ゼロ THE MAN OF THE CREATION

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テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible listsゼロ THE MAN OF THE CREATION』(ゼロ ザ マン オブ ザ クリエイション)は、原作:愛英史、絵:里見桂による日本漫画

単行本全78巻、また傑作選として『ゼロ Masterpiece Collection』5巻、『ゼロ The Special Edition』全5巻、『ゼロ The Great Selection』全3巻が集英社から刊行されている。

概要

ゼロZERO)と名乗る超人的才能を持った贋作者を主人公とする一話完結の連作である。集英社の『スーパージャンプ』にて1990年から2011年まで連載。豊富な知識と優れた五感および記憶力を持ち、絵画・彫刻・陶器はもとより、刀剣・料理・工業製品などこの世に存在する(あるいはかつて存在した)ありとあらゆる物を完璧に複製・再現する。人間そのものを改造し(外科手術およびマインドコントロール)、見た目も中身も「その人」にしてしまったことすらある。超人的才能で世界を飛び回るというその作風から「美術版のゴルゴ13と呼ぶ者もいる。

ストーリー

基本的なストーリーはゼロが失われた美術品などを依頼によって再現するという形だが、以下のようなバリエーションもある。

  • 依頼人が何らかの問題を抱えており、その問題に関係のある品物がどのようにして作られたのかをゼロが突き止めることによって解決される。
  • 依頼人が真の目的を隠してゼロに何かを作らせ、巨額の利益を得ようとする。ゼロはその企てを見抜き、それが失敗するように仕向けるか、依頼人が本人の死につながるような行動を取ろうとしていることを知りながらそれを伝えない。
  • ゼロを逮捕しようとする警察関係者が、美術品が紛失もしくは破損したと嘘をついてゼロに再現を依頼し、完成品を持参したところを押さえる。しかし鑑定を行ったところ、手元にあったものとゼロが持参したもの、どちらも「本物」という結果にしかならず目論見は外れる。
  • 依頼人(または依頼人が指定した人物)に対してゼロがヒントだけを提示し、相手がそのヒントを元に自力で答えを見つける。
  • ゼロ自身が事件に巻き込まれ、自らの知識を用いて解決する。

本作品は一話完結ということもあり、登場人物は一話限りの人物がほとんどであるが、何度か登場している人物も存在する。なお、時代に合わせて時事ネタが描かれているが、ゼロや何度か登場する人物を含め、登場人物が歳を取った描写は見られない。

主人公を含めた登場人物が「そうだったのか――――っ」「汚い――――ッ」「再現してみた結果だが――――」等、文末に長いハイフンを入れた独特の台詞回しが使われている。

ゼロ

経歴

単行本1巻や55巻に収録されたエピソードで断片的に、第400 - 401話の特別編でゼロの少年時代が語られている。

本名は榊零(さかき れい)。陶芸家であった榊万作の息子で、幼い頃から父親に芸術方面の才能を見出され、しばしば2人で世界中の美術館や博物館を訪れていた。しかし父親は旧知の人物である美術商の日陰に騙されて須恵器の贋作を作ってしまい、芸術家としての名を汚されたことが原因で自殺した。しかし、自殺する前に贋作を完成させた万作の歓喜の涙は忘れられないと第401話の中で語られ、零は贋作作りの中で芸術家として汚されたから自殺したわけではなく、全ての引き際を教えるためだったと悟っている。この一件で万作の歓喜の涙の意味を知り、自らもその世界に辿り着き、後のゼロとしての礎が築かれている。なお、報復として贋作の須恵器を日陰の取引先に大量に送りつけ、失脚させている。その数年後、まだ10代の零は単身渡米する。それからしばらくの間、「零」または「ゼロ」と名乗る青年が高名な学者に相手の専門分野に関する議論を挑み、打ち負かしたという話が各地の大学などに残されている。彼がどのような経緯で贋作者となったのかは不明であるが、20代前半には既に裏の世界である程度名の知られた存在となっていたらしい。

ゼロの過去について知っているのは55巻に収録されたエピソードの登場人物(榊万作の作品を愛好していた老政治家の北山とその孫娘、および彼の部下)だけと思われる。また彼らにしても、榊零とゼロが同一人物であるという物的証拠は手に入れられなかったらしい。

またゼロの過去についても、いつの時代の事なのか明らかでなく、現在のゼロの年齢は不明。わずかな手がかりとして、10代後半程度と思わしき少女に「おじさん」呼ばわりされて不満気な表情を見せた事が一度だけある。

