シクロヘキサン

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シクロヘキサン (cyclohexane) はシクロアルカンの一種の有機化合物である。ベンゼンの水素付加によって作られる。常温常圧で無色の液体で、揮発性がある。極性溶媒には溶けにくいが、有機溶媒には溶ける。

シクロヘキサン環

いす型ふね型封筒型ツイスト型等の立体配座があるが、いす型(画像を参照)が最も安定して存在する。ただし、置換されたシクロヘキサン環の場合、置換基のかさ高さ(立体障害)によっては、他の配座の方が安定になることもある。 テンプレート:Indentテンプレート:Clearleft (1)いす型、(2)封筒型、(3),(5)ツイスト型(ねじれふね型)、(4)ふね型

アキシアル・エカトリアル

シクロヘキサンあるいはシクロヘキサン型構造を持つ環状化合物のいす型立体配座において、置換基は環平面と平行方向の置換基と垂直方向の置換基とに区別される。前者をエカトリアル(エクアトリアル、equatorial; シクロヘキサン構造式で青線で示す)、後者をアキシアル(axial; シクロヘキサン構造式で赤線で示す)と呼ぶ。

エカトリアルには「赤道方向の」という意味があり、アキシアルは「極、軸位」を表す。

環を形成する各結合軸で自由回転することで、シクロヘキサンの2つのいす型立体配座はふね型立体配座を経由して互いに入れ替わる(環反転)。この立体配座の入れ替わりにより、アキシアルはエカトリアルに、エカトリアルはアキシアルに向きを変える。このとき、置換基同士の距離は、エカトリアル型に比べてアキシアル型の方が接近している為、かさ高い置換基の場合は立体配座の安定性に影響を与え、置換基がアキシアル型を避けエカトリアル型をとる立体配座が優位になることが知られている(立体障害)。

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性質

可燃性で、麻酔作用を持つので取り扱いには注意が必要。

製法・利用

シクロヘキサンの大部分はベンゼンニッケルあるいはパラジウム触媒を用いて接触水素添加(水素化)することで工業的に生産される。また、石油改質の過程で生成するメチルシクロペンタンは触媒を用いてシクロヘキサンに転化し利用される。

工業的に生産されるシクロヘキサンはシクロヘキサノンシクロヘキサノールに転化され、最終的にはε-カプロラクタムアジピン酸ヘキサメチレンジアミンとなり、6-ナイロン6,6-ナイロンの原料として利用される。

シクロヘキサンの2010年度日本国内生産量は 483,426 t、工業消費量は105,764 t である[1]。シクロヘキサン自体の用途は主として有機溶媒で、洗浄液接着剤などに含まれている。また、防毒マスクの吸収缶の試験用ガスとしても、利用される事もある。

危険性

皮膚などに、長期間触れ続けた場合は、皮膚炎などの病気を引き起こす可能性がある。さらに、吸引した場合、低濃度では頭痛等を、高濃度では意識障害を招く。また、低濃度では、臭いがほぼ無いので注意しなければならない。 

脚注

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