ゼルダの伝説シリーズ

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テンプレート:コンピュータゲームシリーズ ゼルダの伝説シリーズ(ゼルダのでんせつシリーズ)は、任天堂が開発・発売したコンピュータゲームのシリーズ。略称は「ゼルダ」または「ゼル伝」。日本国外でのタイトルは「The Legend of Zelda」で、日本版のロゴにも使われている。

概要

1986年2月21日に第1作目が発売され、現在まで長く続いている任天堂を代表するアクションアドベンチャー(公称)、アクションRPGシリーズ。日本の「アクションRPG」というジャンルにおいては、草分けとも言えるシリーズである。

シリーズの始まりである『ゼルダの伝説』はファミリーコンピュータ ディスクシステムゲームソフトの第一弾として任天堂宮本茂手塚卓志らが中心となり創作、2Dゼルダの基礎構築と世界観を生み出した。その後の『ゼルダの伝説 時のオカリナ』から始まる3Dゼルダでは、小泉歓晃青沼英二が開発を担当、宮本の統括による体制が取られている。なお、宮本の製作スタイルを表現する際に度々用いられる「ちゃぶ台返し」は、本作発売後の開発者インタビューから登場していた。

なお、シリーズ最初の作品『ゼルダの伝説』の仮タイトル案は『ハイラルファンタジー ゼルダの伝説』というものであった[1]。本シリーズは細部に渡る演出[2]や細かな調整[3]、凝った謎解きなどに焦点を置いている。

宮本は「マリオシリーズと本質は同一のもの」と度々語っており、アクション要素が強いのがマリオシリーズで、反対に謎解き要素が強いのがゼルダシリーズと、どちらに重きを置いているかで両シリーズのカラーが打ち出されている。本シリーズは『ファミ通』のクロスレビューにて、スーパーファミコン用ソフト『神々のトライフォース』で当時最高の39点、NINTENDO64用ソフト『時のオカリナ』で史上初の40点満点を記録し、ニンテンドーゲームキューブ用ソフト『風のタクト』、Wii用ソフト『スカイウォードソード』も含めて、満点を3回記録している。

同シリーズの『トワイライトプリンセス』Wii版では先行発売された北米で発売から8日間で約45万本を売り上げ、これは本体購入者数の実に8割近くにあたる数字であった。

2011年9月時点で、全世界におけるゼルダシリーズのソフト累計販売本数は18作で6100万本に及ぶ(『リンクのボウガントレーニング』を含めた場合は6580万本[4][5][6][7])。

ゲーム内容

主なゲーム内容

主人公リンクは十字キーやスティックによる移動と、ワンボタンで繰り出される剣による攻撃が基本となるアクション要素を含むキャラクターである。このゲームにはレベル(経験値)という概念は存在せず[8]、冒険を進めることで新たなアイテムを入手し、行動範囲が増えていくのが特徴。近年では、緑の衣を着た勇者のイメージがあるが、かつてはゲームが進行するとともに、服の色も変わり、盾にも種類があった。同社のメトロイドシリーズのようなアイテムの入手による成長は、ゼルダシリーズの楽しみの1つである。主人公のリンクという名前の通り、ハイラル各地に散らばった何かを繋げることは全シリーズ共通するプレイヤーの役割でもある。

第1作は斜め上から見下ろす視点で、固定された画面の中で主人公が画面の端に近づくと1画面分だけ画面がスクロールして新たな画面に切り替わる。この方式は「画面切り替えスクロール」と呼ばれ、1985年3月に登場した『ハイドライド』のMSX版が最初に搭載した物をハードウェアスクロールに置き換えることで、より滑らかにスクロールさせたものである。

謎解きにおけるゼルダシリーズ

前述の通り、「マリオがアクション」ならば、「ゼルダは謎解き」である。

ゲームはフィールドとダンジョンに分けられ、フィールドを冒険・探索してダンジョンを発見し、ダンジョンで謎を解きながら進むことによって新たなアイテムを見つけ、そのアイテムによってフィールドでの探索範囲が広がっていくという構造になっている。ダンジョンには数字によって1からレベルがつけられており、レベルの少ない順から解いていきキーアイテムを集めていくのが主な目的となる。

シリーズはファミコン時代から続いているが、NINTENDO64以降の据え置き型ハードのゼルダシリーズは、2D型ものから3D型のものへと変わった。一方で、伝統的な2D型のものも並行的に携帯機で新作が発売されており、「住み分け」を実現しているシリーズである。

テレビCMなどで毎度使われることの多いお馴染みの効果音は、ゲーム内で耳にするであろう謎が解けた時のFC時代からある音である。 なお、その効果音は『スーパーマリオ 3Dランド』のあるコースで仕掛けの謎を解くと聞くことが出来る。

2Dから3Dへ

3D作品では、オブジェクトや映像がただ立体になったのではなく、謎を解くには、3Dの空間を360度「見渡す」必要があり、謎解きの幅、深みが増したといえる。また、本シリーズの3D初作品である『時のオカリナ』からは、3Dアクションに特有の「自分がどこにいるか分からなくなる」問題を解決するために「注目システム」を業界で初めて採用した。このシステムにより、敵や人物に視点をロックオンすることで、常に一定の距離感をプレイヤーが保ちやすくし、戦闘をより快適なものにした。このシステムは、後の3Dゼルダシリーズでも毎回使われ、他の3Dゲームでも似たようなシステムが多く採用されるようになる。

多人数プレイのゼルダ

ゼルダシリーズは1人でプレイするアクションアドベンチャーゲームであるが、「新しい遊び方を確立する」という考えのもと、その世界観を生かして多人数でプレイするスタイルの作品も生まれた(同様の試みはファイナルファンタジーシリーズクリスタルクロニクルシリーズ等にもある)。

初めて多人数でプレイ可能となった作品は、『風のタクト』である。これはGBAをGCに接続するとチンクルが冒険の手助けをするというものであった。しかしこれはまだ「多人数で対戦する」といった趣旨のものでは無い。

こうしたスタイルによる最初のゼルダ作品は、GBAで2003年に発売された『ゼルダの伝説 神々のトライフォース&4つの剣』に『神々のトライフォース』のリメイク版と共に収録された『4つの剣』である。2-4人でGBAを対戦ケーブルで接続してプレイし、協力して謎を解き、ルピーを集めて敵を倒しつつステージをクリアするゲームで、プレイヤーはお互いに「ここに4人用の仕掛けがあるから来て!」というように声を掛け合いながらフィールドを散策する。しかし、「神々のトライフォースのオマケ」といった側面もあり、4ステージしか無いなどゲームの規模は比較的小さなものであった。

続いて2004年にGCで『4つの剣+』が発売された。このソフトはGCにケーブルでGBAを接続して遊ぶコネクティビティシステムを採用しており、多人数プレイがメインの初のソフトとなった。「ハイラルアドベンチャー」「シャドウバトル」「ナビトラッカーズ」の3つのゲームから成り立っており、「ハイラルアドベンチャー」は『4つの剣』の続編であり、内容も同ゲームに似た傾向となっている。「シャドウバトル」は単純に剣やアイテムで攻撃し合ってライフの無くなった者から脱落するという、バトルロイヤルのゲームである。「ナビトラッカーズ」はテレビ画面のナビゲーターの声に従いつつメダルやルピーを集めるというもので、手元のGBAの画面とテレビ画面の2画面があるというコネクティビティシステムの特徴を最大限に生かしたものであった。

しかし、上記2作品の最大の欠点は、多人数でプレイできる環境を整えるのが非常に困難だと言う事であった。それぞれ4人でプレイするためには『4つの剣』ではGBA4機、対戦ケーブル3本、ソフト4本、『4つの剣+』はGCとソフト1つ、GBA4機、接続ケーブル4本が必要であった。これら2作品はゲームレビューサイト等の評価も高く、開発者もインタビューでは自信を見せていたが、やはり環境を整えるのが困難という点がネックとなってシリーズの中で見ても売り上げは著しくなかった。また青沼英二2007年のGDCにおいて「より大きな問題として、面白さがユーザーに伝わりにくく、ユーザーにこのタイトルを遊んでみようと思わせる動機付けが難しかった」とも指摘している[9]。その後2007年と2009年にDSで発売された『夢幻の砂時計』『大地の汽笛』にも対戦モードが用意された。『夢幻の砂時計』の物は2人用の『パックマンvs.』にも近い頭脳戦のゲームで、『大地の汽笛』の物は2-4人用の『4つの剣+』の「シャドウバトル」にも近いアクション性の強いゲームである。どちらもダウンロードプレイに対応しており、人数分のDSとソフト1本さえあればプレイが可能である。いずれもミニゲーム性の高いゲームであるとは言え、これにより『4つの剣』での欠点をほぼ解消出来たと言える。また、『夢幻の砂時計』の方はニンテンドーWi-Fiコネクションにも対応しており、世界中のプレイヤーとオンラインで対戦できるようになった。

