ピーター・ローフォード

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テンプレート:ActorActress ピーター・ローフォードPeter Lawford1923年9月7日 -1984年12月24日)はイギリスロンドン出身の俳優。本名はPeter Sydney Ernest Aylen

略歴

第一次世界大戦の英雄のサー・シドニー・ローフォード(Sir Sydney Turing Lawford)の一人息子で、1940年代から1960年代にかけてハリウッドで活躍した長身の美男俳優である。メトロ・ゴールドウィン・メイヤー社の契約俳優として、スター女優の相手役として二枚目を数多く演じた。

1954年ジョン・F・ケネディアメリカ合衆国上院議員(後に大統領)の妹パトリシアと結婚し(1966年に離婚)、その後ジョンの大統領選挙に協力し、ジョンが大統領となるとスポークスマンとなった。また親友のフランク・シナトラ率いる「シナトラ一家(ラット・パック)」の大幹部的存在として名を馳せた。

しかし、下記のようにマフィアとの関係を巡りケネディ兄弟とシナトラの関係が悪化したことや、ケネディ兄弟の暗殺やその後のパトリシアとの離婚による影響力、話題性の低下も影響し、俳優としての活動は徐々に下火になっていった。なお俳優、政治活動家、作家であるクリストファー・ケネディー・ローフォードは、パトリシアとの間に生まれた息子である。

義兄のジョン及びロバートの2人と愛人関係にあったマリリン・モンローを紹介した張本人であるだけでなく、モンローの死に深く関わっていたという噂も根強い[1]上、エリザベス・テイラーラナ・ターナーエヴァ・ガードナードロシー・ダンドリッジキム・ノヴァクリー・レミックなど数々の美人女優と噂になるなど華やかなスターとしての人生を謳歌していたかに見えた。

しかし、私生活の悩みやシナトラ一家からの追放とパトリシアとの離婚後のキャリアの低迷など数多くの問題を抱え、次第に酒と麻薬に溺れるようになり、1984年に心臓発作を起こして急死した(ロサンゼルス市シーダズ・サイナイ病院)。

ケネディ家との関係

パトリシアとの結婚と選挙協力

ファイル:Hermanos Kennedy.jpg
向かって左からジョン、ロバート、エドワードのケネディ兄弟
ファイル:JFK and Marilyn Monroe 1962.jpg
マディソン・スクエア・ガーデンで行われた誕生パーティーの後にケネディと話すモンロー(1962年)

1954年に、後に大統領となるジョン・F・ケネディ上院議員の妹パトリシアと結婚したことで、ジョンや弟のロバートエドワードなどのケネディ兄弟とハリウッドの関係をつなぐ役目をすることとなった。

シナトラなどの「シナトラ一家」やモンロー、ジュディ・ガーランドを兄弟に紹介したほか、ケネディ兄弟を通じて民主党への支援を活発に行い、1960年の大統領選挙にジョンが出馬した際には、シナトラやサミー・デイヴィス・ジュニアなどとともに、カリフォルニア州ネバダ州で行われた選挙資金調達パーティーに出演するなど、ジョンの予備選勝利に向けて協力を行った[2]

さらに1960年7月10日の民主党大会の初日前夜に、ビバリーヒルズのビバリー・ヒルトン・ホテルで開かれた資金調達パーティーでは、ローフォードやシナトラ、デイヴィスのほかにも、シナトラが親しかったジュディ・ガーランドトニー・カーチスが出席し、シナトラはアメリカ国歌を斉唱したばかりか、会場をまわり代議員へのジョンへの支援への説得を行った[3]

シナトラとマフィアとの関係

またジョンは、予備選挙中にシナトラから紹介されたシナトラの元恋人のジュディス・キャンベルを経由して、マフィアの大ボスのサム・ジアンカーナを紹介してもらい、ウェスト・ヴァージニア州における選挙への協力を直接要請した他、FBIの盗聴により、シナトラが同州のマフィアからケネディのために寄付金を募り、ケネディの選対関係者にばらまいたことが明らかになっている[4]。なお、ケネディ大統領はシナトラから紹介されたキャンベルと不倫関係を持っただけでなく、その死の直前まで不倫関係にあった女優マリリン・モンローをケネディ大統領に紹介したのもシナトラであった。

しかしケネディ兄弟、特にジョンがローフォードを通じてマフィアと関係の深いシナトラと深い関係を築き、ジョンがシナトラの元恋人のキャンベルやモンローと不倫関係を持ったこと、さらに上記のようにジョンが大統領選挙の本選において、ジアンカーナなどシナトラと親しいマフィアからの選挙不正への関与を含む選挙支援を受けたこと、そしてその後の関係の決裂が、後にジョンの名声を傷つけるだけでなく、暗殺の原因の1つとされることとなる。

ケネディ・ブレーン

その後ジョンがアメリカ大統領に就任すると、これまでの選挙活動に対する協力へのお礼と、ローフォードの人脈と弁舌の巧みさが買われて、ジョンのスポークスマンの1人として政権内に入りんだ。

