バーチ還元のソースを表示
←
バーチ還元
移動先:
案内
、
検索
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
要求した操作を行うことは許可されていません。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
'''バーチ還元'''(バーチかんげん、Birch reduction)は、[[液体]][[アンモニア]]中で[[金属]]を用いて行なう[[還元反応]]のことである。 1944年にアーサー・ジョン・バーチによって報告された<ref>Birch, A. J. ''J. Chem. Soc.'' '''1944''', 430.</ref>。 金属の溶解によって発生する[[溶媒和電子]]による還元反応であるため、他の還元反応とはかなり反応の特性が異なる。 特に重要なのは他の反応では困難な[[ベンゼン環]]の部分還元が可能であり、1,4-シクロヘキサジエンを得ることができる点である。 一般的な反応式は次のように表される。官能基の性質により水素が付加する位置が異なる。 [[Image:Birch reduction.svg|center|300px|バーチ還元]] == 実験の手順 == バーチ還元は以下の手順で行なう。 まず、[[ドライアイス]]で冷却した[[デュワー冷却器]]を装着した反応容器を[[ドライアイス]]-[[アセトン]]浴などで冷却してアンモニアの沸点である −33 ℃よりも低い温度とする。 [[撹拌子]]は[[テフロン]]被覆のものではテフロンがバーチ還元の条件で反応して侵されてしまうため、ガラス製のものを用いるのが良い。 ここにボンベから液体アンモニアを導入するが、液体アンモニアはボンベから直接注ぎ込むのは避ける方が良く、別の容器にトラップし、そこから気化させて反応容器に送り込み、デュワー冷却器で液化して反応容器に還流させる方がよい。 これはボンベの内壁などに由来する[[鉄]]などの粉末が反応系に混入すると[[還元剤]]となる金属とアンモニアの反応([[金属アミド]]と水素が発生する)を[[触媒]]してしまい、還元剤のロスの原因になるためである。 次に溜めた液体アンモニア中に還元剤となる金属を小片にして加えていく。 金属としては[[リチウム]]や[[ナトリウム]]を用いることが多い。 [[カリウム]]や[[カルシウム]]、[[マグネシウム]]が使用する例も報告されている。 これらの金属を液体アンモニア中に加えると濃紺色の溶液となる。 アンモニア中でこれらの金属は[[電子]]を放出して[[陽イオン]]となり、放出された電子は数分子のアンモニアに溶媒和された溶媒和電子となる。 この溶媒和電子が可視光を吸収するため溶液が着色する。 ここに反応させるべき[[基質]]をゆっくりと添加していく。 基質は溶媒和電子と反応しない[[アルカン]]や[[ジエチルエーテル]]などを補助溶媒として添加することもある。 また基質に[[アルコール]]などの[[水素イオン|プロトン]]化剤を混ぜて同時に添加することもある。 なお、先に基質を添加してから、過剰の溶媒和電子の生成により溶液が青くなるまで金属を少しずつ加えていく方法もある。 反応が完了したら、[[塩化アンモニウム]]やアルコール、[[水]]などのプロトン化剤をゆっくりと添加して過剰の溶媒和電子を消費させる。 その後、反応容器の冷却を止めてアンモニアを反応容器から蒸発させて除き、残渣を処理して目的物を得る。 ==反応機構== まず溶媒和電子が基質と反応して[[アニオン]][[ラジカル (化学)|ラジカル]]が生成する。 ここで還元されやすい基質(例えばα,β-不飽和ケトン)ではさらにもう1つの溶媒和電子が反応してジアニオンとなる。 これが反応後に添加されるプロトン化剤によってプロトン化されて最終生成物となる。 一方、還元されにくい基質(例えばベンゼン環)では、2つ目の溶媒和電子の反応はそのままでは進行しない。 このような基質では還元を進行させるには基質とともにプロトン化剤を添加しておく必要がある。 するとアニオンラジカルがプロトン化されてラジカルとなり、これに2つ目の溶媒和電子の付加してアニオンとなる。 そしてこれがプロトン化されて最終生成物となる。 [[Image:Birch mechanism.gif|center|ベンゼンのバーチ還元]] == 各官能基の還元 == ===ベンゼン環=== バーチ還元においてもっとも重要なタイプの反応である。 