スクロース

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スクロースの結晶

スクロース (sucrose)、またはショ糖蔗糖、しょとう)は、の一種であり、砂糖の主成分である。

性質

スクロースは、グルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した糖であり、二糖類の一種である。無色結晶、甘味を有する、水に溶けるという二糖類共通の性質を持つ。加水分解するとグルコースとフルクトースを生ずる。

水溶性が高く、25テンプレート:℃において、1gの水に2.1g溶ける[1]

先進国における主要な甘味料であり、砂糖の主成分である。一般にはサトウキビや、サトウダイコン(テンサイ)から抽出し、純度を高め結晶化したものである。原料としては他にソルガム(モロコシ)とサトウカエデがある。ちなみにショ糖の結晶を大きく成長させると氷砂糖になる。

約170テンプレート:℃に加熱すると、カラメル(キャラメル)と呼ばれる褐色の物質に変化する。カラメルは食用となり、独特の香りを持つ。カラメルはカスタードプディングなどに使用される。

人体における消化

スクロースは、小腸壁に存在する消化酵素サッカラーゼ(インベルターゼ)」によりグルコースとフルクトースに加水分解され(「転化糖」参照)、小腸で吸収されて血流に入る。 この反応は短時間で起こるため、血糖値を急激に上昇させる。

健康への影響

スクロースは、健康に悪影響を及ぼすことがある。その代表的なものはう蝕(むし歯)である。口腔内の細菌がスクロースを材料としてエナメル質象牙質といった歯質を破壊するを産生するためである。特に甘味を求め、スクロースの摂取量が増加し、なおかつ口腔内の清掃が比較的行き届いていない子供において問題となる。

また、一般にスクロースはカロリーが高く、肥満の原因になり、糖尿病患者はスクロースの摂取を制限しなければならないという説があるが、食物中の炭水化物の総量のうちスクロースの占める割合はごく一部に過ぎないのでスクロースのみを制限しても意味は無いテンプレート:要出典。スクロースで180g程度以上を一度に摂取すると健常人であっても一過性の糖尿を生ずるテンプレート:要出典。この量は、食品成分表のコーラ・缶コーヒー等に示される量を基にすると2.5リットル前後の量(約1100kcal)に相当する。

代用甘味料

上記のような健康への影響からスクロースを避けたいというニーズに応えるため、代用甘味料がいくつも開発されてきた。しかし、例えばアスパルテームは加熱することで甘みが低下するなど、調理用に砂糖の代替として利用するのが難しいものがある。また、他の健康上の問題をも引き起こすものもあり、その安全性が疑問視されている。

スクロースを塩素化した甘味料にスクラロースがある。これは有機塩素化合物であり、スクロースの約600倍の甘さがある食品添加物である。

化学的性質

化学式はC12H22O11であり、グルコースとフルクトースがグリコシド結合した二糖類である。組織名β-D-フルクトフラノシル-(2↔1)-α-D-グルコピラノシド (β-D-fructofuranosyl-(2↔1)-α-D-glucopyranoside) である。語尾が「- オシド ( -oside)」になっているのは還元糖ではないためである。グルコースのアルデヒド基とフルクトースのケトン基が共にグリコシド結合のため酸化されず、二糖類としては例外的に還元性を持たない。なお多糖類には共通の性質として還元性がない。

濃硫酸によって脱水反応触媒され、単体炭素が得られる。

<math>\mbox{C}_{12} \mbox{H}_{22} \mbox{O}_{11} \ \xrightarrow{\mbox{H}_2\mbox{SO}_4} \ 12\mbox{C} + 11\mbox{H}_2\mbox{O}</math>

また、角砂糖に火を近づけても溶けたり焦げたりするだけで燃焼は起きないが、灰をかけて火を近づけると触媒反応によって燃焼が起こる。

脚注

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参考文献

  • 伊藤汎 監修 『砂糖の文化誌 ―日本人と砂糖』 八坂書房、2008年。ISBN 4896949226

関連項目

外部リンク

テンプレート:炭水化物