スバル・レックス

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レックス (REX) は、スバルブランドを展開する富士重工業が生産、および販売していたスバル・360R-2に続く軽自動車である。

概要

レックスは、1972年R-2のモデルチェンジ版として登場してから20年以上もの長い期間にわたり販売された。これまでのスバル・360やR-2に比べると、良く言えば落ち着きがある、悪く言えば凡庸なデザインのクルマであった。初代こそ若干のアクがありスバルらしさを残していたものの、2代目、3代目はスズキ・アルトダイハツ・ミラといった他社の強力なライバルと対抗するためか、比較的おとなしめの外観である。

スズキダイハツには及ばなかったが、オーソドックスな商品構成で、オイルショック・排ガス規制・2度の規格改正等の波を受けながらも、時代に応じた技術でエンジン形式や駆動方法など様々な改良を受けて代を重ね、一定のシェアを確保し続けてスバルの経営に貢献した。

2012年現在、富士重工が製造した軽乗用車のうち、同一商標のままフルモデルチェンジを受けたモデルはレックスのみである(R-2とR2は途中に別商標を挟んでいるため、プレオステラは2代目がダイハツからのOEM供給に変更されたため)。

歴史

初代(1972年-1981年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

  • 1972年7月に発売。1971年に追加された水冷エンジン搭載のR-2をベースとし、駆動方式はRRを踏襲、当初は2ドアセダンのみの展開(このためR-2は空冷セダンとバンを残し併売された)。エンジンもR-2譲りの2サイクルだが、キャブレターの仕様により3種が設定されていた。車体デザインは前年発売のレオーネに似た、ウェッジシェイプを強調したもので、主に当時の若者層に対してアピールしていた。後発となったバン・ワゴンを含む2ドアモデルでは、さらにアウタードアハンドルがヒドゥンタイプとなっている。しかし、軽自動車規格内でスポーティーなスタイリングに傾倒した結果、寸法不足でバンに後席が設定できなくなるなど、問題も抱えることとなった。

グレード展開は、シングルキャブ32馬力仕様(上位からカスタムL、スーパーL、ラグシュリー、デラックス、スタンダード)、シングルキャブ35馬力仕様のTS(ツーリング・スポーツの略)、ツインキャブ37馬力仕様がGSRとなっていた。カスタムLとスーパーLには、2サイクルエンジン特有のアイドリング時のパラパラ音を抑えるスバルISVが装備されている[1]

  • 1973年3月 - 4ドアセダンを追加。ディビジョンバーのないリヤドアウインドウが特徴[2]。グレード展開はカスタムL、スーパーL、ラグジュアリーの3種。同時に、シングルキャブ32馬力仕様全車にスバルISVを拡大設定。
  • 1973年10月 - マイナーチェンジ。公害対策のため、エンジンをEK34型2ストロークエンジンからEK21型4ストロークエンジンに変更。このときスポーティーグレードはカタログ落ち。最上級グレードであるカスタムLにフロントディスクブレーキと4輪ディスクホイールを採用。
  • 1974年2月 - カスタムLに5速MTとタコメーターを装着したカスタム5と、2人乗りバンを追加。
  • 1974年9月 - ワゴンを追加。ベースモデルはバンスーパーL。バン発売時から4人乗り仕様の要望が高かったが、後席のヘッドクリアランスを稼ぐため背もたれを寝かせた結果、荷室長が減少、乗用登録のワゴンとなった。同時にナンバープレートの大型化に対応(バン360の画像参照)。軽自動車初のブレーキモニターをセダンカスタムL・カスタム5・スーパーL・ワゴン・バンスーパーLに採用。
  • 1975年3月 - バン4人乗りを追加。当初のスタイリングコンセプトを捨ててハイルーフを採用、後席のヘッドクリアランスを確保した上で後席の背もたれを立たせ、要件上必要な荷室長を捻出している。ボンネットタイプのモデル(乗用・商用ともに)でハイルーフをカタログ上で謳ったのはレックスが国産初[3]。4人乗りの発売に伴い、バン2人乗り、ワゴンを廃止。
  • 1975年12月 - 既存の360cc4サイクルエンジンで51年排出ガス規制適合(SEEC-T)。同時にラインナップを一新、ディスクブレーキ付の廉価版を設定。
  • 1976年5月 - 軽自動車の規格改定に伴い、500ccに排気量をアップ(EK22型エンジンに変更)するとともにボディを拡幅。
  • 1977年5月 - 53年排出ガス規制に適合、同時にフルスケールの550cc(EK23型エンジン)になった。
  • 1978年3月 - 2ドアセダンにリヤガラスハッチを装備した「スイングバック」を追加[4]
  • 1979年10月 - スズキ・アルトの対抗車種として、バンの装備を省いて48万円に値下げした「ファミリーレックス」を追加。
  • 1980年3月 - 電磁粉体クラッチを用いたクラッチペダルレスの「オートクラッチ」を追加。

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2代目(1981年-1986年)