ベンゼン環の還元では通常 1,4-シクロヘキサジエンが生成する。 反応の進行にはプロトン化剤の添加が必要である。 [[電子供与性基]]が結合している場合には 2,5-ジヒドロ体が、[[電子求引性基]]が結合している場合には 1,4-ジヒドロ体が生成する。 ただし、[[ホルミル基]]や[[シアノ基]]、[[ニトロ基]]、[[ハロゲン]]などはこの条件で優先して還元されてしまう。 ナフタレン環ではプロトン化剤を添加しないと片方の環のみが還元されて 1,4-ジヒドロナフタレンとなるが、添加すると両方の環が還元されて 1,4,5,8-テトラヒドロナフタレン([[テトラリン]])が生成する。 ===アルキン=== [[アルキン]]は還元されて (''E'')-[[アルケン]]を選択的に生成する。 末端アルキンではアンモニウム塩のプロトン化剤の添加が必要である。 これは反応系内で基質が[[アセチリド]]となってしまうと還元されなくなってしまうためである。 [[リンドラー触媒]]を用いる[[水素化]]が (''Z'')-アルケンを生成するため、その方法と相補的となる。 ===ベンジル位のヘテロ原子=== [[ベンジル位]]の炭素原子と窒素、酸素、硫黄、ハロゲンなどのヘテロ原子との結合は開裂して還元される。 この方法は保護基として使用した[[ベンジル基]]の除去に用いることができる。 ベンジル基の除去には[[パラジウム]]触媒による[[水素化分解]]も利用されるが、[[アルケン]]を分子内に持つ基質では[[二重結合]]も[[水素化]]される可能性があり、ベンジルスルフィドはそれ自身が触媒毒となるため水素化分解はうまく進行しない。 しかしアルケンはバーチ還元の条件では通常還元されず、硫黄化合物も反応を妨害しないためそういった基質に適用できる。 ===カルボニル化合物=== [[アルデヒド]]と[[ケトン]]は[[アルコール]]に還元される。 ベンジル位ではさらに還元されて[[メチレン基]]になる。 [[カルボン酸]]は反応しない。 脂肪族の[[エステル]]はプロトン化剤があるとアルコールに還元される。 プロトン化剤が無い場合には[[加水分解]]のみが起こる。 脂肪族の[[アミド]]はプロトン化剤があると[[アルデヒド]]に還元される。 芳香族のエステルやアミドは反応しにくい。 α,β-不飽和カルボニル化合物では、プロトン化剤が無い場合には還元により[[エノラート]]の形になってカルボニル基が還元から保護されるため、炭素-炭素二重結合のみが還元される。 アルデヒドやケトンではプロトン化剤があるとカルボニル基も還元される。 ==ベンケサー還元 (Benkeser還元)== 液体アンモニアの代わりに低級の1級アミンを用いるバーチ還元の変法は、'''ベンケサー還元'''と呼ばれる。 1954年に R.A.ベンケサーらによって報告された。 1級アミンとしては[[メチルアミン]]、[[エチルアミン]]、[[エチレンジアミン]]が良く用いられる。 バーチ還元よりも還元力が高い。 またアミン自身がプロトン化剤として働き、プロトンを供与して生じるアミドイオンは強塩基として働く。 ベンゼン環を還元すると 1,4-シクロヘキサジエンが強塩基により 1,3-シクロヘキサジエンに異性化し、さらに還元されてシクロヘキセンとなる。 アルキンはアルカンまで還元される。といった差異がある。 == 関連項目 == *[[ブーボー・ブラン還元]] == 参考文献 == <references /> {{DEFAULTSORT:はあちかんけん}} [[Category:有機酸化還元反応]] [[Category:人名反応]]
バーチ還元
に戻る。
案内メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
変種
表示
閲覧
ソースを表示
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
コミュニティ・ポータル
最近の出来事
新しいページ
最近の更新
おまかせ表示
sandbox
commonsupload
ヘルプ
ヘルプ
井戸端
notice
bugreportspage
sitesupport
ウィキペディアに関するお問い合わせ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
特別ページ
ページ情報