ドセタキセル
ドセタキセル(docetaxel)は、タキサン系の抗がん剤。
商品名タキソテール(サノフィ・アベンティス社)。
先行して開発されたタキソール(一般名パクリタキセル)と名称が非常に似ていて、作用機序も同じだが、抗腫瘍効果や溶解性の点で改良がなされており、しびれなどの副作用も少なく、臨床効果も高いという報告がある。テンプレート:要出典
効能・効果
- 子宮体癌において術後補助化学療法の有効性は確立されていない。
用法・用量
乳癌・非小細胞肺癌・胃癌・頭頸部癌:通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして60 mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3~4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜増減すること。ただし、1回最高用量は75 mg/m2とする。
卵巣癌:通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして70 mg/m2を1時間以上かけて3~4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜増減すること。ただし、1回最高用量は75 mg/m2とする。
食道癌・子宮体癌:通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして70 mg/m2を1時間以上かけて3~4週間隔で点滴静注する。なお、症状により適宜減量する。
前立腺癌:通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして75 mg/m2を1時間以上かけて3週間隔で点滴静注する。なお、症状により適宜減量する。
類似名称薬剤による誤投与問題
テンプレート:See 上述のように、タキソテールはタキソール(パクリタキセル:1日の投与量上限が210 mg/m2)よりも少ない用量となるため、名称を間違わないように注意が必要となる。
2011年7月、タキソテール(従来は粉末。バイアル入り)の溶解済み製剤が発売され、名称が「ワンタキソテール」に変更された。
注射剤の調整
タキソテール注はタキソール注(パクリタキセル)と異なり、添付溶解液として13%エタノール溶液が添付されており、これに用時溶解して使用する。ただし、エタノールに過敏な患者に用いる場合は、生理食塩水または5%ブドウ糖液を用いることもできる。
一方、ワンタキソテールは溶解済みの1バイアル製剤であるが、溶液にエタノールが含まれている。
作用機序
パクリタキセルと同様、微小管に結合して安定化させ脱重合を阻害することで、腫瘍細胞の分裂を阻害する。
副作用
パクリタキセルに比べ骨髄抑制(白血球減少など)の発現頻度は高いが、神経障害(しびれ)が少ないので自覚症状は少ない。累積投与量が増すと、浮腫や爪の変性が見られる。
ドセタキセル製剤には、エタノールが含まれているため、投与後に急性アルコール中毒を呈する患者がいることについて米国FDAは警告した。[1]
脚注
参考資料
- 『タキソテール注』医薬品インタビューフォーム・2006年1月(新様式第5版)(サノフィ・アベンティス)
- サノフィ・アベンティス株式会社テンプレート:Asbox