スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望

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テンプレート:Redirect テンプレート:Infobox Filmスター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(スター・ウォーズ エピソードフォー あらたなるきぼう、Star Wars Episode IV: A New Hope)は、1977年に公開されたアメリカSF映画スター・ウォーズ・シリーズ第1作。日本公開題名は『スター・ウォーズ』。

1977年公開当時1978年公開の映画『未知との遭遇』などとともに、世界的なSFブームを巻き起こし、それまでマニアックな映画としてしか認識されていなかったSF作品を、誰でも楽しめるエンターテイメントへと評価を完全に変えた。

1997年には最新CG技術などを使ってシーンの差し替えなどが施された『スター・ウォーズ 特別篇』が公開された。2012年現在発売されているDVDは、さらに変更が加えられている。

アメリカ国内のみでの総合興行収入(インフレーション調整版)は歴代2位(最高興行収入映画の一覧参照)。1989年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。


ストーリー

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…[1]

ジェダイ騎士が滅亡して久しい時代、かつて平和だった銀河系銀河帝国による圧政下にあった。そんな中、反乱同盟軍のスパイが帝国の誇る最終兵器であり宇宙要塞であるデス・スターの極秘設計図を盗み出す事に成功した。銀河帝国皇帝パルパティーンが最も信頼を置くダース・ベイダーは設計図奪還と同盟軍本拠地の早期発見を命じられる。

帝国軍の戦艦に襲われた同盟軍の宇宙船の中には、同盟軍の指導者の一人レイア・オーガナ姫がいた。レイアは養父の友人のオビ=ワン・ケノービに助けを求めるべく、ドロイドR2-D2に救援メッセージとデス・スターの設計図を託し、R2-D2は相棒のC-3POと共に船から脱出する事に成功する。

R2と3POは砂漠の惑星タトゥイーンに漂着する。原住生物ジャワに捕獲されてバザーに出された2体は、オーウェンベルーのラーズ夫妻と甥の農場手伝いの青年ルーク・スカイウォーカーに購入された。ルークによって整備されたR2はふとした拍子にレイアのメッセージを再生してしまう[2]。R2は夜中にラーズ家を抜け出し単身でオビ=ワンにそのメッセージを届けようとするが、後を追ったルークらと共に野盗タスケン・レイダーの襲撃に遭い、近所に住む老人ベン・ケノービに助けられる。

ベンこそが、名を変えて隠遁していたジェダイの騎士オビ=ワン・ケノービであった。ベンはルークらを自宅へ招くと、ルークに彼の父アナキンライトセーバーを渡し、自身とアナキン、そしてジェダイを裏切ったベイダーの過去を話す。そしてレイアのメッセージを受けて、彼女の故郷の惑星オルデランへの旅へルークを誘うが、ルークは叔父が許してくれないと断り、ベンをアンカーヘッドの街まで送ろうとする。その途中、ルークらはドロイドを売ったジャワ達が帝国軍に襲撃された現場を見てラーズ家の危機を察知し、農場へ駆け戻るが、既にオーウェンとベルーは帝国軍に殺害され、農場は焼き払われていた。もはやタトゥイーンに留まる理由を無くしたルークは、父のようにジェダイの騎士になる事を誓って、ベンとオルデランへ行く事を決意する。

一行はモス・アイズリー宇宙港で密輸商人のハン・ソロチューバッカを雇い、彼らの宇宙船ミレニアム・ファルコンで帝国軍の追跡を振り切ってオルデランへ向かう。一方レイアはグランド・モフ・ウィルハフ・ターキンに故郷のオルデランを破壊すると脅されて、やむなく既に放棄された反乱軍の基地の所在を教えるが、ターキンは見せしめとしてオルデランをデススターの究極兵器・スーパーレーザーによって破壊してしまう。その瞬間、ファルコン号内でルークにフォースを教えていたベンはフォースに異常な乱れが起きた事を感じた。ファルコン号がオルデランに到着すると既にオルデランは星屑と化しており、トラクター・ビームによってファルコン号はデス・スターに拿捕されてしまう。

