ピスタチオ

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テンプレート:生物分類表 ピスタチオ(英:Pistachio、学名:Pistacia vera)は、ウルシ科カイノキ属の落葉高木。およびそれから採ったナッツ

特徴

は、漢字楷書体で知られるカイノキ(楷)と同じカイノキ属である。

主に乾燥した土地で育ち、一定の塩害のある場所でも生育する。しかし、十分な日照と排水が必要。

木は高さ10mほどに成長する。落葉性の奇数羽状複葉、10-20cmほどになる。長径3cmほどの楕円形の殻果は、成熟すると、裂開果と呼ばれる一辺が裂けた独特の形状となり、熟すと落木する。この形状から、現代中国語では「開心果」(カイシングオ、kāixīnguǒ)と称する。

産地

原産は地中海沿岸。農耕文明の初期以来、この地に自生していた原種を食用に栽培してきたものである。主な生産地はイランアメリカトルコシリアなどであり、現在の生産量はイランが世界一である。中国では新疆ウイグル自治区が主産地。

国別ピスタチオ生産量 (トン)[1]
国名 2005年 2006年 2007年 2008年
テンプレート:Flag 229,657 250,000 315,500 192,269
テンプレート:Flag 128,367 107,955 188,696 126,100
テンプレート:Flag 60,000 110,000 73,416 120,113
テンプレート:Flag 44,642 73,183 52,066 52,600
テンプレート:Flag 34,000 36,000 38,000 40,000
テンプレート:Flag 8,847 8,233 8,148 8,100
テンプレート:Flag 2,457 2,457 ? 3,600 2,500
テンプレート:Flag 2,000 2,700 2,500 2,500
テンプレート:Flag 2,719 1,024 2,782 2,000
テンプレート:Flag 300 500 800 800
ファイル:ARS pistachio.jpg
ピスタチオナッツ

テンプレート:栄養価

(100g中)の主な脂肪酸の種類[2]
項目 分量(g)
脂肪 45.39
飽和脂肪酸 5.556
一価不飽和脂肪酸 23.82
16:1(パルミトレイン酸 0.473
18:1(オレイン酸 23.174
多価不飽和脂肪酸 13.744
18:2(リノール酸 13.485
18:3(α-リノレン酸 0.259

利用

熟した種子を殻果ごと焙煎し、味をつけたものを食用とする。ピスタチオグリーンと呼ばれる緑色が残り、味は他のナッツ類と異なる独特の風味があり、「ナッツの女王」とも呼ばれる。また殻を割るパチンという音も心地よく、や茶請けとして用いられる。

ナッツとして食べる他に、緑色を活かして、ペーストにして製菓材料に用いたり、ケーキクッキーの飾りつけに用いたりする。アイスクリームに混ぜ込むことも欧米では一般的。中東ではハルヴァと呼ばれるヌガーに似た菓子にも用いられる。料理では、パスタスープに用いるものがある。

生薬としては、種子を阿月渾子(あげつこんし)と称し、腎炎肝炎胃炎などに有効とされる。血中のLDLコレステロールを低減し、抗酸化物質を増やす作用もある[3]
一般にナッツの摂取は心血管疾患発症リスクを低下させることが知られている。アーモンドクルミ、ピスタチオの摂取は総コレステロール、LDL-コレステロールを低下させることが報告されているが、ピスタチオにおいては血圧降下作用も報告されている。[4]

発がん性カビ毒の付着

2002年7月、日本に輸入されたイラン産のピスタチオナッツについて、発癌性物質のアフラトキシンが相次いで検出された。[5]アフラトキシンはカビ毒(マイコトキシン)の一種であり、天然の発癌性物質の中でも最強の毒性を持つ。

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脚注

  1. テンプレート:Cite web
  2. http://ndb.nal.usda.gov/
  3. テンプレート:Cite journal
  4. Diets containing pistachios reduce systolic blood pressure and peripheral vascular responses to stress in adults with dyslipdemia. West SG et al: Hypertension 60: 58-63, 2012.
  5. ピスタチオに発がん性物質 「輸入禁止も」と厚労相(共同通信) - 47NEWS

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