ブレス・コントローラ

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概要

ブレス・コントローラ(Breath Controller)は、の圧力をセンサで検出し、シンセサイザーにその情報を送信することで、管楽器のような抑揚感に溢れる演奏を可能にするシンセサイザーの周辺機器である。ブレス・コントローラを接続したシンセサイザーがMIDIインターフェースを持つ場合は、MIDI信号の一種であるコントロールチェンジを出力することができる。

管楽器系・擦弦楽器系・コーラス系など持続性のある音色をキーボードで演奏する際にブレス・コントローラを使用すれば、使用しない場合に比べて格段のリアリティを得ることができる。減衰系の音色でブレス・コントローラを用いることは一般的に行われないが、アイデア次第で特異な効果を得ることも期待できる。

ウインドシンセサイザーとの相違

息を用いて抑揚を豊かにする管楽器型のシンセサイザーとしてウインドシンセサイザーがある。この二者はしばしば混同されるが、以下の違いがある。

  • ウインドシンセサイザーは管楽器の一種と考えられ、主として管楽器奏者が用いる。
  • ブレス・コントローラはキーボード型のシンセサイザーに接続して利用するため、主としてキーボード奏者が用いる。
  • ブレス・コントローラを接続したシンセサイザーは、息を吹き込んだだけではMIDI信号のノート・オンを送信しない。キーボードの押下に伴う付加情報としてコントロールチェンジを送信するため、シンセサイザーの周辺機器である「サステインペダル」と同一の分類に属する。
  • ウインドシンセサイザーのことをブレス・コントローラと呼ぶ場合があるが、その逆(ブレス・コントローラのことをウインドシンセサイザーと呼ぶこと)はない。

ブレス・コントローラを接続したシンセサイザーが送信するコントロールチェンジ

MIDI信号としての情報量

シーケンサーを用いて曲を制作する際、あらかじめ入力したパートにブレス・コントローラを用いれば、打ち込み特有の平板な印象を効果的に払拭することが可能となる。ただしブレス・コントローラにより発生する息の圧力変化の情報は、MIDIデータの情報量としては比較的多量であるため、記憶容量に限りのあるハードシーケンサーやシーケンスソフトを用いる際はデータを適宜間引く等の工夫をする場合もある。

代表的な製品

  • コンピュトーン ヒューマナイザー(リリコンのトランスデューザ部を独立させた製品)
  • ヤマハ BC1(口にくわえるタイプ)
  • ヤマハ BC2(ヘッドセットタイプ)
  • ヤマハ BC3(BC2の吹奏感と強度を向上させた製品)
  • アカイ x335i(EWIのマウスピース部をヘッドセット型に独立させた製品)

以上はキーボード型のシンセサイザーに接続して利用するタイプの製品。いずれも独自規格の接続インタフェースを持つ。MIDIインタフェースを持つブレスコントローラーは2008年3月時点で存在しない。

x335iは、EWIと同様にマウスピースを噛むことでLFOの1サイクルを出力し、ビブラート効果を得ることが可能である。

その他にカーツウェル、カシオといったメーカーからも過去に同種の製品が発売されていた。シンタックス(ギターシンセ)に接続するホース型のタイプも存在した。

2008年3月現在、日本で入手可能なブレス・コントローラはヤマハのBC3のみである。

なお、アカイx335iの商品名は、当時のアカイプロフェッショナル M.I.株式会社の本社が所在した住所(3丁目3番地5)に由来しているテンプレート:要出典

関連項目

外部リンク