ルークたちはファルコン号の二重床を使ってストーム・トルーパーの装甲服を奪って変装し、管制室へ逃れる。R2にデス・スターのコンピュ-ターから情報を引き出させ、トラクター・ビームは複数の電源のうち1つを切るだけで停止することを知ると、ベンは一人で電源を切りに向かった。その後、R2の解析によりレイアがここに監禁されている事が分かり、ルークはソロとチューバッカを説得し救出に向かう。帝国軍の猛追を受けながらも三人はレイアの救出に成功、ファルコン号へと急ぐ。トラクタービームの電源を切り終えてきたベンは、ファルコン号の目前でベイダーと再会、剣を交える。ファルコン号へ乗り込もうとするルーク達を見たベンは突然戦いを放棄。ベイダーのライトセイバーがベンのローブを切り払うが、そこにベンの死体はなかった。

TIEファイターの追撃を振り切り、ファルコン号はレイア姫の案内で反乱同盟軍の基地のあるヤヴィン第4衛星へたどり着く。デス・スターの設計図からは「反応炉の排熱口が地表に直結している」という構造上の弱点が判明し、その排熱口よりプロトン魚雷を撃ち込んで反応炉を破壊する作戦が立案される。その頃、ファルコン号に追跡装置を仕掛けておいた帝国軍はヤヴィン4基地の存在を突き止め、デス・スターをもってヤヴィン4を破壊せんとする。ルークはスクランブルする反乱軍の戦闘機隊に加わりパイロットとして戦場へ向かうが、礼金を受け取ったソロとチューバッカは早々に基地を立ち去ってしまった。

彼我の戦力差は圧倒的であり、更に名パイロットであるベイダー自身が戦闘機で出撃したことも相まって、同盟軍のアプローチは次々に潰えていく。最早一刻の猶予もない状況で最後の攻撃隊を指揮することになるルークであったが、その時彼の耳に聞こえてきたのは「フォースを信じろ」というベンの声だった。間一髪のところで引き返してきたファルコン号の援護によってベイダー機は戦線離脱を余儀なくされ、ルークは機体の攻撃システムに頼らず、フォースの導きのままにプロトン魚雷を発射し、ターキン諸共デス・スターを宇宙の塵に変えた。帰還したルーク、ソロ、チューバッカは同盟軍の英雄として表彰されるのだった。

