そうなると味と食感が落ちるが、食用は可能である。

また、発芽したての子葉胚軸を、カイワレダイコン同様スプラウトもやし)として食用にする。一般には、ブロッコリースプラウトと呼ばれる。

スルフォラファンイソチオシアネートの一種でアブラナ科野菜の中でもブロッコリーなどに含まれ、がん予防効果[4][5][6]ピロリ菌抑制効果[7]等があるとされている。

アメリカ人とブロッコリー

ブロッコリーは、アメリカ合衆国において健康の象徴として親しまれる一方、子供の頃に無理矢理食べさせられた記憶を思い出させる野菜として語られる。後者に関しては、ジョージ・H・W・ブッシュが知られており、しばしばブロッコリー嫌いを公言したため農家からブロッコリーを送りつけられる抗議活動を受けている。また、ブロッコリーは「嫌いな人は多い」というイメージを逆手に取り引用される例もある。例えば、2010年に国民皆保険制度を進める法律(オバマケア)が成立し、各地で強制的な保険料徴収に関して違憲性を問うを裁判が行われたが、「週に何回ブロッコリーを食べるかを国が決めるのか?」(フロリダ地裁)、「保険の強制加入はブロッコリーの購買を強制するのと同じではないか?」(バージニア地裁)というようにブロッコリーを引き合いに出す議論も行われた[8]

参考画像

近縁種

はなっこりー
山口県でブロッコリーと中国野菜サイシンを掛け合わせた野菜[9]2003年市場に登場したが、まだ生産量は全国に流通するほどには達していない。
ロマネスコ(ロマネスク、ブロッコフラワーとも)
ブロッコリーに味の似たカリフラワーの変種。イタリア・ローマ近郊で開発され、1990年代よりヨーロッパで流通している。単にカリフラワーの形でブロッコリーのような緑色をしたものと、フラクタル図形をした多数の突起が特徴の2種類があり、味はカリフラワーに近い[10]。日本では「カリッコリー」「カリブロ[11]」等の名称でも流通している。
スティックセニョール
近年、サカタのタネにより開発された、ブロッコリーと中国野菜カイランを掛け合わせた野菜[12][13]。主に花と共に伸びる茎を食べるブロッコリーとして流通している。

脚注

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関連項目

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  • 「旬を育てる 旬を味わう 野菜づくり大図鑑」藤田智・編著 講談社 より
  • 「別冊やさい畑 野菜づくり名人虎の巻」家の光協会 より
  • カリフラワーとブロッコリー、盛衰くっきり 変わる食卓2013年3月25日閲覧、朝日新聞デジタル
  • Zhang, Y; Kensler, T. W.; Cho, C. G.; Posner, G. H.; Talalay, P. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994 91, 3147–3150.
  • Fahey, J. W.; Zhang, Y.; Talalay, P. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 10367–10372.
  • Basten, G. P.; Bao, Y.; Williamson, G. Carcinogesis 2002, 23, 1399–1404.
  • Fahey, J. W.; Haristoy, X.; Dolan, P. M.; Kensler, T. W.; Scholtus, I.; Stephenson, K. K.; Talalay, P.; Lozniewski, A. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2002, 99, 7610–7615.
  • テンプレート:Cite news
  • 山口県農林総合技術センター農業技術部 山口県オリジナル野菜はなっこりー
  • フランス語版fr:Chou romanescoに詳しい解説がある。英語版en:Broccoflowerはオランダ原産との表記がノート上で疑問視されている
  • 中原採種場株式会社 カタログ
  • サカタのタネ スティックセニョール
  • 農林水産省生産局知的財産課 品種登録ホームページ