ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

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テンプレート:Infobox Filmゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(ゴジラ モスラ メカゴジラ とうきょうエス・オー・エス)は、2003年(平成15年)12月13日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第27作である。併映は『とっとこハム太郎 ハムハムハグランプリン オーロラ谷の奇跡』。興行収入は13億円、観客動員は110万人。

概要

第3期ゴジラシリーズ(ミレニアムシリーズ)の第5作。本作は前年に公開された『ゴジラ×メカゴジラ』の好評を受けて製作された同作の直接の続編である[1][2]。制作の富山省吾は製作報告会見で本作を新世紀のゴジラシリーズのゴールと位置づけていた[2]

前作で主人公を演じた釈由美子も少し登場するが、本作の主人公は金子昇が演じる3式機龍の整備士となる。また金子は『百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』でも主演しているが、これは上映時間が短いため、「長編映画」としては本作が初である[2]

前作でも作中で語られたように1961年の映画『モスラ』と直接つながった世界であり、共通人物として小泉博が同じ中條信一役で出演している。モスラが卵、幼虫、成虫でそれぞれ登場した。モスラの登場は配給側からの要請によるもので[1]、メカゴジラとモスラは共に「ゴジラシリーズ」での再登場の多い怪獣だが、本作で初共演となる。ストーリー上は『モスラ対ゴジラ』のオマージュも散見される[1]

劇中では「メカゴジラ」の名称は一切出てこない(タイトルは「ゴジラ×モスラ×機龍」と出た後に「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ」に変わってから本編が始まる、という形になっている)。

モスラの小美人の衣装は昭和の小美人に近い南方風のものとなっている(ただしセパレート)。小美人を演じる大塚ちひろ長澤まさみはどちらも東宝シンデレラ出身である。大塚は幼少期からゴジラ映画に親しみがあったようだが、長澤は本作に出演するまでゴジラ映画を観たことがなかったという。また監督の手塚によれば、2人が他の仕事で多忙だったため、小美人のシーン撮影は数日で終わったという。

特撮パートでは、東京タワー国会議事堂の破壊シーンが大きな見せ場として用意された[1]。タワーは1961年の『モスラ』を、議事堂は1954年の『ゴジラ』を、それぞれ踏襲した選定である。ゴジラが東京タワーを破壊したのは今作が初となる。富山によると、日本を代表する建物の国会議事堂と東京タワーがゴジラのゴールとして壊すのにふさわしいとして選ばれた[2]

本作の観客動員数は、『メカゴジラの逆襲』『ゴジラ対メガロ』に次ぐ歴代ワースト第3位(現在ワースト4位)となり、ゴジラ50周年作品となる次作でゴジラシリーズ再終了が決定した。

ストーリー

ゴジラ機龍の死闘から1年が経過していた。

かつてインファント島を調査し、モスラの日本襲撃の際に尽力した中條信一の元に小美人が現れた。彼女たちは死んだ生物に人間が手を加えてはならないとして、機龍を海に帰すよう勧告、その代わりにモスラが命をかけてゴジラを食い止めることを約束する。しかし、その場に居合わせた信一の甥・義人にとって、それは受け入れられない要請だった。なぜなら彼は機龍の整備士だったのである。

信一が旧友でもある五十嵐首相に直接、この件を請願に行ったことから、事態は問題化することになる。政府にとって機龍はゴジラ対策の要であり、モスラは先般日本を襲撃した敵にほかならないからだ。政府はこの請願を拒否し、先の対ゴジラ戦で大きく損傷した機龍の整備を急がせるのだった。

ゴジラの脅威は再び日本に迫りつつあった。九十九里浜ではゴジラに襲われたと推測される巨大生物カメーバの死体が打ち上げられ、グアム島沖では米原潜がゴジラに襲撃される。政府は1年前に対ゴジラ戦で破壊し尽され、再開発途中の品川地区で迎撃することを決定する。

そしてついにゴジラが東京に上陸する。その進路上には機龍の設けられている八王子駐屯地がある。一方、信一の孫・瞬はモスラを呼び寄せるため、学校の校庭に机を持ち出してインファントの紋章を描いていた。ゴジラが品川埠頭の防衛ラインを突破したその時、どこからともなくモスラが飛来、ゴジラと激突する。

