トンボ鉛筆

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テンプレート:Infobox 株式会社トンボ鉛筆(トンボえんぴつ)は、現在の文具市場において主に「書く」「消す」「貼る」を中心に製造、販売する日本の大手文具メーカー。

概要

MONOブランドで知られ、国内産鉛筆のシェアは最大手の三菱鉛筆と合わせて約9割ほどのシェアを誇る。その他にも消しゴム修正テープ、スティックタイプのり、テープのりのシェアは全国トップクラスを誇り、世界中で愛用されている。

トンボの商標1927年昭和2年)から使用された。英字ロゴは「Tombo」ではなく、末尾にwを付した「Tombow」が使用されている。これは墓を意味する英単語「TOMB」と間違われないようにしたものとされる[1]。以前は「お客様に深く頭を垂れる商の姿勢」を示すために、トンボの頭が下を向いていたが、2011年の新ロゴマーク導入時に、トップを目指す意味で、トンボの頭が上向きに変更された[2]

なお、岡山市北区に本社を置く学生服メーカー大手・トンボ(旧社名:テイコク)や、富山県富山市にある清涼飲料メーカー・トンボ飲料も英字表記を「TOMBOW」としているが、トンボ鉛筆を含めた各社の間に資本・提携関係はない。

沿革

  • 1913年大正2年):浅草に前身「小川春之助商店」を開業。
  • 1920年(大正9年):「Harunosuke Ogawa Pencil」を略したH.O.P.を商標として使用開始[3]
  • 1927年昭和2年):「トンボ印」を商標にして鉛筆を発売。
  • 1939年(昭和14年)12月:小川春之助商店が会社組織に移行。製造部門は株式会社トンボ鉛筆製作所、販売部門はトンボ鉛筆商事株式会社となる。戦後に2社統合。
  • 1945年(昭和20年)11月:現在まで続く鉛筆製品のスタンダード・No.8900を発売。当初は写真修整用と銘打って販売され、1本30銭だった。
  • 1957年(昭和32年):河野鷹思デザインによる「下向きトンボ」の企業シンボル、及びロゴタイプTombowを使用開始[4]
  • 1967年(昭和42年):最高級鉛筆MONO100を発売。ノベルティとして消しゴムを付ける。
  • 1969年(昭和44年):反響を受け、MONO消しゴムの市販を開始。消しゴムのトップブランドに君臨する。
  • 1971年(昭和46年):国内初のスティックタイプ糊「Pit」発売。
  • 1986年(昭和61年)
    • 消し屑がまとまる消しゴム、「NON DUST」発売。
    • 「ZOOM505」発売。後にデザインコレクションと呼称されるシリーズの展開。
  • 1991年平成3年):横引き修正テープ、「修正テープMONO」発売。
  • 1992年(平成4年):端材をつなぎ合わせて軸材とした鉛筆「木物語」発売。鉛筆製品初のエコマーク認定を受ける。
  • 1995年(平成7年):企業ロゴタイプを大文字表記のみのTOMBOWに変更[5]
  • 2000年(平成12年):テープのり、「Pit tape」発売。
  • 2005年(平成17年)8月13日:当時会長の小川洋平警視庁浅草署に覚せい剤取締法違反(所持)容疑などで現行犯逮捕された。
  • 2007年(平成19年)
    • 2月:ホルダー型消しゴム、「MONO ONE」発売。
    • 11月:業界最細のノック式ホルダー消しゴム「MONO ZERO」発売。
  • 2009年(平成21年):学童用文具の新ブランド「ippo!(イッポ)」展開開始。
  • 2011年(平成23年):新ロゴマークを導入開始。英文表記が再び大小文字混じりのTombowに変わり、トンボを象ったシンボルも上向きになる。
  • 2013年(平成25年)
    • 2月:創業100周年を迎える。
    • 3月25日:トンボ鉛筆創業100周年を記念したムック「トンボ鉛筆の本」枻出版社から発売される。初代トンボ鉛筆(1928年)及びMONO消しゴム第1号製品(1969年)の復刻版、シャープペンシル「オルノ スイフト」の100周年記念ロゴ入り特別仕様版を付録として同梱。