テンプレート:Infobox 自動車のスペック表

  • 1981年10月 - 発売。初代との最大の違いは、スバル360時代から続いていた駆動方式・RR方式(リアエンジンリアドライブ)をFF方式(フロントエンジンフロントドライブ)へと変更したこと。これにより、室内空間の問題が改善される。ホイールベースが長くなり、当時の軽規格では最長クラスであった。スズキ・アルトが先鞭を付け、当時流行していた4ナンバー・ボンネットバン型(2BOX)はレックス・コンビというネーミングで設定された。この代より、これまでの吊り下げ式クーラーオプション)から、ヒーター一体型のビルトインエアコンが採用(オプション設定)。
  • 1982年 - フジサンケイグループ通信販売部門「ディノス」と提携して、業界初の通販モデル「ディノス・レックス」が登場。
  • 1983年10月 - 3ドアセダンモデルとコンビに4WDが追加された。FFと4WDの切り替え式で、走行中でも低速であれば、シフトノブ内の赤いスイッチで切り替えが可能。
  • 1983年12月 - コンビのFF仕様にターボモデルを追加。なお、軽クラス初のフロントベンチレーテッドディスクブレーキを採用。
  • 1984年9月 - マイナーチェンジ。ヘッドランプを丸形2灯から角形2灯へ変更。同時に4WDターボも設定。
  • 1985年9月 - 助手席回転シートを装備したカラフルな女性向仕様レックス・uとレックスコンビ・i、標準エンジンの5速MT仕様車をそれぞれ追加。

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3代目(1986年-1992年)

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  • 1986年11月 - 3代目発売(初期型)。
エンジンは先代と同様のEK23型だが細部に改良が加えられ、さらに3バルブ仕様(1気筒あたり吸気バルブ2、排気バルブ1)も開発されてスポーティグレード(「R」「SR」など)に新たに搭載された。4ナンバーバンの「コンビ」には女性向けグレード「Viki(ヴィキ)」が設定された。パッケージングは大幅に見直され、特に居住空間は従来型以上に拡大されている。また自動変速機構は、従来のオートクラッチから他社同様にトルコンを利用したフルオートマチック(2速)となった。
  • 1987年1月 - 5ドアセダンにフルタイム4WDモデルを、コンビに5ドアの「Viki」を追加。フルタイム4WDは「ツインビスコ4WD」(Twin Visco)と称されたもので、リアのデファレンシャルギア部にビスカスカップリングを2個並列にして一体化したもの[5]を採用、前後輪の駆動力配分と後左右輪のLSDの機能を同時に兼ね備えたものだった。
  • 1987年6月 - ECVT搭載モデルを追加。ホワイトで統一した限定車「Vikey(ヴィッキー)」をセダン・コンビ共に発売。このグレードはこののち度々発売された(1989年6月まで)。セダンの「Vikey」は5ドアのみだが消費税導入後は3ドアセダンにも追加された。
  • 1988年3月 - スーパーチャージャー付きエンジンを搭載したグレード「V」「VX」を追加。3バルブ仕様エンジンの燃料供給を電子制御化した上、インタークーラー付きスーパーチャージャーを搭載して55馬力を発生させた。セダン・コンビ共に設定(5ドアは「V」グレードのみ)。既存グレードは30馬力仕様&2速AT仕様は廉価版のみとし、他は36馬力の3バルブ仕様に変更。コンビにもフルタイム4WDを追加。
  • 1988年5月 - 電動キャンバストップ装備の3ドアセダンを追加。スーパーチャージャーと標準仕様の2タイプ。
  • 1990年4月(後期型) - 軽規格変更に伴いエンジンを全車、660ccのEN07型エンジンへ変更(内訳はスーパーチャージャー仕様64馬力・NAキャブ仕様42馬力・NAEMPi仕様<MT48馬力・ECVT46馬力>)。前回のマイナーチェンジからそれほど時間が経っていなかったため、ヘッドランプとバンパーの形状変更による前端部分の延長など、少々の改変にとどまった。これによりフロントノーズの形状は初期型・中期型よりも大分丸みを帯びた形状となり、山田邦子が起用されたTVCMのCMソングも、この丸いフロントフェイスの特徴を前面に押し出したものとなった。4ナンバー車は「コンビ」の商標が廃止されて「レックス・バン」に回帰となった。スーパーチャージャー仕様の「VX」がフラッグシップモデルとして位置付けられた。
  • 1992年3月 - 生産終了。後継車はヴィヴィオ

車名の由来

  • 「REX」はラテン語で王様の意味。

脚注

  1. ISVとはアイドリング・サイレンス・バルブの略で、エキゾーストマニホールド内にスロットルバルブに連動したステンレス製のバタフライバルブを設け、アイドリングなどのスロットルオフ時に排気通路の大半を閉じ、破裂音を低減させるもの。後に他のグレードやサンバーにも拡大採用されたが、程なくして4サイクルエンジンに置き換えられたため、この機構も共に消滅している。
  2. 同社のレオーネ4ドア以外にも、日産チェリーサニーブルーバードUなどに見られ、高いウエストラインと小さな窓は当時流行のスタイルであった。
  3. 通常、乗用車ベースのバンの設計では、必要な室内高に合わせたドア開口寸法や雨とい高さを採るため、あえてハイルーフとする必然性は低い
  4. エンジンの上に荷室を設けたため、エンジン補機類はバンのものを流用していた
  5. ミッション出力軸端からリアデフまでのプロペラシャフト上には、他の車種のようないわゆるセンターデフ構造が一切無いという極めて特異なものであった。
  6. 前期型フェイスにEN05を搭載したこの時期のものは、中期型とも呼ばれる。非常に僅かな期間しか製造されていない為、現存車両は余り多くない。一部インタークーラー仕様車の愛好家の中には、マイナーチェンジ後のボディーのフロント部分に、前期型の同部分を移植した者が存在した。テンプレート:要出典

関連項目

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外部リンク

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