キャラクター

『ゼルダの伝説』シリーズは、プレイヤーが操作する主人公の特徴が剣や盾、弓矢・爆弾などの多彩な武器を備えた緑色の服に身を包んだ少年(青年)というものでどの作品でも共通しており、名前や性格はプレイヤーとの一体感を持たせるために特定されていないが、1作目の主人公の名前であったリンクLink)が『ゼルダの伝説』シリーズの主人公を指す通称となっている。

多くのシリーズ作品で重要な役割を持って登場するキャラクターに、ハイラル王家の姫君のゼルダ姫Princess Zelda)と、絶対的悪の存在でありリンクの最後の敵となる魔物のガノンGanon)がいる。リンク、ゼルダ姫、ガノンの3人はそれぞれ勇気、知恵、力のトライフォースを受け継ぐ運命にあり、『ゼルダの伝説』はこの3人を巡る物語であると言える。ゼルダ姫とガノンは、リンクとは異なり作品によって大小容姿などに差がある。特にガノンは『時のオカリナ』において人間キャラクターのガノンドロフGanondorf)として登場し、近年の作品では、ガノンはガノンドロフとして登場することがスタンダードとなっている。

主要キャラクター3人以外にも、シリーズ作品には(ほぼ)同一の名前と共通した特徴を持ったキャラクターが登場している。ハイラルを統べるハイラル王、ゼルダ姫の世話役であるインパ、リンクの愛馬のエポナ、魔物と化した子供のスタルキッド、自称妖精の生まれ変わりのおじさんチンクル、歌を愛する少女のマロンなどがそれであるが、『ゼルダの伝説』シリーズは基本的に各作品とも時系列が異なっているため同一人物ではない。ただし、例外的にガノンは各時代を渡り歩く同一人物となっている。

基本的に、登場人物は人間に似た種族であるハイリア人であるが、ゴロン族ゾーラ族のような、人間同様の文化や生活体系を持った亜人間が登場することがある。泉から現れる妖精がリンクの体力回復や手助けをする。また、ニワトリ(作品によってはコッコと呼ばれる)が登場することが多い。

また、『時のオカリナ』以降からリンクにはパートナーあるいはナビゲーター代わりになるキャラクター[10]が登場し、冒険に同行してくれる場合が多くなっている(ただし、冒険においては基本的にナビゲートやアドバイスをしてくれるに留まっており、直接戦闘に参加する事はあまりない)。

雑魚敵キャラクターは各作品ともほぼ共通したものとなっており、代表的なものにオクタロック、ライクライク、リーデット、ギブド、モリブリン、スタルフォス、タートナックなどがいる。一方、ボスキャラクターは各作品それぞれ個性的なものが登場しているが、ゴーマやドドンゴなど複数の作品に登場するものもある。

主要キャラクター

リンク (Link)
の衣を身にまとう、本シリーズの主人公。神に選ばれし少年勇者)である。「勇気のトライフォース」の所持者。タイトルが『ゼルダの伝説』であるため、主人公をゼルダと間違われやすい。
ゼルダ姫 (Princess Zelda)
ハイラル王家の姫君、主に王女。「知恵のトライフォース」の所持者。またファミコン冒険ゲームブックのゲームブック作品『蜃気楼城の戦い』においては、プレイヤーキャラになった。
ガノン (Ganon)
ゼルダシリーズにおける絶対的悪の存在。ガノンドロフが魔物に変身した姿。「力のトライフォース」の所有者。詳細は「ガノンドロフ」の項を参照。
ガノンドロフ (Ganondorf)
砂漠の民ゲルド族出身の人間。ガノンに変身する。「力のトライフォース」の所有者。

