ネプツニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

テンプレート:Elementbox ネプツニウム (テンプレート:Lang-en-short) は原子番号93の元素元素記号Npアクチノイド元素の一つ。超ウラン元素でもある。銀白色の金属で、展性、延性に富んでいる。常温、常圧での安定な結晶構造は斜方晶系。280 テンプレート:℃付近から正方晶系となり、更に580 テンプレート:℃付近より体心立方構造 (BCC) が安定となる。比重は20.45、融点は640 テンプレート:℃沸点は3900 テンプレート:℃原子価は+3〜+7価(+5価が安定)。

ネプツニウム239の半減期は2.4日。ウラン238は天然にも存在するので、ネプツニウム239、プルトニウム239は天然にもごく僅かに存在する。他にネプツニウム236(半減期15.4万年)、ネプツニウム237(半減期214万年)などがある。

ネプツニウム237はネプツニウム系列(ネプツニウム237からタリウム205までの崩壊過程の系列)の親核種である。この系列の元素で半減期が一番長いネプツニウム237でも半減期が214万年しかないため、この系列は通常は天然には存在しないが、最終系列核種のビスマス、タリウムはごく普遍的に天然に存在する。また、ウラン鉱の中から極微量のネプツニウムが核種崩壊の際の副産物としてしばしば発見される。

歴史

1940年マクミランアベルソン(アーベルソン)がウラン238に中性子を当てて、ネプツニウム239を作った[1](人工的に作られた最初の超ウラン元素)。海王星neptune が語源[1]

特徴

ネプツニウムは外観はのようで、ほかの元素と活発に化学反応を起こす。 また、ネプツニウムは温度によって結晶構造が異なる。

αネプツニウム
280 テンプレート:℃以下の状態のネプツニウムで、斜方晶系である。
密度は20250 kg/m3
βネプツニウム
280 テンプレート:℃以上577 テンプレート:℃以下の状態のネプツニウムで、正方晶系である。
密度は19360 kg/m3
γネプツニウム
577 テンプレート:℃以上の状態のネプツニウムで、立方晶系である。
密度は18000 kg/m3

また、ネプツニウムは四つの酸化状態が存在する。

Np3+
淡い紫色をしており、Pm3+ に類似している。
Np4+
黄緑色をしており、Pm4+ に類似している。

用途

ネプツニウムはプルトニウム238製造の際に用いられる。

また、ネプツニウムは、燃えないウラン238が中性子を浴びて原子力発電等に使用されるプルトニウム239に「中性子捕獲核種変換」する中間生成物でもある。(高速増殖炉のブランケットで劣化ウランをプルトニウムに変えるのがこの反応である)

ウラン238+中性子 → ウラン239 → β崩壊 → ネプツニウム239 → ベータ崩壊 → プルトニウム239。
「ウラン238+中性子 → ウラン239 → β崩壊 → ネプツニウム239」の部分は中性子捕獲反応。

なお、アイソトープ電池に使用されるプルトニウム238はウラン238の (d,2n) 反応でネプツニウム238を作ることで生産されている。

核兵器の製造

ネプツニウムは核分裂性で、理論上、原子力燃料として使用することができる。1992年には、アメリカのエネルギー省がネプツニウム237が「核起爆装置のために使用できる。」という機密扱いの事項を解禁した。

しかし、ネプツニウムは現在、核兵器製造には利用されていない。

発生

ネプツニウムはウラン鉱の中から極微量見つかる。

ネプツニウム237はプルトニウム生産の際の副産物としてしばしば発見される。

同位体

テンプレート:Main ネプツニウムには安定同位体が存在せず、すべてが放射性同位体である。ネプツニウムには19の同位体が存在し、質量範囲はネプツニウム225からネプツニウム244まで及ぶ。比較的安定している同位体は214万年の半減期を持つネプツニウム237、15万4000年の半減期を持つネプツニウム236、396日の半減期を持つネプツニウム235が存在する。残りの同位体は4.5日未満の半減期を持っており、また大多数これらの同位体のほとんどが50分未満の半減期を持っている。また、ネプツニウムには4つの核異性体の同位体が存在し、もっとも長い半減期を持つのは 236mNp で22.5時間の半減期を持っている。

ネプツニウムの化合物

このような化合物は土の中やウラン鉱の中に極微量含まれている。

出典

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Sister

テンプレート:元素周期表 テンプレート:ネプツニウムの化合物

  1. 1.0 1.1 テンプレート:Cite