シナノキ

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シナノキの葉と樹皮

シナノキ(科の木、級の木、榀の木、テンプレート:Snamei)は新エングラー体系クロンキスト体系ではシナノキ科APG体系ではアオイ科シナノキ属落葉高木日本特産種である。

長野県の古名である信濃は、古くは「科野」と記したが、シナノキを多く産出したからだともいわれている。

特徴

九州から北海道までの山地に分布する。幹の直径は1m、樹高は20m以上になる。樹皮は暗褐色で表面は薄い鱗片状で縦に浅く裂けやすい。

互生し、長さ6-9cm、幅5-6cmで先のとがった左右非対称の心型。周囲には鋸状歯がある。には鮮やかな緑色をしているが、には黄色に紅葉する。

初夏に淡黄色の小さなをつける。花は集散花序花柄が分枝して下に垂れ下がる。花序の柄には苞葉をつける。果実はほぼ球形で、になって熟すと花序とともに落ちる。

利用

樹皮は「シナ皮」とよばれ、繊維が強く主にロープの材料とされてきたが、近年合成繊維のロープが普及したため、あまり使われなくなった。大型の船舶の一部では未だに使用しているものがある。

1990年代頃から、地球環境を見直す意味でなどと共にロープなどへの利用が見直されている。

古くは木の皮の繊維で布を織り衣服なども作られた。アイヌは衣類など織物を作るためにシナノキの繊維を使った。現在でもインテリア小物などの材料に使われる事もある。

木部は白く年輪が不明瞭で、柔らかく加工しやすいが耐久性に劣る。合板割り箸マッチの軸、鉛筆材、アイスクリームへら、木彫りの民芸品などに利用される。

シナベニヤと呼ばれる合板の化粧面に多く利用される。

また、花からは良質のが採取できるので、花の時期には養蜂家がこの木の多い森にて採蜜を営む。

シンボルなど

近縁種

シナノキは日本特産種だが、シナノキ属ボダイジュの仲間)はヨーロッパからアジアアメリカ大陸にかけての冷温帯に広く分布している。

ヨーロッパではセイヨウシナノキ(セイヨウボダイジュ)がある。

シューベルトの歌曲『リンデンバウム』(歌曲集『冬の旅』、邦題『菩提樹』)で有名。

また、スウェーデン国王アドルフ・フレデリック1757年に、「分類学の父」と呼ばれる植物学者カール・フォン・リンネ貴族に叙した際に、姓としてフォン・リンネを与えたが、リンネとはセイヨウシナノキのことであり、これは家族が育てていたことに由来するものである。

脚注

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関連項目

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外部リンク

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