ハーレーダビッドソン

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ハーレーダビッドソン (Harley‐Davidson [ˈhɑːrli ˈdeɪvɪdsən]) は、ウィスコンシン州ミルウォーキー市に本部を置くアメリカ合衆国オートバイ製造会社である。通称ハーレー

概要

1903年にアーサー、ウォルターのダビッドソン兄弟とウィリアム・シルヴェスター・ハーレーによって設立された。ダビッドソンではなくハーレーの名が先に来るのは、心臓部であるエンジン設計をハーレーが担当したため。本社工場は見学が可能。2008年には『ハーレーダビッドソンミュージアム』も開設された。

アメリカのオートバイメーカーはハーレーダビッドソンの1社だけ、という時期もあった。

特徴

ファイル:Flathead.jpg
V型フラットヘッドエンジン
ファイル:Harley V-twin.jpg
V型OHVエボリューションエンジン
ファイル:VRSC.JPEG
V型水冷DOHCエボリューションエンジン

ハーレーダビッドソン社製オートバイ最大の特徴は、大排気量空冷OHVV型ツインエンジンがもたらす独特の鼓動感と外観であり、これに魅せられた多くのファンがいる。駆動はクランク運動をプライマリーケース内でチェインからベルトに変換され後輪へと伝えるベルトドライブである。日本メーカーの“アメリカン”と呼ばれるカテゴリーのほとんどは、OHC、V型ツインエンジンで、ドライブ以外の特徴が同じスタイルになっている。2001年、アメリカ本社最高経営責任者兼会長のブルースタインは、「高級なハーレーからポピュラーなハーレーへ、誰でも乗れるハーレーを目指す」との考えを示している。

1999年にエボリューション1340ccから現行エンジン、ツインカム88・1450ccへ移行が始まり、2000年にはソフテイル系にツインカム88B(バランサー)が積まれ、2007年にはそれらのエンジンを1584ccにボアアップ(ストローク)させた。ツインカム96(キュービックインチ)の登場である。その大排気化に伴い排ガス規制の適合が問題となっていた。 2001年からはマフラーに触媒技術が導入され、2007年には新車販売される全モデルがインジェクション化している。また、触媒機構が従来の酸化触媒から、より環境性能の高い三元触媒に変更された。

インジェクション化に伴い、エンジンのフィーリングなどが従来のキャブレター仕様のものと少々異なるため、キャブ仕様のモデルにも根強い人気を集めている。 これはインジェクションシステムの機構そのものの特性も多少あるものの、点火時期の見直し、適正な燃料供給により燃焼効率の最適化によるもので、いわばキャブ機構特有のだるさ(負圧式キャブならば、スライドピストンがスロットル開度及び吸入負圧に対して的確に作動するまでの、僅かなタイムラグが発生する)が解消されたと言える。

インジェクション化により、冬季や標高の高い地域での走行時や、渋滞などの状況でエンジン温度が高まっている時の再始動でも、各種センサーによる補正により安定した燃料供給が行われる。その反面、インジェクションシステムへの安定した電圧供給のためにアイドリングが高目に設定されている(ツインカムエンジンについては、キャブとインジェクションでのメーカー指定アイドリング回転数の差は、1025rpmに対して1050rpmと実は25rpmしかない)ことや、環境規制に対応するためにキャブ仕様のものよりも薄めの混合比率で燃焼温度が高めなので、エンジン内部パーツへの熱的・化学的負担や、発生した熱によってライダーの快適性が損なわれやすいという課題も残されている。 これに対するメーカーからの一つの答えが、エンジン温度を測るセンサーが規定値に達した場合、車両停止状態(3km/h以下)のアイドリング時に一気筒の噴射を止めるヒートマネージメントシステムであり、2009年以降ツーリングモデルに採用された特徴的だったリアエグゾーストパイプを取り回しの変更である。

また、2001年に同社製としては初の水冷DOHC Vツインエンジン(レボリューション・エンジン)を搭載したオートバイも誕生した。(詳しくはVRSCのページを参照)