しかし、五十嵐首相は機龍の出動を待機させるも、モスラはゴジラの攻撃に傷ついていく。その姿を見た五十嵐は機龍の出動を決意する。東京を舞台に、決戦の火蓋が切られた。

登場キャラクター

  • ゴジラ
  • モスラ(成虫・幼虫)
  • 3式機龍
    前作の3式絶対零度砲(アブソリュート・ゼロ)が破損したため、4式対獣掘削装置(スパイラル・クロウ)と4式3連装ハイパーメーサー砲が新たに装備される。
  • カメーバ
    九十九里浜に打ち上げられた死体で登場。

特生自衛隊

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主な登場人物

中條 義人
本作の主人公。特生自衛隊(特自)一曹。3式機龍整備隊整備士。中條信一の甥で、信一の弟である信次の息子。機械の心がわかり、声を聞くことができると豪語するほど機体整備を生き甲斐とする熱血漢。初めて整備した機体はF-1 支援戦闘機で、本機にも相当な思い入れを持つ。休暇中に出会った小美人が機龍を破棄するように警告した際には機龍を守りたい一心で反対した。
機龍がゴジラとの戦闘中、機駆動系統の故障でコントロール出来なくなった際、自ら戦地に赴き修理に当たったり、メンテナンスハッチの故障によって機龍から出られなくなるが、作戦に支障が出てはいけないと嘘の退避報告をするなど自衛隊員としての使命感も強い。
ゴジラとの決着に至って機龍の本意を知り、「SAYONARA YOSHITO」のメッセージを受け取って機龍との別れを告げた。
如月 梓
特自・第1機龍隊、しらさぎ2号機パイロット。4年前は整備士で、空自での義人の親しい同僚だった。空を飛びたいという思いから機龍隊に志願し、茜たちの壮行会の日に第1機龍隊の一員に任命された。
朗らかで義人に好意を寄せているらしいが、義人がそれに気付かないほど鈍感なことに少々不満な様子。怪獣にも詳しく、漂着した怪獣の死骸がカメーバだと機龍隊の中で真っ先に認識している。
ゴジラとの戦いでは、義人の頼みを受けて機龍を操縦する秋葉をサポートし、ラストでは機龍から出られなくなった義人を救うために奮闘した。
秋葉 恭介
特自・第1機龍隊、機龍正オペレーター。元空自のトップガン。世界でたった1機しかない機龍を自らの手で動かしたいという思いから第1機龍隊に志願し入隊した。
機龍の操縦技量は十分だが自意識過剰な性格で、自分の操縦するメカには乱暴な扱いをしていることで、義人とはたびたび対立している。しかし義人が父親の功の気持ちを知ってからは心配されるようになり、義人が機龍から脱出する際は梓と協力して命がけの救出をした。
富樫
特自二佐。第1機龍隊隊長。引き続き機龍の現場指揮を執る。前作に比べると出番が少ない。
神崎
特自・3式機龍整備隊隊長。土橋が機龍の修復について質問した際に義人の主張を尊重しながら返答した。
秋葉と揉め合ったことを不問としたり、信一と瞬の捜索に自身の愛車を貸し与えるなど、義人にとって良き上司である。
一柳
特自幕僚長。前回に引き続き3式機龍司令室より直接指示を出す。ゴジラの再上陸が決定した際には、更地となったままの品川で再戦すると強引に決断した。
土橋
防衛庁長官。前回に引き続き五十嵐の下で務める。
秋葉 功
防衛庁長官政務官。恭介の父親。息子が機龍正オペレーターであることには内心反対しており、モスラが代わりに戦うことに関心を持ち、義人に休暇中の出来事を尋ねた。しかし結局出動を決定した機龍を見守っていた。
二階堂
特自・特殊作業班の責任者。九十九里海岸に漂着したカメーバの死骸の検分と回収作業を担当した。カメーバについての知識も持ち、カメーバを知る梓に関心を示した。
菅野 吾郎
低温物理学の権威。アブソリュート・ゼロの修復は不可能と断言したが、機龍は動くと信じていた。機龍を開発した4人の権威たちの中では唯一前作に引き続いての登場だが、出番はワンシーンのみである。
田所
特自・3式機龍整備隊整備士。義人の友人でもあり、機龍整備中に茫然としていた義人に気付き理由を訊いた。
望月
特自・3式機龍整備隊整備士。田所と同様に義人の友人でもあり、義人が機龍を現地で応急修理した際には、通信を受けながら田所たちと共に全力でサポートした。
中條 瞬
信一の孫で義人の甥の小学生。義人を「義おじちゃん」と呼ぶ。祖父から43年前の出来事を聞き、ゴジラが現われた際、モスラを呼ぼうと当時と同じモスラの紋章を港区立田町小学校の校庭に多数の机を並べて形作り、モスラを呼び寄せた。後に信一と共に避難していた際に、2人で瓦礫の下敷きとなってしまうが、駆けつけた義人に救われて日比谷公園の指揮所に避難し、機龍の応急修理へ向かう義人を見送った。
関根 健二
特自二尉。フルネームは本作で判明。茜や葉山と同じく本作で研修のためアメリカに派遣される。
葉山 進
特自三尉。フルネームは本作で判明。茜や関根と同じく本作で研修のためアメリカに派遣される。現在は茜と打ち解け、戦友同士となり、壮行会でさりげない気遣いも見せる。
小美人(ヒオ、マナ)
かつて43年前に中條信一ら人間の前に現われた小美人の同族。その時に小美人を救った信一を信用して、機龍(厳密にはゴジラの骨)を破棄するよう警告に来た。その見返りとしてゴジラはモスラが倒すことを約束する。2人が一緒に念じることで、プラモデル程度の物体を浮遊させる念力を使うことができる。なお、右に腕輪をしているのがヒオで、左に腕輪をしているのがマナ。
家城 茜
前作の主人公。特自三尉。1年前のゴジラとの戦いで機龍に直接乗り込み、引き分けた。本作では研修のため葉山や関根と共にアメリカに派遣される。
派遣前夜の壮行会後に機龍のドックで義人に会った際、彼と似た部分があると感じると同時に、「機龍を残して日本を離れるのは残念」「機龍はもう戦いたくないのかもしれない」と思いを語り、機龍の後見を託した。
中條 信一
言語学者で、義人の伯父で瞬の祖父。43年前のインファント島調査で小美人と出会い、悪徳興行師のネルソンによって誘拐され見世物にされてしまった小美人を救った過去がある。五十嵐とは個人的な友人でもある。
悩む義人にアドバイスしたり、モスラを呼ぶためにいなくなってしまった瞬を単身で探しに行き、瓦礫が自分たちに降り注いだ時にも身を挺して瞬をかばおうとした、温厚で甥・孫思いな人物である。
劇中での初登場シーンでは読書中の本で顔が隠れているが、これは『モスラ』作中での「カメラ嫌いで、撮られそうになると本で顔を隠す」という設定のオマージュである。
五十嵐 隼人
内閣総理大臣で、機龍プロジェクトの総責任者。信一が伝えた小美人の警告は真摯に受け止めながらも、ゴジラに対抗しうる手段が機龍しかない現状から破棄には賛同しなかった。しかし、ゴジラを駆逐した後は、機龍を即刻破棄するつもりでいた。
機龍に代わってゴジラと戦うモスラを見て、機龍の出動を決定。最後は「過ちに気付き、その過ちを認める勇気を得たことが真の勝利だろう」と語った。