登場人物・キャスト

日本語吹き替え

役名 日本語版1 日本語版2 日本語版3 日本語版4 日本語版5 日本語版6
ルーク・スカイウォーカー 神谷明 奥田瑛二 渡辺徹 水島裕 島田敏 石田彰
ハン・ソロ 羽佐間道夫 森本レオ 松崎しげる 村井国夫 磯部勉 堀内賢雄
レイア・オーガナ 潘恵子 森田理恵 大場久美子 島本須美 高島雅羅 石塚理恵
ダース・ベイダー 辻村真人 南原宏治 鈴木瑞穂 坂口芳貞 大平透 坂口芳貞
オビ=ワン・“ベン”・ケノービ 納谷悟朗 河原崎國太郎 久米明 滝田裕介 納谷悟朗 滝田裕介
グランドモフ・ウィルハフ・ターキン総督 山田康雄 北村弘一 川辺久造 大木民夫
C-3PO 三橋洋一 高山栄 野沢那智 岩崎ひろし
R2-D2 (なし/サウンドエフェクト)
オーウェン・ラーズ 塩見竜介 小瀬格 宮川洋一 村松康雄 山野史人
ベルー・ホワイトサン・ラーズ 藤夏子 本山可久子 中西妙子 斉藤昌 立石凉子
グリード (登場せず) 千葉繁 (原音) 田原アルノ[3]
コナン・アントニオ・モッティ提督 青野武 池田勝
ジャン・ドドンナ将軍 大木民夫 北村弘一
ガーヴェン・ドレイス 玄田哲章 大山高男
ビッグス・ダークライター(隊員1) 屋良有作 池田勝 小島敏彦
ウェッジ・アンティリーズ(隊員2) 千葉繁 安原義人 塩沢兼人 津田英三
隊員3 小滝進
隊員4 宮村義人
デイン・ジャー 城山知馨夫
ポル・トレイダム中尉 沢木郁也
ストーム・トルーパー 島香裕
ドクターエヴァザン 広瀬正志 長嶝高士
ジャック・ポーキンス
基地インターコム 宮村義人
コマンダー1 千田光男
コマンダー2 鈴木慎
兵士1 宮村義人
通信音声 渡部猛
ナレーター 広川太一郎 (なし) 金内吉男 城達也 岡部政明[4] 若山弦蔵
  • 日本語版1:「THE STORY OF THE STAR WARS」(映画本編のダイジェスト版ともいうべきレコードの日本語版)
原作 ジョージ・ルーカス、 音楽 ジョン・ウィリアムズ、 脚本 鏡明/宮崎真由美、 制作 高和元彦、 演出 上野修
  • 日本語版2:松竹富士リバイバル劇場公開日本語吹き替え版(DVDリミテッドエディション収録)
監修 ジョージ・ルーカス、 演出 原田眞人、 台本 宇津木道子、 調整 兼子芳博、 スタジオ 新坂スタジオ、 担当 ザック・プロモーション
その他の出演:寺島幹夫神谷和夫安田隆、湯川元敬、佐藤政通、稲葉実田村勝彦飯塚昭三広瀬正志藤城裕士、立沢雅人、千田光男、及川智靖
演出:田島荘三、 翻訳:大野隆一、監修:野田昌宏、調整:近藤勝之/川崎宗利、録音助手:関範明、音響効果:南部満治/大橋勝次/河合直、スタジオ:コスモスタジオ/NTV映像センター、制作進行:小嶋尚志/本多敬、制作協力:コスモプロモーション、担当:梶原隆/横山宗喜(日本テレビ)、制作:日本テレビ
その他の出演:千田光男、西村知道、玄田哲章、島香裕藤本譲、他
演出 蕨南勝之、 翻訳大野隆一
  • 日本語版5:ビデオ・DVD・Blu-ray
その他の出演:岡部政明小室正幸古田信幸星野充昭
演出 伊達康将、 翻訳 岡田荘平、 調整 飯村康雄、
  • 日本語版6:日本テレビ「金曜ロードショー」
演出 佐藤敏夫、 翻訳 岡田壮平、 調整 長井利親、 効果 リレーション、 編集・録音 ムービーテレビジョン
その他の出演:池田勝、内田直哉平野稔佐々木敏楠見尚己天田益男小形満廣田行生、大川透、加藤亮夫加瀬康之、田島康成、猪野学小森創介小野塚貴志

スタッフ

製作

製作背景

この作品が製作された1970年代中盤のアメリカ映画は、ベトナム戦争終結等の社会風潮を受け、内省的なアメリカン・ニューシネマが多くを占めていた。ベトナム戦争以前の「古きよきアメリカ」を描いた『アメリカン・グラフィティ』で一定の成功をおさめた[5]ジョージ・ルーカスは、かつてのアメリカ娯楽映画の復権を意図し、古典コミック『フラッシュ・ゴードン』の映画化を企画する。しかし様々な問題が絡みこの企画の実現が不可能となり、その設定を取り入れて自ら『スター・ウォーズ』の脚本を執筆した。そのため、一般的にはSF映画というジャンルに分類されている本作であるが、内容は正に娯楽映画の見本市であり、戦争映画をはじめ、西部劇、海賊映画、ラブロマンス、ヒューマン、ミュージカル、果ては日本の時代劇の要素まで盛り込まれている。

製作にゴーサインが出たとはいえ極端に予算が少なく、様々な作業をこなさなければならなかったルーカス本人が忙しさの余り入院したほどであった。このため、撮影終了後ルーカスはアラバマ州で『未知との遭遇』を撮影していた友人のスティーブン・スピルバーグを訪ね、「もう大作はこりごりだ」と言っていたという[6]

製作時、ほとんどの関係者は「毛むくじゃらの猿が二足歩行しているし、ヒロインは変な団子を付けているし、変な映画だな」と思ったという。中には「ゴミ映画だ」とぼやいたカメラマンもいたほどだった。内輪の試写会と同時にその感想は減っていたが、関係者の中では試写中に居眠りをする者もいた。

アメリカの各映画館は当時、このような子供やマニア向けとしか考えられないSF映画を上映することを渋り、配給会社である20世紀フォックスも他の映画作品との抱き合わせる形で売り込みを行わざるを得なかった。そのため完全に自信を失ったルーカスは映画が大失敗すると思い込み、公開当日には債権者が押しかけてくるのを恐れてハワイ旅行に出かけ、電話もテレビもない別荘にこもっていたという。

