ストークスの定理

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ストークスの定理(ストークスのていり、Stokes' theorem)は、ベクトル解析定理のひとつ。イギリスの物理学者ジョージ・ガブリエル・ストークスが導出した。ベクトル解析におけるグリーン・ガウス・ストークスの定理を、より一般的な向きづけられた多様体上に拡張したものも、同様にストークスの定理と呼ばれる。微分積分学の基本定理の、多様体への拡張であるともいえる。

ストークスの定理

ベクトル解析におけるストークスの定理は、ベクトル場の回転を曲面上で面積分したものが、元のベクトル場を曲面の境界で線積分したものに一致することを述べたものであり、以下のように記述される。(詳細は、ケルビン・ストークスの定理を参照のこと)

テンプレート:Indent\cdot d\boldsymbol{\mathit{S}}= \iint_S\boldsymbol{\mathit{\mbox{rot}A}}\cdot d\boldsymbol{\mathit{S}} =\int_C \boldsymbol{\mathit{A}}\!\cdot\!d\boldsymbol{\mathit{l}}</math>}}

ここで S は積分範囲の面、C はその境界の曲線である。ストークスの定理を用いることで、電磁気学ではマクスウェルの方程式からアンペールの法則などを導くことができる。

微分形式による一般化

境界付き多様体上の微分形式に対するストークスの定理は次のように定式化される。 テンプレート:Indent

ここに、M は向きの付いたn次元多様体であり、ωは M 上の(少なくともC 1級の)n-1次微分形式でコンパクトな台を持つものとする。∂MM の境界を、dω は ω の外微分を表している。∂M には M の構造から誘導される n-1 次元向きつき多様体の構造が入る。

この定理は「ある量(微分形式)の微分を特定の領域で積分した値は、境界で元の量を評価(積分)することによっても得られる」と解釈でき、微積分学の基本定理の自然な拡張になっている。実際、Mが区間(1次元多様体)[a,b]で f(x) が M 上の微分可能な関数のとき、ω として 0次微分形式f(x)を考えれば ∂M = {a , b} 上でのω の積分はf(b) - f(a)となり、一方 M上での dω = f ′ (x) dxの積分は<math>\int_a^b f'(x) dx</math>となって普通の意味での微積分学の基本定理が得られる。

関連項目

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