スタディオン

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テンプレート:Infobox スタディオン (テンプレート:Lang-el, テンプレート:Lang-la) は、古代ギリシアおよびローマで使われていた距離長さ)の単位である。新約聖書でもギリシア語で用いられている単位である。複数形はスタディアである。

長さ

スタディオンはバビロニア起源の単位である。その距離は、砂漠において太陽の上端が地平線に現れてから、下端が地平線を離れるまでの間に人間が太陽に向かって歩く距離と定義されている。その人の歩行能力に依存した一種の身体尺であるが、おおむね180メートル前後となる。

言い変えれば、スタディオンは太陽がその視直径分だけ移動する間に人間が歩行する距離である。太陽の視直径(見た目の角度)は約0.5(正確には32)であり、その角度を移動する時間は約2である。太陽は1日で1周(=360度)するので、1日に人が歩ける距離は360/0.5=720スタディオン、1時間の歩行距離は約30スタディオンということになる。

使用例

古代ギリシア陸上競技は1スタディオンの直線コースで行われており、1スタディオン以上の競走はコースを往復した。競技場もスタディオンを基準として設計されたことから「スタジアム」という言葉が生まれた。競技場のスタートとゴールのラインが石で作られていたため、今日でもその遺跡からスタディオンの長さを知ることができる。それによれば、デルポイアテナイでは178 m、エピダウロスでは181.30 m、オリュンピアでは192.27 mと、地域によってスタディオンの値が異なっていた[1]

伝説ではギリシア神話の英雄ヘラクレスがオリュンピアにおけるスタディオンの長さを定めたとされ、彼が息を止めたまま走ることのできた距離とするものや、彼の足の大きさを600倍した値というものがある[2][3]

エラトステネスアレクサンドリアとシエネ(現在のアスワン)の間の緯度差と距離から、地球の大きさを当時としてはかなりの精度で求めているが、その距離はスタディオンで表されていた。

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関連項目

  • フェレンス・メゾー大島鎌吉訳)『古代オリンピックの歴史』、ベースボール・マガジン社1973年、p. 48.
  • メゾー、前掲、pp. 42–43.
  • ジュディス・スワドリング穂積八洲雄訳)『古代オリンピック』、NHK出版1994年、p. 35.