影響

ジョージ・ルーカスは特撮映画の巨匠レイ・ハリーハウゼンに大きな影響を受けており、「僕達のほとんどが子供の頃から彼(ハリーハウゼン)の影響を受けてきた。その存在なくして『スター・ウォーズ』は生まれなかった。」と語っている[7]。製作にあたっては黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』を元にしたとも言われる[8]。特に物語のキーパーソンとなるC-3POR2-D2という2体のドロイドのモデルは『隠し砦の三悪人』に登場した戦国時代の2人の百姓、太平(千秋実)と又七(藤原釜足)であるとルーカス自身が認めており、同じく姫から褒美をもらうというラストシーンも双方の作品に見受けられる。

序盤のモス・アイズリー宇宙港の酒場で、オビ=ワンが自身とルークに因縁をつけてきたゴロツキの宇宙人2人の腕を切り落とすシーンは『用心棒』によく似たシーンが存在し、中盤にデススター内でハン・ソロの船の床に隠れるというシーンは『椿三十郎』の若侍を三十郎が隠すシーンを彷彿させる。また、オビ=ワン・ケノービ役(もしくはダース・ベイダー役)で三船敏郎に出演依頼があったという逸話もある[9]

特撮

脚本にゴーサインがなかなか出ないためルーカスは友人のバーウッドとロビンスから紹介されたイラストレーターのラルフ・マックォーリー(以後エピソード6までデザインを担当)にキャラクターや宇宙船のイメージ画制作を依頼し、それらも用いたプレゼンテーションを経てようやくフォックスから制作のゴーサインを得た。

映像化にはコマ撮りアニメやマット画といった古典的手法から大量の模型制作、光学合成、ミニチュアの爆破に至るまで幅広い技術が必要だったが、当時視覚効果スタジオは閉鎖が続き本作で想定されたような映像を作り出すには数々のノウハウを一から生み出す必要があった。ルーカスとプロデューサーのカーツは「インダストリアル・ライト・アンド・マジック」という社名で撮影スタジオや工房に使うための倉庫をヴァン・ナイスに借り、自主映画で特撮の研究をしていた学生やキャメラマン、デザイナー、特殊メイクのアーティストを多数雇い入れた。ヴェテランの特撮スタッフも参加しており、"P.S."名義でマット・ペインティングを手がけたハリソン・エレンショウ(ディズニーの特撮映画でペインターを務めたピーター・エレンショウの息子)はディズニーに所属していたが本作をディズニー作品と兼任で担当する事を依頼され、本来断るところ作品の面白さに惚れ込み承諾したという。

2001年宇宙の旅』以後宇宙を舞台にした『サイレント・ランニング』を監督しTVシリーズ『スターロスト 宇宙船アーク』のプロデューサーも務めていたダグラス・トランブルに視覚効果の統括が依頼されたが、トランブルは「もう宇宙はたくさん」と言って断った。しかし『サイレント・ランニング』に参加した後もトランブルのスタジオに出入りしていたジョン・ダイクストラがこの話を知る。模型の移動装置とカメラの光学系操作をコンピュータで連動させる事に成功しており、劇場映画に用立てる事を望んでいたダイクストラはルーカスとカーツに売り込み正式に依頼された。[10]

夥しい数の要素を合わせプリントを重ねる光学合成プロセスが必須であり、画質の劣化を最小限に止める為には大面積のフィルムで撮影する事が望ましかったが、トランブルのスタジオで使われていた65mmフィルムのシステムはフィルムからカメラ機材に至るまで高価で予算に収まらず、1961年の映画『片目のジャック』[11]以降使われず枯れた技術となったビスタビジョン方式を採用。中古のビスタビジョン・カメラやプリンターも非常に安く調達可能で、35mmの汎用フィルムを使用しながら高画質が得られる利点は大きかった。

