ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

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テンプレート:Infobox Filmゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(ゴジラ・ミニラ・ガバラ オールかいじゅうだいしんげき)は1969年(昭和44年)12月20日に第一回「東宝チャンピオンまつり」の一篇として東宝が製作・公開した日本映画で、「ゴジラシリーズ」第10作。観客動員数は148万人。カラー、シネスコ、70分。同時上映は『コント55号 宇宙大冒険』『巨人の星 ゆけゆけ飛雄馬』。

概要

登場怪獣はゴジラミニラガバラカマキラス。過去の映像の流用でクモンガアンギラスゴロザウルスマンダエビラ、大ワシ[1]。これらは一郎少年が夢の中で想像したものである。劇場ポスターはイラストで怪獣たちを描いたものだが、このなかにはアンギラス、マンダ、大ワシが含まれていない。

検討用台本第一稿での登場怪獣はタイトルの三怪獣とクモンガ、ラドン大ダコであったが、本多監督の所持していた台本にはラドンと大ダコの出番をカットしてエビラに変更する旨が書かれており、決定版となった第二稿ではラドンの役割がカマキラス、大ダコがエビラになっている[2]。ラドンは本編に名前のみ登場した。

ゴジラ作品で唯一、怪獣の存在しない現実世界を舞台としている。当時話題になっていた「公害問題」や「鍵っ子」「児童誘拐」を取り上げている。ただし、公害問題についてはほんの少し会話で触れる程度であり、これを本格的に取り上げたのは次回作『ゴジラ対ヘドラ』でのことである。

「邦画の斜陽」による東宝本社の深刻な営業不振は、翌1970年(昭和45年)に制作部門の縮小・解体、リストラを招いた。怪獣路線は1968年8月の『怪獣総進撃』を集大成として中止されるはずであったが、『緯度0大作戦』をはじめとする1969年8月の興行収入が前年を大幅に下回ったため、急遽ゴジラシリーズの再開を決定した[2]。しかし、この興行から『東宝チャンピオンまつり』という番組の一篇に組み込まれ、以後のゴジラシリーズは黄金期の1/3から1/4という低予算での製作体制となっていった。

シリーズでは唯一、手間のかかるプール撮影が行われていない。特撮シーンの約半分は『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』や『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』等の作品の映像を流用しているが、これは企画書の段階で決定していたものであり、この予算的な都合に加えて当時の円谷英二をはじめ有川貞昌ら円谷組が大阪万博の映像製作にかかりっきりであったため、従来のように本編班と特撮班とに分けず、特撮演出は本編の本多猪四郎が兼任して一班体制で制作されている。

こうした経緯から円谷英二は制作に関与していない[3]が、「監修」とクレジットされている。円谷は本作公開の約1か月後にあたる1970年1月25日に死去し、同年3月1日をもって東宝は「特殊技術課」を廃止。特殊技術スタッフは新設された「映像事業部」へと吸収され、映画特撮以外の映像制作に当たるようになっていった。

『東宝チャンピオンまつり』の第1回冬興行作品である本作以後、東宝は年1作の新作ゴジラ映画と過去の特撮作品のリバイバルをメインにし、テレビアニメなどを組み合わせた番組を春・夏・冬休みの子供向け興行として続けていくこととなる。本作に次ぐ翌1970年(昭和45年)3月1日の『チャンピオンまつり春興行』では、『キングコング対ゴジラ』(本多猪四郎監督、1962年(昭和37年))をメインに番組が組まれたが、この際に経費を省くため、オリジナルのネガフィルムをテンプレート:要出典範囲、短縮版として上映する処置がされた。以後、『モスラ対ゴジラ』、『三大怪獣 地球最大の決戦』、『怪獣大戦争』など、『チャンピオンまつり』興行のたびにこれらの過去作品のオリジナル原版フィルムが裁断され、再編集されていく慣習となっていったのである。

本作で登場した怪獣島の設定は、『チャンピオンまつり』興行の中、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(福田純監督、1972年(昭和47年))以降、主役怪獣ゴジラの住処として劇中設定に組み込まれることとなった。

パンアメリカン航空タイアップしている。機関士・三木健吉役の佐原健二は、撮影で実際に機関車を運転している。

11月30日には、晴海国際スケートリンクに佐原健二、中真千子、ゴジラ、ミニラ、ガバラが映画のPRに登場した。着ぐるみは本編に使われたもので、スーツアクターも同一である。

1990年アメリカ映画48時間PART2/帰って来たふたり』などで知られる脚本家のジョン・ファサーノは、いじめられっ子だった幼少時に本作を見たことがきっかけで、いじめっ子に立ち向かうようになったという[4]

ストーリー

いじめられっ子で引っ込み思案の小学生・三木一郎は、両親が共働きの鍵っ子だ。彼のもっぱらの楽しみは、同じアパートに住む「発明おじさん」こと南信平が作った玩具で遊ぶこと。その玩具を使って夢の世界へ向かった一郎は、怪獣島に住むミニラと出逢った。そこで一郎はミニラが、自分をいじめているガキ大将と同名であるいじめっ子怪獣ガバラにいじめられていることを知り、彼(?)を激励する。

一郎がそんな夢に浸っている最中、逃亡中の2人組の銀行強盗犯がひょんなことから一郎を人質に取ろうと企てる。

怪獣島

多数の地球怪獣が生息する。本作では一郎少年の夢の産物として登場。島へはパンアメリカン航空から「怪獣第1号」便がでている。たまに島を赤イ竹の戦闘機[5]が襲うことがある。

スタッフ

本編

特殊技術

主題歌

キャスト

※映画クレジット順

映像ソフト化

  • ビデオ
    1992年発売
  • レーザーディスク
    1996年発売
  • DVD
    2004年3月26日発売。2008年2月22日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションII」に収録されており、単品版も同時発売。2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」にも収録されている。

脚注

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参考文献

  • 『東宝特撮映画全史』(東宝)
  • 『大ゴジラ図鑑1、2』(ホビージャパン)
  • 『大怪獣ゴジラ99の謎』(二見文庫)
  • 『特撮魂 東宝特撮奮戦記』(洋泉社)

関連項目

外部リンク

テンプレート:ゴジラ テンプレート:本多猪四郎監督作品

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  1. ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(福田純監督、1966年(昭和41年))の「大コンドル」の映像の流用。
  2. 2.0 2.1 テンプレート:Cite
  3. 『東宝特撮映画大全集』(ヴィレッジブックス)では、円谷の体調不良を理由に挙げている。
  4. 1億人の大質問!?笑ってコラえて!|2014/07/30(水)放送 | TVでた蔵
  5. 『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』の劇中シーンから抜粋。
  6. 撮影には一切関わっていない。
  7. アメリカ公開版では、アメリカ原盤の別曲に差し替えられている。