ナズナ

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テンプレート:生物分類表 ナズナ、学名:Capsella bursa-pastoris)とは、アブラナ科ナズナ属越年草。別名ペンペングサぺんぺん草)、シャミセングサ三味線草)。田畑や荒れ地、道端など至るところに生える。ムギ栽培の伝来と共に日本に渡来した史前帰化植物と考えられている[1]

特徴

高さは20 - 40cm。花期は2 - 6月。4枚の白い花弁を持つ直径3mmほどの小さな花を多数、花穂に付ける。次々に花を咲かせる無限花序で、下の方で花が終わって種子が形成される間も、先端部では次々とつぼみを形成して開花していく。

果実は特徴のある軍配型で、次第に膨らんで2室に割れて種子を散布する。こぼれ落ちた種子は秋に芽生え、ロゼットで冬を越すが、春に芽を出すこともある、越年草、または一年草である。

名前について

名前の由来は、夏になると枯れること、つまり夏無(なつな)から、撫でたいほど可愛い花の意味、撫菜(なでな)からなど、諸説ある。

ぺんぺん草やシャミセングサという別名がよく知られている。「ぺんぺん」は三味線を弾く擬音語で、花の下に付いている果実の形が、三味線の撥(ばち)によく似ている。

英名のShepherd's purseは「羊飼いの財布」の意味で、学名の種小名の語義も同じである。

人との関わり

春の七草の一つで、若苗を食用にする。かつては冬季の貴重な野菜であった。貝原益軒は『大和本草』での詩人蘇軾を引用し「『天生此物為幽人山居之為』コレ味ヨキ故也」(大意:「天は世を捨て暮らしている人の為にナズナを生じた」これは味が良いためである)と書いている。七草粥の頃には春の七草がセットで販売されるが、それにナズナと称してタネツケバナが入っている例がある。

民間薬として陰干ししたのちに煎じたり、煮詰めたり、黒焼きするなどしたものは肝臓病・解熱・血便血尿下痢高血圧止血生理不順腹痛吐血便秘・利尿・目の充血や痛みに効き、各種薬効に優れた薬草として用いられる。

江戸時代には、旧暦4月8日に、糸で束ねて行灯の下に吊るし、虫除けのまじないにする習俗が広くあった[2]

このほか、子供のおもちゃとしての利用もある。果実が付いた花茎を折り取り、果実の柄を持って下に引くと、柄がちぎれて皮でぶら下がった状態になる。このように多数の果実をぶら下げた状態にして、花茎を持ってくるくる回す(でんでん太鼓を鳴らすように)と、果実が触れ合ってちゃらちゃらと小さな音がするのを楽しむ、というものである。

慣用句

ぺんぺん草が生える
ナズナが荒廃した土壌であっても生育することから、荒れ果てた様子を指す。
ぺんぺん草も生えない
荒廃した場所で育つナズナでさえも生育しない様子から、転じて何も残っていない状態、一切合財が残らない状態を揶揄した表現で、「○○が通った後はぺんぺん草も生えない」のように用いる。

近縁種

脚注

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参考文献

関連項目

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外部リンク

  • 琵琶湖博物館外来生物図 琵琶湖博物館
  • 高橋幹夫『江戸あじわい図譜』215頁。