こうしてスタートした通称「トリック・ユニット」は本作でSFXの流行を呼び、映像化可能になった、あるいは大ヒットの可能性を見せた事で着手されるあての無かったSF映画の企画の多くが一気に映画化に動き出す。一度解散した後次作『帝国の逆襲』で再結成されたSFX工房ILMはアカデミー賞視覚効果部門で何年も連続受賞するなど大活躍を見せる。視覚効果デザイン部門のジョー・ジョンストンはやがてSFXを多用した映画の監督にも転進し、ダイクストラ、リチャード・エドランド、フィル・ティペット、ピーター・クランなども独立してそれぞれのスタジオを構えることになる。

リドリー・スコットジェームズ・キャメロンローランド・エメリッヒピーター・ジャクソンなど高い技術を持ち自作に自由や融通の効く特撮工房を設立する映画監督の例はデジタル時代になると数々現れる。彼らは皆に人生を変える程の影響を『スター・ウォーズ』から受けたと語っている。[12]

本作品の製作をきっかけにダイクストラにより開発されたDykstraflex[13]はその後の特撮映画に大きな影響を与える[14]

劇中の撮影用のミニチュア(プロップ)の表面のディテールはプラモデルの部品を張り付けているが、これは一々彫刻するのが面倒だからである[15]。これは当時のアメリカSF映画では広く普及していた手法である[16]

コンピュータ・アニメーションとの関わり

本シリーズはその当初から当時としては珍しくCGIと関わりがあった。

物語後半、レイア姫からR2-D2に託されたデス・スター設計図が分析された後、反攻作戦の説明シーンで投影される映像があるが、これは手描きの動画ではなく1977年当時のコンピュータ・グラフィックスである。モニター画面をコマ撮りカメラで撮影し、フィルム投射がなされた。ジョージ・ルーカスのUSCの後輩ダン・オバノンが監修したもので、ソフトウェア開発はトーマス・デファンティ、プログラミングはラリー・キューバによる。

CG研究の第一人者とされるジョン・ホイットニーJr.とキューバの2人は、完成上映後にXウィングの飛行映像をCGで製作し、ルーカスにプレゼンテーションを行った。『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』には不採用だったものの、ルーカスもCGに将来性を見出し、ほどなくILMにCG研究部門が新設された。『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』でやはり3DCGによる作戦図を製作したトム・ダフ、ウィリアム・リーヴスを含むこのチームは、ピクサーの母体となる[17]

ルーカスが「未完成」と語り技術の限界から映像化を断念せざるを得なかったシーンは、20年後公開の『特別篇』でデジタル・アニメーションを駆使して作り直された。後のエピソード1-3は背景もキャラクターも多くがCGで作られた。

カットされたシーン

小説版にも存在する、ルーク・スカイウォーカーが冒頭の宇宙戦を地上から観察する場面があるが、この場面は元々「映画が始まってから20分もの間主人公が不在なのはおかしい」という当時の考えからとりあえず撮影だけはされたものの、編集段階でカットされている。なお、この場面では本編では一切使用することのなかったチューリップハット調の帽子を被ったルークを見ることができる[18]2011年発売のBDに特典映像として収録される。

作品解説

当初のタイトルは『スター・ウォーズ』のみだった。「エピソード4/新たなる希望」というのは「大河ドラマの一部」という前提で製作された(3年に一度続編を作ると言われていたが実際には無理だった)ための便宜上の副題であったが、シリーズ化に成功、更に1990年代後期にエピソード1が製作以降、各作品を区別するため、特にその後のリバイバル公開時からこのサブタイトルがクレジットされるようになった。

全シリーズの中で、このエピソード4がスピンオフを含めて『スター・ウォーズ・サーガ』を語る上での中心となっていて、製作された時代背景、特撮上の不備などから実質上の第1作目である。

特撮シーンの評価も高かったが、第一次、第二次世界大戦の記録映像を研究して作り上げられた戦闘機の空中戦シーンとその編集、ベンジャミン・バートJr.が制作した既成の音源に頼らないユニークな効果音やキャラクターの声をもそれまでに無い新しさを印象付ける一助となり、アカデミー賞を得ている。