しかし1962年に入り、シナトラとジアンカーナらのマフィアとの関係がマスコミなどで問題視され、さらにマフィアへの取り締まり方針を強めたFBIからもジョンとシナトラ、そしてキャンベルとの関係について忠告を受けたこともあり、ケネディ政権の司法長官となったロバートがジョンとシナトラの関係を終結させるように画策した。

ジョンはこれを受けてシナトラと距離を置いたためにシナトラが激怒し、ジョンやロバートらケネディ兄弟との関係が疎遠になっだけでなく、この様な事態になることを止めることができなかったローフォードを「シナトラ一家」から事実上追放することとなり、ローフォードのその後の俳優のキャリアにダメージを与えることとなった。

離婚

なおパトリシアとの関係は、ジョンやロバートとの関係が深まるのと反比例してジョンの大統領就任前後から悪化し、1963年11月のジョンの暗殺の前には別居状態となり、その後長期の別居を経て1966年に離婚した[5][6]

主な出演作品

公開年 邦題
原題
役名 備考
1944 ドーヴァーの白い崖
The White Cliffs of Dover
ジョン・アシュウッド2世
パーキントン夫人
Mrs. Parkington
1945 ドリアン・グレイの肖像
The Picture of Dorian Gray
デヴィッド・ストーン
名犬ラッシー/ラッシーの息子
Son of Lassie
ジョー
1946 嘘つきお嬢さん
Two Sisters from Boston
ローレンス
小間使
Cluny Brown
アンドリュー
1947 不思議な少年
My Brother Talks to Horses
ジョン
下町天国
It Happened in Brooklyn
ジェイミー
1948 イースター・パレード
Easter Parade
ジョナサン・ハロウ3世
奥様武勇伝
Julia Misbehaves
リッチー
1949 若草物語
Little Women
ローリー
赤きダニューブ
The Red Danube
1951 恋愛準決勝戦
Royal Wedding
ジョン・ブリンデール
1954 有名になる方法教えます
It Should Happen to You
エヴァン・アダムス3世
1960 オーシャンと十一人の仲間
Ocean's Eleven
ジミー・フォスター
栄光への脱出
Exodus
コールドウェル
1962 荒野の3軍曹
Sergeants 3
ラリー・バレット軍曹
野望の系列
Advise and Consent
レイフ・スミス
史上最大の作戦
The Longest Day
ロバット卿(イギリス軍コマンド部隊長)
1964 誰が私を殺したか?
Dead Ringer
トニー・コリンズ
1965 シルビア
Sylvia
フレデリック・サマーズ
ハーロー
Harlow
ポール
1966 アダムのブルース/天才トランペッターの愛と挫折
A Man Called Adam
マニー
1967 国際秘密結社
How I Spent My Summer Vacation
ネッド テレビ映画
メキシコ行き2枚の切符
Geheimnisse in goldenen Nylons
スティーブン
1968 君は銃口/俺は引金
Salt and Pepper
クリストファー・ペッパー 兼製作総指揮
1969 幸せはパリで
The April Fools
テッド
1970 罠にはまった二人・密輸ダイヤをひとり占め
One More Time
クリストファー・ペッパー 兼製作総指揮
1971 金庫破り
A Step Out of Line
アート テレビ映画
皆殺しL・Aコネクション
Clay Pigeon
山火事殺人計画/猛火!狙われた美人妻
The Deadly Hunt
メイソン テレビ映画
青とピンクの紐
Ellery Queen: Don't Look Behind You
エラリー・クイーン テレビ映画
1975 ローズバッド
Rosebud
カーター
1976 名犬ウォン・トン・トン
Won Ton Ton: The Dog Who Saved Hollywood
1979 ザ・7エンジェルズ
Angels' Brigade
バーク
女豹の島
Mysterious Island of Beautiful Women
ゴードン・デュヴァル
1981 復活のテン・カウント
Body and Soul
ビッグ・マン

出典

  1. 『ピーター・ローフォード―ケネディ兄弟とモンローの秘密を握っていた男』ジェイムズ スパダ著、広瀬順弘訳 読売新聞社刊 1992年
  2. 『ピーター・ローフォード―ケネディ兄弟とモンローの秘密を握っていた男』P.342 ジェイムズ スパダ著、広瀬順弘訳 読売新聞社刊 1992年
  3. 『ピーター・ローフォード―ケネディ兄弟とモンローの秘密を握っていた男』P.346 ジェイムズ スパダ著、広瀬順弘訳 読売新聞社刊 1992年
  4. 『ピーター・ローフォード―ケネディ兄弟とモンローの秘密を握っていた男』P.344 ジェイムズ スパダ著、広瀬順弘訳 読売新聞社刊 1992年
  5. テンプレート:Harv
  6. テンプレート:Harv

参考文献

外部リンク

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