パパイア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:生物分類表

テンプレート:栄養価 パパイア(パパイヤ、蕃瓜樹[1]、万寿果[1]テンプレート:Lang-en、学名:Carica papaya)とは、パパイア科パパイア属の常緑小高木である。その果実も「パパイア」という。「チチウリノキ(乳瓜木)」、「モッカ(木瓜)」、「マンジュマイ(万寿瓜)」、「パウパウ」、「ポーポー」、「ママオ」、「ツリーメロン」などと呼ばれることもある。

特徴

メキシコ南部から西インド諸島を原産[2]とする(草本性)常緑小高木[3]である。16世紀初めにヨーロッパ人に発見された[2]。多くの熱帯の国々で栽培されており、日本では、沖縄などで人家の庭に自生している。まっすぐに伸びたの先に長い葉柄を持つ大きなが集中しており、葉質は薄くて柔らかい。 葉はやや掌状に大きく切れ込みが入っている。は茎の先端近く、葉の下側に出る。通常は雌雄異株で、雄花は長い花序になって垂れ下がる。花は黄緑色で目立たない。樹高は10 m以上にも達するが、近年は栽培しやすい矮性種も開発されている。耐寒性に乏しく、生育適温は25-30℃、生育最低温度は15℃で、10℃以下になると生育を停止する[3]

パパイアは多年生であり、背が高くなり、しかも次第に茎が太くなるので、樹木と見ることができるが、茎は非常に柔らかく、台風などで容易に倒れる。また幹部は木質化しておらず、倒れたものが枯れると、すぐに腐って軟化するため、ではなくとして捉えられる場合もある。従って、ごく一部の解説書などでは、「草本類」と記載されている場合がある。

果実は食用にされ、生果や乾燥させた果実は一般に流通している。タイフィリピンなどから日本に輸入される場合も多い。日本国内では、前述の通り沖縄に自生しているが、沖縄ではパパイア生産が産業として成り立ちにくいといわれる。理由としては、繁殖力が強く、軒先に自生しており、雑草的に捉えられていることや、台風に弱く生産量が不安定なことがあげられる。また、沖縄など国内で栽培されているパパイアは生産効率を確保するためソロ(両性花)種が多く用いられている。日本国内に輸入されている約90%がソロ種である[3]

利用

果物として

熟すると黄色い果実ができる。粒々の黒い種が中央の中空部分にたくさんあるが、種は取り除いて、周りの果肉を食べる。甘さが強く独特の癖があるので、レモン汁をかけて、酸味を加える場合もある。

果肉は、細く切って乾燥させ、ドライフルーツにすることがある。台湾(特に高雄)では、牛乳と果肉をミキサーにかけて混ぜた、パパイア牛乳が名物となっており、紙パック入りの商品もある。香港には黄色く熟れた実の先端をくりぬいて、壷状にし、スープを入れて蒸す料理がある。順徳料理のデザートとして、シロップ煮にしたパパイアがあり、同じくシロップ煮にした白木耳鶏卵などと組み合わされる場合もある。なお、除かれてしまう種子は成分が同一なことからワサビと同じ味がする。

野菜として

沖縄フィリピンタイなどでは、果物としてよりも、むしろ野菜として扱う。未完熟で青いパパイアの皮をむき、果肉を千切りにし水にさらして、炒め物に使われる。千切りのものが袋詰めでスーパーマーケットに並んでおり、調理済みのものは総菜として、また弁当の具として販売されている。また、これを乾燥させたものは切り干し大根のように用いられる。

タイでは、同じく未完熟で青いパパイアの皮をむき、果肉を千切りにしニンニク唐辛子パクチーナンプラーうま味調味料などと和えたソムタムというサラダにする。タイでは乾燥させたものをかんぴょうの代用にし、日本向けの輸出食品に用いることがある。

根の一部は柔らかく、またデンプンを含むので、第二次世界大戦で南方の島々に孤立した日本兵は、実を食べ尽くしたあとは根を掘って食用にしていた。

食品添加物として

未熟果に多く含まれるタンパク質分解酵素パパインは、食肉軟化剤や消化促進剤として広く用いられている。

洗顔料として

パパイアの実を切ったときに出る白い液体(パパイン酵素)を粉状にし、精製したものを洗顔料として使う。強い洗浄力があり、ニキビに悩む女性たちに人気がある。

軟膏剤として

パパイン酵素は消毒作用があり、肌の傷、やけど、アザ、カサ付き、ひび割れ、アトピー、日焼け後のケア、肌荒れ、虫さされ、ニキビ等などに効き、リップバーム軟膏剤として使用されている。

栽培

パパイアの種を蒔くと簡単に発芽するので、観葉植物として楽しむことが出来る。ただし、発芽にある程度の温度が必要なので、日本本土では5月のころに蒔くのがよい。また苗木でも実生苗でも結実まで1-2年かかる[3]。雌雄異株なので、結実を目指すのなら数株育てる必要がある。雌花開花後に雄花の花粉を受粉させれば果実が育つ。また、温度によっては両性花がつくこともある。この場合は1株でも果実が得られる。 近年は樹高が1m程度の矮生種も開発されているので、条件さえ揃えば植木鉢等で結実させることも可能である。 またハダニ線虫の害を受けるが、薬剤に弱いので薬剤の散布は避けなければならない[3]

出典

  1. 1.0 1.1 三省堂編修所『何でも読める難読漢字辞典』三省堂、1999年9月10日発行、ISBN 4385135916 、24頁
  2. 2.0 2.1 石尾員浩『野菜と果物 ポケット図鑑』主婦の友社1995年発行、320頁
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 3.4 小林・尾崎,132-133頁 引用エラー: 無効な <ref> タグ; name "ref2"が異なる内容で複数回定義されています

参考文献

  • 小林幹夫・尾崎章『失敗しない果樹の育て方』 西東社、2010年1月25日発行、ISBN 9784791613373


関連項目

テンプレート:Sister