公開・反響

公開当初は全米でわずか50館のみでの公開であったものの結果として、良質な娯楽映画とポジティブなストーリーに飢えていた大衆は『スター・ウォーズ』に熱狂し、そのヒットは世界的な社会現象となった。公開初日からそれまでの興行収入も一挙に塗り変え、キワモノという扱いだったSF映画に対する評価を一挙に引き上げるまでになる。このことを伝えるためスピルバーグはルーカスがこもっているハワイの別荘へ行き、そこで『インディ・ジョーンズ』の構想が生まれたといわれる。なお、本作をもってルーカスは監督業からは一時期離れることになる。

日本公開時、本作の配給会社である20世紀FOX社の重役、アラン・ラッド・ジュニアは来日して日本の劇場を訪れたが、上映中と上映終了後、場内のあまりの静けさに深く落胆した。本国アメリカではスター・ウォーズに限らず、映画館で映画が面白ければ拍手と歓声、口笛などで賞賛し、つまらなければブーイングを浴びせることも珍しくなかったため、今まで味わったことのない沈黙の反応に言い知れぬ不安を覚えたという。が、直後に日本人は普通は映画館で騒がないし、静かにじっと鑑賞する事が彼らの賞賛の形だと聞き、ほっと胸をなでおろしたという。

日本におけるテレビ放映

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初放映

1983年10月5日午後8時より日本テレビ系の「水曜ロードショー」(2012年現「金曜ロードショー」)にて日本語吹替版が放送された。

この日の日本テレビは、朝から生番組にC-3POR2-D2を出演させて宣伝したり、夜7時からの1時間枠に「ウルトラ宇宙クイズ・秋のSF大決戦 スター・ウォーズまで後60分!!全国子供博士大集合」という特別番組を放映したほか、映画本編も通常夜9時からの「水曜ロードショー」の放映枠を1時間前倒しし、3時間の特別編成を敷いた。

本編が始まる直前にも、日本テレビ局舎内で行われたタモリ研ナオコやC-3PO・R2-D2、愛川欽也による解説、放送開始スイッチを押すまでの劇を数分行った。この時、本編を模した部屋でオーケストラを用いたテーマ演奏が行われた。この数分の劇は、C-3POとR2-D2が日本テレビにやってくる場面から始まり、途中行われていたオーケストラ(SWテーマ)の演奏に浸っていたC-3POが、タモリ扮する警備員と揉め事を起こしたり研ナオコをヨーダの娘と思ったりするというストーリーで、このシークエンスの後、スタジオに着いたC-3POが時間が既に8時を過ぎていることに驚いて放送開始スイッチを押すという更なるシークエンスを挟んで本編に移行するというものであったが、C-3POが「放送開始」とボタンを押すたびにCMが流れ、「押すボタンを間違えた。本当のボタンはどこだ」と局内を移動する演出であったために著しい不評を買い、「早く映画を始めろ!」「ふざけるな!」といった苦情電話が殺到したことにより、後日ディレクターがコメントするという一幕もあった。

主な吹替の声優はルーク:渡辺徹、レイア:大場久美子、ハン・ソロ:松崎しげる。本編終了後、愛川欽也と渡辺徹らの対談が入り、タモリに優しく手を振られながら去っていくC-3POとR2-D2の姿が映し出され、本編を模したクレジットとともに番組は終了する。

2度目の放映

2度目のテレビ放映も同じく日本テレビの「金曜ロードショー」枠(水曜から放送曜日移動)。新しい吹替バージョンとして、番組内で水野晴郎にも紹介された。(前回放送時の解説であった愛川欣也は、映画解説というよりも「レイア姫、いい女だ」など個人的な感想しか述べず、そういう意味でも改善された。)主な声優はルーク:水島裕、レイア:島本須美、ハン・ソロ:村井国夫という、その後のシリーズ作と同じ組合わせでなされた。その際ベイダー役は坂口芳貞となっていたが、その後のシリーズではベイダー役のみ初放映時の鈴木瑞穂が再び担当している。  ちなみに、次週予告のテロップが流れる際、わざわざ「新吹き替えで放送します」と入った。

