ハゼ

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テンプレート:生物分類表 ハゼ(鯊、沙魚 、蝦虎魚)は、条鰭綱スズキ目ハゼ亜目(Gobioidei)に分類される魚の総称。

概要

2100種類以上が全世界の淡水域、汽水域、浅い水域のあらゆる環境に生息し、もっとも繁栄している魚のひとつである。都市部の河川海岸にも多く、多くの人々にとって身近な魚に挙げられる。

成体の体長は1cm足らずのゴマハゼから、50cmを超えるハゼクチまで種類によって差があるが、よく見られるヨシノボリアゴハゼマハゼなどはいずれも5-15cmほどの小魚である。なお、ゴマハゼの仲間は日本最小の脊椎動物である。

体の断面はまんじゅう形か円形で、水底に接して生活する底生魚が多い。ひれは体に対して大きめなこと、背びれが2つあること、2つの腹びれが融合して吸盤状になっていることなどが特徴である。この腹びれで水底や壁に貼りつくことができ、水の流れが速い環境でも水に流されず生息できる。ただし背びれが1つしかないミミズハゼシロウオ、腹びれが吸盤状でないドンコカワアナゴなどもいる。

速く泳ぐ時は他の魚のように尾びれを振って泳ぐが、普通はおもに胸びれを大きくはばたかせることで泳ぐ。長い距離を持続的に泳ぐことは苦手で、短い距離をサッと泳ぐことの繰り返しで移動する。ただし水の中層でホバリングするように泳ぐキヌバリウキゴリドロメシロウオなどもいる。またトビハゼムツゴロウは水中を泳ぐことは少なく、胸びれを使って干潟の上を這って生活する特殊な魚である。

運動能力の低い底生魚ゆえ、体色は砂底や岩の色に合わせた保護色となっているものが多い。ただし温暖な海にはキヌバリ、イトヒキハゼハタタテハゼなど派手な体色をもったハゼも生息する。シロウオなど透明な体色のものもいる。

ファイル:Goby fish with shrimp.jpg
テッポウエビの一種Alpheus sp. と共生するダテハゼ属の一種 Amblyeleotris sp.

スジハゼ、イトヒキハゼ、ネジリンボウなど、砂泥底に生息するハゼは、テッポウエビ類の巣穴に同居し、共生することが知られている。テッポウエビは巣穴の改修と拡張を行い、ハゼは外敵が接近した時に視力の悪いテッポウエビ類に代わって外敵をいち早く発見し、テッポウエビに知らせて共に巣穴にもぐりこむ。

繁殖期にはオスが穴にメスを誘い、産卵をおこなう。巣穴は自分で作ったり、エビカニの巣穴、捨てられた空きなど種類や環境によって様々である。産卵後はオスが卵を守る。

藻類や水底の有機物(デトリタス)を主食にするものもいるが、ほとんどのハゼは肉食で、プランクトン多毛類甲殻類、小魚などを大きな口で捕食する。釣り餌にも貪欲に喰らいつくので、ハゼを狙った釣りは人気がある。その一方ではいわゆる「餌獲り」や「外道」としてもなじみ深い。何にでもガツガツと飛びつく人、またはそのような行動を「ダボハゼ」と形容することがあるが、ダボハゼは特定の種類を指さず、シマハゼチチブ、イトヒキハゼ、ウロハゼ、または姿の似たカジカ類などを指していると思われる。

多くの種類が佃煮唐揚げ天ぷらなどで食用になり、ハタタテハゼやキヌバリなどの美しい種類は観賞用として飼育もされる。目にする機会も多い上に捕獲も簡単で、昔から子どもたちの水遊びのターゲットにもなってきた。なお「ハゼ」という呼称は陰茎の古称「はせ」に由来するとされる。

おもな種類

種類数は現在発見されているものだけで2100種類を超える。かつて1種類とされていたが種分化の研究が進み、何種類にも分けられるようになったヨシノボリ類などの例もある。未発見・未分類の種もあり、これからも種類が増えるとみられる。

なお、ツムギハゼは、ハゼの仲間でフグ毒を持っている。

生息域

分類

ファイル:Stonogobiops nematodes.jpg
ヒレナガネジリンボウ

なおカジカカサゴギンポコチなどはハゼと形態がよく似ているが、分類が異なる。

陸揚げ漁港

  • 平成14年度
1位 八幡浜漁港愛媛県
2位 柴漁港神奈川県
3位 麻生漁港茨城県
4位 美濃崎漁港大分県
5位 志戸崎漁港(茨城県)

関連項目

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