歴代キャラクター、敵キャラなど

ハイラル王
ハイラル王国の王であり、ゼルダ姫の父親または先祖である。ハイラル王そのものはゼルダシリーズで重要視されることは少なく、姿形はおろか名前が出ることも珍しいといういわゆるサブキャラクター的存在。
しかし『風のタクト』では、しゃべる船「赤獅子の王」として序盤から登場、その際の名前は「ダフネス・ノハンセン・ハイラル」とされており、ガノンドロフとの因縁に決着を着けるため船の姿をとってリンクに様々な助言を与えつつ導いていた。
姿が確認できる作品(『神々のトライフォース』『風のタクト』『ふしぎのぼうし』)では、白髭を持つ大柄な男性という人物像が確認できる。
女神ハイリア
『スカイウォードソード』に登場、かつて「終焉の者」から世界を守り命を落としたが、その魂はスカイロフトに住むゼルダに宿っている。ゼルダの世界で頻繁に登場する名称「ハイリア」の由来だと思われる。
『時のオカリナ』で語られたフロル、ネール、ディン達ハイラルの創造者とされる三大女神との関係は不明。
インパ (Impa)
ゼルダ姫の乳母、または目付け役として登場する女性で、ゼルダ姫に忠誠を誓っている。登場作品によって設定、容姿は様々だが、ゼルダ姫に対する忠誠心は変わらない。外見や年齢的違いが一番大きい同名キャラクターである。
『時のオカリナ』では闇の賢者として覚醒、『スカイウォードソード』ではゼルダの使者として登場している。
名前の由来は英語で「伝える」を意味する「Impart」から。
エポナ (Epona)
『時のオカリナ』から登場するリンクの愛馬。広いフィールドを素早く移動するために重宝される。性別はメスだが、ゲーム上でそれを確認できるのは『トワイライトプリンセス』のみ[11](『時のオカリナ』の時点で性別はメスであったが、公式な設定ではなく開発スタッフのみに浸透していた裏設定だったとのこと。ただし英語版では、マロンはエポナを「Her」(彼女)と言っている)。
名前の由来は、ケルト神話における馬、ロバ、ラバなどの女神「エポナ」から。
スタルキッド (Skullkid)
『時のオカリナ』初登場以降、重要な役割を持つことが多い森の子供。『ムジュラの仮面』では、仮面の魔力に利用されていた。また、このスタルキッドは『時のオカリナ』に出てくるスタルキッドと同一人物であることを示唆する発言をする。『時のオカリナ』のゴシップストーンによると、スタルキッドとは森で迷った子供の成れの果てらしい(各シリーズにより特徴は異なる)。
シーク (Sheik)
『時のオカリナ』でリンクに重要なメロディを託す、シーカー族の生き残りと名乗る謎の青年。
イメージイラストではリンクと共にモンスターと戦う物も公開されている。様々な過酷な環境に神出鬼没に現れ、背負ったハープでリンクに神殿へワープするメロディを授けるが、その正体は知恵のトライフォースの力によって変身したゼルダ姫である。『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のフィギュアの説明文においては、「体格や目の色も変化していることから単なる変装ではなく、非常に高度な魔法を使っていると思われる」と記載されている。
『トワイライトプリンセス』では出演が予定されデザインの考案も成されたようだが、結局登場することはなかった。『大乱闘スマッシュブラザーズX』ではその時の設定がシークのデザインモチーフとされている。
名前はseek(捜す)から名づけられたが、のちに付けられた英語綴りは「族長」を意味するSheikとなった。その後日本でもこの綴りが使われている。
アグニム
ザント
チンクル (Tingle)
自称妖精の生まれ変わりの地図売りのおじさん。35歳独身。
緑の衣をまとった者を見境無く妖精と判断するためリンクを妖精と思い込み、「妖精さん」と呼ぶようになる。また緑の衣=妖精という図式を自らにも当てはめているため、自身も緑色の全身タイツを着用している。『ムジュラの仮面』では、特定のエリアなど要所要所で風船で空に浮かんで地図を描いており、風船を割って地上に落とすと地図を購入できた。父親も登場し、変な格好をして真面目に仕事をしない息子を嘆いていた(自ら描いた地図を販売しているので一応仕事はしているが)。『風のタクト』では、多額のルピーを支払うことで地図を解読してもらえたり、GBAと連動することによって謎解きのヒントをくれたり、冒険をアシストしてくれたりと重要な役として登場する。
『ムジュラの仮面』で初登場し、その見た目と性格のインパクトの強さから一躍人気キャラとなり、遂にはニンテンドーDSでチンクルが主人公のスピンオフ作品『もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド』が発売されるまでに至った。その後もチンクルを主人公とした作品はいくつか製作されており、シリーズとして定着しつつある。
大乱闘スマッシュブラザーズDX』では対戦ステージのグレートベイで登場し、風船で空中に浮かんでいる、風船を割るとクルクル回り出すが、また風船を膨らまし、浮かぶ。『大乱闘スマッシュブラザーズX』では『風のタクト』での姿でアシストフィギュアとして登場する。ちなみにキャラクターデザインを担当した今村孝矢によれば、開発スタッフの一人がモデルとのこと。
妖精、大妖精
ゼルダシリーズでリンクの体力を回復してくれたり、旅の相棒としてアドバイスをくれたりする妖精。大きいものと小さいものがいるが、大きい大妖精はリンクに新たな力を授けてくれる事もある。泉に現れるという設定は変わらないが、その姿はシリーズごとに大きく違う。
小さい妖精は、空き瓶に入れることができ、リンクが力尽きたときに回復してくれる他、『時のオカリナ』のナビィや『ムジュラの仮面』のチャットのような個体は、リンクと共に冒険し、アドバイスをくれる重要キャラクターとなっている。『蜃気楼城の戦い』では「ファニー」という名前がある。
ニワトリ(コッコ)
様々な村や施設で見かける普通のニワトリ。作品によってはコッコと呼ばれる事もある。『神々のトライフォース』で初登場し、そのキャラクター性(?)からもお馴染みのキャラクターとなる。
ニワトリは攻撃し続けていると、突然大量の仲間を呼び、リンクに逆襲してくる(『トワイライトプリンセス』のみ一定時間ニワトリを操作できるようになる)。何度攻撃しても死ぬことはない(『夢をみる島』においては例外で、一部の攻撃で倒せる)ので、画面を切り替えてニワトリの脅威から逃れる必要がある。また、『時のオカリナ』以降ではニワトリを担いでジャンプする事で、ニワトリの羽ばたきを利用して長距離を滑空するという仕掛けがあり、これを利用して取るアイテムが数多くある。
ミニゲームにも使われる事が多く、イベントアイテムとして持ち歩く事もある。色違いもいくつか存在し、『トワイライトプリンセス』ではそれぞれ飛行性能などが違う。
リンクの影(ブラックリンク、ダークリンク、シャドウリンク)
主人公リンクと同じ行動パターンを持つ強敵。『リンクの冒険』で勇気のトライフォースを守護するラスボス。『時のオカリナ』では「水の神殿」の中ボスとして登場している。また『大地の汽笛』ではエネミーアタックというミニゲームのボスとして登場した。『大乱闘スマッシュブラザーズDX』ではあるイベント戦で登場した。また、『大乱闘スマッシュブラザーズX』ではリンクの色換えとして、黒いカラーで目が赤く光るリンクを使用する事ができる。
シャドー
『夢をみる島』のラスボスにして影のような存在であり、様々な姿に変身できる。
グフー
『4つの剣』、『4つの剣+』、『ふしぎのぼうし』の悪役である風の魔神で、その姿は『夢をみる島』のラスボスであるシャドーと酷似している。
名前の由来は風速32.7m/s以上の暴風を表す語である「颶風(ぐふう)」。
元々は願いを叶える帽子によって邪悪な力を得たピッコルで、後にゼルダ姫からフォースを奪うことによって更に強力な魔神となった。そのため、『ふしぎのぼうし』では丁寧な言葉遣いで喋るが、後の作品では長い封印から理性を失っていき暴れるだけの存在となり、最後は一言も言葉を発することがなかった。
ムジュラの仮面
元々呪術を使う時に使っていた邪悪で恐ろしい力を秘めているという古代の呪われた仮面にして『ムジュラの仮面』の最終ボスで、スタルキッドを操って月を呼び寄せた張本人であり、その正体は全てを滅ぼそうとする「月」の悪意そのものである。
仮面をかぶったスタルキッドに壮大な力を身に付けさせて利用していたが、リンクの出現によって本当の姿を現し、彼と戦うが敗れて魔力を失いただの仮面に戻ると同時に、偽りの「月」も消滅し、最終的にリンクの手で所有者であるお面屋に返される。
なお、この仮面を持っていた一族はムジュラの仮面の力のせいで滅びたとされており、「月」は正体も目的も不明だが、他のどの地方でもなくタルミナを狙っていた。
ゴルゴン、ベラン
『ふしぎの木の実 大地の章』『時空の章』のそれぞれの悪役であり、作品単体プレイでのラスボスとして控え、それぞれ真の姿を持つが、一つ目にはならない。
闇の将軍ゴルゴンは、大きな鉄球を振り回すパワー型で、巨大なドラゴンの正体を持つ。
闇の司祭ベランは、他人の体を乗っ取る能力を有し、カメ、クモ、ハチの3つの邪悪な正体に変身を繰り返す。
ベラムー
『夢幻の砂時計』に登場する怪物で、主に黒い触手で攻撃をし、生命に宿るフォースという力を奪う能力を持つ。『夢幻の砂時計』の舞台はリンク達の住む世界とは別の世界とされ、2つの世界を行き来する幽霊船を使い、多くの人々のフォースを吸収していた他にも人に取り憑き、ファントムにする能力を有する。堅い外殻に守られた大きな一つ目が弱点だが、触手のそれぞれにも一つ目を持つ。
最終形態に一つ目を持ち、(取り憑くなど理由は様々だが)その姿を多様に変形して襲ってくる姿は、『夢をみる島』『ふしぎのぼうし』『ムジュラの仮面』などの外伝系ゼルダのラスボスに共通した姿といえる。
魔王マラドー
『大地の汽笛』に登場する魔王。100年前の世界で光の神との戦いで本体は滅び魂だけが残ったため、光の神によって魂を神の塔に封印される。しかし、最終決戦では、魔族のキマロキがマラドーの魂を器に変化した魔獣になって復活した。
魔族長ギラヒム
『スカイウォードソード』に登場する魔族の長で、普段は紳士だが怒ると口調が変わる。封印された終焉の者の復活のためにゼルダを狙う。
終焉の者(封印されしもの)
『スカイウォードソード』に登場する魔族の王で、封印された状態では黒く巨大な怪物だが、ゼルダに宿った女神ハイリアを吸収させることによって人間の姿になっており、トライフォースを使い魔族の世界征服を企む。そのため、ガノンドロフの前世であると考えられる。
オクタロック (Octorok)
口から石を吐き出して攻撃してくるタコ型の敵。2D作品では地上を這い、3D作品では水辺にいる雑魚キャラだったが、『時のオカリナ』、『ムジュラの仮面』、『風のタクト』では巨大化した「ダイオクタ」、『夢幻の砂時計』では自爆能力を持つ「マインオクタ」と飛行能力を持つボス「フーオクタ」が現れ、『トワイライトプリンセス』では異形の変化を遂げた巨大ボス「オクタイール」として登場。
『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のアドベンチャーモードにも登場し、石を吐き出してくる。
シリーズすべてにオクタの名を持つ敵が存在している。
ライクライク (Like-Like)
筒状の軟体の敵。全作共通で接触すると飲み込まれてしまい、頬張られた後に盾や服を奪われ吐き出される。倒さないと取り返せない。『ゼルダの伝説』では、大きな盾(マジカルシールド)の時のみ取られる。捕まってから一定時間内に倒さないと、消化され盾も消えてしまう。名前の由来は「蓼(盾)食う虫も好き好き(英語で、好き=Like)」から。
作品によっては頭頂部にルピーをぶら下げており、リンクを飲み込むとルピーを食べるものや、地中にうずまってリンクが近づくのを持ち構えているものもいる。
『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のアドベンチャーモードにも登場し、飲み込まれると振りほどかない限り吐き出されず、どんどん蓄積ダメージを増やされてしまう。
タートナック
鎧を装備した兵士。鎧の色はたくさんあり、銀が一番弱いとされるのが多い。盾を装備した金色、強い赤、青、一番強い黒がある。また、黒は、ふしぎのぼうしではブラックナイトと呼ばれ、4つの剣+では緑色のタートナックも存在する。
リンクの冒険、時のオカリナ、ムジュラの仮面ではタートナックのかわりにアイアンナックというのが登場している。
ウィズローブ
鳥人のような魔法使い。赤いものは炎で、水色のものは氷で、黄色のものは雑魚キャラを召喚して攻撃してくる。ほかにもドクロのお面をかぶった紫色、最も強いとされる青、お金を吸収するものがいる。また、風のタクトには、やぐらの上にだけ登場する白いもの、強敵を召喚してくる中ボスクラスのオレンジ色がいる。
リーデット (Redead)
ゾンビの姿をしていてゆっくりと歩いている。敵が近づくと奇声を上げて敵を恐怖で動けなくし、まとわりついて体力を減らし続ける。振りほどかないと死ぬまで体力を吸い取られてしまう。『ムジュラの仮面』では、あるお面をつけるとある理由から躍り出す。
『時のオカリナ』『ムジュラの仮面』では複数のリーデットが居る場合は、一体を倒すと仲間の方へ寄っていく。また、亡骸が消滅するまではずっとそばに居り、その間攻撃はしてこない。仲間意識が強いものと思われる。
『時のオカリナ』ではガノンドロフの侵攻によって滅びたハイラル城下町に多数存在しているため住人の成れの果てと推測されたが、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のフィギュアの説明文においては、「住民は各地に避難しているため、単に人の姿をしただけの魔物と思われる」と記載されている。
『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のアドベンチャーモードにも登場し、つかまれると噛みつかれ、振り払うまでダメージを受け続ける。
ギブド (Gibdos)
包帯を体に巻きつけたミイラの姿をしていて、『時のオカリナ』『ムジュラの仮面』ではリーデットと同じ攻撃方法で近づいてくるが、炎攻撃で包帯を燃やすと中からリーデットが現れる。『4つの剣』では包帯を投げてきて、当たると自我を持った包帯に締め付けられダメージを受け続ける。『ムジュラの仮面』では、ギブドのお面をつけることで会話ができる。
スタルフォス (Stalfos)
骸骨騎士。FC時代から毎回登場しており、骨を投げてきたり、ジャンプや盾で剣攻撃を避ける。スタルキッド、スタルベビーと眷属も存在する。シリーズを通して姿は異なり、『時のオカリナ』『ムジュラの仮面(イカーナ兵)』ではリンクと似た動きをすることができる強敵。『時のオカリナ』以降、強敵という位置付けで登場することが多くなった。『トワイライトプリンセス』では、「爆弾」「爆弾矢」、「チェーンハンマー」で粉砕しなければいくらでも復活するというものだった。
モリブリン (Molblin)
を持ったガノンの手下。銛を前に突き出し、リンクに突進してくる。
名称は「モリ(/)+ゴブリン」からの造語で、作品により豚顔であったり巨人、犬顔であったりする。
『時のオカリナ』では何故かZ注目をすることができない。他、親玉であるボスブリンという敵も登場した。
『夢をみる島』では、モリブリン達のただ一匹の親玉が中ボス格として登場し、『ふしぎの木の実』にもボスブリンという名で登場した。
『風のタクト』では、モリブリンは大型の体を持つ中ボスとなり、中ボス登場後もザコ敵として出現。小ぶりの姿を持つボコブリンという敵も新たに登場した。
『トワイライトプリンセス』では、ブルブリンがこれに相当し、その親玉であるキングブルブリンは物語にも関わる重要な存在となっている。
ドドンゴ
正面攻撃の利かない恐竜のような姿をした敵。初代をはじめ、ほとんどのシリーズ作品に登場している。
2D作品では丸(●)が2つつながった様な姿で、3D作品では恐竜(トリケラトプス)やトカゲに似た姿をしている。火を噴いたり尻尾で叩き付けるなどの攻撃をする。その一方で、その堅い体にはリンクの剣による攻撃が通用しないなど、厄介なモンスターである。
バリエーションとして、『時のオカリナ』ではベビードドンゴや、「ドドンゴの洞窟」のボスとして巨大化したキングドドンゴがいる。また、『夢幻の砂時計』では、ボンゴロンゴというボスモンスターも登場した。
倒すための方法には、「爆弾」が関わっているのが特徴。
ポウ、ギーニ
前者はカンテラ、後者は大きな一つ目が特徴の幽霊。初期の頃は、両者とも高威力の体当たりぐらいしかしてこなかったが、最近ではポウはダメージの大きい体当たり攻撃、ギーニはリンクの動きを封じ生気を吸収し続ける攻撃をする傾向になった。
鬼神リンク
『ムジュラの仮面』で登場したリンク。鬼神の仮面を手に入れると変身できるリンクの姿。身長は大人リンクより大きい。ボス戦のみでしか使えないが、特徴的な形をした両手剣を振りかざし、魔力を使って剣から高威力ビームを連射できたりと、まさに鬼神のごとき強さを発揮し、ラスボスですら瞬殺してしまう力を見せる。
ガイア
ガノンの弟でゲームブック『蜃気楼城の戦い』の最終ボス。ゼルダを誘拐した上、洗脳までしてしまう。リンクでしか倒せない。