かつてハーレー社は小型スクーターのトッパーなども製造していたが、日本のオートバイメーカーとの競合で採算の取れない車種は廃止するなど規模の縮小を行い、現在では「アメリカのフリーウェイを長く走る」ために設計された車種が中心となっている。そのため、山間部やサーキットではその能力を発揮できないことになる。アメリカでは白バイ用としてFLHTPが使用されていたが、近年では維持費の安いカワサキBMWなどを使用している。

日本市場では、二輪市場全体が縮小する中、2001年には日本メーカーを抑え750cc超の大型二輪シェア首位を獲得した。1996年大型自動二輪車免許創設による自動車教習所での免許取得制度確立や、 2005年からの道路交通法改正による自動二輪車の高速道路二人乗り解禁には、ハーレーなど日本国外メーカーの強い要望が背景にあったとされる。

ハーレーは音と鼓動を楽しむ乗り物でもあった。しかし、環境保護の観点から、2000年のツインカム88B(バランサー)エンジンの登場、触媒技術の導入で、音や振動は以前のモデルよりも抑えられている。また2014年には自社初の電動バイク「ライブワイヤー」を発表している[1]

バイバック以降のハーレーダビッドソンは経営改善により不況知らずの企業と言われてきた。しかし2009年1月23日に「世界的な需要の落ち込みに対応するため、やむなく2010年までに全従業員の1割強に当たる約1100人を解雇する」と発表し今回の世界同時不況はハーレーダビッドソンも例外では無いことを世界に知らしめた。

長い歴史をもつハーレーダビッドソンは社外品のカスタムパーツも豊富に存在し、S&Sの様なコンプリートエンジンを供給する大手から装飾パーツをガレージで手作りする個人までが併存する、一つの市場を形成している。またカスタムバイクのベースとしても利用されている。

日本国内での歴史

1912年に、日本陸軍が初めて輸入を行ない、後にサイドカーを中心として軍用車両として用いられた。一時期は日本で「陸王」の名でサイドバルブエンジン搭載の車両がライセンス生産・販売されたこともあったが、製造メーカーが倒産した後は、再び代理店による輸入販売のみとなり、現在は、1989年に日本法人のハーレーダビッドソンジャパンが設立され、正規販売を行なっている。

同社の設立以降、個人並行輸入が激減し、大規模販売ルートを確立させた。各地に正規販売店、レターショップ(販売網)を置きフランチャイズ契約を行なっており、それらのショップには、HOG(Harley Owners Group)Chapterを置いている。2011年12月現在の正規販売網拠点は、127社181拠点に達している[2]。日本法人本社は、2013年6月より東新宿駅直結の新宿イーストサイドスクエアに移転している。

なお、かつて日本でライセンス生産されていたハーレーダビッドソン車両については、陸王を参照。

東日本大震災による津波で、6500キロメートル離れた宮城県山元町からカナダグレアム島まで流されたコンテナ内部から、ハーレーダビッドソンが発見された。ハーレーダビッドソン社は無償で修理し、所有者へ送ることを発表した[3]が、持ち主の意向により、現状のまま博物館での展示が決定した。

シリーズ車種

車種の分類は日本法人の公式HPによる

  • スポーツスター - 現在の最小排気量である883ccと1202ccの2車種。XR1200は欧州市場の要望により製作された最新スポーツモデル。
  • VRSC - ハーレーダビッドソン社初の水冷マシンファミリー。
  • ソフテイル - 大排気量
  • ダイナ - ソフテイルと似た車体を持つが、エンジンはフレームにラバーマウントされるためバランサーなし。
  • ツーリング - 大型フェアリング(その形態から「やっこ型」と呼ばれる)を被せ、パニアケースやトップケースなどロングツーリングに対応するための重装備を持つ、ハーレーのイメージリーダーといえるシリーズ。
  • CVO - 少量生産として発売されている最新モデル。
  • トライク - 普通自動車免許で乗れる三輪のオートバイ。

脚注

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関連項目

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外部リンク

  • プロジェクト ライブワイヤー|エレクトリック・モーターサイクル|Harley-Davidson Japan
  • 会社概要/沿革 - ハーレーダビッドソン・ジャパン(2014年8月8日アクセス)
  • カナダ漂着ハーレー所有者判明…米社が修理意向テンプレート:リンク切れ