受賞

受賞 人物
編集賞 リチャード・チョウ
ポール・ハーシュ
マーシア・ルーカス
美術賞 ジョナサン・バリー
ノーマン・レイノルド
レスリー・ディリー
ロジャー・クリスチャン
衣装デザイン賞 ジョン・モロ
作曲賞 ジョン・ウィリアムズ
録音賞 レイ・ウエスト
デレク・ボール
ドン・マクドゥーガル
ボブ・ミンカー
視覚効果賞 リチャード・エドランド
ジョン・スティアーズ
ジョン・ダイクストラ
ロバート・ブララック
グラント・マキューン
ノミネート
作品賞 ゲイリー・カーツ
監督賞 ジョージ・ルーカス
助演男優賞 アレック・ギネス
脚本賞 ジョージ・ルーカス

特別篇及びDVD版での修正・変更点

劣化・褪色していたネガフィルムを物理的に洗浄し3年かけて修復した。DVD版ではローリー・デジタルイメージ社によりフィルムのデジタル化が行われ、キズとホコリを徹底除去、画質の向上が図られた。その際、1977年公開時に作成された褪色の無いテクニカラープリントが参照された。

音楽と音響効果もCEDAR社のシステムを使用し、ノイズ低減処理が行われた。一部の効果音と台詞は、それまでリリースされた劇場プリント、ビデオ版で脱落していた要素もあり、バラつきをなくすべく編集もやり直され、5.1サラウンド化されている。本作と関連の深い20世紀フォックス映画のファンファーレはサラウンド化するために、1977年版ではなく『帰らざる河』用の4トラックマスターから収録された。

  • 実写で撮影されたオープニング・スクロールは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』のシステムを使い、CGで作り直された。そのため、書体や改行位置が異なっている。
  • ロボットやエイリアンなど多くのCGキャラクターが追加された。モス・アイズリーは俯瞰で映り、酒場のシーンはリック・ベイカーがマスク造形を行ったエイリアン達がCGキャラクターに置き換えられたシーンがある。ソロが射殺する賞金稼ぎのグリードも、1977年版では問答無用で撃たれていたが、ソロがグリードの射撃を避けて撃ち返すよう変更された。
  • サンドトルーパーの小隊をタトゥイーンに降ろしたシャトルが追加され、トカゲ型の生物デューバックが頭部しか動かない大型パペットを使用していた1977年版から、CGでトルーパーを乗せて歩き回るまでに作り直された。
  • 撮影されながら1977年版で不採用だったジャバ・ザ・ハットとハン・ソロのシーンが復活し、CGのジャバが製作された。DVD版では『ジェダイの帰還』に登場した姿に近いように作り直されている。劇場公開(レーザーディスク版)、DVD版の2ヴァージョンが作られている。また取り巻きの中にボバ・フェットが合成で加えられている。
  • 1977年版でカットされていた、ルークが反乱軍基地で旧友ビックスに再会する場面が復活している。なお、映画序盤で帰郷したビックスがルークに反乱軍入りを告白するシーンもカットされており、こちらはブルーレイ版に特典映像として収録された。
  • 戦闘機も各種CGで製作された。軌道がより大胆になり、模型撮影では困難だった乗員の動きも細かく付けられている。デス・スター攻撃部隊の脱出は、1977年版でも数回撮り直されていたが、さらに速度を上げて緊急離脱の状況を際立たせている。
  • レンズにワセリンを塗って車輪を隠したスピーダーを含め、不完全のままだった光学合成がデジタル合成でやり直された。
  • 惑星オルデランとデス・スターの爆発四散シーンでは、大規模な爆発で見られる衝撃波を模して、横ないし縦にドーナツ状に広がる光輪が追加された。
  • 全体の尺は、特別篇スタッフの追加クレジットも含め4分増加した。特別篇で作られたデス・スターの光輪やモス・アイズリーの俯瞰は『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』のフィナーレに、CGのジャバは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』にも登場するなど、デジタル時代に行われた改良は、スター・ウォーズの世界観をより濃いものにしている[19]
  • 一方で、デス・スター内でストームトルーパーを雄叫びを上げ追って行ったハン・ソロがCGで増やされた大軍団に出くわすなど、笑いを呼ぶアイディアが採用された例もある。
  • スター・ウォーズ舞台は地球とはまったく関係のない設定だが、デス・スターのトラクター・ビーム制御装置にアルファベットが表記してあった(「POWER」と「TRACTOR BEAM」)。この制御装置はTVやビデオ編集スタジオでよく見かけるグラスバレー社のスイッチング卓である。恐らく予算の関係でそれらしい装置と言うことで編集スタジオのスイッチング卓が使われたのであろう。ビームの出力を上げるために動かしているレバーは、スーパーインポーズや画像のディゾルブ(フェードイン・アウト)に使うものである。DVD版ではオーラベッシュ(Aurabesh、スター・ウォーズ世界のアルファベット)に差し替えられた。デス・スター攻撃シーンにおいても、反乱軍戦闘機部隊の照準装置に目標までの距離がアラビア数字で表示されていたが、観客にカウントが読めないと緊迫感が伝わらないため、敢えてこの部分は修正されずにそのまま使われている。

