バジリコ

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テンプレート:生物分類表 テンプレート:栄養価 バジリコ(伊:Basilico、学名:Ocimum basilicum)は、シソ科メボウキ属の多年草(日本では越冬できないので一年草として扱われる)。シソ科であることから風味もシソに若干似る。

和名はメボウキ。英名のバジル(Basil)の名でも知られる。インド、熱帯アジア原産のハーブである。Basilicoの名はラテン語 basilicumから来ており、さらにさかのぼると「王」を意味するギリシャ語の βασιλευς (バジレウス)に由来する。「バジル」と呼ばれるハーブには、Ocimum basilicum以外の種に由来するものもふくめ、およそ150 種類の栽培品種がある。

イタリア料理に多く使われる品種は「バジリコ」、「バジル」あるいは「スイートバジル(Sweet basil)」の名で知られている。ジェノベーゼバジル(Genovese basil)もイタリア料理に使われる。ほかにレモンバジル(Lemon basil)、ホーリーバジル(Holy basil)、シナモンバジル(Sinnnamon basil)、タイバジル(Thai basil)、マンモスバジル(Mammoth basil)、タイレモンバジル(Thai Lemon basil、ライムバジル(Lime basil)、リコリスバジル(Licorice basil)、アフリカンブルーバジル(African Blue basil)などの品種がある。

日本においては、有名メーカー製の家庭用乾燥ハーブが「バジル」と称される一方で、産地及び料理からイタリア語の呼称、バジリコが使われることもある。

歴史

バジリコは、アレキサンダー大王によって、インドからヨーロッパに伝えられたとする説がある。イギリスには16世紀に、アメリカには17世紀に渡来している。インドではホーリーバジルが、クリシュナ神とヴィシュヌ神に捧げる神聖なハーブとされる。またバジルは、ペルシャ、エジプトでは墓に植える草とされていた。 バジリコの名前の由来は、伝説上の怪物バジリスクテンプレート:Lang-en-short, テンプレート:Lang-la-short, テンプレート:Lang-grc-short [basiliskos])に由来すると言う説もある[1]

利用

バジリコの利用法としてはジェノヴァ付近で作られるペスト・ジェノヴェーゼ(ジェノヴァのソース)が有名である。

日本では、ペスト・ジェノヴェーゼあるいは類似のソースを混ぜ込んだスパゲッティをバジリコ・スパゲッティ(スパゲッティ・バジリコ)とも呼ぶ。バジリコ・スパゲッティは、東京都港区のイタリア料理店『キャンティ』がまだバジリコが手に入らない頃、代用としてシソパセリを使ってジェノヴェーゼ風に仕上げたのが始まりと言われている。現在では日本でもバジリコの生の葉や乾燥、粉砕した葉が容易に入手できるため、代用品を使う必要はなくなっている。

その他、トマトと相性がよいことでも知られる。新鮮なスイートバジルの葉とモッツァレッラチーズとトマトをあわせたサラダは、インサラータ・カプレーゼ(Insalata Caprese、「カプリ風サラダ」の意)といい、イタリアの国旗と同じ配色で、イタリアを象徴するサラダとなっている。ナポリピッツァの一つマルゲリータも、ピザの生地にモッツァレッラ、トマト、バジルの葉をトッピングしたものである。

また、台湾では「羅勒」と称されるが、ほんのり清涼感がある「九層塔」(台湾語 カウツァンタッ Káu-chàn-thah、同時に北京語でも言われる)が圧倒的に多く使われ、「羅勒」と「九層塔」が混合されて理解、使用されてる場合が多い。調理の際にもスイートバジルと同じようにパスタに使われるが、主に台湾料理の炒め物や台湾式鉄板焼に葉が数枚入れられたり、天ぷらのように揚げられたりする。

タイ料理ベトナム料理カンボジア料理インドネシア料理など、東南アジアでも使われる例がある。

種子

バジリコの種子はグルコマンナンを多く含むため、水分を含むと乾燥状態の約30倍に膨張し、ゼリー状の物質で覆われる。食物繊維を豊富に含むことからダイエット補助食品としても利用されている。日本には最初、種子が漢方薬として輸入された。ゼリー状の物質により目の汚れを取り去る目薬とされ、メボウキ(目箒)の名称が付いた。東南アジアアフガニスタンでは、水に浸した種子をデザートや飲み物にする。

近縁種

など

ギャラリー

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脚注

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参考文献

  • 北野佐久子『基本ハーブの事典』東京堂出版2005年
  • 北野佐久子『基本ハーブの事典』東京堂出版2005年p113-116