主な用語

トライフォース(TRIFORCE)
ファイル:Mitsuuroko.svg
トライフォースの元となった三つ鱗紋
3つの金色の三角で連なった三角の形をしており、それぞれが力、知恵、勇気の役割を持つ。この3つの力が1つにまとまった時点で完成し、大三角「トライフォース」となる。触れた者の願いを叶える力を持ち、ゲーム内では「黄金の大三角」や「黄金の聖三角」、「神の力」とも呼ばれる。ゼルダ本編ではこのトライフォースをめぐり、ガノン、リンク、ゼルダの3人が物語の渦中に巻き込まれてゆく。
作品世界において神々が天地開闢の地に遺したとされる神器とされ[12]、守られた聖地に眠っている。またこの神器の3つの構成要素を指してそれぞれ力、知恵、勇気のトライフォースといい、大三角を正面から見て、上の位置にあるトライフォースが「力」、左下のものが「知恵」、右下のものが「勇気」に当たる。
なお第1作目である『ゼルダの伝説』には、力と知恵の2種のトライフォースしか登場せず、3つめの勇気のトライフォースは第2作目『リンクの冒険』で初登場する。 ゲーム内では、大三角は「ハイラル王族の紋章」でもあり、いたるハイラルの世界にこの王家の紋章が隠されている。また王族と関係なくとも、ゼルダシリーズの特徴的なマークとして、ゲーム内のアイテム、メモ用紙、石版などにまで意味深げに書かれていることがあるゼルダシリーズの顔のひとつ。
この形状は、日本の北条氏家紋である三つ鱗紋に着想を得たものである。

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ハイラル(HYRULE)
『ゼルダの伝説』の舞台となるトライフォースが遺された、多くの神々が眠る大地の名である。また、その地に代々栄える王族の名を指す。
舞台、「ハイラル」の1つの特徴として、お馴染みの広大な平原を筆頭に山や湖、森、遺跡などの自然豊かな場所が多く、見渡すことのできるようになった3Dゼルダシリーズでは、ハイラルの大地に製作スタッフが故意に作った「絶景ポイント」なるものがある。
近年のシリーズ作品中では、ハイラルの人々、特に古い血筋を残す人々のことは「ハイリア人」と呼ばれている。ハイラル独特の言語として「ハイリア語」が存在する。また、「ハイラル平原」、「カカリコ村」、「ハイリア湖」、「迷いの森」など、シリーズで共通するハイラル独自の地域が存在する。
『時のオカリナ』では、ハイラル全土を治めるハイラル王国として存在するが、ゾーラ族(ド・ボン16世)やゲルド族(ガノンドロフ)なども「王」の称号を用い、認められているので、諸部族の連合王国と考えられる。
『ゼルダの伝説』、『リンクの冒険』の時代では、ハイラルは1つの大きな国ではなく、幾つもの小さな国に分国・独立してしまっている。トライフォースはゼルダ姫がいる小王国が受け継いでいる。
『トワイライトプリンセス』においてハイラル王国の運命を左右する最終的な決定を下したのは、王女であるゼルダであった。その他にも、王女がピックアップされる場面が多く、王はあまり出てこない事が多い。ゼルダシリーズはゲーム内容の性質上凝ったストーリーや設定を必要としないため、主要キャラであるゼルダ姫以外の王族をあえて登場させる必要がないためともとれる。漫画版『時のオカリナ』でのハイラル王はクーデターを決行したガノンドロフに殺された。『神々のトライフォース』では王はアグニムに封印されるが、後にリンクによって生還する。
マスターソード
マスターソードという名前の剣が出るのは『神々のトライフォース』以降。その位置付けは、「最強の剣」であり、大魔王を唯一倒すことのできる「退魔の剣」である。マスターソードは何らかの方法により封印されているため、それを手に入れるには封印を解く必要がある。青色の鞘を持つ。
マスターソードの誕生は『スカイウォードソード』で描かれており、女神ハイリアの残した「女神の剣」が「ディンの炎」「フロルの炎」「ネールの炎」を受けたことで誕生している。
『時のオカリナ』では、聖地の鍵でもある。「退魔の力」を持つ伝統の剣であるが、ハンマーやもっと大きい剣などに武器の強さが負けることもある。しかしそれらの武器では盾を構えられないなど何らかのデメリットはあり、最もバランスが良いのはマスターソードとなる。また、ガノンを倒すのに必要な剣でもあるこの剣は、設定上ほぼシリーズを通して共通する同一のものである可能性が高い。リンクが魔王ガノンを倒した後は再び封印の眠りにつく姿が各シリーズエンディングで確認される。
どうぶつの森』シリーズでは家具として登場。触れるとゼルダシリーズおなじみのアイテム入手時の効果音が鳴るが、引き抜くことはできない。