能力

ゼロの「神の手」の真髄は、オリジナルが作られた時の作者の心理状態をシミュレートし、作者になりきる事にある。そうして作られた贋作は、どんな手段を用いてもオリジナルと区別する事ができない。 ゼロ自身は、自分の作った作品を「本物」と主張し、特に依頼人に「贋作」呼ばわりされることを極端に嫌う。「贋作を作って欲しい」と言われると機嫌が悪くなる。「本物は一つでいい」が信条らしく、「本物」が2つある時は一方を破壊してしまうことも多い(大抵はゼロが作った方の「本物」を残す)。さらに、依頼人の所有する美術品が「贋作」であることを証明するために、その人の許可を得ないでその美術品を破壊してしまうこともある。世間では便宜上「贋作者」と呼ばれるが、「本物を作る男」とも言われる。

なお贋作は(真作が複数の手による作品でも)単独で作る場合が多いが、場合によっては他人の助けを借りたり、時には自分自身でなく作者になりきった別人に製作させる事もある。

報酬

ゼロは通常、依頼人に極めて高額の報酬を要求する。振込先は「スイス銀行のオール・ゼロの口座」である。不誠実な依頼人(上記ストーリーの2番目や3番目のバリエーション)は全財産を支払わされて破滅する一方、誠実な依頼人は報酬がたとえ全財産であっても、それを後悔しないだけの精神的充足を得て再出発するように描かれる傾向が見られる。初期のエピソードでは、取るに足らない報酬しか求めないが、ゼロの主観ではそれが非常に価値ある報酬と描写された回もあった。回が進むにつれて、全財産の半分、あるいは1/4といった、初期に比べれば低額の報酬での請負、あるいは報酬額が不明な場合も増えている。なお、依頼人がそれほどの価値を感じている仕事でなければ受けないということであり、実際に必要な経費とは無関係らしい(1巻冒頭のエピソードでは「本物とまったく同じ材料を調達するためにはその金額でも足りないのではないか」と推測されている)。また依頼人が何らかの仕事や研究に打ち込んでいる場合は、「一生かけてでもそれを成し遂げる事が報酬だ」と言って事実上のタダ働きをする事も少なくない。後の話では、そのゼロの姿勢が風聞として伝わったのか、依頼者側からそのような事実上の無報酬を条件で頼み込むまれる場合もある。

私生活

服装にも非常にこだわりを持っており、依頼人に会うときは髪型はオールバック、服装はスーツと決まっている。ただし贋作製作のときは前髪をおろし(あるいは前髪が崩れても整えない)、上述のとおり作者になりきることからさまざまな服を着こなし、更には無精髭を生やすことも少なくない。

ゼロは世界各地に別邸や工房を持っており、その大部分は最初の一軒(上記の老政治家から依頼の報酬として受け取った)を元に建てたものであるという。また必要に応じてオリジナルが作られた当時の施設が残されている場所を借り切る事もある。

オフの時は、釣りやクレー射撃に興じることもあり、その際は朗らかな表情でリラックスしている様子を見せる。 ポールダンスバーで冷静な顔で呑みながら過ごす事もあり、仕事に行き詰った際に再現する物のヒントを偶然に得た事もある。

影響

小説『万能鑑定士Q』シリーズのヒロイン、凜田莉子の愛読書でもある。『万能鑑定士Qの事件簿V』で莉子は「ゼロかっこいい。大好き」と言っている。

サブタイトルリスト

題材

各エピソードにて扱われる題材は、絵画・彫刻・古美術品・料理・伝統工芸・文筆など様々なものがある。そのほとんどが実在する人物の作品や、歴史上の人物・事物に関するものであり雑学的な資料価値としても高いことが多い。

しかし、完全なる創作(人物・事物・作品等全てフィクション)である事も多く、また実在した人物の歴史や生い立ちに関しても創作部分が含まれることがある。尚、作中に登場する依頼品に関しては架空のものである場合が多い。

一方で、宇宙人やオーパーツ、ムー大陸など、疑似科学的な事柄が関わってくることもあるし、また心霊などオカルト的なものが関わる場合もある。それら疑似科学やオカルト的な内容については、否定する事もあれば、科学的に合理的解釈を見いだす場合もあれば、完全に肯定する場合もあり、作中で一貫していない(441話では、合理的解釈と完全肯定を同時に行っている)。

また、作中で示される科学知識が、現代では否定されているような前時代的なもののこともあり、全面的に信頼を置くことはできない。

長期にわたるシリーズで一話完結なこともあり、エピソードによって同じ美術品や事象の解釈がまるで変わってしまうこと(トリノの聖骸布など)もあり、ゼロはその際に以前の解釈との矛盾を口にせず、作品としても無かったことにされる。それでも、(疑似科学のようなものも含めて)様々なジャンルの背景知識があって、エピソードが作られていることは事実なので、雑学としても楽しめる作品であることは間違いない。