パリス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

パリステンプレート:Lang-grc-short)は、ギリシア神話の英雄である。

イーリオス(トロイア)王プリアモスヘカベーとの間に生まれた。出生時の名前アレクサンドロスでも知られる。長兄にイーリオスの英雄ヘクトール、妹に悲劇の予言者カッサンドラーを持つ。「パリスの審判」により、イーリオスに戦乱(ひいては滅亡)をもたらしたことで知られる。

神話

誕生

アレクサンドロス(後のパリス)を産むとき、ヘカベーは、自分が燃える木を生み、それが燃え広がってイーリオスが焼け落ちるという夢を見た。ヘカベーが夢占い師にこの夢のことを告げると、彼は「この子は災厄の種になる」として、殺すことを勧めた。そこで、プリアモスは家来に、アレクサンドロスを連行して殺すように命じた。家来はアレクサンドロスを殺すにしのびず、イーデー山に捨てた。捨てられた子は、羊飼いに拾われて、彼からパリスと命名されて育てられた。

パリスの審判

成長したパリスはニュンペーオイノーネーを妻とし、イーデー山で羊飼いをしていた。後にプリアモスの子であることが明らかとなって、王宮に迎えられた。

ある日イーデー山にいたパリスのもとにヘーラーアテーナーアプロディーテーがやってきて、誰が一番美しいか判定させようとした(パリスの審判)。

パリスはこの世で一番美しい女を妻にくれると言ったアプロディーテーを、最も美しいとした。

ヘレネー誘拐

アプロディーテーはパリスに、船を作ってスパルタに赴き、ヘレネーをさらって妻にするようにと命じた。パリスは言われたとおりに実行し、オイノーネーを捨ててヘレネーを妻にした。そこでヘレネーの夫メネラーオス、メネラーオスの兄アガメムノーンらは、ヘレネーを取り返すべく、ギリシア中の英雄を募ってイーリオスに攻め寄せた。これらの英雄はヘレネーに結婚を申し込んだ男たちだった(アキレウスは例外)。ヘレネーの父テュンダレオースは、彼らの中の誰を結婚相手に選んでも、それ以外の男たちの恨みを買う恐れがあるため、あらかじめ「誰が選ばれるにしても、その男が困難な状況に陥った場合には、全員がその男を助ける」という約束をさせていたのである。

トロイア戦争

トロイア戦争において、パリスは得意の弓でアキレウスをしとめるなどして活躍した。しかし、ヘーラクレースの弓を持つピロクテーテースに弓で射られ瀕死の重傷を負う。この傷を治せるのは、昔捨てたオイノーネーだけだった。このためパリスはイーデー山に行き、オイノーネーにすがるが拒絶され、イーリオスに戻る途中で死んでしまった。オイノーネーは後悔してパリスに追いつこうとするが、すでに死んでしまった後だったので、自殺して果てたという。

系図

テンプレート:トロイアの系図

テンプレート:Sister

テンプレート:イーリアスの登場人物