シリーズ内の時間の流れ

ゼルダ史

ゼルダの伝説シリーズは基本的に各作品、単一の物語である。しかし、シリーズ全体には同一時間軸に置ける大きな歴史の流れが存在することが、ゲーム本編のストーリーなどから推察できる。以下はインタビューや雑誌、攻略本記事から判明している箇所のみを銘記する。

例えば『ゼルダの伝説』と『リンクの冒険』、『時のオカリナ』と『ムジュラの仮面』、『風のタクト』と『夢幻の砂時計』などはそれぞれの主人公が同一人物であり、比較的短い時間での繋がりが見られる。また『時のオカリナ』と『風のタクト』などのように、長い時間でも繋がりが見られる場合もある。これらの点から、リンク・ゼルダといった主な登場人物は各作品に登場するが、全てが同一人物ではなく、同じ血筋の子孫か生まれ変わりと考える方が自然と言える。また、宮本茂も各作品のリンクとゼルダの関連性と問われた際に、「子孫」「生まれ変わり」などの用語を用いて説明している。ただ、ガノンだけはどうやら同一人物のようで、その都度復活しているものと思われる。

このように、ゼルダの伝説シリーズには繋がりを持つことが明示されている作品が複数存在する。そのため、各作品は歴史として順番に並べることが可能と推察できる。しかし、厳密な歴史については公表されておらず、多くの場合は各作品の大まかな時間の前後関係が記されているだけであった。

なお、宮本自身は「設定を固める方針は取らない」と、かねてから示唆している。

ただし、公式に設定されている要素として「『スカイウォードソード』がゼルダシリーズの歴史上、最初の時代が舞台」「『リンクの冒険』がゼルダシリーズの歴史上、最後発の時代が舞台」という点が挙げられる。『スカイウォードソード』は公式インタビューで明言されており、キャッチコピーなどにも使われている[13]。『リンクの冒険』は、『時のオカリナ』発表時に欧米のファンから、「『時のオカリナ』はゼルダシリーズのどの時代にどのように関係するか」を細かく問われた際に、『リンクの冒険』を最後の時代に設定している点以外は、敢えて細かい設定を作らず、前述の点のみ決定した旨を宮本茂が発言している。

長年、ファンの想像と推測によってゼルダの史観が積み上げられていて、憶測に任せるだけの状態であったが、2011年12月21日に『任天堂公式ガイドブック ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全』(小学館刊)が刊行、『ゼルダの伝説』から『スカイウォードソード』までを時系列順に並べた年表が公開され、ついに一定の公式回答がなされる事となった。なお同書中では、今後もシリーズ新作が発売される事で変更がなされる可能性が示唆されている点を付記しておく。

ゼルダ史は、上記で述べたように完全に一致することはなく、パラレルワールドのようなものである。また、この歴史的順列の概念は、あくまで従来のシリーズをやってきたコアプレイヤーに対する製作者側の配慮とも言える部分もあるために、厳密に決定されている「完全に正確なゼルダ史」は、やはり存在していない。以下には『任天堂公式ガイドブック ハイラル・ヒストリア ゼルダの伝説大全』(以下『ハイラル・ヒストリア』)に記載された内容を中心とした出版物等で開発者により公式に発表された歴史のみシリーズのゼルダ史における大まかな順を記載するが、製作者側も後付け設定であると公言しており、矛盾する部分も存在する。

スカイウォードソード(Wii)
ゼルダ史の始まりの物語である。遥か昔、世界を創造した三大神は万能の力「トライフォース」を残し、以降大地と共に女神ハイリアが守護してきた。そして時代は下って「トライフォース」を得るために邪悪なる存在が魔族を率い、地上では激しい殺戮が行われていた。そこで女神は生き残った人間と大地を空に浮かべ、命をかけて邪悪なる存在を封印した。しかし女神の力を持ってしても完全な封印は出来ず、長くは保たないことを悟った女神ハイリアは「トライフォース」を使って邪悪なる存在を完全に消滅させることを決意。後世に現れる勇者を導くための準備を終えた後、神では扱えない「トライフォース」を使うために神の身を捨て、人間へと転生した。
時は流れ、空に浮かぶスカイロフトに住む青年リンクは大地に落下したゼルダを探すべく、大地を冒険。ゼルダは「時の扉」を使い過去へタイムスリップを行いリンクも過去に行くべく3つの「聖なる炎」を集め「マスターソード」を誕生させる。過去に行ったリンクにゼルダは自分が女神ハイリアの生まれ変わりであることを告げ、邪悪なる存在を封印を安定させるため過去の世界で長い眠りについてしまう。リンクはゼルダを眠りから覚ますため女神ハイリアが隠した万能の力「トライフォース」を探し出し、現代に封印されている邪悪なる存在を消滅させる。魔族の長であるギラヒムは現代で邪悪なる存在を復活させられないと知るとゼルダを拉致し時の扉を使い過去にタイムスリップ。過去の世界でゼルダに宿る女神ハイリアをの力を使い邪悪なる存在「終焉の者」を復活させるが、リンクに敗れ終焉の者は消滅。リンクはマスターソードを封印し、ゼルダと共に大地で生きて行く事を決意する。
今作ではこれまで断片的にしか描かれていなかった「マスターソードの誕生」「ゼルダのルーツ」「ハイラルの創世」が明かされている。これまでシリーズ本編のほとんどで登場していたガノンは登場しないが、ボスである「終焉の者」はトライフォースを欲するなどガノンドロフとの共通点が見受けられ、最期は復活を示唆するような言葉を残し消滅している。また、他作品で使用されている「ハイリア」「フィローネ」「オルディン」「ラネール」といった名称も登場しており、『ハイラル・ヒストリア』では今作のゼルダの子孫が後のハイラル王家であると記載されている。
ふしぎのぼうし(GBA)
ハイラル建国から長い時間が経った後、魔物が現れ世界が闇に覆われかけたが、天からピッコルが降り立ち人間の勇者に剣を与え、勇者は宝箱の中に魔物を封印した。ピッコルの剣はハイラル王家の手で保管される事となり、ピッコルに感謝するために年に一度ピッコル祭りを開催するようになった。
ピッコルの存在が伝説となった時代に、鍛冶屋のスミスの孫リンクとゼルダ姫は、一緒に100年目のピッコル祭りを楽しんでいた。そして武術大会で優勝したグフーの戴冠式に出ていたが、フォースを狙っていたグフーはピッコルの剣を折って魔物を封印していた宝箱を解き放ち、更にゼルダを石に変えてしまった。ゼルダを元に戻す為にはピッコルの剣(フォーソード)が必要で、リンクは大人には見えないピッコルを探して旅に出る。
途中で姿を帽子に変えられてしまったピッコルの賢者エゼロと出会い、グフーが元はエゼロの弟子のピッコルであったがエゼロのつくった「願いのぼうし」を盗み魔神の力を手にした事を知る。冒険の末に最終的にはゼルダからフォースを奪って大魔神となったグフーを倒し、「願いのぼうし」の力でハイラルは元に戻り、エゼロはピッコルの世界に帰って行った。EDによればこれが『リンクとゼルダ姫の最初の冒険』らしい。
劇中ラストで緑のとんがり帽子を貰うなど、とんがり帽子に緑衣の勇者像が生まれた話と考えられる。まだ魔神となる前のグフーが描かれており、物語中でフォーソードや「風の宮殿」も登場するため、『4つの剣』に繋がる話であると考えられる。
4つの剣(GBA)
『ふしぎのぼうし』で倒されたはずの大魔神グフーが復活し風の宮殿を占拠するが、フォーソードを携えた勇者が4人に分かれ、彼らの手で再び封印フォーソードにされた。しかし時代が更に下ると再び復活し、封印を確認しに神殿に向かったゼルダ姫がリンクの前で攫われてしまった。グフーの復活を見たリンクは、妖精に言われるままフォーソードを抜き、4つに分かれた。風の宮殿に行くために4人のリンクは協力していき、宮殿への道を守る大妖精に認められて風の宮殿に辿り着き、グフーを封印してゼルダ姫を救出した。
『4つの剣』でもリンクとゼルダ姫は最初から知り合いである。
時のオカリナ(N64/3DS)
ハイラル王国が統一戦争の戦火に包まれていた頃、ひとりの女性が赤ん坊を連れて禁断の森に逃げ込み、息を引き取った。そしてハイラル王国が統一された後、コキリ族の少年リンクは育ての親のデクの樹から自分の運命を告げられ、ゼルダ姫のもとへ旅立った。一方でゲルドの大盗賊であったガノンドロフは、その知性を生かしてハイラル王家に取り入り、王の信頼を得る。しかしその真の目的は「トライフォース」とハイラルの支配であり、それに気づいていたハイラル王家の姫ゼルダは、神のお告げにあったリンクと出会い、先にトライフォースを手に入れてガノンドロフを倒す計画を思いつく。リンクは共にガノンドロフの野望を阻止するため、聖地への扉の鍵を探し始めた。
しかしリンクが戻って来た時にはガノンドロフはクーデターを起こしており、リンクが封印を解きマスターソードを抜いて眠りについた聖地に侵入し、「力のトライフォース」を手に入れて大魔王ガノンドロフとなり、ハイラルを支配していった。それから7年後、時の勇者となったリンクと対峙し、敗れたガノンドロフは「力のトライフォース」の力を暴走させて巨大な魔物「ガノン」となるが、時の勇者リンクとゼルダ姫と六賢者によって倒され、「力のトライフォース」ごと封印された。マスターソードはガノン封印後、「時の神殿」にて再び永い眠りにつき、役目を終えたリンクはゼルダ姫によって本来の時代(7年前)に戻って行った。
今作のエンディングでリンクが戻ってきた時間軸から直結して『ムジュラの仮面』の話へとつながる。なお、『風のタクト』内で語られることになるが、『時のオカリナ』エンディングでリンクが時間移動する際にリンクから「勇気のトライフォース」が解放されており、時の勇者リンクから解放された「勇気のトライフォース」は8分割され、ハイラル王家の手によって8箇所に保管される事となる。その遠い未来に、『風のタクト』のリンクが8分割された「勇気のトライフォース」を全て回収し、その宿り主となる。この作品に登場する人種は、全てかなり古い血筋を持つ「ハイリア人」が主となっている。
本作のエピローグでリンクが元の時代へ帰還し、7年後の未来での戦いのことを元の時代のゼルダ姫に話したことにより、以後の時間軸分岐が発生し[14]、この時代がゼルダ史におけるターニングポイントだと言える。『ハイラル・ヒストリア』によると、以後の時間軸は作中での『時の勇者リンクが子供時代に戻った時間軸』『時の勇者リンクが魔王ガノンドロフを倒した時間軸』に加え、『時の勇者リンクが魔王ガノンドロフに敗北した時間軸』が存在する。なお、時の勇者リンクがガノンドロフに敗れた場合は、ガノンドロフが「勇気」と「知恵」のトライフォースを奪い魔王ガノンとなるが、七賢者たちが最後の手段としてガノンドロフを聖地ごと封印したらしい。

