タブン

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タブン(独: Tabun)は有機リン酸系の神経ガス化学兵器[1][2]。1936年に発明され、第二次世界大戦中にドイツで大量に生産された。

地下鉄サリン事件で使用されたサリンや、ソマンなど同じG剤の一種である[2]。即効性であり、サリンやソマンに比べて毒性は弱いが、吸入ないし皮膚からの浸透により、体内に吸収され痙攣呼吸困難など様々な症状に陥る[2]。「タブン」という名称は、タブンがドイツ軍の制式兵器として採用される以前、Le-100という名称で研究されていた際に、Le-100の効果を検討する会議に出席したあるドイツ軍人がその毒性の強さに「これはタブーだ」とコメントしたことによるという[3]

性質

無色褐色液体で、純物質無臭であるが不純物が微量存在すると弱い果実臭がある[2]有機溶媒に溶けやすく強酸強塩基に分解されやすい[2]

  • LCt50:400 mg・min/m3
  • ICt50:300 mg・min/m3

脚註

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  1. 公益財団法人 日本中毒情報センター 化学テロ・化学災害対応体制(概要) P5
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 神経剤 (Nerve Agents) 国立医薬品食品衛生研究所
  3. ジョナサン・B・タッカー『神経ガス戦争の世界史―第一次世界大戦からアル=カーイダまで』みすず書房、2008年、30頁。