主な製品

ファイル:Tonboen.JPG
トンボ鉛筆
  • 鉛筆(MONOシリーズ他)
    • MONO-100(9H-6B):日本を代表する高級製図用鉛筆であり、三菱鉛筆のHi-ユニと双璧をなす。(¥140)。
    • MONO-ELITE:頭部に樹脂のスペイサーを備えてMONO100に通じるデザイン。芯の品質はMONO-100に匹敵するが、より廉価な軸材を用いて低価格化を実現。総合性能はMONO-R系に近いレベル。製造終了。
    • MONO(6H-6B):トンボ高級製図用鉛筆の元祖にしてスタンダード(¥90)。MONO50も同系列。頭部を黒く塗り込み、硬度表示をアイボリーの地に施している。他にマークシート用(¥100)もある。
    • MONO50:前述
    • MONO-R(2H-4B、Fなし):高級事務用にしてエコノミーな製図用鉛筆。鉢巻きの塗装が白色から金色に変更された。(¥60)
    • MONO30:当初は準高級モデルとして頭部を白色に塗り込んでいた。終盤には両切りとなり、MONO-Jに交替した。
    • MONO-RS(2H-6B、F・5Bなし): MONO-Rの紙箱仕様。(¥60)
    • MONO-J(4H-4B):MONOシリーズの最廉価版。高級事務用鉛筆としての用途が多い。
    • No.8900:若草色の塗装が特徴の、トンボ鉛筆のスタンダードにして最古参。現在は事務用として扱われているが、かつては写真修正用・製図用と扱われていた。頭部を塗り込んだHi-GOLD8900はMONOシリーズの試金石(¥40)。
    • No.9900:濃緑色塗装に、硬度表示が金地の抜き文字になっているモデル。製造終了。
    • No.2558:蜜柑色の塗装が特徴の消しゴム付き鉛筆。ただしゴム部は"MONO"ではなく普通のゴム(¥60)。削って透明キャップを装着し、3本セットで販売する場合もある。
    • No.2559:青緑色の軸の消しゴム付き鉛筆。製造終了。
    • No.482:蜜柑色の塗装に青い文字の商標が特徴の消しゴム付き鉛筆。製造終了。
    • 木物語:グリーン購入法対応として産まれたリサイクル製品。再生木材を使用(¥40)。当初のLA系と消しゴム付きLG系、色鉛筆(朱・朱/藍)や複合タイプ(鉛筆/朱)等のバリエーションあり。
    • 書き方鉛筆:児童用の高品質書き方鉛筆(¥50)。
      • 塗装は、MONOシリーズはマークシートを除く全製品がピアノを思わせる艶あり黒。木物語シリーズは素材感を生かしたごく薄い透明コート。書き方鉛筆はキャラクターのプリント柄が中心。
  • 消しゴム(MONO消しゴム):日本を代表する高性能字消し。青・白・黒の三色ストライプが特徴だが、最近はバリエーションも多く、消しやすい“ライト”、消し屑がまとまる“ノンダスト”や、焼却しても有毒ガスが出ない素材を採用した“NP”、プラ製品に付着しないラバーゴムタイプ等、本家の鉛筆すら超える一大ファミリーとなっている。
  • ボールペン(カルノ/ビズノ)
  • サインペン(PLAYCOLOR2(ツイン式))
  • 蛍光ペン(蛍coatシリーズ)
  • スティックのり(PITシリーズ)
  • 修正テープ(MONOテープシリーズ)