時の勇者リンクが魔王ガノンドロフに敗北した時間軸

神々のトライフォース(SFC/GBA)/ ふしぎの木の実(GBC)/古代の石盤(BS)/夢をみる島(GB)
ガノンの野望、闇の世界、ガノンの再封印について語られた。『時のオカリナ』でリンクがガノンドロフとの戦いに敗北した未来の話である[15]
『時のオカリナ』で賢者たちによって聖地はガノンごと封印されたが、これにより聖地の存在が人々に知れ渡ってしまう。欲深い人間がトライフォースを求めて聖地に向かうが、聖地は既にガノンドロフにより「闇の世界」と化していた為、聖地に向かって帰って来た者はいなかった。徐々に悪しき力が湧き出て来たことを懸念した当時のハイラル王は、七賢者とナイトの一族に聖地の完全封印を命じる。七賢者はガノンに対抗すべくマスターソードを扱える勇者を捜したが、その勇者が見つかる前にガノンの邪気が王宮を攻めてきた為、聖地の封印に乗り出す。そして自ら賢者たちの盾となった多くのナイトの一族の犠牲の下、七賢者は聖地の完全封印に成功した。
更に時代が下り、ハイラル王国に司祭アグニムが現れる。アグニムは当初はハイラル王に取り入り信頼を得たが、やがて国王を亡き者にして兵士たちを操り、ゼルダ姫を含めた七賢者の子孫の娘たちを捕え始め、生贄にしていった。最後のひとりとなったゼルダは、助けを求めてテレパシーを送る。それを受け取ったのが、ナイトの一族の末裔であるリンクであった。そしてリンクはマスターソードを手に入れ、「闇の世界」でガノンの分身であったアグニムやガノンを倒し、トライフォースを手に入れ世界を元に戻した。
『ふしぎの木の実』においてはゲルドの魔導士ツインローバが「滅びの炎」「嘆きの炎」「絶望の炎」を使ってガノンの復活を目論んでいた。配下の闇の将軍ゴルゴンをホロドラムに、闇の司祭べランをラブレンヌへ送り込み、ゴルゴンは大地の巫女ディンを、ベランは時の巫女ネールを狙って暗躍し始めた。リンクはトライフォースの導きによりホロドラム、ラブレンヌに導かれ、巫女を救出するために冒険を繰り広げたが、その活躍も空しく「滅びの炎」「嘆きの炎」は完成してしまった。ツインローバは「絶望の炎」を完成させる為に希望の象徴であるゼルダを生贄にしようとしたが、リンクが予想以上に早く駆けつけて来た為にやむを得ず自らを生贄にし、不完全な形で復活したガノンドロフはリンクに倒された。そしてリンクは新たな冒険を求めて旅立ち、この冒険からハイラルに戻る航海の途中で出会った不思議な体験談が『夢をみる島』である。
リンクがハイラルを後にしてから6年後の話が『古代の石盤』である。肉体を封じられ精神体のみとなったガノンは新たな力を得るために異世界から「若者」を召喚する。異世界の「若者」はリンクに代わって「光の勇者」となり、ガノンを倒して世界に平和を取り戻した後、異世界へと帰還する。
なお、『神々のトライフォース』における「闇の世界」は、トライフォースの力でガノン自らが作り出した裏世界であり、『トワイライトプリンセス』での闇の世界の設定とは細かい点で幾つかの相違点がある。また、『ふしぎの木の実』に関しては、当時の『64DREAM』には『神々のトライフォース』の時代という記述があった。
神々のトライフォース2(3DS)
『神々のトライフォース』の世界からはるか未来の物語とされ[16]、マップなどにも共通点が見られる。
ハイラルとは別のもう一つの世界・『ロウラル』はかつて逆三角形のトライフォースによってその存在を保っていたが逆三角形のトライフォースを狙う者が絶えず、その原因である逆三角形のトライフォースを破壊してしまう。しかし、思惑とは逆に逆三角形のトライフォースを失ったことでロウラルは崩壊を続ける闇の世界となってしまった。
その崩壊を防ぐためにロウラルの王女『ヒルダ』はもうひとつの世界・ハイラルにあるトライフォースを奪おうと画策。ロウラルの司祭・ユガをハイラルに派遣し強奪を図るも、トライフォースは分裂。ユガは七賢者とゼルダを絵画に封じて、力のトライフォースを宿すガノンを召喚し融合、ヒルダはハイラルの住人であるリンクを導いて七賢者を解放させ、勇気のトライフォースを目覚めさせる。そしてリンクはロウラル城に乗り込むと、ヒルダはゼルダに宿っていた知恵のトライフォースを取り込んでユガをリンクと戦わせるが、その最中にユガがヒルダを裏切ったため、トライフォースを奪う作戦は失敗に終わり、ユガはリンクに倒された。
トライフォース強奪に失敗し、ヒルダはラヴィオに諭されロウラルの崩壊を受け入れるが、帰還したゼルダとリンクがトライフォースに願いを込めたことで逆三角形のトライフォースが復活。再びロウラルに光が戻った。
『神々のトライフォース』ではトライフォースが全て集まり元通りになったが、本作では再びバラバラになっているなど矛盾点も存在している。これについて青沼は「色々な話が混ざってることや、神々のトライフォースと神々のトライフォース2の間にまだ描かれてない物語があるのかもしれない」と述べている[17]
ゼルダの伝説(FDS)/リンクの冒険(FDS)
『神々のトライフォース』でガノンから取り戻されたトライフォースはハイラル王家によって管理され、「リンクの冒険」の初代ゼルダ姫の時代ではトライフォースの扱う素養を持つ王によってハイラルは繁栄を極めていた。王には息子の王子と娘のゼルダ姫がいたが、人格的にやや問題があった王子よりもゼルダ姫の方がトライフォースの素養があった為、正しい者に受け継がれるようにと魔法をかけて隠した「勇気のトライフォース」の秘密を、ゼルダ姫にだけ教えて亡くなった。王の死後、兄王子が新たな王となるがトライフォースは「力」と「知恵」しか受け継げす、魔術師の甘言に乗せられて「勇気」の在り処を巡って妹のゼルダ姫と争い、彼女は魔術師によって眠りにつかされてしまった。その出来事を後悔した兄王は改心して国に善政を敷いて治めていったが、トライフォースの力を失った王国は衰退の道を辿っていった。
『ゼルダの伝説』でのハイラルは、かつての王国ではなくハイラル地方の「小王国」となっていた。ハイラルにあるトライフォースは「力」と「知恵」の2枚のみでマスターソードも存在しない。大魔王ガノンは最初から封印されておらず、トライフォースを求めてハイラルに侵攻してきた。この2枚のトライフォースのうち「力」はガノンに奪われ、ガノンに捕らわれたこの時代のゼルダ姫は「知恵のトライフォース」を8つに分解し、インパに勇者を探すように告げて逃がした。インパは追っ手に追われ追い詰められたが、近くを通りかかったリンクに助けられ、リンクはガノンを倒しゼルダ姫を救出するために8つに分かれた「知恵のトライフォース」を探す旅に出た。そして「知恵のトライフォース」を手に入れたリンクはガノンを退治して「力のトライフォース」を取り返す。
製品のコピーなどで「リンクの最後の冒険」と銘打たれたのが『リンクの冒険』である。前作『ゼルダの伝説』からは3年後が舞台。ガノン軍の残党が勇者リンクを生け贄にガノンの復活を企む中、リンクは永い眠りについている「初代ゼルダ姫」を目覚めさせるために「勇気のトライフォース」を授かる試練に身を投じ、ガノンの残党を退け数々の神殿の魔物と自分の影を打ち破り、見事「勇気のトライフォース」を獲得し幕を閉じる。設定上ゲームオーバーになった場合は、リンクを生け贄にガノンが復活するというバッドエンドになるが、FDS版『リンクの冒険』ではガノンは名前しか登場しない。NES版ではゲームオーバー時にガノンのシルエットと笑い声が入る。また「初代ゼルダ姫」が眠りについた時点から『リンクの冒険』の時代まで「勇気のトライフォース」は失われたままとなっており、この期間はトライフォースが2枚しか存在しなかったことになる。
『ゼルダの伝説』『リンクの冒険』は『神々のトライフォース』より未来の時代とされているが、この時代の「ハイラル王国」が『神々のトライフォース』の「ハイラル王国」と同一であるかどうかは不明である。『リンクの冒険』で語られる「初代ゼルダ姫の伝説」によれば初代ゼルダ姫が眠りについた事件以降、王家に生まれる女性には代々「ゼルダ」の名が付けられることになる。『リンクの冒険』ではハイラル全体を他の作品よりも広い範囲を動いており、人がたくさんいる街の数はシリーズ最多である。街のいくつかには『時のオカリナ』の六賢者の名前がつけられている。