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脚注

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外部リンク

テンプレート:スター・ウォーズ・シリーズ テンプレート:ジョージ・ルーカス テンプレート:星雲賞メディア部門


  1. 画面奥の方にスクロールしてゆくオープニングはセシル・B・デミル監督の1939年の映画『大平原 (映画)』のオマージュになっているテンプレート:要出典
  2. モーツァルトの『魔笛』では侍女たちがタミーノに女王の娘パミーナの絵姿を見せると彼は彼女に一目惚れする。二人の男女にさまざまな試練が降りかかってくることも構造的に類似しているテンプレート:誰。『魔笛』を『スター・ウォーズ』のように宇宙服を着せて演じさせた演出もあるテンプレート:誰
  3. ビデオとリミテッドエディションDVDの劇場公開版のみ
  4. ビデオとリミテッドエディションDVDの劇場公開版のみ
  5. ただし、ルーカスが「スター・ウォーズ」の企画を始めたのは『アメリカン・グラフティ』の完成直後の1973年4月であり、映画会社側から「失敗作」と思われていた『アメリカン・グラフティ』が公開されて「大成功」したのは1973年8月1日からである。ゲリー・ジェンキンス『ルーカス帝国の興亡』扶桑社より。
  6. その後ルーカスは、『スター・ウォーズ』シリーズ全6作や『インディ・ジョーンズ』シリーズなどの大作を次々と手がけることになる。
  7. テンプレート:Cite news
  8. [1]
  9. [2]
  10. 本作を断ったトランブルは『未知との遭遇』の後ダイクストラと1979年の『スター・トレック』の視覚効果を共同で手掛ける。
  11. マーロン・ブランド監督・主演作でアカデミー撮影賞ノミネート。もともと『2001~』のスタンリー・キューブリックによる企画だった。
  12. エメリッヒは自ら特撮工房を構え本作で爆破撮影を担当したジョー・ヴィスコシルを迎えアカデミー賞を獲得した『インデペンデンス・デイ』の公開後、偶然遭ったルーカスに「何故ILMに視覚効果を依頼して来なかった?」と問われ「あなたと同じ事をした」と答えている。
  13. コンピュータによるモーション・コントロールカメラのシステム。「ダイクストラ・カメラ」とも呼ばれた。
  14. 使用料(同様の撮影システム開発に支払いが見込まれる特許使用料、またはILMからの同システムのレンタル料)の高額さに二の足を踏み、導入・活用が遅れた特撮邦画は特撮CG技術の確立・台頭の時代まで、人工臨場感演出技術で大きく水を空けられることとなる。
  15. 当時アメリカで高評価だったタミヤハセガワバンダイなどの日本製のプラモが多用されている(猪俣謙次、加藤智『ガンプラ開発真話』メディアワークス)。
  16. プロップの完全再現を目指すモデラーの中には各種資料を元に実際に使われた流用パーツを特定して製作する者がいる(モデルグラフィックス連載企画「考古学的SWモデリング」など)。
  17. 『特別篇』の公開後、ピクサー社は2001年にエピソード4のクライマックスをパロディに、TIEファイターに追われるXウィングがデス・スター調のTHXロゴを攻撃するというTHXトレイラー(予告篇)を製作した。スカイウォーカー・サウンドによってシリーズでお馴染みの音響効果も付けられている。2011年現在、THX公式サイトでは観る事が出来ない。
  18. この帽子を被ったルークのシーンは、日本公開時のパンフレットにモノクロのスチル写真として掲載されていた。
  19. エピソード4 - 6の特別篇全体にかけられた予算は、エピソード4一作の制作費を上回った。