スタッフ

<特殊技術>
<視覚効果>
  • プロデュース:小川利弘
  • スーパーバイザー:泉谷修

キャスト

スーツアクター

挿入歌

モスラの歌
作詞:田中友幸関沢新一本多猪四郎/作曲:古関裕而/編曲:大島ミチル/歌:長澤まさみ、大塚ちひろ

映像ソフト化

  • DVDは2枚組スペシャル・エディションとして2004年7月30日に発売。
    • 2005年4月22日発売のゴジラ生誕50周年・DVD30枚組ボックス「GODZILLA FINAL BOX」には、前述のスペシャル・エディションのDisc 1のみが収納されている。

その他

  • ラストのDNA保管庫のシーンはゴジラとカメーバのネームプレートのみ確認できるが、実際はバランサンダガイラガニメエビラ、テズーカ、フターミのネームプレートも作成されている。
  • 当初、海岸に打ち上げられた死骸は首長竜プリオサウルス型)の予定だったが、首長竜→アンギラス→カメーバという経緯で変更された。
  • モスラの幼虫の双子は設定上、雄・雌であり、現場では「太郎」「花子」と呼ばれていた(なお、『おはスタ』で募集した名前では「モス」と「ララ」である)。
  • 公開と同時期に放送していた『超星神グランセイザー』にも小泉博が中條役で特別出演した。
  • 前作に登場した機龍開発者・湯原の自宅リビングに飾られていたドン・キホーテとサンチョ・パンサらしきオブジェと同じものが主人公、中條義人の伯父、中條信一の自宅リビングにも飾られている。
  • おなじみの手塚監督カメオ出演は、これまで同様エンドクレジット後のシーンである。また富山プロデューサーも避難民としてカメオ出演している。

脚注

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関連項目

外部リンク

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テンプレート:手塚昌明監督作品
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Cite
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 テンプレート:Cite web