時の勇者リンクが子供時代に戻った時間軸

ムジュラの仮面(N64)
『時のオカリナ』のエンディング後、7年後での魔王ガノンドロフとの戦いを終えた時の勇者リンクは、その時代にいたゼルダ姫によって元の時代(ゼルダ姫と出会う前の7年前)に戻った。リンクは戻った時代のゼルダ姫のもとに会いに行き、王に取り入るガノンドロフを見張っていたゼルダ姫に対して未来で起こる出来事を伝え、ガノンドロフの野望を阻止するためには聖地を開いてはいけないと語る。その話を聞いたゼルダ姫はリンクに「時のオカリナ」を託し、ガノンドロフの手が届かないところへ逃げるように告げた。リンクは相棒のナビィを探すことも兼ねて、ロンロン牧場からエポナを借りて旅に出る。その途中で仮面をつけたスタルキッドに襲われ、あと3日で月の落下で滅びるタルミナに迷い込んでしまった。そしてムジュラの仮面の思惑と月の落下を阻止しタルミナを救ったリンクは、再び人知れず旅に出た。
『時のオカリナ』エンディングでリンクが時間移動する際に、リンクから「勇気のトライフォース」が解放されている。しかし戻った時代では聖地を開いていないものの、リンクは戻った時代の「勇気のトライフォース」を宿しており、『トワイライトプリンセス』におけるリンク、ゼルダ、ガノンドロフが神に選ばれた力を宿していた要因になっていると言われている。
トワイライトプリンセス(GC/Wii)/リンクのボウガントレーニング(Wii)
『時のオカリナ』エンディングで、時の勇者リンクが本来の時代に戻ってきた時間軸(プレイヤー視点でいう「少年リンク側」の軸)の未来の話[14]。『時のオカリナ』『ムジュラの仮面』から百数年後の時代にあたり、同じく『時のオカリナ』の続編とされている『風のタクト』とはパラレルワールド(別の時間軸)の関係にあたる。
『時のオカリナ』のリンクはエンディングで本来の時代に戻った後、その時代のゼルダ姫のもとに会いに行き、ガノンドロフの野望を未然に阻止するように手を打ってから旅に出た。その結果、聖地の侵略を目論んでいたガノンドロフの目論みは失敗に終わり、本来なら起こる筈だった「時の勇者と魔王の戦い」が起こらず歴史が変化した。それから数年後にガノンドロフは捕らわれて賢者たちに処刑されかけたが、神の力を発揮させて賢者達を圧倒。しかし賢者たちの咄嗟の判断によって、かつて聖地に侵略しようとした一族を封印したとされる「影の世界」に封印された。
影の世界に追放されたガノンは怨念となり、その怨念は影の王の臣下で野心家であったザントを利用した。ザントは影の世界の住民を魔物に変え、黄昏の姫ミドナの力を奪った。そしてザントは光の世界へ侵略し、城に攻め入りゼルダ姫を降伏させ、光の精霊から「光」を奪い光の世界を「トワイライト」の領域へと変えていった。その中でラトアーヌ地方に住む勇者の血を引く青年リンクは、「トワイライト」の領域に引き込まれた際に神の力に選ばれた勇者として目覚めて神獣の姿となり、それを見たミドナは彼を利用してザントを倒し影の世界を救うためにリンクをサポートするようになった。リンクは冒険の末にパートナーのミドナと、同じく神に選ばれた力を持つゼルダ姫と共に、ザントと黒幕のガノンドロフを倒しハイラルに平和を取り戻した。ガノンドロフは最後に「光と闇の戦いの始まりと思え」という言葉を残した。
今作の外伝的作品として『リンクのボウガントレーニング』がある。また『ハイラル・ヒストリア』では今作のリンクは『時のオカリナ』及び『ムジュラの仮面』のリンクの子孫であり、時の勇者リンクも「骸骨の剣士」として登場していると書かれている。
4つの剣+(GC)
『トワイライトプリンセス』でガノンドロフが倒されてから数百年後、ゲルド族とハイラル王国は親交を回復していった。しかし、新しいガノンドロフが転生して生まれ、村の掟を破って邪器「トライデント」を復活させ、ハイラルを闇に覆うとした。その際に太古に封印された風の魔神グフーをも復活させ、封印の役目を持つ巫女やゼルダ姫がさらわれてしまい、リンクはフォーソードを抜いて体を4つに分け、冒険の旅に出る。そして最終的にはフォーソードでグフーを倒し、ガノンドロフを封印した。
『ハイラル・ヒストリア』では、これがグフーの最期だと記載されている。一方のガノンドロフはフォーソードに封印されながらも、再び復活するような発言を残している。