企業広告

  • 企業広告「ロケットも、文房具から生まれた。」第14回中日新聞広告賞部門賞を受賞。
  • ACCシルバー賞受賞
    • NTV系全国ネットで放送したテレビCM「鉛筆」篇、「修正テープ」篇、「スティックのり」、「消しゴム」篇は、2006年平成18年)第46回ACC CM FESTIVAL(社団法人全日本シーエム放送連盟主催)のテレビCM部門で「ACCシルバー賞」を受賞。同テレビCMは同時に特別賞も受賞。
  • TCC賞受賞
    • 全国紙とブロック紙で展開した新聞広告「ロケットも、文房具から生まれた」「人は、書くことと、消すことで、書いている」「子どもは、のりを、事務用品だと思ったことがない」は、2006年(平成18年)TCC賞(東京コピーライターズクラブ主催)を受賞。受賞作品は2006年(平成18年)版コピー年鑑に掲載されている。
  • JAA賞受賞
    • 全国紙とブロック紙で展開した新聞広告「トンボが動いている。人が、何かを生み出している。」シリーズは、JAA(社団法人日本広告主協会)の「第46回消費者のためになった広告コンクール」で新 聞広告作品の部・企業PR部門「銅賞」に選ばれた。本シリーズは、キャッチフレーズ「ロケットも、文房具から生まれた」、「人は、書くことと、消すことで、書いている」、「子どもは、のりを、事務用品だと思ったことがない」の3作で構成されている。
  • 第55回(2006年(平成18年))朝日広告賞の第1部で、全国から2,329点の応募が寄せられた中から「朝日広告賞」を受賞。
  • 「P-Fit」2007年(平成19年)度グッドデザイン賞受賞。
  • 2008年(平成20年)2月には、筆記具の分野では唯一、デザイン筆記具ZOOMシリーズが第1回「sozo_comm」選定商品に選ばれ、日本の経済産業省が定めた、世界で通用する文房具ブランドの代表となった[1]

その他

  • 1955年昭和30年)にパシフィック・リーグに参加したプロ野球チーム・高橋ユニオンズ冠スポンサー契約(命名権の一種)を行って「トンボユニオンズ」として出場させた。しかし、成績不振が改善されず、1年で契約を打ち切った。
  • 1970年代にはザ・ドリフターズをイメージキャラクターとしてCMに起用し、彼らをモチーフとして製作されたノベルティーグッズ「首ちょんぱ人形」は人気を博した。この商品が元で、現代でも頭部切断などのことを「首ちょんぱ」と言う人もいる。
  • シャープペンシル「OBJECT EO」1990年平成2年)度グッドデザイン賞を受賞。
  • 2005年(平成17年)には、「ZOOM414」が、ドイツのDesign Zentrumが主催する国際的なデザイン賞「reddot award 2006」を受賞。
  • 「Zoom707」は、ドイツ「Red Dot Award-Best of Best」、ドイツ国際デザイン賞の「DESIGN PLUS」、ドイツバーデン・ヴュルテンベク州国際デザイン賞の「The Baden-Württemberg International Design Award」など多くの賞を受賞。
  • 「黒赤鉛筆」が、2005年(平成17年)度「グッドデザイン賞」受賞。
  • 「おけいこえんぴつ」グッドデザイン賞 商品デザイン部門受賞。
  • テープのり「ピットテープG PN-GS8.4/ ピットテープG PN-GK8.4」グッドデザイン賞 商品デザイン部門受賞。 
  • デザインコレクション「HAVANNA」は国際デザイン賞「iF賞」受賞。

脚注

  1. http://www.tombow.com/blog/archives/2006/03/post_16.html
  2. テンプレート:Cite web
  3. 創業翌年の1914年には既に「H.O.Pencil」の刻印が見られたが、それをさらに短縮し商標化したものである。現行製品では、No.8900(1ダース詰)の外箱に「H.O.P.」の表記が見られる。
  4. 現行ロゴとは異なり、かなり肉太な英字が使われている。末尾のwは、先頭から3文字目のmを180度回転させたような形状。
  5. 末尾のWは、えんじ色の直角三角形を横に2つ並べたデザイン。

外部リンク

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