時の勇者リンクが魔王ガノンドロフを倒した時間軸

風のタクト(GC/Wii U)/夢幻の砂時計(DS)
『時のオカリナ』でリンクとガノンが死闘を繰り広げ、リンクとゼルダ達によってガノンが封印されたその後の話(プレイヤー視点でいう「青年リンク」側の時間軸)[14]。『時のオカリナ』エンディングで、リンクが元の時代に帰ったことでいなくなった時間軸の未来の話であり、『トワイライトプリンセス』とはパラレルワールド(別の時間軸)の関係にあたる。
時の勇者によって魔王ガノンドロフは封印されたが、「力のトライフォース」を持ったまま封印された魔王は長い時を経て地の底から復活してしまった。時の勇者が現れなかったハイラルは滅亡に追い込まれ、民は苦渋の決断の末に神に全てを委ねる事にし、その願いを聞き入れた神はハイラルごとガノンドロフを封印し、王国は海の下に沈んだ。この時すでに「ハイラル王家」は王国ハイラルとともに滅亡しており、「知恵のトライフォース」の欠片を持つ王族の子孫も行方不明となっている。そして『風のタクト』の物語はそれから更に長い時を経て、「王国」と「時の勇者」の伝説が残るリンクの住むプロロ島から話は始まる。ガノンドロフは長い時を経て現代に復活しており、シリーズ中最も年を取った渋い外見をしていた。プロロ島に住む少年リンクは、伝説の謂れにより成長した祝いに緑の衣を授かるも、その矢先にガノンドロフの配下の怪鳥・ジークロックに妹を攫われてしまい、また攫われそうになるも助け出した海賊テトラに頼み込んで妹の救出と冒険の旅に出る。
伝説の勇者が使用していた退魔の剣「マスターソード」は、「時の勇者が使用していた」とされており、これを手にしたリンクとハイラル王家の子孫であるゼルダ(テトラ)の協力のもと、ガノンドロフは倒され石化する。この時のガノンドロフの最後の言葉は「フフフ、風が吹いておる」で、この風とは、「新しさ」「平和」の風と思われ、ガノンドロフの「ハイラル征服への諦め」を思わせるものがあり、『トワイライトプリンセス』のガノンドロフの言葉とは対照的であった。その直後、すでに海の底に潜めていたかつての王国ハイラルは、ハイラル王自らの願いでトライフォースの力により、ガノン、ハイラル王、マスターソードとトライフォースを巻き込み、完全に海の底へと沈み、滅亡。そしてハイラル王の言葉を受け、新天地を目指すリンクとゼルダの新たな冒険が始まるところで『風のタクト』は終わる。
この新天地を求める航海の途中に起こった冒険譚が『夢幻の砂時計』である。今作のリンクは、ガノンドロフに「時の勇者の生まれ変わり」と呼ばれていた。
大地の汽笛(DS)
『風のタクト』及び『夢幻の砂時計』のリンクやゼルダたちは、無事に新天地に辿り着いた。そこはかつて光の神が魔王マラドーを封印したとされる「神の塔」とその封印を繋ぐ「神の線路」がある大地で、天から遣わされ封印を守護してきたロコモ族の理解を得て「新生ハイラル王国」を建国。王国は繁栄し、「神の線路」を利用した汽車によって陸上交通技術がかつてないほど発展する。
この時代の物語が『大地の汽笛』であり、前作から約100年の年月が経過している。各地で線路が消えていく異変を憂いたテトラの玄孫(5代目)にあたるゼルダ姫は新米の機関士リンクと共に原因を調べようとするが、マドラーの手下である大臣キマロキによって身体を奪われ、魂だけの存在となってしまった。ロコモ族のシャリンによってキマロキが魔王復活を企んでいることを知ったゼルダ姫は、自分の体が魔王の器にされるのを阻止するため、霊体であることを生かしてリンクと共に冒険を繰り広げる。
この時代の「ハイラル王国」は「時のオカリナ」や「神々のトライフォース」におけるハイラル王国とは別の存在である。

外伝と本編

ゼルダシリーズには、外伝と本編が登場する。外伝では意欲作、挑戦作がありシステムが斬新である場合が多い。しかし、その外伝的システムが後に、本編のシステムに影響を与えることは少なくない(例:チンクルなど)。外伝といわれているが、システムなどが大幅に変更されるような「スピンオフ」作品ではなく、舞台、世界観などが違うだけで、基本のゲームシステムは本編と同じ、ジャンルは全てアクションアドベンチャーであり、主人公もリンクである。2010年現在その例外は、スピンオフ作品を除くと『リンクの冒険』のみである。

また、俗に「本編」といわれる作品は、舞台が「ハイラル」であり、ゼルダの「歴史」に重要な1ページを加えられる作品となっている。次世代型据え置き機で初めて出るゼルダシリーズの新作は、この「(王道的)本編」であることが多い。なお、下記の本編間のリンク、ゼルダはすべて別人である。反対に、それらの続編として出るものや、主に携帯機で出る新作は外伝となることが多く、舞台がハイラル以外、トライフォースやマスターソードなどについて語られない、ゼルダ姫やガノン(ドロフ)が登場しなかったりする。

  • 主に本編といわれている作品
    • 『ゼルダの伝説』
    • 『リンクの冒険』
    • 『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』
    • 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』
    • 『ゼルダの伝説 風のタクト』
    • 『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』
    • 『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』
    • 『ゼルダの伝説 神々のトライフォース2』

シリーズ作品

テンプレート:Main

実写映画化の予定

本シリーズは、映画大国アメリカで絶大な人気を誇ることは上記の通りであるが、2007年頃から、アメリカでの実写の映画化の話が挙がっては消えの繰り返しをしている。近年では、ゲームの映画化(及び実写化)は珍しいことではない[18]が、任天堂作品の映画化が行われた作品は2010年現在では『スーパーマリオブラザーズ』と『どうぶつの森』のみである。2008年4月1日エイプリルフールには、IGNによる非常に手の込んだ「実写映画化の予告編ネタ」が出た。

ゼルダコレクション

テンプレート:Main 2004年3月18日からクラブニンテンドー会員特典のプレゼントとして交換開始されたGC用ソフト。

『ゼルダの伝説』、『リンクの冒険』、『時のオカリナ』、『ムジュラの仮面』、『風のタクト20分体験版』、『ゼルダの伝説名場面集(US版)』、『風のタクトスペシャルムービー(US版)』が収録されている。必要ポイント数は500ポイントだったが、『4つの剣+』の購入者は150ポイントで交換できた。

説明書は、5作品とも基本操作に関する記述が主で、ストーリーに関する説明などは省略されている。『ゼルダの伝説』と『リンクの冒険』に関しては、特に基本的な操作説明のみで、ゲーム中に登場するアイテムや魔法についての説明はないため、注意が必要である。

なお、『ムジュラの仮面』は本来N64向けに開発した物をGC向けに移植した影響から、両ハードの特性の違いによる音声の途切れが発生する。

脚注

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  1. 電撃文庫『■ゲームの巨人語録■岡本吉起と12人のゲームクリエイター』より
  2. 木でできた看板を斬ることができるのはシリーズでお馴染みとなっているが、『トワイライトプリンセス』ではその地面に落ちた看板の切れ端を持つことができ、その切れ端を水の上に投げ入れると水面に浮くほどになった(スタッフも「度が過ぎた」と自粛していた)。
  3. 『時のオカリナ』は発売予定から2年以上延長し、『トワイライトプリンセス』は前作のゲームエンジンを改良しただけであるにもかかわらず、1年以上発売を延期している。
  4. テンプレート:Cite web
  5. テンプレート:Cite web
  6. テンプレート:Cite web
  7. テンプレート:Cite web
  8. RPGなどによくある「レベルと上昇と同時にHP増加」とは少々趣向が違うが作中に登場する「ハートのかけら」なるアイテムにより体力を増やすシステムがある。
  9. 人は痛い思いが身に染みなくては、本質に近づけない――青沼英二氏講演リポート
  10. 『時のオカリナ』のナビィを筆頭に『ムジュラの仮面』のチャット、『風のタクト』の赤獅子の王、『ふしぎのぼうし』のエゼロ、『夢幻の砂時計』のシエラとラインバック、『大地の汽笛』のゼルダ、『トワイライトプリンセス』のミドナ、『スカイウォードソード』のファイが該当する。
  11. 物語の冒頭で、イリアが「エポナは女の子」と発言しており、喋り方も女性口調。
  12. 『時のオカリナ』では、力の女神ディン、知恵の女神ネール、勇気の女神フロルの3人の女神の存在が明かされている。
  13. http://www.nintendo.co.jp/wii/interview/souj/vol6/index.html
  14. 14.0 14.1 14.2 ニンドリドットコム〜青沼英二さんロングインタビュー〜『平和が戻ったハイラルから百数年後の世界』
  15. ハイラルヒストリア ゼルダの伝説大全92ページより
  16. http://www.nintendo.co.jp/3ds/bzlj/prologue/
  17. ニンテンドードリーム 2014年2月号
  18. 『バイオハザード』、『DOOM』、いずれもアメリカで人気のある作品。

関連項目

外部リンク

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